大見 周平
株式会社Chompy
代表取締役東大法学部を卒業後、2012年4月にDeNA新卒入社。入社後2年間は韓国ゲーム事業に従事し、1年弱のソウルオフィス赴任を挟みつつ、現地マーケティングチームの立ち上げ・新規ゲーム開発を担当。2014年4月から新規事業部署に異動となり、自動車領域・個人間カーシェアへの投資決定を推進し、Anyca(エニカ)の事業責任者を務める。2017年9月、子会社の株式会社DeNAトラベル代表取締役社長に就任。2018年5月、DeNAトラベルの売却を実施。2019年5月にDeNAを退職し、2019年6月に Syn, Inc. を創業。
どんな素養を持った人が、プロダクトマネージャーに向いているのでしょうか?
ご自身のバイブルとなっているような、何度も読み返す書籍はありますか?
書籍じゃないのですが、『キングダム』はめっちゃ読んでます(笑)。信みたいなリーダーにはなれないのですが憧れるというのと、飛信隊みたいな真っ直ぐなチームでいたいなって感じさせてくれるので。
『インターネット激動の1000日』も何回か読んでいますね。モザイクっていうブラウザが生まれた瞬間・IEに駆逐される瞬間を描いた本なのですが、当時のインターネットの普及度と今の普及度を比較するとインターネットとかソフトウェアの無限の可能性を感じられてワクワクします。
司馬遼太郎の本も好きで『燃えよ剣』も何回か読み直してます。そこで描かれている土方歳三の生き様がかっこよすぎて、「もっと強く生きなければ」って思わせてくれます。
大見 周平氏の回答
もっともグロースに貢献した施策は何ですか?
Chompyでっていう意味でいうと、個別の施策っていう感じではないのですが、「EC×ソーシャル」の領域はめちゃ可能性あるなと感じてます。 友だち招待キャンペーンみたいな「このサービス良いよ〜・使ってるよ〜」っていうサービスブランドの拡散っていうのもあるのですが、プロダクトUX自体がソーシャルな設計になってるようなものが楽しいなぁと。Chompyの集客のほぼ全てがSNSの口コミですし、グループでの購入機能を色々試してる所で、楽しみな所です。
あと、Chompyをメディアとして捉えた時の動画のポテンシャルもすごい期待してます。短尺動画機能をプロダクトに盛り込んだばかりなので数値的な成果にはつながってないのですが、「食」と動画ってめちゃくちゃ相性良いと思ってるので、キラーUXになるのではと期待してます。隙間時間に暇つぶしついでに短尺動画を見つつその日のランチを決める、そんなUXあったら楽しそうだなと。
大見 周平氏の回答
プロダクト開発や事業づくりにおける「失敗」を教えてください。また、その経験から得られた学び、もしくは今だったらどう回避するかなども教えていただけると幸いです。
過去にめちゃくちゃ色んな失敗をして来たのですが(苦笑)、プロダクトの「Why」と人/組織の部分が特に大事だと思うのですが、特に大事だと思う「Why」について触れようかなと思います。
プロダクトの「Why」、つまり「なんでそのプロダクトを作るのか?意義は?なんで我々がやるべきなんだっけ?」っていうポイントが未定義ないしはブレるのは長い目で見て非常に大きなリスクが伴うと感じています。プロダクトは事業を成立させるためのツール、事業も世の中を良くするツールとして捉えた時に、「世の中をどう良くしたいんだっけ」が定まってないのって目的と手段が逆転しちゃっていて、得てしてそういう状況って短期的な成功はあり得ても長期的な成功は無いと思ってるんです。 この観点で言うと、Anycaっていう個人間カーシェアプロダクトの立ち上げの時は反省点が大きいです。自分で新規事業/アプリプロダクトを立ち上げるのが最初だったというのもあり、「どんなプロダクトなら流行るか?」っていう観点のみで事業領域やプロダクト案を決めてしまった所がやっぱりあったなと思うんです。ここの漏れが、長い目で見た時の自分のエネルギー量やメンバーとの向き合い方に悪い影響を与えたなぁと感じています。
大見 周平氏の回答
プロダクトマネージャーとして意識していることや「哲学」はありますか?
直近の #pmconf2020 でもお話させていただいたのですが、機能価値と感情価値の両側面をプロダクトに反映する点を大切にしています。
■登壇資料:
https://speakerdeck.com/shuheeeeei/anycatochompydexue-nda-gan-qing-falsexi-ifang-number-pmconf2020
インターネットやソフトウェア技術ってすごい勢いで世の中を変えて便利にして来てると思うのですが、それで結局自分たちって幸せになれてるんだっけ?っていうのが今後もっと問われるべきと思ってるんです。いくら便利な世の中になったとしても短期的/刹那的な幸せしか提供できない気がしていて、本質的には人とのつながりや誰かに貢献できているかって感じれるかが大事と思うので、機能的な価値のみならず感情的な価値をプロダクトやUXに埋め込むことができるかが大事だと思ってます(この辺は当社SYNの会社のビジョンでもあります)。
プロダクト関連の施策決めについても上記思想は反映して行きたいと思っていて、定量的/合理的に判断すべき領域と、定性的/感情的に判断すべき領域をうまく共存させられるかは気にしています。そもそものチームメンバーの構成、日々の論点の出し方や意思決定の軸など、プロダクト開発にまつわる各要素を上記考え方で設計するようにも心がけてます。
大見 周平氏の回答
創業前にすでにUber Eatsも伸びていたと思うのですが、事業アイデアや構想が「イケる」と思った瞬間はいつですか?
「イケる!」みたいな感覚とはちょっと違うかもですが、1消費者として満たされてないニーズがあって、それの解決方法が既存サービスが積み上げたものを活用する先にあるのでは?と思えたのが大きかったです。
詳しくはこちらのnoteを読んでいただくと嬉しいのですが、私自身が結婚/出産の過程で日常の食生活に悩む機会が多かったし、似たような悩みを持つ人/世帯が老若男女・全国津々浦々いるんだろうなと確信できました。その悩みを解決する方法として、「EC×ラストワンマイルデリバリー」のフォーマットは、コンビニのような存在感を見せると思ったんです(しかももっとインターネットらしい形で)。 ただ、既存のデリバリーサービスを使う中でそういう未来に近付ける感覚を持てなかったので「じゃあ自分で作るか」という感じで決心しました。
1消費者としての課題感・プロダクトの「Why」と、既存の解決方法(=サービス)と、「日常のライフスタイル/食生活の変化」「食のEC化」「ECプラットフォームの進化」「流通モデルの変化」みたいな解決方法の進化の方向性がつながった時に「イケるかも?」と思いました。
大見 周平氏の回答
Chompyはユーザー・飲食店・配達員と3つアプリがあると思うのですが、マーケットの流れが早い中でそれぞれをどのようにうまくバランス取りながら施策や開発の優先順位をつくっているのでしょうか?
実際すごい難しくて日々悩んでいる所なのですが、施策を整理する前提として以下のような概念で目標管理してます。
- 中期目標:Chompyで実現したい世界から逆算した3年後ぐらいのゴールイメージ
- 資金調達マイルストン:足元の状況/中期目標を踏まえた次回調達時に実現すべき状態
- 四半期OKR:3ヶ月間で具体的に実現すべきKPI
1の話:
市況の変化も激しく中期目標やそれを実現するアプローチもガラガラ変わってるフェーズでもあるのですが、四半期ぐらい施策を打ち込まないと大きな仮説検証はできないと思ってます。なので、四半期のOKRをアップデートするタイミングで、投資家やメンバーと議論しつつ必要があれば中期目標についてもアップデートするっていう感じです。
2の話:
中期の抽象度の高い目標から逆算した次の資金調達マイルストンを経営陣で定義していて、「そのマイルストンをヒットするためには〇〇が重要だよね」っていう大事な論点をクリアにしていって、、、という感じで個別具体のOKRに落とし込んでいます。
3の話:
今は四半期毎の各アプリ関連のOKRを全社横断で議論/決定して、それに従って日々の施策/開発の意思決定と実行をしています。当然、スタートアップにとって四半期は凄く長い期間ではあるので、期中に新しい施策の差し込みや各施策の優先度の見直しなどは柔軟に行ってます。
1~3は割と形式的な話ですが、本質的にはプロダクトとしてブラさない世界観やコアな価値についての共通認識を持つことと、日々のコミュニケーションの量と質が大事と思っています。またそれを支える、メンバー同士の関係性/信頼関係や、社風/カルチャーが大事と思って採用を工夫したりしています。
大見 周平氏の回答
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