連載ベンチャー新卒1年目の教科書

リモートワーク虎の巻──目の届かないところで、一目置かれる方法

寄稿者
白鳥 陽太郎
  • スローガンアドバイザリー株式会社 取締役 

千葉県習志野市出身。市川高校を経て、早稲田大学政治経済学部に入学。カンボジアで教育支援に取り組むNPOにて代表を務める。東日本大震災直後から、特定非営利活動法人ETIC.「右腕プログラム」のメンバーとして被災地域のアセスメント業務に取り組む。東北地域で感じた「新しい産業と雇用創出の仕組みづくり」という危機意識にコミットメントするべくスローガンに入社。入社後はスタートアップ企業の新卒採用コンサルティングに従事。Goodfind Magazine編集長も務める。グループ会社であるスローガンアドバイザリーに立ち上げのタイミングで参画し、キャリア面談から、法人セールス、Webマーケティング、ディレクター、採用と幅広く担当。

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ようこそ狂気とカオスの世界へ!

じめじめとした雨の日が続くなか、いかがお過ごしだろうか。

緊急事態宣言があけ、今月から出社という方もいるかもしれないが、ベンチャーに入社した皆さんは、しばらく(もしくは今後もずっと)リモートワーク、という方も多いかもしれない。

ということで、今回のテーマは「目の届かないところで、一目置かれる方法」、題してリモートワーク虎の巻だ。

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そもそもリモートワークで何が変わったのか。

さて、リモートワークといっても、いったい何が変わったのだろうか。

それは、あなたが他人からインプットする量だ。先輩社員から学ぶ、細かくフィードバックをもらう。そんな他人から学ぶ機会が減っている。

そんな私も、先輩社員の働き方から多くを学んだ。先輩が電話口で、お客様と話をしている内容、話し方。仕事の進め方、PCの操作方法。

そんなものをコソコソとメモしながら「自分でもやってみよう」と日々の業務に取り込んできた。

心優しい、お節介な先輩でもいれば、PCの前で5-10分フリーズしていれば、「どうしたの?」などと声を掛けてくれたり、メール処理やちょっとしたPC操作でも、「おいおい!いちいち一つずつコピペすんな、こんなツールがあって」などと、フィードバックをもらえたりしたはずだ。

だが、リモートワークになるとこのような他人から学ぶ機会が減っている。

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「其の一」マイクロマネジメントを心がける

じゃあ、どうすればいいのかというと「マイクロマネジメントを心がけよう」だ。書いて字のごとく、細かく管理してもらおう(してもらいやすくしよう)ということだ。

言いたいことは分かる「先輩は忙しそうだし、しかも細かく管理されるのって苦手」。

ただ、あなたが一人で茫然自失としながら、生産性の上がらない日々を過ごし、独り立ちするのが遅れる方が問題だ。

気遣いするのと気後れするのは違う、考えるのと悩むのも違う。遠慮はコストだ(もちろん配慮はマストだ)。

具体的には、一日の最初に10分-30分ほど、固定で時間を貰うのがいいだろう。仰る通り、先輩・上司も忙しいので、いちいち聞くよりは、まとめて聞いた方がいい。

うまくやるコツは一覧性を確保することだ。

スプレッドシートや、Evernoteなど共有できるツールを用意しよう。

そこに

  • 今月やること
  • 今週やること
  • 今日やること

をまとめて書く。

大事なことは「全部書き出すこと」だ。

そして、「今日やること」を一日のスケジュールに落としておく。

最初は30分単位とかが良いだろう。

9:30-10:00:メールチェック&対応

10:00-10:30:タスク管理ミーティング

10:30-11:00:提案書作成(目次作成)

11:00-11:30:提案書作成(ヒアリング項目のまとめ)

11:30-12:00:休憩

12:00-12:30:提案書のフィードバック

慣れるまでは、可能な限り細かく書こう。

なぜかというと、書けないことは、分からないからだ。逆に、書くことで、何が分からないのかが分かる。

上記の「目次作成」も、より具体的に「(1)●●、(2)▲▲、(3)■■」、などと書いた方が、チェックしてもらいやすい。

30分単位で、「なにをするのか」のイメージがクリアにできれば問題ない。そして、頭のなかの「何を」「どのように」するかの手順を先輩社員とすり合わせる。具体的に30分の過ごし方をイメージしたときに思考が止まってしまうことがあれば、それは先輩にまとめて聞いた方がいい。

それは、実際に取り組もうとしても、立ち止まってしまう可能性が高い。

こうすれば

  • 何をしようとしているのか(優先順位やスケジュール)
  • どうやってやろうとしているのか(仕事の進め方や、具体的な方法)
  • なぜやるのか(タスクの背景理解や、心構えなどの前提条件)

といったフィードバックが細かくとれるようになる。

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「其の二」他部署と関係構築するために情報発信する

リモートワークのもう一つの特徴は、自分の部署に閉じたコミュニケーションが増え、他部署のメンバーとの関わりが減ってしまうことだ。

ただ、当然、自分の部署だけで仕事が完結することも少ないので、他部署の社員との関係構築、コミュニケーションに壁を感じる新卒メンバーも多い。

例えば、あなたはマーケティングの部署に所属していたとしよう。月のリード獲得件数は変わらないのに、売上が下がっている。リードの質が変わってしまったのか、それとも顧客ニーズが変化しているのか。それは、セールスチームに聞くのが手っ取り早い。ただ、うまく関係構築できていないのに「セールスチームの売上が下がっているのは、なぜですか?」とは、なかなか聞きづらい。

じゃあ、どうすればいいのか。やることはシンプルだ、情報発信すればいい。

「そんなこと恥ずかしいし、面倒くさい」。まあ、そうなのだが、これは「やる人」と「やらない人」との差が分かりやすいので、同期と大きな差をつけられる。

申し訳ないが、そこそこ会社の規模も大きくなってくると、他部署のメンバーはあなたのことを「知らない」。それこそ入社式がスキップされてしまった会社も多いので、尚のこと名前と顔が一致しないメンバーが多い。だからまずは「覚えてもらう」ことだ。

日報や全社でのイベント行事などは名前を売る絶好の機会だ。別に日報の制度がないなら、勝手に全社のメーリングリストや、チャットに送ればいい。

うまいことを書く必要はない。ただ一所懸命に書くことだ。自分がいまどこの部署で、どんな仕事をしているのか。今日の気づきや学びは何だったのか。

毎日、返信やリアクションはもらえないかもしれない。ただ、周りは絶対に見ている。

「あー、いつも日報出してる●●さんね!前に書いてたことなんだけど、、、」とフィードバックやアドバイスでも他部署の方から貰えればラッキーだ。

とあるベンチャーでは、全社でのユーザー会の司会というのが、出世コースになっている。もちろん、そんなことは名言されていない。ただ、それをやった人が、毎年その後に出世していくらしい。

頭角を現すには、まずは打席に立たなくちゃいけない。ただその打席は平等にはやってこない。だからこそ自ら発信して、覚えてもらう必要がある。でなければ、選ぶ側の選択肢にも入らない。

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「其の三」心のベクトルの操作技術を覚える

リモートワークになると、ちょっとした疑問を気軽に聞くというのが難しくなっている。普段なら「ちょっといいですか?」と聞けるようなことも、いざチャットで話しかけようとすると、「そんなことも、まだ知らないの?」と思われるんじゃないか、と手が止まってしまう。

しかも、3ヶ月もすると、段々と分かってくるものだ、「いまの自分の現在地」が。

自分はもっと仕事ができるかと思っていたのに、毎日失敗して怒られてばかり。もう、そんなダメな自分を見せつけられたくない。そんなプライドの高い、出来ない自分と、どう折り合いをつけていけばいいのだろうか。

ちゃぶ台をひっくり返すようで恐縮だが、なんでこんなことで悩むのかというと、それは心のベクトルが「自分」に向いてしまっているからだ。だから、心のベクトルを180°ひっくり返して、「仕事の成果」に向かわせればいい。

これは根性論じゃない、心のトレーニングだ。この心のマネジメントが上手く出来ず、感情に流されて仕事をする大人も多い。これは技術であり、獲得できるものだ。変な癖がつく前に、矯正した方がいい。

とある起業家が言っていた「Fail Fast」だと。そしてとあるデザイナーが言っていた「右か左かじゃない、上に登ることだ」と。

いまあなたは道の分岐点にいる、右か左か。そこで悩む、どちらが正しいのか。地図を広げ、情報をかき集める。それでも右か左かが分からない。そして確信が持てないので、道を引き返す。

もちろん失敗=死、みたいなシチュエーションはある。が、きっとあなたはまだそんなシチュエーションにはいない。

大事なことは、上に登ることだ。右か左かで悩んでも、道がつながっていて、どちらでも良かったかもしれない。もしくは右の正解の道を選べたとしても、更にその後にはいくつもの分岐点が待ち受けているかもしれない。

大事なことは、上に登るために、失敗のリカバリー方法を覚えることだ。早めに傷が浅いうちにもとに戻る。周りを巻き込んで助けてもらう。取り返しのつかない大きな失敗をする前に、小さな失敗をたくさん積み重ねて「失敗の仕方」を学んだ方がいい。

そのためには「失敗したらどうしよう」という「自分向き」のベクトルから離れて、「成果」に対して心の舵を切ることだ。No Pain, No Gain。傷つかなくちゃ、うまくなれない。梅雨が終われば夏が来る、さぁ一旗揚げにいこうじゃないか。

連載第8回目は、7月17日公開 乞うご期待!

こちらの記事は2020年07月03日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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