連載資金調達の週報
魚の餌やりを最適化するIoTサービス、スマホ時代のスポーツ観戦アプリなど──押さえておきたい資金調達の週報【〜6月24日】
資金調達が活況となり、日々調達のニュースが溢れている。
一つひとつを追いかけるのが大変な読者のために、FastGrowでは週次で国内外スタートアップの資金調達ニュースを紹介している。
今週も日本から4社、海外から2社をピックアップしたい。
2018年6月18日〜2018年6月24日分過去の週報はこちら
- TEXT BY MASUMI OSAKI
- EDIT BY KAZUYUKI KOYAMA
ウミトロン : 魚の餌やりをIoTで最適化
資金調達概要
調達額 |
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約9.2億円 |
調達先 |
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産業革新機構 |
D4V |
藤代真一氏、松岡剛志氏ら個人投資家 |
サービス概要
水産養殖が抱える課題をテクノロジーで解決する『ウミトロン』。
同社が第1弾のプロダクトとして開発している「UmiGarden」は水産養殖における餌やりをIoTやAIなどを活用して最適化する。具体的には生簀にセンサーをとりつけることで飼育状況をモニタリング。取得したデータを解析して餌やりのタイミングや量を調整することができるというものだ。
アプリと連携しておければ餌やりの作業は遠隔からスマホでできるため、生産者の業務負担を削減する効果もある。
ookami : スマホ時代の新しいスポーツ観戦サービス
資金調達概要
調達額 |
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非公開(数億円規模との報道あり) |
調達先 |
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NTTドコモ・ベンチャーズ |
みずほキャピタル |
朝日メディアラボベンチャーズ |
アシックス・ベンチャーズ |
グリーベンチャーズ |
スパイラル・ベンチャーズ |
サービス概要
スタジアムやテレビに次ぐ、新しいスポーツ観戦アプリ「Player!」を開発する『ookami』。
Player!ではファン同士でライブチャットも楽しめるリアルタイムの試合速報コンテンツを軸に、ニュース記事の閲覧や試合スケジュールのチェックなどができる。特徴はメジャースポーツだけではなく、多くのアマチュアスポーツやマイナースポーツを扱っていること。特に大学スポーツを中心に、熱狂的なファンが集まる競技、大会の情報をカバーしている。
フレセッツ : 事業者向けの仮想通貨ウォレット
資金調達概要
調達額 |
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3億4,900万円 |
調達先 |
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UTEC |
セレス |
サービス概要
事業者(仮想通貨取引所)向けのウォレットを開発する『フレセッツ』。
一般ユーザー向けのウォレットを開発する企業は複数あるが、フレセッツでは事業者向けに法定通貨と同等レベルの安全性を担保しつつも、可用性やスケーラビリティのニーズにも答えるウォレットを開発している。
2018年1月にコインチェックのNEM流出問題が大きなニュースとなったが、仮想通貨取引所のハッキングによる仮想通貨流出が近年増えてきている。フレセッツでは事業者が社内に専門家を抱えなくても、金融事業者が求めるような高い要求水準を満たすウォレットの提供を目指している。
ジオロジック : 位置情報を活用したアドネットワーク
資金調達概要
調達額 |
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約1億円 |
調達先 |
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ジェネシア・ベンチャーズ |
LINE Ventures |
東急エージェンシー |
サービス概要
スマホユーザーの行動からライフスタイルや興味などを推定して広告配信ができる「GeoLogic Ad」を展開する『ジオロジック』。
ユーザーの過去の位置情報をもとに、指定した地点を訪れたことのあるユーザーのみに広告を配信できるほか、大学やショッピングセンターなどの施設や鉄道路線といった地点情報を指定してターゲティング広告を打つこともできる。
また同社では国勢調査などのデータを分析し、日本全国の町丁目を36のクラスターに分類した独自のデータベース「GeoGenome」を保有。このデータベースと位置情報を掛け合わせることで、「超高級住宅地のエグゼクティブ」や「育児ニュータウンマンション」といったユニークなターゲティングができるのも特徴だ。
Calm: 瞑想&睡眠サポートアプリ
資金調達概要
調達額 |
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2700万ドル(シリーズA) |
調達先 |
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Insight Venture Partners |
Sound Ventures |
サービス概要
良質な瞑想と睡眠をサポートするアプリ『Calm』。
ガイド付きの瞑想コンテンツや安眠のためのハウツーコンテンツ、リラックスできる音声コンテンツを配信しているメンタルケアアプリ。タイマー機能や何日間続けているかがわかるカレンダー機能など、瞑想をサポートする機能を搭載。無料でも使えるが、有料会員向けに限定コンテンツも配信している。
VentureBeatによるとすでに世界で2600万ダウンロードされている人気アプリだ。
Virtusize : スウェーデン発のオンライン試着サービス
資金調達概要
調達額 |
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15億円 |
調達先 |
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D4V |
豊島のCVC |
YJキャピタル |
ベクトル |
RealityAccelerator |
PE&HR |
バリュークリエイト |
サービス概要
過去に購入した服や手持ちの服とサイズを比較することで、さまざまなアイテムのフィット感をオンライン上で確かめられるサービスを開発する『Virtusize』。
自分が興味のあるアイテムを自分の持つアイテムをサイト上で重ね合わせれば、イラストと数字でサイズの違いを可視化。オンラインでも自分にあったサイズ感の服を探すことができる。
日本でもユナイテッドアローズやルミネ、マルイをはじめとした企業が導入。スウェーデン発のスタートアップだが、中国や韓国も含めたアジアでの成長を見込み、今後本社と開発拠点を日本に移す予定だという。
こちらの記事は2018年06月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
大崎 真澄
編集者。大学卒業後、建築設計事務所、デザインコンサル会社の編集ディレクター / PMを経て、weavingを創業。デザイン領域の情報発信支援・メディア運営・コンサルティング・コンテンツ制作を通し、デザインとビジネスの距離を近づける編集に従事する。デザインビジネスマガジン「designing」編集長。inquire所属。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
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