ヒト・モノ・カネ・情報を得て、“飛び級”せよ──事業家キャリアの新たな正解は、上場ベンチャーにある【Chatwork新規事業チームに聞く】
Sponsored今、Chatworkの勢いが目覚ましい。2022年2月に発表した2021年12月期決算では、連結売上高で前年同期比39.1%の大幅増、課金ID数は同19.8%増、ARPU(Average Revenue Per User)は同28.9%増と、事業の伸長がうかがえる。だが、我々が目を向けるべきは別の部分だ。中期経営計画にある通り先行投資を進め、事業家人材の採用と育成に乗り出しており、将来の大きな利益創出に向けた動きが順調に進んでいる。
そうした動きの代表ともいえる人物たちに、今回は迫ってみる。
ビジネスデベロップメントユニットDXソリューション推進部にて新規事業を推進する、桐谷豪氏と福本大一氏だ。スタートアップでの事業責任者や起業を経験したのち、Chatworkで事業開発を担っている。
「上場企業で働くつもりなんてなかった」と過去を振り返る2人だが、今やChatworkの未来を支える屋台骨となりつつある。どのような点に面白みを感じ、実際にどのように躍動しているのか。上場ベンチャーでのキャリアが意味するものとは何なのか。意外と知られていないその実情を聞いた。
- TEXT BY TOSHIYA ISOBE
- PHOTO BY TOMOKO HANAI
「上場ベンチャー」に入るつもりなど微塵もなかった
「ベンチャー企業」という言葉が市民権を得て久しい。2000年前後の「インターネットバブル(ドットコムバブル)」でITベンチャー企業が国内外に数多く生まれた頃が、黎明期と呼べるだろうか。当時は「大企業の空気には馴染めないほどの個性の強さを持った、尖った若者たち」が、未上場のベンチャー企業に居場所を求めていた、というイメージが強いだろう。
それが最近では、ITベンチャー企業の数が大きく増え、新卒入社先としても一般的になっている。「上場ベンチャー」という言葉もよく使われる。
この「上場ベンチャー」とは何だろうか。この記事で取り上げるChatworkも、「上場ベンチャー」と呼ばれる企業の一つだ。ITベンチャー企業(スタートアップ)として、国産ビジネスチャットの第一人者の地位を確固たるものとし、2019年9月に東証マザーズに上場した。
上場前も上場後も、リスクマネーを取り込み、急成長を企図した経営を続ける企業だ。リード文で触れたように、上場から2年半が経つ今も意図した赤字になっている点が、読者にもわかりやすいベンチャースピリットと言えるだろう。
そんなChatworkで新規事業開発の最前線にいるのが、この2人だ。
桐谷上場ベンチャーで自分が働くとは、数年前まで全くイメージできていませんでした。数人くらいの規模のアーリーステージのスタートアップが自分の居場所だと当然のように感じ、自分が働く上での選択肢にすら入ってなかったというのが実際のところです。
福本大学卒業時に内定をいただいていたベンチャー企業がありましたが、「自分の手でビジネスをやりたい」という想いから辞退を決め、起業をしました。その当時は就職は何か違う、と直感的に思っていたんです。
すでに触れたように、同社は上場後も先行投資を続け、赤字のまま、急速な事業成長を実現しようとしている。そのカギを握るのがこの2人をはじめとした、新規事業を担当する若き事業家人材たちだ。
取り上げた発言を見てもわかるように、そもそも自ら起業したり、あるいは数人~十数人ほどの規模のアーリーステージのスタートアップに身を置いたりして、自らの腕を試そうと考えるような人物たちである。
この2人に共通するのは、「事業はあくまでも手段である」という考え、そして「真の経営者として大成する」という強い意志だ。そのために、なぜ今Chatworkに身を置いているのか、同席した執行役員CSOの福田升二氏から、同時に考察をいただきながらそのリアルな感情を聞いていく。
飛び級のような感覚──起業、スタートアップから新天地でチャレンジする2人
桐谷氏は、大学在学時より個人事業主として営業関連の仕事を始め、その後はスタートアップに属して事業立ち上げやジョイントベンチャーの設立を担ったり、新規事業の責任者を務めたりしてきた若き事業家だ。自ら事業を起こしていく能力や気概を持ち合わせるこの人物が、なぜ上場企業であるChatworkへの転職を選んだのだろうか?
桐谷「このビジネスと戦略はすごい!」と強く感じたことが、一番の決め手ですね。
もともと中小企業を対象としたIT関連ビジネスという事業領域に、大きな負があると感じていました。大企業やスタートアップが使えるサービスはかなり増えていますが、それ以外の企業にとって使いやすいサービスはまだまだ少ない。
そんな課題認識があったので、Chatworkが掲げるスーパーアプリ構想にはとても共感しました。実現していくことができれば、日本の産業構造が一気にひっくり返るようなインパクトを出せると感じています。将来振り返った時に「この瞬間にこの会社でこんな事業をやっていたよね」と語ることができる、そう信じられるような環境は、他のどこにもないんじゃないかと思ったんです。
起業を志していたり、スタートアップに対する興味関心が強かったりする若者の中には、上場企業への就職や転職をほとんど考えない人も多いだろう。桐谷氏もそうだったとはっきり答える。
だが、自身がこれまで事業創造や事業開発に携わってきた経験に基づいてChatworkの戦略に向き合ってみると、その事業領域の広さと深さ、そして未来の拡張性に大きな魅力を感じた。そして、「ここに関わることができるとしたら、逃す手はないのでは?」を自らを奮い立たせたというわけだ。
一方の福本氏は大学卒業後すぐに起業。メディア事業を数年運営し、売却した経験を持つ人物である。同氏がChatworkに感じたのは、「上場企業ではあるものの、スタートアップのような事業開発環境がある」ということが魅力だったと振り返る。
福本事業売却後、面白いと心から思える事業を探すべく、規模や業界を問わずいろいろな会社の方に話を聞いた結果、Chatworkが展開している事業領域や世界観が、圧倒的に面白いと感じました。
当時150名ほどの規模だったにも拘わらず、本来ならGAFAのような大きな資本力と厚い人材層を持つ企業が参入するような事業領域において、国内で大きなシェアを取っているという事実に、心から驚かされました。
そしてその頃は、ビジネスチャットを軸に周辺事業を拡張すべく、社内でスタートアップが立ち上がり始めたようなフェーズ。福田さんとの面談でこうした現状や戦略を聞いて、ワクワクする感情を抱いている自分に気が付きました。自分で小さな会社を経営していた時には感じることのなかったワクワクでした。
スタートアップ、あるいは自分の会社から、大きく環境を変えた2人。スピード感や規模感といった面でやりにくさも感じそうなものだが、すでに日々、大きな成長実感を感じていると話す。
福本たしかに、自ら起業していたときは、自分が持つ責任が大きいため日常的に得られる経営面での学びが大きいと感じていました。でも、事業をつくっていくフェーズにおける経験の蓄積という面では、間違いなく今のほうが大きな学びを得られています。ネガティブなギャップはまったくと言っていいほど感じていません。
例えば、何千万円の予算を使い、数多くのステークホルダーとの間で利害を調整しながら、思い切り検証を回せる。こんな経験、以前はあり得ないものでした。
桐谷私も、オフィスのないスタートアップでゼロから動いていたときと同じような角度で成長できていると感じています。福田さんが率先して事業開発環境を整えてくれていることもあり、上場企業だからといってスピード感が劣ることもないですね。
福本今まさに、SMB(Small and Midsize Business)のデジタル化というマーケット自体が大きく伸び、『Chatwork』というプロダクトのまわりにヒト・モノ・カネ・情報が集まっている状況です。ここで事業開発に打ち込むことができることに、いわば“飛び級”での経営や事業運営をさせてもらえているような感覚ですね。
“飛び級”とは、わかりやすい表現ではないだろうか。事業・企業規模が大きく異なる環境から移ってきたこの2人は、我々の想像を大きく超え、イキイキと挑戦を続けられているようだ。
福田会社としては、彼らがのびのびと事業に専念できる環境を整えることを意識しています。以前の記事でもお伝えしたように、この2人をはじめ、事業開発を担う人材は特に「放牧」のような感じを一つの理想としています。ミッション・ビジョン、戦略などが、彼らを広く囲っている“柵”になっているとイメージしてもらえれば。
この“柵”の中でなら、進め方には大きく裁量を与える、そういう仕組みを目指しています。
登る山を間違わなければOK。
登り方は、人それぞれ
『Chatwork』は、単なる社員間のみのチャットツールにあらず。企業の枠を超えて助成金の申請相談を行ったり、電話代行サービスを使えたりと、中小企業のヒト・モノ・カネ・情報の不足をChatworkで解消していくサービスを多角的に提供している。この価値提供を、非連続的に拡大していくのが、この2人のミッションとなっている。
こうした新たな価値提供につながる事業創出について、機能開発や新規プロダクト、他社協業などあらゆる可能性を検討しているのが、直近の動きだ。それぞれ別の新規事業を担当し、大きな裁量を持って進捗させている。
桐谷私が進めるサービス拡充は、他社との協業が多いですね。
既存ユーザーに対して新たな価値を良いかたちで提供できるのなら、自社開発にこだわる必要は一切ありません。視野を広く持ち、他社の力を大いに借りながら、提供価値の総量を中長期的な目線で増やしていこうとしています。
中期経営計画で定める三つの戦略のひとつに、DXソリューション戦略がある。ビジネスチャットをプラットフォームとし、多様なサービスを顧客に提供することで、提供価値の最大化を図る。
日本国内に存在する法人のうち、99.7%もの割合を占める中小企業のIT活用を一気に推進し、DXを広く実現していくことにつながるという点で、社会的な意義も大きい戦略だ。もちろん、その先に狙うのは、新たな収益源をいくつもつくっていくという、ユニークなビジネス展開である。
この提携サービス群の多様さと課題解決力の強さが、桐谷氏を中心に取り組んでいるアライアンスによって後押しされ、さらに拡大しようとしている。
一方の福本氏は、既存ユーザー以外に対する価値提供を探っている。その一歩目として立ち上げているのが、メディア事業だ。
福本会社のビジョンである「すべての人に、一歩先の働き方を」には、既存のユーザーだけではなく、まだ使っていない人への価値提供も含んでいます。
そのための手段として昨年末に新規のメディアをゼロから立ち上げました。ビジネスチャットのユーザーであろうとそうでなかろうと、同様に価値を感じてもらえるコンテンツの拡充をしていくフェーズです。
こうした新規事業開発の責任者となっているCSOの福田氏は、両氏が進めるプロセスに対して口を出したり介入したり、といったことをほとんどしていない。それは、2人がミッションやビジョン、全社戦略を踏まえた活動を自然とできるからだと語る。
福田ミッションやビジョンに行き着くために、今何をすべきか、いつまでにどの到達点にいれば良いのかというところだけが重要です。この点は定期的に話したり、明確に握ったりしています。
ですが、そこに至るまでの登り方に関しては、各々の経験や知見をもとに、必要ならどんどん工夫し、変えてくれて良い。むしろ、思いがけない登り方を見せてくれるのを楽しみにしているくらいですよ。
事実、福本氏は自身でメディア事業で会社経営をしてきた経験を、桐谷氏は営業経験や大手企業とのジョイントベンチャーを作った経験を活かし、新規事業の創出に向けて自分たちなりに奔走している。
戦略が策定されるということは、「やることが規定される」というイメージを持つ読者も多いかもしれない。しかし、少なくともChatworkでは、そうなってはいないようだ。登る山とその時期について同意が取れていれば、どのように登るかに関しては大きな裁量が渡されている。
自ら起業していた福本氏が「やりづらいことはまったくと言っていいほどない」と語るくらいだと書けば、納得する読者も少なくないだろうか。
ここからは、彼らが実際にどのように登ろうとしているのか、そのマインドに、もう少し深く迫ってみたい。
とにかく、動きを早く。
ゴールへたどり着くスピードのために
桐谷、福本両氏に共通する価値観は、「自己目的化に陥らず、目的に対して手段を柔軟に選べる」部分にあるように思える。ただ「事業をやりたい」というだけではなく、Chatworkが実現しようとする未来に対して本当に必要なことだけを見極める、エッセンシャルなマインドだ。
だが、こうしたマインドを身に着けるのは簡単ではないはず。一体これまでのキャリアで、どんな経験をしてきたのだろうか。
桐谷前職までは、失敗しかしていないと言っても過言ではないほど、失敗を経験してきました。裏を返すと、失敗への抵抗は少ないです。
事業をうまく運んでいくためには、速く動き、失敗を検証して改善を回し、また動く、というサイクルが大事ですよね。Chatworkには、失敗の可能性も見越して、多くのチャレンジをすべきだというカルチャーがあるので、自分がすべきと考える施策をどんどん実行できます。
失敗の具体例として、数万人のお客さんに対して誤配信をしてしまい、夜中から同じ問い合わせが鳴り止まなかった実体験について振り返った。自身のミスに対する悔しさを強く感じ、一層の努力をしてきたのはもちろんのこと、もっと大きな学びも得た。
桐谷目先の対処ももちろん必要ですが、より広い視野で考えることもできるようになってきました。失敗を、事業推進の糧としてどれだけ最大限利用できるか、という見方を常に意識して、対応を考えています。
事実、両氏のマネジメントにあたる福田氏から見ても、桐谷氏や福本氏のスピード感は目を見張るものがあるという。
福田桐谷さん自身も意識していると言っていますが、何より、動き出しの一歩が早いですね。その初手の早さが、PDCAを回して成功も失敗も積み重ねていく速さにつながり、結果として目標への到達も早いのです。
これは、2人が“事業”を崇高なものとして捉えているわけではない、というのがポイントだと感じています。わかりやすく言えば、「事業は、手段でしかない」としっかり理解しているということ。
自分の能力を使って組織に貢献したり、起業としての新たなチャレンジに関われたりすることに、素直に取り組むことができているからなんだと思います。
「何としても、自分の手で事業をゼロからつくり上げたい」という志を持つ若手ビジネスパーソンも、昨今は増えてきていることだろう。おそらく、桐谷氏も福本氏も、以前はそう思っていた。福田氏だってそうかもしれない。
だが、今、そうした想いを事業にぶつけているわけではないのである。素直に、率直に、ミッションやビジョンの実現を目指し、戦略に沿って動き続ける。そのことによってのみ、長期的視点で良い新規事業開発ができると、心から納得したうえで動いているのだ。
福本氏からも、そうした想いにつながる実体験を聞くことができた。やはり、起業における挫折経験から、ミッションの重要性を痛いほど実感してきた。
福本前職ではtoC領域でメディアを運営しており、目先数年くらいでなら十分に売上や利益を成り立たせることができていました。ですが、その先の展開をどうすべきか、長期的な視点で戦略を考えようにも、ぜんぜん考えられませんでした。
事業を立ち上げることや、メディアを連続的にグロースさせることには力を注ぎ、実際に成果も出せていたものの、未来を描けない。本来であれば、経営の上流にあるべきミッションやビジョンのようなものを、当時の私は全くと言っていいほど持っていなかった。
事業を1~2年ほど続ける中で、そう思い至り、事業の更なる成長へのコミットメントや自分自身のキャリアの観点でも経営者として行き詰まってしまったんです。
足元の数値の伸びは、何のためのものなのか、どこに向かっているのか。そうした点をあいまいにしたままでは当然、やってきたことの意味を的確に評価できない。
そんな経営者としての挫折を経て福本氏が「腹落ち」を感じたのが、「ミッションやビジョンを成し遂げるための手段に、事業がある」という考えだったのだ。福田氏や桐谷氏とも同調する部分であるからこそ、今の躍動がある。
グロースする瞬間のやりがいは、「何ものにも代え難い中毒性」がある
ここまで2人の事業家としての経験や、その中で培ったマインドについて詳しく聞いてきた。冒頭では、Chatworkという上場企業をチャレンジの場として選んだ理由も聞いた。
とはいえ気になるのは、この2人もまた数年が経てば、自ら起業したいという道を選ぶのではないだろうか、ということ。言い換えるなら、上場企業の中で何年もチャレンジを続けられるわけでもないのではないだろうか、という疑問だ。そう思う読者も少なくないだろう。
だが、Chatworkの戦略を見れば、この2人のようなメンバーが長く躍動していくことは必要不可欠にも思える。なので率直に聞いてみた。この先のキャリア形成についてはどのように考えているのか、と。すると2人とも、「具体的なものはあまりない」と前置きしつつも、目指したい状態としては明確なものが返ってきた。
福本自分が今生きている社会にインパクトを与えられると実感できる事業に、絶対に携わり続けたいですね。
ただ、「社長になりたい」といった肩書きの希望や、自ら成し遂げたいビジョンなどは、今はまったく決めていません。「経営者ってかっこいい」という感情は、今ももちろん心の中でも持っている部分はありますが(笑)。だから「経営者に、とりあえずなりたい」という風に考えるのは違うと思うんです。
桐谷良い経営者になりたい、という想いは持っていますね。目指すところは、あくまでそこです。
私はどちらかというと、スペシャリストというよりジェネラリストのタイプだと感じています。「器用貧乏で、取り柄がないな」と悩む時期もありました。そんな中でもやはり経営や事業が好きだという気持ちは強く自覚していました。だからこれからも経営をしっかり学び、世の中に価値を創出できる存在になりたいと考えています。
「では、面白いと感じる事業はどういったものか?」と聞くと、福本氏はChatworkが一番面白いと即答。事業戦略やビジネスモデル、プロダクトの特性といった面で大きなやりがいを感じている。
福本SMBに対して広く深く刺しに行くという事業戦略は、日本ではここしかないと感じています。プラスを大きくするというよりも、マイナスをゼロに近づけていくような事業に携わり続けたいという想いにも合致します。
ビジネスモデルとプロダクト特性も、希少でユニークなものだと感じます。PLGを自然に実践できていることや、その先にホリゾンタルとバーティカル両方のSaaSの特徴をかけ合わせられることなどに、わくわくしか感じませんし、経営や事業の経験を蓄積していく場としても最高なのではないかと思います。
桐谷明確に目指しているのは、事業に責任を持つ立場の人間としてこの先何年もやっていくということ。つらくて苦しい期間も長いけれど、グロースを目の当たりにする瞬間の感動や楽しさを知ってしまったら、もう戻れませんね(笑)。仕事上で得られるものとして、ほかのどんなことでも代替が効かない感覚だと思っています。
自身を振り返って、ジェネラリストで器用貧乏になりそうだと思った時期もあったという。今ではそのジェネラルさをポジティブに昇華し、経営や組織を学んで経営人材を目指して突き進んでいる。
2人のキャリア観を一通り聞いた福田氏は、彼らに対する期待をこう語る。
福田繰り返しになりますが、会社としては、彼らがやりたいと思えることを全力で支援しますし、そのための環境づくりには一切妥協するつもりはありません。海外の競合に対する優位性を築くためには、絶対に必要不可欠なことだと思っています。
もちろん、会社の戦略が、しっかり摺りあっていることが前提にはなります。宗教的ではなく素直にミッションに共感してくれてる部分もあるんだと思います。ここから、事業の立ち上げとグロースを進める中で、共感がさらに増えていけば良いなとは思いますが。
2人は共通して「事業家でありたい」と言い、「経営者として大成したい」とも言う。一方で、「どのような事業家になりたいのか?」あるいは「どのような経営者になりたいのか?」という問いに対して、具体的な解をすでに持っているわけではないらしい。
福田氏を含めたChatworkの経営陣が、そんな彼らに対して不安を抱えているわけでは、まったくない。個々人のキャリアビジョンも大切ではあるが、それよりも「この企業に今、必要な事業は何か」「この事業に今、必要な施策は何か」を考えることが、重要になる。
だからこそ福田氏は、学習能力の高さや動き出しの早さ(速さ)などのベーススキルに加え、実際にやってきたことも踏まえたアサインメントに注力しているのだ。
強みは違えど、違和感の閾値は近い。
そんなチームを拡大する
以前のインタビュー時から変わらず、福田氏による事業家人材のマネジメントの方針の一つとしては、戦略の範囲内における自由度を担保をしていることが挙げられた。繰り返しにはなるが、どの山を登るのかが定められている中で、具体的な山の登り方に関しては自由であることを意味している。
その中で本人たちはどのように感じ、実際の動き方を決めているのだろうか。
桐谷例えば、今進めているアライアンスの取り組みについては、なんとなくのイメージは当初からあったものの、具体的なスキームは完全に白紙からのスタートでした。どの企業とどの順で組むか、どのようなコミュニケーションを設計していくかなどの具体的な部分は、私が主導してゼロから構築させてもらっています。「Chatworkでは事業開発をこのように進めてきたので……」といった誘導は一切ありません。
なのでまずは自分で動いてきっかけをつくろうと考え、電話してアポを取って提案して……を実直に繰り返すことで、アライアンスをゼロから結ぶという成果につなげようとしています。最初は時間がかかるかもしれませんが、長い目で見れば最も早い方法だと感じているからです。
ただ、こうした進め方が最初から全て細かく決められていたり、福田さんから直接指示されたりしていたとしたら、今感じているようなやりがいはなかったかもしれません。自分で仮説を立てて試行錯誤ができ、そのための環境として、本当にありがたい限りです。
受動的なタイプではなく、自ら道を切り開いていきたい人にとっては絶好の環境のようだ。福本氏も、Chatworkの環境を「レア」だと話す。
福本やはりChatworkがもっている環境自体がレアだと思います。SMBという属性を持ったユーザー層へ継続的にアプローチすることは、普通なら相当難しいからです。
事業開発というだけでなく、マーケティングやセールスという観点で見ても、稀有な経験を積むことのできる場です。まさにここにしかない面白みだと感じますね。
福田2人に対して感心するのは、相談のタイミングが絶妙なところですね。具体的に進めるにあたり、方向性がズレる可能性があれば事前に必ず相談してくれる。後で大きな手戻りが起こらないように、その手前に時間をかける勘所を持っている感じがしますね。
福本さんがやってくれているメディア事業立ち上げの話も、最初はふわっとした構想しかなくて、あくまでも手段の一つくらいの位置づけでした。それが、思ったよりもかなり早く立ち上がり進捗も比較的良いのが、私としては非常にポジティブな驚きです。
福本桐谷さんとの間では、「もっと早く進めたかったね、ああしてこうすれば早くできたね」なんて話をしているんですけどね(笑)。
加えて、この2人を中心に、新規事業に携わるメンバーたちの間でコミュニケーションに壁はなく、ラフに相談し合う関係で仕事ができているという点も、重要そうだ。
福本ラフな相談は桐谷さんとよくさせていただいています。ちょっと行き詰まったな、とか、言語化しきれていないけどなんだか違和感がある、といった場合に、サクッと相談できる関係性ですね。「今から10分くらい喋れますか?」といった感じで。
桐谷福本さんとは、「これがズレると、やばいよね」といった感覚が合いますね。それは、戦略が明確にあり、ミッション・ビジョンの理解を一定の基準でできているからだと思います。こうした存在が身近にいると、ものすごくやりやすいですね。
互いにコミュニケーションを取りやすく、違和感を察知する閾値が近い感覚を持っているそうだ。ここで重要なのは、お互いが同じタイプの人間ではない、という点だ。福田氏もそれを強調する。
福本桐谷さんと仕事するのは刺激になると感じていています。というのも、蓄積してきた経験が互いに全然違いますし、持っている強みも大きく異なります。
桐谷さんは、スタートアップでの組織づくりや、オペレーションの新たな構築と運用を泥臭くやってきた人で、自分とは違うプロフェッショナリズムを持っていて、しかもそのこだわりは人一倍強い。こんな人の近くで働けるのは、すごく面白いです。
桐谷私からすれば、福本さんが広告の話をしているとき、何を言っているかわからない時もありますが(笑)。でもそれくらい、強みが異なるわけです。だからこそ、互いがうまく補い合うことができ、良い成果をつかみにいける感覚があります。
福田事業開発って総合格闘技なので、個ではやれないものなんです。中途のスペシャリストがハマるパターンもあれば、新卒から上がってきた人の方がよい場合もある。
桐谷さんがどれだけ優秀でも、10人いてほしいというのは違うと思っています。「人」によって定義される範囲が、事業のポテンシャルを決めます。同じ人が10人いても、単なる足し算にしかならないので、大きな広がりは期待できない。
違う個性を持ったタレントが集まって、「強みの掛け算」をつくっていくことで、継続的かつ非連続な事業成長が望めるのだと考えています。
最後に、「どんなメンバーが増えてほしいか?」と聞いてみた。すると口をそろえて答えたのは、事業は手段であるということだ。
桐谷尖った経験をしている人は一緒に働いていて楽しいですし、事業開発には向いていると思います。繰り返しになりますが、自分たちと同じ経験をしていたり同じケイパビリティを持っていたりする人が来ても、組織が大きく変わる感覚はあまりありません。なので、今いるメンバーとは違う領域で成果を残したような人が増えると嬉しいですね。
あと、強いて言うなら、「事業開発やりたいです!」という人には合わない環境かもしれないです。自分の頭で考えて手を動かす人が、やりやすい環境です。「事業は手段でしかない」と腹落ちしている人なら逆に、ものすごくやりやすいはずです。
福本「どうやら、Chatworkに入ったら、事業をつくれるようになるらしい」みたいに思われたとしたら、それは明確に「違います」と伝えたいくらいですね。ミッションや戦略が先にあり、それを実現していくための手段が事業です。この考え方にギャップがあるようなら、絶対にChatworkの事業開発には合いません。
ただ、この点で合うのなら、こんなに面白い事業環境はないので、心からお勧めしたいですね。他社にはない希少な事業条件の揃ったレアなタイミングで、事業創造に専念できる。いろいろな尖った経験をしてきたけれど、もっと力試しができる環境はないだろうか、そんなモヤモヤを感じる人にとっては、一つの理想が、ここにあると思います。
更なる急成長フェーズ、Chatworkの採用情報はこちら
こちらの記事は2022年03月08日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
磯部 俊哉
写真
花井 智子
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