連載資金調達の週報
安全にデータを扱う技術“秘密計算”
Acompanyが総額2億円を資金調達──押さえておきたい資金調達ニュース
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowは、さまざまなコンテンツを通して、いま注目すべき次世代の成長企業と出会う機会を提供している。
『資金調達の週報』では、編集部が厳選したスタートアップの資金調達ニュースをまとめてお届け。資金調達の様子を定点観測していれば、次の成長企業が見えてくるはずだ。今週は4社をピックアップした。
2021年6月14日〜2021年6月20日分 過去の週報はこちら
- TEXT BY KEISUKE KOSAKAI
- EDIT BY YUI TSUJINO
Acompany
データ活用社会を特殊技術で支える
資金調達概要
調達額 |
---|
総額2億円 |
調達先 |
---|
ANRI株式会社「ANRI 4号投資事業有限責任組合」 |
Beyond Next Ventures株式会社「名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー2号投資事業組合」 |
株式会社DG Daiwa Ventures 「DG Lab Fund II E.L.P. Cayman」 |
epiST Ventures「epiST Ventures 1号投資事業有限責任組合」 |
サービス概要
秘密計算エンジン『QuickMPC』を主軸に、プライバシー保護及びセキュリティに関するソリューションを展開する、Acompany。
秘密計算とは、データ活用時に暗号化したまま安全にデータを扱える技術。
『QuickMPC』は、デジタルマーケテイング、医療など、データ活用時のプライバシー保護が重要である領域へ秘密計算の実用化を推進する。
今回の資金調達により、プロダクト開発、秘密計算アルゴリズムの研究開発及び採用・組織体制の強化をおこなう予定だという。
最終的には、あらゆるデータが安全に繋がり活用できる“なめらかなデータ活用社会”を実現していくことをビジョンにしています
そう語るのは、代表 高橋亮祐氏だ。Acompanyがどのような未来を実現したいかがまとめられたnoteをぜひご覧いただきたい。
ネクストミーツ
代替肉の世界的プラットフォーマーを目指す
資金調達概要
調達額 |
---|
約10億円 |
調達先 |
---|
非公開 |
サービス概要
日本発の代替肉ブランドを展開し、少しでも過剰な畜産を減らすことで気候変動問題の解決に貢献することを目指す、ネクストミーツ。
世界初の焼肉用フェイクミート『NEXT焼肉』シリーズ、100%植物性の牛丼『NEXT牛丼』や、鶏肉タイプの代替肉『NEXTチキン』などをこれまでに発売。
2017年から共同創業者2名が研究を始め、プロダクト完成の2020年6月に法人化。2021年1月には米国市場にSPACスキームでOTCBBに上場、現在は日本だけでなくアメリカ、シンガポール、台湾、ベトナムなど海外10カ国以上に進出している。
今回の資金調達により、研究体制強化、代替肉の原料・製品のクオリティ向上、生産効率・サプライチェーンの質を上げていく予定だという。
代表 佐々木英之氏は、1980年生まれ。早くから起業した経験を活かし、海外に目を向け、中国深センにて12年間さまざまな事業に携わる。大企業向けのアクセラレータプログラムや、メディア運営で培った経験を生かし、2020年6月にネクストミーツを設立。
エシカル・スピリッツ
廃棄物を活用した「クラフトジン」ブランド
資金調達概要
調達額 |
---|
1.4億円超 |
調達先 |
---|
Beyond Next Ventures株式会社 |
サービス概要
廃棄素材を使用したクラフトジンの生産などを展開する、蒸留ベンチャー、エシカル・スピリッツ。
日本酒生産工程の最後に生成される酒粕を再蒸留してクラフトジンを生産・販売する。また、その利益から酒米を酒粕提供元の蔵元に提供し、再度そこから日本酒を再生する循環モデル「エシカル・ジン・プロジェクト」を始動させた。
2021年1月には、エシカル生産及び消費に特化した世界初の再生型蒸留所『東京リバーサイド蒸溜所』を東京蔵前に建設。
今回の資金調達により、新たな再生型蒸留所の建設、海外販路の拡大を主におこなう予定だという。
代表 山本祐也氏は、2015年より、日本酒セレクトショップ『未来日本酒店』を運営する未来酒店の代表として活動してきた。過去にはAKB48プロジェクトの運営会社にて事業開発を担当、それ以前は、野村證券及びJPモルガン証券にて投資銀行業務に従事。
IoTBASE
IoTデータを一元管理できるダッシュボード
資金調達概要
調達額 |
---|
約8千万円 |
調達先 |
---|
インキュベイトファンド |
株式会社グロービス |
あおぞら企業投資株式会社 |
サービス概要
現場のさまざまなセンサー情報を統合管理するIoTデータダッシュボードサービス『Canvas』を展開する、IoTBASE。
『Canvas』は、車両や設備の状態監視センサーのデータや、作業ステータス、現場写真などの情報をクラウド上で一元管理できる。
今回の資金調達により、業務プロセスにおける課題解決ニーズに対応するためのプロダクト開発をおこなう予定だという。
代表 澤和寛昌氏は、医療系人材会社で営業経験後、ITの魅力に惹かれスタートアップ領域へ。ITベンチャーでIoT新規事業開発を担当し、2015年2月にIoTBASEを創業。
こちらの記事は2021年06月23日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
次の記事
連載資金調達の週報
執筆
小酒井 圭祐
国内スタートアップの資金調達ニュースをまとめていきます。トレンドの変遷を追っていくことに興味があります。趣味は筋トレとプログラミング。
編集
辻野 結衣
1997年生まれ、東京都在住。関西大学政策創造学部卒業し、2020年4月からinquireに所属。関心はビジネス全般、生きづらさ、サステナビレイティ、政治哲学など。
おすすめの関連記事
「PMFまでの苦しい時に、資金と希望を与えてくれた」──ジェネシア・ベンチャーズ × KAMEREO、Tensor Energy、Malmeの3対談にみる、“シード期支援のリアル”
- 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ