連載資金調達の週報
ラストワンマイルの配送ルートをAIで最適化。
オプティマインドがトヨタ、KDDIなどから10億円の調達──押さえておきたい資金調達ニュース
資金調達が活況となり、日々のニュースが溢れている。
全てを追いきれない読者のために、 FastGrowでは週次で国内外スタートアップの資金調達ニュースを紹介。
今週も日本から4社をピックアップした。
2019年10月21日〜2019年10月27日分 過去の週報はこちら
- TEXT BY KEISUKE KOSAKAI
- EDIT BY TOMOAKI SHOJI
オプティマインド:世界のラストワンマイルを最適化
資金調達概要
調達額 |
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約10億1,300万円 |
調達先 |
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トヨタ自動車株式会社 |
株式会社MTG Ventures |
KDDI Open Innovation Fund 3号 |
他1社 |
サービス概要
配送ルート最適化サービスの「Loogia(ルージア)」を提供。このサービスは、ラストワンマイルの配送ルートをAIによって短時間で計算するクラウドサービスだ。
「どの車両が、どの訪問先を、どの順に回るか」という配送計画を、複雑な条件や現場の制約を考慮しながらAIが数分で作成し、ドライバーに効率的なルートを提供するという。
オプティマインドは今回の資金調達により、引受先と個別に取引強化を進める。具体的には、トヨタ自動車が構築するモビリティサービス向けのさまざまな機能の提供を目指したオープンプラットフォーム「MSPF(モビリティサービス・プラットフォーム)」に、オプティマインドのルート最適化技術を導入して共同開発を進めていく。
MTG Venturesからは経営や事業推進に関する知見、人的ネットワークを用いた支援を受け、オプティマインドの企業価値向上と経営体制の強化を図る。KDDIとは、IoT/AIを活用した「需要予測×ルート最適化」による配送ソリューションの共同開発を進めるという。そのほか、プロダクト開発体制の強化、人材の獲得なども進めていく。
同社は、日本郵便とサムライインキュベートが実施したインキュベーションプログラムに採択され、Demo Dayで最優秀賞を受賞した実績を持つ。郵便局で実証実験を実施したしたところ、特にノウハウや経験が少ない新人配達員の業務時間が大きく削減されたそうだ。
ウェルネス:一人ひとりに合った予防医学を届ける
資金調達概要
調達額 |
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約3500万円 |
調達先 |
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インキュベイトファンド |
佐竹義智氏 |
中島聡氏 |
藤岡大祐氏 |
複数の医師など |
サービス概要
時間が限られているビジネスパーソンが、身体や心の課題、リスクと向き合い、効率的に予防ケアを行うためのパーソナルドクターサービス「Wellness(ウェルネス)」を提供。
このサービスでは、健康理解度や課題を踏まえて専用のカリキュラムを考案するだけでなく、日々のオンラインコーチングや週1回のホテルのラウンジや自宅での対面レクチャーを通して、ヘルスリテラシーの習得とそれぞれに合わせた健康行動へと導くという。
同サービスは、創業者である中田航太郎氏が自らが医師として働いていたときに感じた患者との意識のズレを解消することを目指して開発されたそうだ。患者の中には、人間ドックの活用法がよくわからず、年齢や生活習慣に応じて適切な検査を受けてない人が多く、その検査結果を正確に読み解くことも難しいという現状があった。Wellnessではそうしたユーザーに対して、今後の健康を改善するための知識を提供し、予防ケアにつなげていくとした。
トリコ: 一人ひとりの肌にあったサプリを処方
資金調達概要
調達額 |
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3,000万円 |
調達先 |
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XTech Ventures株式会社 |
野口 卓也氏 |
サービス概要
肌診断の結果をもとに、ユーザー一人ひとりの肌に合わせた美容サプリを処方するサービス「FUJIMI(フジミ)」を提供。
このサービスでは「ビタミンACE」「ビタミンB」「コラーゲン」「プラセンタ」など11種類のオリジナルサプリを用意しており、肌診断の結果からユーザーごとに5種類をピックアップ。それを1袋5粒入りのパック(1日分)にして、30日分を1箱にまとめて届ける。
料金は1ヵ月分が6400円の定額モデル(単発で購入することも可能)。オンライン上で約20問の質問に答えるだけで診断可能となっている。今後は美容以外にも健康やPMS(月経前症候群)、ダイエットなどのジャンルでのサービス展開を予定しているという。
Space BD:日本初の宇宙商社として設立
資金調達概要
調達額 |
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3.8億円 |
調達先 |
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インキュベイトファンド |
株式会社アニヴェルセルHOLDINGS |
SMBCベンチャーキャピタル |
みずほキャピタル |
みずほ銀行三井住友銀行 |
サービス概要
宇宙産業の発展に貢献することを使命に、日本初の宇宙商社として2017年9月に設立されたスタートアップ。JAXA(宇宙航空研究開発機構)初となる民間開放案件の国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟からの衛星放出事業や、「きぼう」船外実験装置利用事業において、連続で事業者認定された唯一の企業として事業を展開している。
具体的には、ロケットなど打上げ輸送手段側と衛星等搭載貨物側の間に立つプロジェクトマネジメント機能、安全審査等諸手続きと必要書類作成、輸送といった業務におけるワンストップ型の打上げサービス事業を進めているという。また、宇宙利用に関するソリューションと情報を提供するプラットフォーム「Space for Space」の運営も行っている。
今回調達した資金により、海外営業人材やエンジニアの採用を進めていくとした。
こちらの記事は2019年10月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
小酒井 圭祐
国内スタートアップの資金調達ニュースをまとめていきます。トレンドの変遷を追っていくことに興味があります。趣味は筋トレとプログラミング。
編集
庄司 智昭
ライター・編集者。東京にこだわらない働き方を支援するシビレと、編集デザインファームのinquireに所属。2015年アイティメディアに入社し、2年間製造業関連のWebメディアで編集記者を務めた。ローカルやテクノロジー関連の取材に関心があります。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
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