岩崎 由夏
大阪大学理学部卒業後、2012年株式会社ディー・エヌ・エーに新卒入社。新卒、中途の採用を担当。2016年子会社ペロリに出向し経営企画を担当。2017年株式会社YOUTRUSTを設立。
コロナという大きな変化要因によって、人々の価値観はどう変わり、市場やビジネス環境はどのようになっていくと考えますか?もしくは貴社においてコロナ前後で変わったこと・変わらなかったことがあれば教えていただけますと幸いです。
ユーザーサイドも企業サイドも、副業という市場において「リモート」はかなり大きなインパクトがありました。通勤時間などがなくなり時間的余裕が生まれたことに加えて、このような不安定な状況が生む将来に対する漠然とした不安感は、ユーザーサイドの副業意欲を高める要素になっています。
また、企業サイドもコロナをきっかけに価値観が大きく変わっているように感じます。もともとは「毎日オフィスで隣にいてくれないとマネジメントできない」と思い込んでいたものが、突然リモートで働かざるを得ない状況になった。そしたら「意外に大丈夫」と、実体験ベースで理解できたので、副業やリモートワーカーも積極的に採用できるようになっています。
岩崎 由夏氏の回答
事業案/タネを思いついた時に、一旦検証してみようと思うアイデアの条件と検証してこれはいけるんじゃないかと実装を考える条件を具体的に伺いたいです(例えば現在のメインで取り組まれている事業の場合)
検証してみようと思うアイデアは、自分や身の周りの人が「面倒だけど頑張って行っていること」です。例えば、ラクマ(旧フリル)やメルカリなどのフリマアプリは、もともとプラットフォーム自体がなかったときから、オンラインで中古品を頑張って売っている人がいましたよね。
逆に、「インタビューで欲しいと言われた」というようなものは疑います。本当の欲求を言語化するのは難しいので、発言ではなく行動を見るべきで、「面倒だけど頑張って行っている」というのは一つのわかりやすいモノサシになると思います。
YOUTRUSTで考えてみると、「転職意欲を公開する人がいるのか」が一番大きなイシューでした。これまでの日本的キャリアの価値観だと、外に向けて転職したいと公言するのはハードル高そうですよね。でも実際の行動を見てみると、当時からTwitterで転職意欲を発信している方はいました。さらに、なんと言っても私自身がやりたかった。転職活動のために履歴書を書いて会社を回るくらいなら、自分の信頼しているコミュニティにだけ転職意欲を公開できればな、と。その後、実際にβ版を公開し、初日の「転職意欲を公開するユーザー数」を見て、定量的にも問題なさそうだと判断しました。
岩崎 由夏氏の回答
起業するにあたり、役立った知識や人脈などあれば教えていただきたいです。もともと起業志望でもなかったと発言されていたので、その状況からどのようにうまくキャッチアップしたのか、参考にさせていただけると幸いです。
特定の知識や人脈より、自分にとっての「普通」をどこに設定するかが大事だと思います。大前研一さんのお言葉を借りるなら「付き合う人を変える」ということ。そもそも起業はやるかやらないかでしかなく、起業のために必要な知識は調べればわかります。だからこそ自分にとっての普通の基準をどこに置くかが重要で、自分が起業したいなら起業家と付き合えば、起業が自分の普通基準になります。
例えば、灘高校にいる人たちにとって「東大を目指すこと」は普通であることと同じように、私も近くに綾太郎さんがいたことで「起業することが普通」という価値観に自然になりました。どういう人になりたいかで、付き合う人を変えると勝手に自分が変わるのでオススメです。
岩崎 由夏氏の回答
海外では普及しているビジネス系のSNSも、日本ではまだそこまで広がっている印象を受けません。その理由と、YOUTRUSTなら「キャリアSNS」として、その壁を超えられる理由を知りたいです。
岩崎 由夏氏の回答
プロダクトづくりにおいて、特に大事にしていることを教えてください。
「直感」を大事にしています。前職DeNAのカルチャーをご存知の方からすると意外かもしれないですが、自分自身がユーザーとして使う中で感じる直感には、なるべく従うようにしています。もちろん論理的に考えることも重要ですが、ユーザーさんがサービスを使うときに考えるのはロジックではありません。
ちなみに「直感」の重要性に気付かされたのは、前職で綾太郎さんと働いていたときです。DeNAではすごく数字を大切にしていたので、綾太郎さんが「そのピンクの色味は“ダサいから”やめようよ」とフィードバックをしてきたときに衝撃を受けました(笑)。でもこれは決して適当に意思決定しているわけではなくて、ユーザーさんも同じことを思っているんです。数値化できないような「気持ち良さ」や「使いやすさ」、つまり感覚こそが「正義」。なので、日頃から自分の感じた直感は殺さないよう意識しています。
岩崎 由夏氏の回答
人材と企業のマッチングを発生させるプラットフォームを作られていると思うのですが、人材側と企業側まずはどちらから集める戦略で動かれましたか?回答可能な範囲で構わないので、具体的な初期顧客/ユーザー獲得戦略も伺いたいです。
ユーザーサイドから集客したのですが、実はこれが結果的に“大勘違い”でした。私がもともと採用担当をしていた経験から、ユーザーサイドで優秀な方々に使ってもらえれば、企業サイドはきっと使ってくれるだろうと。でもその仮説は間違っていました。なぜなら副業を受け入れている企業が、当時まだ多くなかったからです。初日で700名ほどのユーザーさんにご登録いただいたにも関わらず、マッチング相手の企業さんがいない状態になってしまいました。
そこで知り合いの起業家などにお願いをして導入いただいたのですが、このとき無料で提供したのは失敗だったと後から学びましたね。無料だと積極的に使おうと思っていただけないので、利用率が下がり、結果的にプラットフォームとしては健全でなくなってしまいます。有料にしてからは継続率も上がり、良いマッチングが増えていきました。
岩崎 由夏氏の回答
「リーダー」として意識していることを教えてください。
「北極星を語ること」と「決めること」の2つだけ意識しています。前者は、ミッション・ビジョンを含めた組織の方向性を示す、つまり旗を振ることです。そして経営者の仕事はとにかく意思決定することだと考えているので、後者の「決めること」は、リーダーにとってもっとも大切なことだと思います。
組織規模が大きくなればなるほど決めることは難しくなると思いますが、そんなとき私はノートに手書きで論点を整理したりしています。そこは結構アナログですね(笑)。手書きだと俯瞰できるので、しっかり自分の頭で論点を整理し、その上で、たまにnewnの中川綾太郎さんや「ベンチャーマネージャーのマニュアル」で有名な長村さんなど、前職から長いお付き合いのある先輩事業家に相談させていただくことがあります。
岩崎 由夏氏の回答
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