連載資金調達の週報
大手サイトでは分からない、外食に関する細かな情報を提供。SARAHが資金調達──押さえておきたい資金調達ニュース
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowは、さまざまなコンテンツを通して、いま注目すべき次世代の成長企業と出会う機会を提供している。
『資金調達の週報』では、編集部が厳選したスタートアップの資金調達ニュースをまとめてお届け。資金調達の様子を定点観測していれば、次の成長企業が見えてくるはずだ。今週は4社をピックアップした。
2020年10月19日〜2020年10月25日分 過去の週報はこちら
- TEXT BY KEISUKE KOSAKAI
- EDIT BY HUSTLE KURIMURA
SARAH:外食の細かな情報を正確に届ける
資金調達概要
調達額 |
---|
非公開 |
調達先 |
---|
株式会社セブン-イレブン・ジャパン |
株式会社DDホールディングスベンチャーキャピタル |
サービス概要
グルメコミュニティアプリ『SARAH』、外食トレンドを分析できる『Food Data Bank』、QR読み取り型電子メニュー『SmartMenu』を展開する、SARAH。
『SARAH』は2015年にリリースしたレストランの一皿に対する投稿を中心とした、グルメコミュニティアプリ。レストラン単位ではなく、麻婆豆腐やポテトサラダなどのメニュー単位での投稿や検索が可能。さらに、メニューのランキングや各ジャンルを極めたグルメマスターなど、様々なコンテンツを提供している。
『Food Data Bank』はグルメコミュニティアプリ『SARAH』内にユーザーから投稿された、約70万のメニュー単位の外食データをベースとし、外食トレンドを分析できるサービスだ。『Food Data Bank』を使用すれば今まで気づかなかったメニューや、世の中のトレンドの傾向を把握できる。
『SmartMenu』はテーブルに設置したQRコードを読み取り、スマートフォンでメニュー表を見れるサービス。現在β版を提供しており、正式版ではオーダー・決済機能に加え、SARAHのデータを活用することで、客単価の増加、リピーター集客の増加、接客品質の向上に役立つマーケティングツールとして提供する予定。
今回の資金調達により、株主の商品開発への活用、外食ビッグデータのさらなる収集・活用をおこなう予定だという。
ある日、代表 髙橋洋太氏はふと「美味しいポテトサラダが食べたいな」と思ったが、スマホではなかなか見つからなかった。わざわざ友達に聞いてやっと美味しいポテトサラダに辿り着いたそうだ。多くの外食グルメサービスが台頭するなかでも、まだ満足していない人がいることを自身の体験から発見。未開拓なニーズがあると知ったことをきっかけに起業に至ったという。
セブン-イレブン・ジャパンとDDホールディングスベンチャーキャピタルより資金調達を行いました。
— 高橋洋太@SARAH (@YoutaTakahashi) October 21, 2020
セブンイレブンからのベンチャー投資は初めてのようです。https://t.co/m0yd7cWssP
LINK:13年の介護経験から生まれた介護士シェアリングサービス
資金調達概要
調達額 |
---|
6,500万円 |
調達先 |
---|
ブラッククローキャピタル合同会社 |
三井住友海上キャピタル株式会社 |
マネックスベンチャーズ株式会社 |
サービス概要
介護士のシェアリングサービス『イチロウ』を展開する、LINK。
『イチロウ』は、最期まで自宅で生活を送りたい要介護者と介護士をマッチングするサービス。 マッチングのみならず、スケジュールや契約の管理などを『イチロウ』上で完結することができ、介護士は業界平均の1.6倍の時給を貰うことが可能。
今回の資金調達により、関東エリアでの本格的な展開や、プロダクトの更なる磨き込み、オペレーション体制の強化 、マーケティング体制の強化、システム開発の強化をおこなう予定だという。
代表 水野友喜氏は13年に渡って介護業界で働いてきた経験を持つ。20歳で就職した特別養護老人ホームでの介護業務に始まり、有料老人ホームでの責任者も経験。介護の現場から管理まで介護業界を見てきたそうだ。その中でも「介護士の低賃金の解決」「自宅で最期を迎える環境を作ること」を課題に感じ、起業に至ったという。水野氏が更新しているnoteもぜひご覧頂きたい。
Happy Quality:AIが一年中安定的に農業を助ける
資金調達概要
調達額 |
---|
非公開 |
調達先 |
---|
Sony Innovation Fund |
一般社団法人ベンチャー投資育成研究会 |
サービス概要
独自開発したAIにより高品質な農産物を一年中安定的に栽培できる独自ブランド『Hapitoma』『DOCTOR MELON』を販売する、Happy Quality。
『Hapitoma』は一粒ずつ糖度・形・リコピンを計測、選別し、厳しい基準をクリアしたトマト。 リコピンは通常のトマトの2倍以上のもののみを選別し、販売している。
『DOCTOR MELON』は温室メロン出荷量日本一の静岡県で生まれた、甘さそのまま低カリウムメロン。 カリウム低減により、口内の刺激となるアレルギー抗原が低下、ピリピリとした刺激感が緩和、特有の青臭さも軽減。また、腎臓病疾患を患っている人でも食べれる。
今回の資金調達により、中部地方をはじめとした更なるFC農家の展開に向けたマーケティング強化、より高品質な栽培をしていくためのAI灌水システムの高度化、採用強化ををおこなう予定だという。
代表 宮地 誠氏は、青果市場で競りの仕事をしていた経験があり、農業市場の売上の減少・就農人口の低下を目の当たりにし、それを自らの手でどうにか解決したいと思ったことが起業のきっかけだったという。
Locarise:リテール向けのコロナ感染予防カメラ
資金調達概要
調達額 |
---|
非公開 |
調達先 |
---|
ログリー・インベストメント株式会社 |
サービス概要
IoTを活⽤した3密防止カメラ「SIGNAL」など、リテール向けの顧客分析ツールを展開する、ローカライズ。
「SIGNAL」は、来店客数をリアルタイムでカウントしながら、店舗内の混雑状況をタブレットやデジタルサイネージに⾃動で表⽰。カウントされた来店客数を表⽰すると同時に、規制したい⼈数に達した場合はアラートをディスプレイで表⽰することで、来店の規制を促すことができる。
また、映像解析によって⼈の集まっている場所のヒートマップ表⽰、⻑時間同じ場所にいる顧客の表⽰⾊変更、顧客の動きを記録するゾーン指定など、コロナ感染予防に役立つツールを提供。
ディスプレイ画⾯の⾔語は⽇本語・英語・フランス語に対応しており、お客さんへの告知メッセージをカスタマイズ表⽰できる。
こちらの記事は2020年10月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
次の記事
連載資金調達の週報
執筆
小酒井 圭祐
国内スタートアップの資金調達ニュースをまとめていきます。トレンドの変遷を追っていくことに興味があります。趣味は筋トレとプログラミング。
編集
ハッスル栗村
1997年生まれ、愛知県出身。大学では学生アスリートを取材し、新聞や雑誌の制作・販売に携わる。早稲田大学文学部在学中。
おすすめの関連記事
「PMFまでの苦しい時に、資金と希望を与えてくれた」──ジェネシア・ベンチャーズ × KAMEREO、Tensor Energy、Malmeの3対談にみる、“シード期支援のリアル”
- 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ