連載エースと呼ばれた20代の正体──若手のノウハウ大全

“腹落ち”こそがハイパフォーマンスを生む──リンケージ樫本氏の“エースたる所以”

登壇者
樫本 悠佑

2021年9月インターンにて当社へ入社。COO夏目直下にてメンタルウェルネスサービス「Rasika」(2021年8月リリース)のCS担当として、新規事業のCS立ち上げを担う。2022年4月23卒新卒としてリンケージへ入社。カスタマーサクセスにおいてお客様の信頼を勝ち取り多くの企業様で契約継続を獲得。また、プロダクトの機能・デザイン改修などのプロダクト開発や営業も兼務。現在、「Rasika」サービスにおけるBiz全般の業務を推進する立場として、たった1年にして、5年目の中途社員と遜色ない働きぶりで事業に貢献。

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会社のなかでひときわ活躍している社員がいる。群を抜いて優秀な社員がいる。そんな“エース”と呼ばれる人間は、いかにしてエースになったのだろうか──。

20代エースの正体に迫る連載企画「突撃エース」の内容を元に、本記事ではそのエースたる所以を考察した。

第19回は、リンケージの樫本悠佑氏。2022年4月に新卒入社したばかりのルーキーだ。すでに責任のある立場で活躍中の樫本氏。その言葉の端々から感じられるのは、自分の“意思”や“感情”を何よりも大切にし、それでいて常に自分の存在を俯瞰して見ることの大切さだ。樫本氏のエースたる所以について、迫ってみよう。

  • TEXT BY WAKANA UOKA
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新卒1年目でプロダクトマネジメントとCSを兼務

樫本氏は1年前の6月に内定を受け、内定者インターンを開始。インターン生でありながら同社の取締役COO 夏目萌氏のもと、新規事業の立ち上げに携わった。

その経験を活かし、入社後はメンタルウェルネスサービス『Rasika(ラシカ)』のカスタマーサクセス(以下、CS)とプロダクトマネジメント(開発ディレクション)を兼務。新卒1年目でありながら既に社内でも大きな存在感を放っている。

リンケージは、2011年に創業。現在50名ほどのメンバーを抱えるスタートアップだ。樫本氏曰く、“まだカオスな部分が残っている”フェーズだ。

樫本リンケージは、“できる限り多くの人が最後まで自分らしく健康に生きられる社会”を実現するため、予防医療をはじめとしたヘルスケア事業を展開しています。健康意識の低い人も含め、健康に対する意識や行動をいかにして変容させていくのかについて、テクノロジーや人との繋がりで解決を図っている会社です。

樫本氏がリンケージに入社を決めた理由、それは「事業領域に興味があった」からだ。

樫本私が入社を決めた理由は大きく二つあります。

まず何よりも事業領域。事業内容が顧客や社会に対して確かな価値を提供できているのか。そして、その事業内容に自分が腹落ちできているかを重要視していました。

2点目は、成長環境。私はこれまでビジネス経験が少なく、長期インターンも経験していませんでした。そこで、直接関わる上司や経営者がどのような考えをもった方なのかこそが重要だと考えました。

リンケージの先輩たちは、面接やインターンを通して、事業成長と併せて“メンバーの成長”にも本気で注力していることが伝わりました。

あと、これは完全に主観なんですが、単純に“いい人”が多いですね(笑)。この人たちと働きたいと心の底から思えました。

リンケージは50名ほどのメンバーで、樫本氏が在籍する『Rasika(ラシカ)』以外にも、法人向け女性ヘルスケアサービス『FEMCLE(フェムクル)』や、オンライン糖尿病重症化予防プログラムなど、多種多様な9個のサービスやプログラムを運営している。そのため社内には医師や保健師など、医療バックグラウンドを持つメンバーも多数在籍している。

そんな医療業界のプロフェッショナルも集う環境で、新卒として大きな存在感を示す樫本氏の仕事術とはいかに。次章から早速見ていこう。

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自分の気持ちに素直に向き合い、気持ちを偽らざるべし

樫本氏が、仕事の流儀としてまず挙げたのは「自分の気持ちに素直に向き合い、気持ちを偽らざるべし」だ。具体的なエピソードとして、樫本氏は次のように語る。

樫本例えば、上司とは違う意見を持っていても、どうしても経験の差から「上司の言っていることが正しく、自分の意見は正しくない」と考えてしまいがちだと思います。私もまさにそうで、初めは遠慮してしまい意見を出さないことが多かったんです。

上司の意見に従うことでうまくいけばいいのですが、うまくいかなったとき、どうしても「自分は本当はこう思っていたのに」といった感情に苛まれてしまう。それは、組織としても、個人の成長にとっても良くないことだと思っています。

これはキャリア選択においても通じていて「本当はスタートアップに行きたいけど、大手にしておこう」と選んでしまうと、あとあと仕事でしんどいことがあるたびに「本当はスタートアップに行きたかったのにな」という想いがよぎってしまうことでしょう。

キャリア選択においても、仕事においても、自分の気持ちに向き合い、“自分はどう考えているのか”を大切にして発言したり意思決定をしていったりすることが重要だと考えています。

樫本氏がこう思うように至った背景には、2度経験している就職活動がある。1回目の就職活動を途中でやめ、休学期間を挟んだという樫本氏。当時のことを次のように振り返る。

樫本当時はコンサルティングファームや大企業など、周りの人も受けているような企業、一般的に“すごい”と評価されそうな企業を、あまり深く考えずに受けていたんです。

そのため、志望動機も、本当は全くもって思ってもいないことを話しているなという感覚があり、そんな自分に嫌気が差してきてしまいました。そうして徐々に就活自体へのモチベーションが下がっていき、精神的にも不安定になっていきました。

心機一転、休学を決意してからは、日々、起業家の話を聞きに行ったり、小さな事業を実際に自分で作ってみたり、知らない分野のことを本を読んで学んだりと新しい経験を重ねました。合わせて、その度に日記として自分の気持ちを毎日書き出してみました。

すると、いくら失敗を重ねても、「自分の気持ちに従って意思決定や行動ができていること」が自分にとって一番心理的な満足度が高い状態だと気づけたんです。

性格的にも「少しでも違和感やモヤモヤが心にある状態が好きじゃない。腹落ちしているかどうかで自分のパフォーマンスも変わる」タイプだという樫本氏。時には、誰かが決めた「社会とはこういうものだ」という“不条理”に思い悩むこともあっただろう。

しかし、決してその責任を他人に押し付けることなく、自身で内省を重ね、そして時には友人や同僚の助けを借りることができたからこそ今の樫本氏があるのだ。

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自走自立し、自分で考え調べ動くべし

次に樫本氏が述べたのは、「自走自立し、自分で考え、調べ、動くべし」だ。

樫本どんな仕事でも、まずは目標を設定し、その目標を達成するために何をすべきなのか考え、必要な準備やリサーチをするといった“プロセス”は同じだと思います。

そこで大切になってくるのが、“自分で舵を取る”こと。つまり、自分が起点となってそれらを推進していくことです。弊社は全体でも50人、そして僕の事業部はまだ2〜3人のメンバーで仕事をしています。そのため一人ひとりの裁量は大きい。これは裏を返すと、仕事を細かく教えてもらえるような受け身でいられる環境ではない、ということを意味します。

常に自分がどんな目標を追い求めているのか、そのためにはどんな情報が必要なのか、それらを全て自分で考えて、そして調べ尽くして動く必要があるんです。

入社当時、CSの立ち上げをしていたころが「1番自走せざるを得なかった」時期だと樫本氏は語る。そもそもCSが何をする仕事なのかすら明確にはわかっていなかったのだという。そこで、まず樫本氏は企業が抱えているメンタルヘルスに関する課題、そしてそれらを解決するために必要な医学的知識を社内外を問わず聞き続けた。

スタートアップでは“とりあえず行動することが良し”とされる風潮も一部見受けられる中、樫本氏が強調したのが、「“とりあえず行動”、ももちろん大事だが、考えてから動くことが差別化に繋がる」ということだ。

樫本もちろん、「とりあえず行動」の捉え方は人によって異なると思いますが、僕は行動する前にある程度わかることだけでも把握し考えておくことが重要だと思っています。行動する前から、自分なりの仮説を持っておくだけでも、その行動の結果から得られる成果に差が出ることが多くあるからです。

特にスタートアップは人も時間もリソースに限りがありますから、今何のタスクをやることが事業に大きなインパクトを与えられるのかを考え、重要度を判断した上で取り掛かるべきだと思うんです。

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事業組織プロジェクト全体を俯瞰して仕事を作る

最後に、樫本氏がノウハウとして紹介してくれたのが、「事業、組織、プロジェクト、全体を俯瞰して仕事を作る」だ。この「仕事を作る」には2つの意味合いがある。

樫本事業や組織全体を見たとき、例えば上司の仕事の領域が広がっていくことで、だんだん手が回らなくなっている部分があると思うんです。そうした仕事を先回りして巻き取り、自分の新たな仕事を作るというのが1つ目です。

2つ目は文字通り「新しく作る」で、自分がそれまでやっていた業務から派生して、徐々に他の仕事を兼務するようになっていく中で、自分のリソースが足りなくなっていくことも多いかと思います。そんな時、誰かに指示されてから動くのではなく、自ら業務フローの仕組みを作ったり、効率化を図ったりして、ゆくゆく他の人に引き継ぐ時に、後任者が同じ轍を踏まないような工夫をしていました。

「自分はできるけど、他の人はまったくできない」。そんな状態を回避する、つまり属人化を防ぐのは、急成長とともにメンバーの立場も、そして組織図も目まぐるしく変化するスタートアップだからこそ重要なことだと言える。

インターン時代にCSを立ち上げ、1年が経過した今、「医療領域への知識もついてきて、顧客にとって真に価値のある事業とは何かを考えられるようになってきた」と語る樫本氏。最後に、今後の展望について、次のように語ってくれた。

樫本まずはリンケージのミッションにもある通り、人の生活に寄与し、健康意識を高められるようなプロダクトを作り続けたい。そしてなおかつそれをしっかりと社会に広げていけるような存在になりたいです。

今リンケージがやっている事業の、本来持つポテンシャルを考えると、まだまだ社会や顧客に与えられている価値も、そして足元の数字的な部分でも、不十分だと思っています。自分がそうであったように「自分らしく生きていく」ことが当たり前に受け入れられる社会を実現するための土台を作りたいですね。

また、長期的には、「一緒に働きたい」と思ってもらえる人になりたいです。自分がリンケージに入社した理由もそうであったように、組織やメンバーにいい影響を与えることで、さらに一緒に働きたいと思ってもらえるような人に自分もなりたいと考えています。

こちらの記事は2022年10月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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