連載HACKの瞬間
学生が3日間で、いくらの事業投資を受けられるか?──19名の未来の事業家と若手事業家5名による、3日間72時間軌跡
【CROOZ INTERNSHIP“HACK”イベントレポート】
「ビジネスの最前線で大活躍している若手起業家・事業家のすぐそばでビジネスを学べるこの72時間。1分1秒無駄にせず学べるものをとことん吸収してほしい。そして、ここにいる19名がこれから若手事業家として日本社会を変える存在になってほしい。このインターンシップはそのターニングポイントだ。」そんな言葉からCROOZ INTERNSHIP【HACK】は幕を開けた。
募集期間はわずか1か月足らずであったが、総エントリー数約3,000名の中から学生起業を経験し事業グロースに悩んでいる学生や、高校生から長期インターンを始め大学1年生ながらインターン挑戦への門を叩いた学生、これまで何度もビジコンで受賞経験を積みながらもさらに上を目指そうと野心に溢れた学生など、これまでの経験はそれぞれだが、ただ1つ共通する「事業を創り、時代を牽引していく人材になりたい」そんな一心で19名の未来を担う若手事業家の卵たちが集結した。
詳細は本インターンシップ起案者のインタビュー記事に譲るが、このインターンシップ【HACK】は他の会社でよくある採用直結であるとか、ただ業務体験、業界を知るといった就活市場にありふれたインターンシップとは一線を画す。
なぜならばこのインターンシップは「採用」が目的ではなく、「未来の若手起業家・事業家を生み出す」ことが目的だからだ。その思いはインターンシップ本番の設計にも随所に込められていた。
・事業立案のテーマやビジネスモデルの制限は一切なし。
・ワーク時間の指定はない。各チーム3日間の間、何時に始めてもいいし、何時に終わってもいい。
・最優秀チームは事業立案インターンシップでよくある評価「新規性」や「将来性」のような評価の点数では決まらない。最終審査員がいくらその事業に投資したいと思えるか、その投資金額の合計で決まる。もちろん0もあり得る。
といったようにビジネス現場さながらの設計でこのインターンシップは3日間計72時間行われた。
「自分たちは何のために事業をやるのか」
MVVの策定に悩む24時間-Day1
「事業領域とビジネスモデルは自由」、目指すは「3年後に年間売上10億円以上、5年目に黒字化をするビジネス」。そういったテーマのもと、事業立案はスタートした。
「誰のどんな課題をどのように解決するのか」。
各チームにそれぞれチームごとにポストイットを何枚も何枚も書いてはホワイトボードに貼って休憩時間を忘れるほど、議論を熱中させながら事業立案に取り組んだ。あるチームは、メンバーそれぞれが日常で抱える課題を一人100個出しあった。
そんな中、事業立案を進める中で全てのチームが誰に教わるまでもなく、まず考え始めたのが「MVV(Mission、Vision、Value)」であった。それぞれのこれまでの実体験を話したり、自己開示しながら、「自分たちのチームは何のために存在し、何を実現するために事業・サービスをツクルのか」。お互い話し合い、さらけ出しながらチーム内で共通言語をとっていき、それをそのまま意思決定の基準としていた。
「周りに止められてもやりたいくらいならやりな。
そうじゃないと絶対に失敗する。」‐Day2
事業立案ワークを引き続きおこなわれる中、2日目にはスペシャルコンテンツとして「5社CEOパネルディスカッション」が行われた。今回参加した学生から集めた100個以上の質問の中から選りすぐりながら、時間の許す限り、ビジネスの先頭を行く若手事業家・起業家の5名に“ここでしか聞けない”貴重な話をしていただいた。ここではその中でも印象的であったシーンを抜粋してお伝えしたい。
Q.なぜ就職ではなく起業?起業ではなく就職?
今回、この【HACK】に集まった若手起業家・事業家には、学生時代に起業をした3名(小川氏、駒下氏、中嶋氏)と、ファーストキャリアでは就職を選びその後起業をした大見氏、その後子会社代表を務める工藤氏と、ファーストキャリアはそれぞれ異なる。
なぜ起業をしたのか?なぜ就職をしたのか?そして、その境にあるものは何か?そういったことをそれぞれお話いただいた。
駒下氏/株式会社ラブグラフCEO 対談記事
僕が起業に踏み切ったのは、自分がやらずに誰がやるのか?ほかのどんな人がやるよりも、自分がより良いものを作れる。そう思ったからです。あとは、仮に20歳から起業して3年間やって23歳で失敗だったしても、他の同世代の23歳と比べたら絶対に自分の方が面白い。そう思ったらやらない理由がなかった。
小川氏/株式会社タイミーCEO 対談記事
高校生のころから起業を志していました。大学では立教大学に入り、そこでキャリアに悩む日々を過ごしていました。最初は、リクルートに入って3年働いてそこで優秀な人と起業しよう、と考えていました。なので皆さんと同じように今回のようなインターン(当時のクルーズ株式会社主催の「XYZ」にも参加)に参加したり、リクルートで長期インターンをしたりしていました。
そのあと、学生のうちに一度起業をして、紆余曲折もあったんですが資金調達のタイミングで起業をすることを選びました。ただ僕が言いたいこととしては、就職出来る選択肢も持っておいて欲しい、ということ。内定をもらったとしても、その切符を蹴ってでも起業しようと思うくらいの熱量をもってやらないと(起業家としての活動は)続きません。
大見氏/株式会社Chompy CEO 対談記事
父の知り合いであるディー・エヌ・エー南場さんを紹介してもらい、カバン持ちをしていました。南場さんがUSAの投資家と対等に話している姿をかっこいいと思いました。そしてミーティングに参加させてもらった時にディー・エヌ・エーで働いている人全員の目に魂がこもっていた。事業に対してここまで熱量もって目をぎらつかせている人はいなくて、それがかっこいいと思ったのが就職の決め手でした。
Q.自ら事業を牽引する中でワクワクすることは?醍醐味は?
駒下氏/株式会社ラブグラフCEO
『人』と『事業』という観点でそれぞれあって。まず『人』という点では、「自分がいいと思った人と一緒に働けること」に限りますね。そして、『事業』という点では、自分のことを知らない人が、自分のサービスを使っていることで、その人が幸せになっていることが素敵だなと思っています。それって自分が生まれる前と後で何かが変わっている証拠で、自分が事業をやっている意味を実感できる瞬間ですね。
工藤氏/CROOZ EC Partners株式会社CEO 対談記事
お客さんに感謝されたり、それが結果として社会のためになってるというのは大前提な話ですが、会社で売上が立った時って、請求書を作るじゃないですか?僕はあの瞬間が好きです。
というのも請求書を作成するってのは自分たちの提供している価値がお金に変わる瞬間でもあり、そこに金額を記載していく時に、実感が湧きます。そういった「事業を考える→サービス創る→営業する→開発/納品する→お金をいただく」この一連の価値提供の流れがすごく面白いし、ワクワクすることですね。
中嶋氏/株式会社ROXX CEO 対談記事
僕は前提として、コンフォートフォートゾーンにいることが嫌な人間なので、あまりワクワクといったことは少なくて基本満足できないことばかり。ただ、日本に今ないものを創ってそれを広げていくことは楽しいし、社員が成長して売上や事業が伸びるのは楽しい。でも、ちょっとやそっとでは追いつけない人が近くにいることが僕にとってはもっと刺激のあることで、比べる相手が高いレベルの方が、プレッシャー掛かるし、だからやるしかないと思える。
世の中で、物事に死ぬ気で取り組んでいる人は1%くらいしかいないと思っていて、それ以外の人と一緒にいても正直楽しくない。みんなのまだ知らないところには、世の中のために死ぬ気で働いている経営者がたくさんいて、僕はそれがかっこいいと思っているし、苦しいこともたくさんあるけど、それを乗り越えられるくらいとことんやってやってやりまくるのが楽しいんです。
Q.わたしのありたい姿は「誇れる人」。経済的にも精神的にも、人間的にも充実している状態になりたい。女性がそんな経営者・役員などになるために、どうすればいいか?
小川氏/株式会社タイミーCEO
役員であろうがマネージャーであろうが、ポジションなんてものはどうでもいい。それよりも本当に成長したいのなら、厳しいフィードバックをもらえる環境に居続けることのほうが重要です。
中嶋氏/株式会社ROXX CEO
目先のやりたいことに左右されなくていいのではないでしょうか?30歳くらいで目標設定するから選択肢に迷う。20代で軍資金集めて、30、40代で働く、50代でより爆発させる、60代以降で本当にやりたいことに挑戦する。みたいな感じでもっと長い時間軸でやりたいこと見つけたり、目標設定するといいのではないでしょうか。人生は長く、80歳~100歳まで生きるのだから、焦らなくていいし、焦っていいことはないと思っています。
当初は1時間30分ほどの予定していたこのパネルディスカッションであったが、気づけばあっという間に2時間以上に及ぶ“ここでしか聞けない”貴重な時間となった。
そして、学生一人一人の目が確かに“ギラつき”に変わったのが明らかだった。
気づけば夜が明けていた。3日間の集大成。最終プレゼン発表
誰に言われるでもない。事業を構想し始めて2日目、3日目となるにつれて、どんどん議論は熱を帯びていき、事業をツクルことにとことん夢中になって気づけば夜が明け、最終日を迎えていた。
最終プレゼンには、それまで3日間本業もありながらフルコミットでメンターを務めた5名がメンターという立場ではなく、投資家という立場で審査員を務め、そしてクルーズ株式会社代表取締役社長 小渕氏も最終審査員として参加。計6名で最終プレゼンを審査した。最終プレゼン中、審査員から飛び出す鋭い指摘に学生は一歩も引かずそれに応えた。
最終プレゼンの最後には審査員一人一人から総評をいただいた。
大見氏表面上のパッションはどのチームもあったけど、そのパッションをそのままで終わらせるんじゃなくて、そこから本当に深掘り続けたチームが今回は勝った。実際の起業をして事業をやっていく中でもそれが重要だ。
工藤氏ここまで夜通しで事業とかビジネスについて考え込んだってのは本当にいい経験をしていると思う。大事なのはここから何を学ぶかです。
駒下氏今回、それぞれのチームがこういう社会を実現したいと言っていたけど、フィードバックとしてボコボコにされたと思う。それを1週間続けられるか。1年間続けられるか。この熱量があることが重要で、ある人が起業する。この経験を生かして今後の自身の選択肢を選んでいってください。
中嶋氏本当の起業の難しさを疑似体験できたのではないかと思います。このプレッシャー・ヒリヒリした日々に長くさらされたら、それは成長になりますよね。本番はもっときつい。それでもやりたいなら、起業するといいと思います。
小川氏僕自身も高校時代にクルーズの「XYZ」に参加していた。その時は厳しいフィードバックを散々もらったけど、そこで折れずにやり続けた。今それぞれが思う気持ちを忘れないように。刺激ある環境、今この場をを大切にしてほしいと思います。
小渕氏ここにいる5人の起業家の熱量はめちゃくちゃ高い。それを感じ取れたという意味で参加した学生は本当に貴重な時間だったと思います。3日間だけでは実力なのかは分からない。だけれど、この3日間やってきたプロセスから学んで欲しい。
世の中にサービスはたくさんあります。だから差別化・優位性はそこまで重要ではなかったりするし、起業するかしないかは問題ではない。重要なのはお金を稼ぐこと。入り口は違えど、重要なのは数字を上げること。
最後は、3日間事業創りを通して苦楽を共にしたメンバーとメンターの方々で懇親会を開催して、3日間を振り返るとともに、学生自身は“今しか聞けない”そんな貴重な機会に、貪欲に質問をぶつけながら自身の今後に活かそうとする姿が印象的であった。
【HACK】参加学生の声(一部抜粋)
「過去一番充実した三日間でした。」(神戸大学2年生・Yさん)
「今の長期インターン先への関わり方や人生の方向性や目指すところが、今まで漠然としていたのが今回のインターンシップを通してクリアになりました。また、周りにこんなに将来について熱く語れる仲間がなかなかいないので本当に刺激になりました。」(立教大学・Nさん)
「この3日間、無駄な時間がまったくなかった。普段会いたくても会えないような方々から厳しいFBをいただけたことはもちろん、熱い想いをひしひしと感じることができました。」(立教大学・Kさん)
「自身のウィークポイントを明確に自覚出来たし、とても刺激的で今後の進路決定に大きな影響を与える経験でした。」(名古屋大学・Iさん)
「事業立案の難しさを体感しつつ、自分に足りないものが明確になりました。加えて、事業立案において逆算し、本当に今やるべきことを探すことや周囲の力を得ることの大切さなどを学べました。」(上智大学・Mさん)
最後に
この記事を通してどんな感情を抱いたでしょうか?
これから社会人として、一歩を踏み出す学生のみなさんにとって、「事業をツクルってめちゃくちゃしんどそうだけど、面白そう」。そう思っていただけた学生のみなさんが一人でも増え、これからの日本社会をツクル人材を生み出すきっかけになればと思っています。
今回、このインターンシップ【HACK】を主催したクルーズ株式会社(CROOZ SHOPLIST株式会社)では、そんな「事業をツクれる人材になりたい」「裁量権を持ちながらバリバリ働きたい」という学生を絶賛募集、そして採用をしています。
一緒にビジネスを通して、これからの日本社会を担う人材になっていきませんか?
23卒本選考はこちら
編集後記
このインターンシップを開催するにあたってのほぼ全ての昼食は、メンターも務めていただいた株式会社Chompyさん運営のフードデリバリーサービス「Chompy」を利用させていただきました。ありがとうございました。
そして、同様に、株式会社ラブグラフさんの「カメラマン派遣サービス」も利用させていただきました。とても素敵な写真をたくさん撮っていただきました!重ねてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
こちらの記事は2021年12月29日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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