「サンキュッキュ」でVR市場は立ち上がる!
gumi國光が予言する2018年のグローバルVRマーケット

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インタビュイー
多田 英起

1979年生まれ。ITコンサルティングを経験後、IT受託開発を10年以上行っており、技術を活用した新しいソリューションをテーマに KDDI社との共同特許をはじめ、オープンスタックシェアNo.1の米ミランティス社とのJVの構築などを行う。
ライフスタイルに特化したVR事業(ナーブ事業)をスピンアウトして、国内最大のVRプラットフォームを構築し現在に至る。

國光 宏尚

1974年、兵庫県生まれ。高校を卒業後、中国、チベットなどのアジア諸国、北米、中南米など約28ヵ国を放浪。中国・復旦大学、アメリカ・Santa Monica Collegeを経て、2004年に株式会社アットムービーに入社。取締役に就任し、映画・テレビドラマのプロデュースと新規事業の立ち上げを担当する。2007年に株式会社gumiを設立し、代表取締役に就任。GREEをプラットフォームとするソーシャルゲームの企画・開発・運用で急成長を遂げ、積極的な海外展開を進めている。

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VRは将来のビジネスにおいて無くてはならないものになるといわれている。

しかし実のところ、いまだ仮想空間を体感したことがないという人は多いだろう。

そうした人にとっても今後VRは身近なものになるのか?果たして本当にVRマーケットは急速に拡大していくのか?

国内において同領域のリーディングカンパニーの代表である株式会社gumi CEOの國光宏尚氏、ナーブ株式会社 CEOの多田英起氏に話を伺った。

  • TEXT BY REIKO MATSUMOTO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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1億円以上売り上げるVRゲームは1年で3.5倍に

おふたりがVRに注目したきっかけを教えてください。

多田確か5年前くらいだと思うんですけど、Oculus Rift DKのβ版をNTT経由で仕入れて、Kinectと合わせて使ってみたところ、「これは世界が変わるぞ」と確信したのが始まりです。当時の未完成具合が、インターネット創世記にYAHOO!を触った感触と似ていたからです。

ナーブ株式会社 代表取締役 多田 英起

多田その後、自分でも本格的にVR事業を手掛けることにしたのが4年前。まずは当時在籍していた企業の社内プロジェクトとして事業化し始めたんですけど、2015年10月にはその事業部をスピンアウトする形でナーブを立ち上げました。

創業してすぐの2016年1月には國光さんに「VRスタートアップの一期生として投資してくれませんか?」と相談しに行っているというご縁があります。

國光さんもVRに取り組みだしたのはその頃ということですか?

國光はい。gumiとしてVR領域に取り組みだしたのは2015年後半です。

企業として新しいテクノロジーにチャレンジし続けようという姿勢があって、モバイルゲームで上場し、そのあとにモバイル動画をやってきた中で「次は何をしようか」と考えていたところ、「次にくるのはVRだろう」と。

株式会社gumi 代表取締役社長 國光 宏尚

VR市場が活性化しているといわれていますが、一般人にはそこまで浸透していない印象があります。今後、誰しもにとって身近なものになるのでしょうか?

國光普通に暮らしているとわからないかもしれませんが、新しいマーケットとしてVRは順調に伸びています。

私は今アメリカでもVRファンドを運営していて、合計21社に投資をしていますが、2016年と比較してエンターテイメント領域への投資金額は2017年で70%増えているんです。

ハードウェア台数でいうと、2016年はPlayStation VRが100万台、(HTC)Viveが40万台、Oculus Riftが30万台の合計170万台だったところ、2017年はそれぞれ200万台、100万台、100万台の合計400万台。コンテンツ面から見ても、2016年に1億円以上売り上げがあったVRゲームは合計10本だったけど、2017年は既に35本あります。

でも、市場規模ってハードの普及台数に依存するものなのでまだ全然伸びきっていなくて、今後良いコンテンツが増えてくることによってハードが一気に普及したとき、この市場は爆発的に伸びるはずなんです。

歴史を振り返っても、スマートフォン市場を最初に牽引したのもゲームだし、PCを最初に買った人もゲームが目的でしたからね。だけど現状の問題点はハードウェアが高額すぎること。今までハードウェアを購入してゲームで遊ぼうとすると、合計20万円くらいかかっていた。

家庭用ゲームの歴史を紐解くと、500ドル以上のハードが一般に普及したことってなくて、400ドル台になるとみんな「とりあえず買おうかな」という心境になってくる。そこから更に400ドルを切る399ドル、いわゆる「サンキュッキュ」になったタイミングで一気に普及していくんです。

そう考えると、遊ぶのに2,000ドルもかかる状況で400万台も普及しているんだから、ハードウェア普及の歴史から見るとすごい期待値をもっていいと思っています。

多田金銭的な負担もそうですが、いまのVRハードウェアはセッティングが難しすぎますよ。機械になれた男性でも正しくセットできるか相当怪しい。

國光ドローンを分解して組み立てるくらいの難しさでしょうね (笑)。設置場所も取るし、頭部のコードもかぶったときに邪魔です。

逆に言うと、VRハードウェアメーカーがやらないといけないことは全社わかっていて、とにかく頭上に「パカッ」とはめたらそのまますぐに遊び始められるスタンドアローン型を、500ドル以下の価格で発売することなんです。

実際、マイクロソフトのMR端末が399ドル、HTCのVive Focusは700ドル切っているし、Oculus Goは199ドルと極端な価格帯まで落ちてきました。

この1年半から2年の間のハードウェア側の進化はすさまじいし、2017年の末から2018年の頭にかけて、500ドル、400ドルを切る商品が出たら一気に普及台数が増えていくはず。

ただ、Oculus GoもVive Focusもコントローラが片手だけ、マイクロソフトのMR端末は操作するときにPCが必須。HTC Viveのようなクオリティがある端末で500ドルを切る両手コントローラの商品は、2018年末から2019年の頭にかけて各社のものが出揃うはずです。その瞬間に一気にVR市場自体が立ち上がってくると私は読んでいます。

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歴史が証明する「1つのキラーコンテンツ」の破壊力

その理由はなんでしょうか?

國光適正なハードウェアとキラーコンテンツが1本あればゲームのマーケットって立ち上がるんですよ。スマホも今でこそゲーム端末として見てもらえるけど、最初はみんな「誰がスマホでゲームするんだよ?」って感じだったんです。

でもパズドラ(パズル&ドラゴンズ)が出た瞬間に“ドーン!”と莫大な市場が産まれた。Nintendo Switchも「特別買う理由がないかな」って多くの人が言っていたけど、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」が出たらみんなそれをやりたくてハードウェアも一緒に買ったでしょう?

その後に「スプラトゥーン2」と「スーパーマリオ オデッセイ」というヒット作も続いたことで一気にNintendo Switch自体が普及期に入りました。

多田私もゼルダの伝説がプレイしたくてNintendo Switchを買った1人です(笑)。たしかに発売当初は「今は買わなくてもいいか」と思っていましたね。

國光任天堂の場合1社だけががんばってソフトを作っていますが、VRはグローバルなデベロッパーが競ってソフトを作っている。そのおかげでコンテンツも最初から世界中の人達に提供できるわけだから、大ヒットゲームのうちの一本でもgumiが作ったものになれば最高だな、と思っています。

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「まずは駅から」という賃貸の探し方も変えられる

國光一方でナーブのようなライフスタイル系のサービスは、簡単に装着して一体型でしかも199ドルくらいのOculus GOのようなものが普及したら追い風ですよね。

多田おっしゃる通りです。

でも、ナーブのようなライフスタイル系のサービスのためにデバイスを買う人はまずいないことは歴史が証明しているので、まずはゲームを始めとしたエンターテイメントに市場を牽引してもらって、そのデバイスを使ってナーブのサービスを体験してもらえれば嬉しいなと考えています。

だから今はナーブとしては、将来のためにコンテンツを貯めている段階です。「VR内見™」という物件をVRで内見できるサービスの物件情報登録数は、遂に150万物件にまで到達しました。

國光150万って、ポケモンGOで日本に存在するポケストップ(ゲーム内に存在する施設)と同じくらいの数だからものすごい数です(笑)。不動産屋にどうやってVRのサービスとハードウェアを普及させたんですか?

多田「VR内見™」はその名の通り部屋の内見をVRで体験できるというサービスなんですが、(不動産業界の)営業マンの業務効率を改善できるメリットがあるため、「今までやっていた業務を40%削減できる便利なツールです」という打ち出しのもと、“営業支援ツール”として紹介してまいりました。

使ってくれている企業や営業マンにとっては「VRを使っている」という意識もないかもしれません。

例えば、ナーブの撮影アプリで撮影すると、そこに写り込んだ自分の姿も消せるし、車のナンバープレートにモザイクをいれることも簡単にできて、さらにはGPSを活用して物件照合も楽にできます。

ワンタッチ・ワンクリックをどれだけ減らせるか?を徹底追求して使いやすさにこだわった結果、ときには1日に10件近くの撮影をしなければならない不動産に関わる人々にとって、喜ばれるソリューションに仕上りました。

「VR内見™」を導入することによって実際に契約確率もあがるんですか?

多田内見に行く移動時間の削減にもなるし、VRで内見したあとに良さそうだった物件に絞ってしっかり(実際に)内見できるため、一般的に5~6割の成約率と言われているところ、「VR内見™」使うと8割くらいに高まる、というデータが出ています。

物件を探している人達にとっても「まずどの駅・どのエリアで探すか決めなければならない」という制約から解放されるというメリットがあります。

例えば職場から1時間以内の物件を探しているとすると、東西南北に色んな居住エリア・最寄り駅が候補になるわけですが、「離れたエリアの物件をいくつも見たい」と言われてしまうと、不動産屋さんからすると1人のお客様を1日中内見案内しないとなりません。

だから「まずはどの駅、どのエリアにするか絞りましょう」という話をするのが物件案内の通例だったんです。でも「VR内見™」を使えば内見したい物件間の移動時間は不要になる。お客様としても内見にかかる時間が減らせるし、不動産屋さんにとっても幅広いエリアから適切な不動産を紹介できるから、結果的に成約率も顧客サービスも上がるという仕組みです。

國光不動産領域のサービスの場合、結果的にBtoBtoCのような構図になるから、企業にも一般ユーザーにも喜んでもらえることがサービス普及にとって不可欠です。「VR内見™」はその両者をうまく掴んだサービスになっていますよね。

不動産領域以外で、世界のBtoB市場でのVR活用事例にはどのようなものがありますか?

國光教育や研修のシミュレーションへの活用は普及していますよね。従業員トレーニングはウォルマートやケンタッキー(KFCコーポレーション)でも導入されています。

コンビニやファストフード、ホテル・レストランのような接客が重要な業界でも人手不足が深刻な問題ですが、大量の新人への指導は避けられない。そんなときVRを活用すれば教育コストを削減できます。

その他にも、医療業界での手術の研修であったり、旅行代理店が販促に活用したりといった事例が少しずつ増えてきているようです。

多田確かに世界では大手企業の導入事例は増えていますけど、日本ではあまり見かけないですね。

國光企業文化の違いが大きいのかもしれません。海外では最新技術を大手企業がリードして導入し、その事例が広まって一気に普及していくことも多いですが、日本ではVR分野でも導入に慎重な企業が多いですよね。

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内見、旅行、中古車。「VRがなくては困る」領域を増やす

ToB領域のVRプラットフォーマーを目指すナーブとしては、どのようにVRの企業への普及を図るつもりでしょうか?

多田とにかく“キラーコンテンツ”が必要だと思っています。

「VR内見™」の場合だと、全国に不動産屋は15万件あるんですけど、15万件すべて回って「導入していいよ」という返事を貰おうと思ったら時間がかかりすぎる。

業界として普及させていくには、「導入して当たり前」というレベルのキラーコンテンツ、キラーサービスにまで昇華させる必要があるということです。

今SUUMOとか(LIFULL)HOME'Sに間取り図なしで物件が掲載されていたら、見る気なくなるじゃないですか。「VR内見™」を活用して“VRで内見する”という現象もそれと同じレベルの「できて当たり前」のものにしていきたいと思っています。

実際、今150万件の物件データを1,000万件にできれば、日本中の物件のほとんどを掲載できるんです。

それと昨年末(2017年末)に、リビングスタイル社との事業提携によって100万点以上の膨大な家具データベースを保有し、家具データをVR空間の中に設置して、家具を配置した状態をシミュレーションできる機能もリリースしたんですが、このサービスの導入社数がものすごい勢いで伸びているんです。

多田物件を探す時に「この部屋はどんなインテリアが似合うか、デッドスペースに見えてしまう部分をどう有効に活用すれば良いのか」ということがイメージしづらかったのですが、生活感がイメージしやすくなったことで成約率も向上させつつ、物件の魅力を最大限引き出し、借りる側にとっても家を探す体験価値を向上させることができた。

ナーブの場合は「VR内見™」や、これからIDOM社と提携して本格稼働させていく「中古車への試乗をVRで体験できるサービス」がメインですが、gumiのようなコンテンツ・ゲームプロバイダーの力も借りて、一般人が「VRはあったほうが絶対便利だ、ないと困る」という認識をもってくれるような“キラーコンテンツ”、“キラーサービス”を体験できる環境させ整えば、ToC領域でもVRマーケットは急成長していくはずです。

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VR普及、最後のカギは「子ども」

VR Zoneのような女性もターゲットにした体験型アトラクション施設も流行しています。これからVRを普及させていく上で抑えておくべき要素には何があるでしょうか?

國光確実に意識しておくべきなのは“子ども”です。

gumiは韓国でもVRへの投資事業を行っていますが、韓国ではゲームセンターや大型ショッピングモールにVRアトラクションが設置されていることも多く、子どもの利用者が断然多いんです。そして想像に難くないと思いますが、子どもがゲームプレイしていると、親も目を離せないから、必然的にそのゲームやアトラクションに触れることにもつながる。

日本でもゲームセンターにVRゲームが設置され始めたから、ゲームに触れる子どもが増えていけば、VRゲームマーケットは一気に普及するでしょうね。

多田これからVRエンタメ領域が伸び盛りで、“キラーコンテンツ”が切望される中で、gumiはこれまでのガラケーやスマホのようにコンテンツを作っていかないのですか?

國光もちろん作っていきます。これまでは東京、韓国、ヘルシンキの3箇所でのインキュベーション事業と、VRファンドからの投資が中心でしたが、実は既に世界展開を狙えるゲーム開発を進めているんです。

國光世界各国で流行してきたゲームの歴史を研究した結果、日本や韓国では多人数参加型のRPG、アメリカではファーストパーソン・シューティングゲーム、ヨーロッパではMinecraftのようなUGCゲーム。この3ジャンルが地域ごとに一番人気が出るゲームなんだということがわかってきた。

この3つさえあれば世界を押さえられるので、いまは今年の年末から始まる“VR大爆発”に備えて、各国拠点でゲーム開発を急いでいるところです。

こちらの記事は2018年02月06日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

松本 玲子

写真

藤田 慎一郎

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