「AI・LLMの民主化へ」注目2社の最年少執行役員それぞれが描く未来像【対談:Chatwork桐谷・LayerX中村】

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インタビュイー
桐谷 豪

大学在学中より創業フェーズのスタートアップに参画し、ジョイントベンチャー設立や複数事業の立ち上げに従事し、ユニコーン企業へ。その後、AI系ベンチャーである株式会社ABEJAへ入社し、データ関連サービスの事業責任者を担う。2020年10月にChatwork株式会社に入社し、BPaaSのサービス立ち上げ責任者を務めたのち、2024年1月より執行役員に就任。インキュベーション本部を管掌し、新規事業の推進とR&D領域を担当。

中村 龍矢

株式会社Gunosyにて機械学習及び自然言語処理関連の開発に従事したのち、LayerXに創業より参画。R&D部門をリードし、研究成果を国内外の学会・カンファレンスにて発表し、大学・行政との共同研究を経て、PrivacyTech事業を立ち上げる。過去にはパブリックブロックチェーン分野でも活動。Ethereum プロトコルの脆弱性を複数発見し、仕様策定に貢献しており、日本拠点のチームとしては初めてEthereum Foundationのグラントを獲得した。2020年度IPA未踏スーパークリエータ認定。2020年 電子情報通信学会 IA研究賞 最優秀賞 (共著)。「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」受賞。

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「生成AIを活用した」と謳うサービスが次々と生まれるこの1~2年、だが、業務や事業を変革したという事実に触れる機会はあまりない。やはりまだ、人間世界を大きく変えるほどのインパクトを出すには至っていないというのが実態のようだ。

では、やはりこの「生成AIのトレンド」も、過去のAIブームと同じく、多くのビジネスパーソンが幻滅を覚えるものなのだろうか。いやおそらく、そうではない。あと1年もすれば、日本でも注目すべき動きが生まれるのではないか。そんな期待を抱かせる代表企業が、Chatwork(2024年7月から社名:株式会社kubellに変更予定)とLayerXだ。

この2社でそれぞれ新規事業の創出を担う執行役員、桐谷氏と中村氏に、日本におけるAIの今後について語り合ってもらった。テーマは、現在の社会認識や、AI活用の本質、そしてAIを日本社会に根付かせていく戦略まで広がった。見えてきたのは、「AI活用に対して感じている共通点」と「洗練された各社のユニークな戦略」だ。

  • TEXT BY RINA AMAGAYA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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「AI浸透度100%」を、日本で実現させる両社の戦略とは

なぜITスタートアップが今、こぞってAI活用を本格化させようとしているのか。いや、そもそも「AI活用の本格化」とはどういった動きを指すのだろうか。

こうした問いの答えは、「AI活用の最新情勢」や「これまでのAI活用の実態」そして「自社の立ち位置や強み」までを客観的に分析できなければ、なかなか見つからないものだろう。逆に言えば、こうした要素を的確に認識できれば、地に足の着いたAI活用を進めることができる。そうして初めて、目先の業務効率化にとどまらず、既存の業界や事業を大きく変革させたり世の中に広くインパクトを与えたりといったステージへと駆け上がる。

生成AIトレンド以前からAI事業開発に携わってきたこの二人はまさに、そうした視座から、新規事業の創出とグロースを目指し取り組んでいる。

桐谷これから自然言語処理の領域を中心に裾野は徐々に広がっていくだろうと強く感じています。まだまだこれからですが、5年から10年の間にAI活用のユースケースは急速に増加し、僕らが思っている以上のスピードでビジネス現場における利用が進んでいくでしょう。

一方で、自分の業務の中で使いこなすにはハードルが高い状況であることに変わりはありません。

社会全体としてのユースケースは増えて、ビジネス全体の活用度合いという指標でみると上がってくるのは間違いないと思っていますが、その恩恵を受ける人達は一部の人達になってしまうのではないかという懸念はあります。AIの民主化、つまりビジネスパーソン全員が恩恵を受けるには普通のアプローチだと辿りつかないのではないかと考えています。

中村AI技術やLLMの普及が進んでいる一方で、期待されていた効果が現実に追いついていないとも言えますよね。思っていたほどの成果が得られていないと感じる人も多い。私は現在、「プチ幻滅期」にあると思っています。

我々の取り組みも、今はまだ「オセロの盤面を一つずつめくっている」ような感覚です。この使い方は黒になるね、これは白だね、とコマを全部チェックしようとする1年間を、AI・LLM事業部として過ごしているわけです。

生成AIの普及についても、そして活用は難しいという点についても、二人の意見は近い。各社の立ち位置から、議論が続く。

中村ちなみに、中小企業を中心とした『Chatwork』の経済圏で考えると、AIによって何割くらいのユーザーに価値を届けられると考えているんですか?

桐谷実は、「ある仕掛け」をすると、という前提ありきですが「100%まで届けられるのでは?」という仮説を持っています。

まだ僕の個人的な予想値ですが、成り行きで進めば『Chatwork』のユーザー層である中小企業では、AIを使いこなせる人が全体の1割以下にとどまると思います。

ですが、BPaaS(Business Process as a Service )という事業で業務プロセス全体を巻き取ってしまい、その裏で僕たち自身がAIをフル活用すれば、結果的に理論上は、“恩恵”自体を100%行き渡らせられるかもしれないと考えているんです。

中村なるほど、感覚は近いですね、でもアプローチが当社とは異なるのだなと思い、面白いです。

私たちが向き合っているエンタープライズでも、AI・LLMの活用に当てられる人材のリソースは全体の0.5〜1割くらいなのではないかと感じています。でもこの人たちが「伝道師」として、LLMを普及させていってくれることも期待できる。

私たちが目指すのは、この伝道師に対して「内製化を目指そうと思うようなAI・LLMでの成功体験」を提供すること。そうすればLLMの活用が広がり、その先でDXまで広く内製化していくに至るのではないかと思うんです。

Chatworkのビジョン「すべての人に、一歩先の働き方を」、LayerXのミッション「すべての経済活動を、デジタル化する。」にはそれぞれ「すべて」という言葉がある。両社の考え方を聞くと、AIをいかにして100%(≒すべて)まで広げていこうかと考えていることが見えてくる。

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Chatworkは中小企業×ノンコア業務を、
LayerXはエンプラ×コア業務を

両社とも、比較的似通った社会認識を基に、それぞれの立ち位置や強みに基づいた明快な戦略を描く。

桐谷当社は『Chatwork』というビジネスチャットのSaaSプロダクトに加え、先ほど話したBPaaS事業を展開しています。

SaaSをはじめとするツールやAIのような新しい技術を中小企業の方達全員が使いこなすには時間がかかると思っており、業務そのものを巻き取ってしまえば我々が勝手にAI活用をすることによって恩恵を社会全体に浸透させることができると考えています。

これらでイメージしているのが、「“中小企業群”というバーチャルな巨大企業に対して、業務プロセスを型化しすべて担う」ということです。「中小企業一社一社に対してオーダーメイド型で業務を効率化する」のではないんです。

Chatworkによる価値提供イメージ(FastGrowにて作成)

中村そういう切り口なんですね。やっぱりChatworkさんって、見晴らしの良いポジションにいますよね。

事業を立ち上げる時には「質の良いお悩みを、ユーザーさんからどのように拾えるか」が重要になります。そのための良い見晴らしを「チャットツール×中小企業」という領域で明確に持っている。

桐谷そうなんです。僕らは既存事業によるポジショニングとデータを活かして「確実に勝てる領域」を選んで勝負する戦略です。今、具体的に考えているのは、経理や労務のようなノンコア業務全体の自動化。中小企業の一社一社で全く同じになる処理から、AIを使いやすい部分を共通項として切り取って、取り組んでいきます。

Chatworkは「ノンコア業務×中小企業」という戦略。一方でLayerXは「コア業務×エンタープライズ」と、まったく異なる攻め方のようだ。

AI・LLM事業における「知的単純作業」についての中村氏作成スライド

中村当社は大手企業、特に金融業界のコア業務のような、「プロフェッショナルな業務」かつ「長い文章を処理する」という領域をターゲットにプロダクトを開発しています。

エンタープライズのコア業務は、高い専門性がなければできないものばかり。ですがその中に、「長い文章の作成や内容確認」といった単純作業も多く含まれているんです。

こうした「知的だが単純な作業」を減らすことで大きなインパクトを生み出し、プチ幻滅期を突破していきたい。

桐谷そうですよね。我々も「エキスパート⇔ノンエキスパート」×「シンプル(単純)⇔コンプレックス(複雑)」という4象限で対象業務を考え、「エキスパート×シンプル」から活用が進むと考えているので、共通していますね。

エンタープライズの場合は、中村さんが仰る通り単純な作業をしているケースが多く、それをエキスパートつまり「時給が高い人たち」がやっているので、コア業務を狙いにいくことでAI/LLMの活用によって大きなビジネスインパクトが出そうです。

一方で、Chatworkの場合はターゲットが中小企業なので、時給が高い方、例えば経営者ご本人が本来やるべきではないノンコア業務をしているケースが非常に多いです。つまり中小企業では、エキスパートがノンエキスパートの領域の仕事をやってしまっているという構造があるんです。ここをまとめて引き受けることでビジネスインパクトを最大化できると考えています。これは少し独特のアプローチかもしれません。

業務分解のイメージ(FastGrowにて作成)

中村人の手で担っている価値の高い業務を対象に、各社の経営層が優先事項として考えるくらいのインパクトを出せるテーマに取り組みたいんです。LLMの精度が100%ではなかったとしても、1兆円企業におけるエキスパート人材の業務時間が数十時間も減らせることになるのであれば、高い金額を払うことになるかもしれません。

桐谷人件費の高い領域こそ、大きなインパクトが出ますよね。我々も意識しています。

でも、中小企業の経営陣のテンションは少し違いますね(笑)。LLMを使っているとか、DXだとか、そういった点にはそもそもあまり興味がない。事業拡大をしようという余裕がないケースも多いです。

つまりシンプルな「コスト削減」や「人手不足解消」といった効果こそ、経営者のニーズに合致するんです。だから、各社の業務を我々がよしなに巻き取って、AIの価値が大きく出る部分でアウトプットを出していこうとしています。結果的にコストが浮いて出てきた利益を使って事業拡大への投資に使っていただけると嬉しいです。

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R&DとBizDevの進め方は、
「技術とユースケースの不確実性」によって見極める

ここまでに見てきた戦略を実行するうえで、両社の組織に共通する考え方がある。それが、R&DとBizDevのつながりだ。LayerXは創業期からブロックチェーン等を対象にR&Dを進め、2023年4月にはLLMのR&Dを行う「LayerX LLM Labs」を立ち上げていた。

一方のChatworkも2024年から、新規事業創出に向けたR&D室を立ち上げ、ChatworkにおけるR&Dの考え方について整理し、より良いBizDevの在り方を探ってきた。

そもそも、スタートアップでR&D機能を持つこと自体が珍しい。どのように取り組んでいるのだろうか。

桐谷まず一般的なR&Dの領域を整理し、そのうえで「ChatworkにおけるR&Dとは」を定義しました。R&Dの要素を5つに分解し、その要素の強さからフェーズを基礎研究から経済的実証の6段階に示したうえで「さあ、どのフェーズまでやろうか?」という議論をしました。

R&Dの整理(提供:Chatwork株式会社)

桐谷通常、浅いフェーズのR&Dは、政府や非営利団体が担うもの。その次のフェーズを大学や大企業が担いますよね。事業会社としてどこまで浅いフェーズ(上図でいう左側)まで伸ばすのかを決める必要があると思います。

留意すべきは、開発研究と概念的実証は地続きに見えますが、ここには実は大きな谷が存在しているということ。この谷を超えるか否かで、難易度・投資金額・投資回収可能性や回収期間が全く別世界になるということです。

特にLLMの活用に関しては「自社しかアクセスできないデータを保持視しているか」「ユースケースを想定できているか」の2つの視点を持った議論が重要だと思います。

中村これはLayerXが6年くらい悩み続けた話ですね(苦笑)。創業期には、ブロックチェーンに関する論文を執筆するような基礎研究レベルからやってきました。ハードなR&Dでしたね。

BizDevに向かうR&Dは、「技術の不確実性」と「ユースケースの不確実性」によって取り組み方が変わると思います。ブロックチェーンや暗号資産はまだ技術の黎明期で、事業化まで距離が遠かった。一方で今のLLMは製品化されたAPIが出ているくらいなので、先端技術の中では不確実性の低いもの。ユースケースがいくつか定まり始めたところでしょうか。

LayerXは今、「文書処理業務」という、工数削減をストップウォッチで測れるというシンプルなユースケースに絞ってBizDevを進めているところになります。

桐谷BizDevという観点だと、僕らは最近、「マーケットアウト」と言っています。世の中の流れから、構造的に「世界はこっちの方向性に明らかに向かう」という仮説を立てて、そこに先に飛び込んで待つという事業のつくり方をしています。

なぜなら、非IT領域の中小企業のユーザーにいくらヒアリングをしても、新たなニーズが生まれる瞬間をその現場で見つけることは難しいからです。いわゆる「マーケットイン」は進めにくい。そこで、構造理解をしたうえで新たなニーズと技術の発展の方向性を予測してそこから事業をつくる「マーケットアウト」という考え方をしようとしています。

プロダクトアウトがアート的(文学的)につくるやり方、マーケットインがサイエンス的(数学的)につくるやり方だとすると、マーケットアウトはこの両方を求められます。これはなかなかやりがいのある仕事です(笑)。

Chatworkが考える「マーケットアウト」での事業創出(提供:Chatwork株式会社)

中村まだ顕在化していない新たなニーズを予測するためにも、見晴らしの良い場所に立っていることが重要ですよね。

LLMでの文書処理も、まだお客様の方からLLMで実現したいというニーズが出てくる段階ではない。でも「この業務はちょっと面倒くさいな」と感じている人たちは多くいる。それを自分の目線で見られる立ち位置にいることが大事だと思います。

桐谷ユーザーがどういう動きをしているのかを見られるこの立場は、サイエンスとしての解像度が高まるので、活かすべきですね。

中村これが、R&Dやインキュベーションの組織を持つ理由なんじゃないかと思います。既存事業でいろいろな観察ができると思うので、それを眺めて、次の事業のテーマを探すような時間がある人をちゃんと置いておくべきなんです。

桐谷僕も、ぼけーっと全体を見て「何となくこっちかな」みたいなことを普段考えています(笑)。こっちはアートの世界ですね。そういう存在はすごく重要だと思います。

中村はい、R&D組織では、新規事業の確度を気にするよりも、雑な発言が許されるほうが良いと思います。

でも、「ぼけーっとさせる時間」を与え過ぎないことも大事かなと。新たな事業機会を発見したら、基本的にはその事業に当事者として携わるようにした方が良いと思うんです。だから人材交流が必要。

桐谷なるほど。うちは今、BizDevもそうですが、R&D機能を既存事業から切り離して1か所に集約しようと舵を切ったところです。「あなたたちは、ぼけーっとすることが仕事です」というかたちの“柵”をつくりました。

中村理想は“素人発想、玄人実行”だと私は考えています。『独創はひらめかない』という本で語られている言葉です。素人のようにあれこれと発想した上で、実行はもうガチガチに毎週目標を決めてめちゃくちゃ勉強してめちゃくちゃ働いて、というのが、私の好きなラボ組織の在り方ですね。

桐谷素人であり続けるのが難しいですよね。だから、事業や顧客との距離感をコントロールして、思考のキャップになるものを外し続けるというのが、R&D組織のトップの重要な仕事になってくると思います。

うちは7月にChatworkからkubellに社名変更を予定しています。社名を変えるのも、「もうSaaSだけの会社じゃないです」と決めちゃう感じです。社内に対しても社外に対しても、キャップを外すという意思の現れだったりします。

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AI・LLMが広げる新たなITマーケット、
そして求められる“両利き”の人材像

二人がこれから注力しようとしているのが、エンジニアリングとビジネスを兼ね備えるBizDev人材の輩出だ。まさに今、採用や育成に奔走している。では、どのような点を重要視しているのだろうか。ここでも意外に、「両利きが必要」という共通点を基に議論が盛り上がる。

中村技術がわかるBizDev、あるいはクライアントワークができるエンジニアをもっと増やさなければならないと思っています。AI・LLMのような技術的な競争の激しい分野では、問題解決において技術だけで10~100倍の価値を生み出すのは本当に難しいのですが、ユーザーを深く理解するだけで100倍の価値創出ができる可能性もあります。

なので、一人のBizDevと一人のエンジニアが組むよりも、一人の人格の中に「ユーザーの代弁者」と「特定のテクノロジーの専門家」がいるほうが、いろいろなアイデアを出しながら速く進めることができ、唯一無二の存在になりえます。

桐谷同意です。僕も社内メンバーに対しては、「自分はビジネスサイドだ/プロダクトサイドだ」と切り分けた定義はしないようにといつも伝えています。

僕はもともとビジネスサイドでセールスから入った人間ですが、技術のことが何もわからないのはまずいと感じるようになって、AIベンチャーに飛び込んで必死にキャッチアップし、Chatworkに入社しました。その中でプロダクトを必死に勉強してその構造がわかるようになろうとしてきました。

特にAI・LLM領域では、ビジネスとエンジニアリングの両利きが活きるのだと語り合う。

桐谷LLMの精度をもっと上げていく必要もあるかと思います。詳細なユーザー理解や業界・業務の理解が不可欠になるのがこの領域の特徴でしょう。

「そもそもLLMが業務を代替するとは、どういうことなのか?」という問いの立て方に向き合い続ける必要があります。

中村まさしく、精度を上げるにはユーザーさんからの協力を得続ける必要性があります。なのでクライアントワークができることが重要。AI・LLM事業部でも、敢えて分業せず、両方を担う人材が半永久的に活躍し続けていきそうです。

桐谷課題設定の進め方自体で、新たな勝ち筋を見つけやすくなったのではないかとも思うんです。これまでのIT産業では「顕在化した課題をテックでどう解くか」が問われていました。ですがこれからは「顕在化していない課題を予測し、技術トレンドを追いかけながらユースケースをつくることで、新たに勝てる領域をつくり出す」ことになる。ITのマーケットが明らかに広がったと感じます。

中村そうですね、IT産業って、以前は「伸びるのが当たり前」と思われていたのに、ここ数年は停滞を感じる人が増えていた。そこに、LLMが新たなチャンスを広げていると感じます。

二人とも、市場拡大の確実性が高いわりには、入ってくる人材が多くないままだという点に課題感を覚えている。そこで最後に、どのような人から興味を持ってほしいと感じているのか、考えを聞いた。

中村この記事を読んでいただいているということは、エンジニア出身だけれどBizDevにも興味があったり、BizDevだけれどテクノロジーに興味があったりするのだと思います。もうその時点で市場価値としてレアかもしれません。ぜひその興味関心を活かして、経験とスキルを積み重ねられるChatworkやLayerXのような場所に来てチャレンジしてほしいですね。

桐谷Chatworkだからこそできること、あるいはChatworkでしかできないことが、この領域では確実にあると思います。その基盤となるのが、「チャットのUIが広く使われている」「高品質なユーザーの行動データを持つ」「大量のテキストデータにアクセスしうる環境にある」という3点です。

ChatGPTが一気に流行った一番の理由は、チャットというUIでみんなが使えるようになったからだと捉えています。それなら、すでに広く使われている『Chatwork』というプロダクトが生成AIを備えれば、より大きなインパクトを出せるかもしれない。普段会話をしている場所で、より良い答えが返ってきたり、オペレーションが自動化されたり、そうしたことが起きたほうが圧倒的に便利ですよね?

ただ、プロンプトの書き方ひとつで使い物になるパターンとそうでないパターンに別れる、つまりユーザーのリテラシーによってプロダクトの価値が全く異なるという現在のUXは、非常にまずいです(笑)。AI/LLMの民主化を一緒にやる人を広く募集しています。

中村AI・LLMに対しては、まだ懐疑的だったり、関わるイメージを持てなかったりする人もいると思います。そんな人こそ、LayerXでのチャレンジを検討してほしいですね。

なぜならこれまで、ブロックチェーンとプライバシーテックという二つの先端技術領域に挑戦し、うまくいかなかった反省があるチームだからです。大きなことを言うだけでなく、慎重に仮説検証して進めるノウハウもありますので、比較的、チームの動きを信じてもらいやすいのではないかと思います。

ちなみに、AI・LLM事業部からも近いうちに一つ、新プロダクトを発表できると思います。

桐谷それは楽しみですね。僕らは何かわかりやすいプロダクトを発表するというより、実は裏側でAI・LLMを活用していて恩恵を受けているという状態をつくるのが先だと思います。それは、「ユーザーさんも気づかないくらいのかたちで、実はものすごく効率化されていた」というようなイメージです(笑)。

AI・LLMを組み込んだプロダクトづくりを目的にするのなら、何かしらをつくろうと思えばつくれますが、「本質的に届けたい価値は何なのか」に向き合い続けようと思っています。

両社とも高角度の成長を遂げていくための戦略やロードマップを描き、そのためにBizDev(事業開発)含めさまざまなポジションでの採用を進めている。これまでの事業とは全く異なるかたちで大きなインパクトを創出しようとする動きに加わるチャンスを、ぜひ見逃さないでほしい。

こちらの記事は2024年06月05日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

雨谷 里奈

写真

藤田 慎一郎

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