高付加価値の仕事がしたいなら、農業を「儲かるビジネス」にする挑戦はどうだ?圧倒的な効率化で世界へ挑む唯一無二のスタートアップ・ニチノウの戦略を読み解く
Sponsored2022年、日本の農林水産物・食品輸出は1兆4,148億円と過去最高を記録し、前年比14.3%増という右肩上がりの成長を見せた。また農産物だけでも8,870億円に達し、長年にわたる成長が続いている。
国内市場の人口減少を考えると農業は斜陽産業と語られがちだが、実際は外貨を稼ぐ強力な成長産業としての潜在力を秘めているのだ。
これらを背景に、農林水産省も農業を“成長産業”と捉え、スタートアップ創出のための予算配分に着手するなど、徐々に変化の兆しが見えつつある。
しかし、この日本の農業界に警鐘を鳴らす人物がいる。日本農業 代表取締役CEOの内藤祥平氏だ。
曰く、農業は医療分野と同じく、長くアンタッチャブルゾーンとされてきた分野であり、農業BizDevによる新たな需要創造への期待は高い。その一方で、業界には長年の衰退産業としての経験から「負け癖」がついてしまっているのだと。
実際、天候に左右されやすくボラティリティの高いイメージのある農業。その農業の構造を変革し、本来の日本の農業が持つポテンシャルを最大限に活用したいというのが内藤氏の熱意だ。
もちろん、この壮大な変革は政府の仕事ではないかとの見方もあるだろう。そんな大掛かりな事業を日本農業はいったいどのように仕掛けているのだろうか。本記事では、内藤氏に、農業、ひいては日本の産業Bizedevの勝ち筋について話を伺っていこう。
- TEXT BY YUICHI YAMAGISHI
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
日本の農業衰退の原因は「負け癖」にあり?
慶應義塾大学を卒業後、新卒入社したマッキンゼーを経て日本農業を創業した内藤氏。その経歴からは、IT業界でSaaSを展開するスタートアップを立ち上げるという選択肢をとる人が多いイメージがある。なぜ“儲からないイメージ”の強い農業を選んだのか。そんな率直な取材陣の問いかけに対して、内藤氏は一言「農業は儲かるビジネスだ」と言い放った。
内藤日本の農業には、皆さんが想像する以上にチャンスがあるんです。一般的に「農業」と聞けば、稼げないビジネスだと思われがち。手作業による農作業やスローライフが連想されるでしょう。実は、そんな伝統的な農業のイメージとは別に、農業はビジネスとして非常に大きな可能性を秘めています。
例えば、「りんごの樹を、高密植栽培という新たなかたちに変える」といったような方法だけで、生産性がすぐに2〜3倍になったりするんです。そもそも、流行りのテクノロジー活用に頼らずとも、その前段階にアップサイドの余地が、まだまだ眠っているんです。
勘の鋭い読者であれば、なぜ近年輸出が伸びているのにも関わらず、日本の農業は斜陽産業のイメージが強いのか、疑問に思うことだろう。その原因を内藤氏は日本の農業界に蔓延る「負け癖」に見る。
内藤誤解を恐れずにいえば、農業の産業全体に、「負け癖」が染み付いてしまっているんです。日本の農業にはポテンシャルがあるにも関わらず、農業に携わっている当の本人たちが、農業の持つポテンシャルを信じきれていないんです。
それどころか「スケールしない」「儲からない」「伸びるイメージが持てない」と我々国民までもが思ってしまっているのが日本の現状。これは、正直とてももったいない、日本全体の機会損失だと感じています。
日本全体が抱える「負け癖」について、多くの読者が共感を覚えるかもしれない。かつて世界の市場価値ランキングで日本企業がトップに君臨していた時代から、今日の中国やアメリカ、さらには新興国の勃興により、多くの日本人は再起の意志を失いつつある。
そして、この「負け癖」は、農業分野にも同様に見られるのだ。日本の農業には、他業界とは異なる固有の課題が存在しているのだろうか。
内藤日本の農業の大きな課題、それは「国内の市場しか見ていない」ということに尽きると思います。
日本の農業は、「需要が国内で伸びていかないから、供給もこれ以上伸ばさなくてもいいか」というような考えが染み付いてしまっています。このゼロサム思考は、輸出の選択肢が限られるため、豊作の年であっても需給バランスの崩れから価格が低下し、豊作貧乏を引き起こしています。その結果、耕作放棄地が増加している状況です。
しかし、世界を見渡すと人口はどんどん増えていますので、農地は全然足りていません。すると、「生産性を上げてより効率的にものをつくっていこう」というインセンティブが働きますよね。このギャップが日本の農業の生産性が他国に比べて低いという課題を生み出してしまっています。
一方で、これは大きなチャンスでもあります。アジアの購買力は増加傾向にある一方、悲しいことに日本の人件費はもはや高くはなくなりました。美味しい日本の農産物をしっかりと海外に輸出すれば、無限にチャンスが広がっていくんですよ。
日本の農業が世界市場で戦っていくためには、成長志向を持ち、海外市場で稼ぐ必要があります。そのためには生産性を大幅に向上させなければなりません。そのために私は、日本農業を設立しました。
日本人の“真面目さ”は諸刃の剣。
狙うはアジア圏の富裕層マーケット
ではいったい、具体的に日本の農業をどう変革していけばいいのか。内藤氏に言わせれば、その答えは明確だ。
社会変化を引き合いに出しながら見ていこう。農林水産省(以下、農水省)は約25年ぶりに農業基本法を改正した。
内藤農水省の方針に基づき、日本の農林水産業は成長を目指す新たな道を歩み始めています。その核となるのは、「輸出を通じた新マーケットの開拓」です。
過去を振り返ると、日本の農政は「供給制限」の歴史を持っています。国内需要が伸び悩む中で、農地の維持のために供給側を抑制し、一時は単価の低下を防ぎました。しかし、長期的に見ると生産性は下がり、成長産業ではなく衰退産業を維持するための「特殊なゲーム」が続いていました。この結果、農業への投資は増加しなかったのです。
また、農業と資本主義の相性の問題も挙げられます。日本の農業は家族経営が多く、農業が生活に根ざしているんです。すると、PDCAを回してみて合わないからやり方を変える、といった施策が取りづらくなってしまいます。
ある地域で土地を一気に集めて桃を作ってみたらダメだったので、次は栗をやってみよう、それでもダメだったから農地を売ってしまおう、といったやり方ができない。つまり不可逆性が高いのです。
内藤氏は日米の農業の捉え方の違いを「日本は“なりわい的”、アメリカは“ビジネス的”。」と表現した。アメリカでは大手銀行やファンドが農業に大規模な投資を行い、農業法人も多岐にわたるビジネス展開を行っているため、人材や資金が集まり、多様なビジネスが行われる。一方、日本の農家は、家族経営や地域に根ざした形で、品質追求と匠の技を大切にしながら農業に取り組んできたのだ。
そんな日本だからこそ、アメリカ式の農業ビジネスの設備や栽培方法といった手法を積極的に取り入れることで、大幅な生産性向上の余地が見込まれるのだという。
また上記に挙げた日米差は何も日本の農業が根本的に劣後しているというわけではない。日本の生産方式は“品質の高さ”という最大の産物を生み出したのだ。
内藤日本の農業の最大の強みは何より圧倒的な品質の高さです。やはり日本人は真面目なんです。農家、JA職員、農水省と、関わるすべての人が長年、真面目に仕事を行い、小規模でも品質を追求するように研究や開発が行われ、高品質な品種の開発や栽培技術といった観点で、良質な製品づくりのインフラとなっているんです。
歴史を振り返り、日本独自の強みも理解した上で「今が、日本の農業を再建する最後のチャンス、攻めるべきだ」と内藤氏は危機感を込めて語気を強めた。
内藤日本から地理的アクセスの利点があるアジア圏では富裕層が増えており、美味しい食材への感度の高い人が増えています。この方々へ向けて、日本の農業が品質を維持しながら生産性の向上に投資をすれば、一気に売上を伸ばせる土台が、既に揃っているんです。
その上で、日本の農業がグローバルに戦うためには、2つの大きな課題を乗り越える必要があるんです。
まず一つ目が「生産性の向上」です。実は、日本の果物は海外でもものすごく高く評価されているんです。いちごやりんごといった一部の分野では「芸術品」とも称されるほどですよ。
そうであったとしても、とにかく値段が高すぎるんです。もう少し正確にいうのであれば、美味しさと価格が釣り合っていない。バリュー・フォー・マネーが見合っていないという表現が正しいでしょうか。例えるならば、「他国の2倍美味しくて、価格が5倍になっている」というような状態です。
なので、生産性を向上させて、品質を担保したままコスト改善を行っていく必要がありますね。
二つ目が「規模の拡大」です。やはり小規模で世界のマーケットで戦うのはある程度限界があります。資金調達、人材育成、そして農地問題など、様々な課題があります。
日本の農業界は多くの課題を抱えているが、その潮目が徐々に変わり始めている。特に注目すべきは、海外経験を持つ20代の農家後継ぎの登場だ。彼らは農業をスケールアップさせようという意志を持つ新たなプレーヤーとして台頭している。
内藤氏は、その存在に目を輝かせて「現状の変革が進めば、5年から10年のスパンで新規参入者が急増するでしょう」と語る。確実に農業界に新しい風が吹き始めているのだ。
そんな農業変革の台風の目とも言える日本農業はどのようにして、「生産性の向上」「規模の拡大」という二つの課題に取り組んでいるのだろうか。
「超極秘のレシピ」は存在しない。
泥臭く、一歩づつ、バリューチェーンを垂直統合し、生産性・競争力の向上を目指す
日本農業は名前の通り「日本で農業をやっている会社」だ。その事業は大きく三つに分けられるという。
内藤一つは、当社売上の8割を占めるりんごの輸出事業。現在は、トップラインを引き上げつつ粗利率の改善を行っています。日本農業の売上ドライバーとなる重要な事業です。
二つ目は、「高密植栽培」という、簡単にいえば“儲かる農業の仕組み”をパッケージ化し、農業参入したい農家の方に販売する事業を行っています。長野県のほか、アメリカやイタリア、韓国など海外では前例がありますが、国内ではほとんどみられない新たなビジネスモデルです。
三つ目が、りんごで培った輸出のビジネスモデルを、桃やなし、キウイといった他の農作物に横展開していく事業です。
内藤氏曰く、日本農業のビジネスには大きく2つの特徴があるという。
内藤第一の特徴は、日本の農業がこれまで国内に限定されていた産業であるのに対し、我々は最初から世界で売る、世界でつくることを前提とし、日本の技術を活かしながら、グローバルにビジネスを展開しているところです。
そして第二に、他の多くの農業ベンチャーが流通やAgriTechに焦点を当てる中で、我々は生産から梱包、販売に至るまで、バリューチェーン全体を一貫して手掛けているところです。このアプローチのおかげで、単なる技術革新にとどまらず、リアルな農地の現場の変革に挑むことで、産業変革を真正面から推進していくことができるんです。
生産現場での生産性の向上から始まり、輸出先でのブランディング、マーケティング、さらにはコストを削減できる輸送方法の開発、自社の選果場運営に至るまで、バリューチェーン全体の垂直統合を行う日本農業。この一貫したアプローチにより、同社は他に類を見ない事業成長の軌跡を辿っている。
内藤りんごを売るには生産と流通、販売・営業などに行程が別れているわけですが、それぞれの工程において、我々は明確な差別化戦略を展開しています。
例えば、りんごは大玉から小玉まであるんですが、日本市場では通常中玉サイズのりんごが主流なので、仕入れも中玉ばかりになるのです。
一方我々は、大玉りんごは台湾市場向け、小玉は香港市場向けに販路を確立し、全サイズのりんごを販売可能にしています。その結果、仕入れの競争力も向上し、入札で負けることがなくなりました。
これはほんの一例ではありますが、各工程の結びつきを強化し、多角的な戦略をとることで、独自の売上の伸び率を生み出しているんです。
しかし、その成長のプロセスは想像以上に、泥臭い。
内藤当然、成果物を物理的に運ぶ過程には、冷蔵庫や選果場など物理的な設備への投資が必要になります。農業はリアルビジネスなので、一つひとつ「容れ物」を用意しては販売量を拡大する、というステップを踏むことになる。そうすると、成長はどうしてもリニアになりづらく、階段を登っては踊り場になることを繰り返すように、一歩一歩、階段状の成長線を描くことになります。
しかも、先行投資を行ってから売上を立てる必要があるため、固定費である設備を稼働させ続けないと、稼働率の低下に連動して利益率も落ちます。この構造上、ゆっくりした成長を目指せないので、リスクを負いすぎず、減価償却が追いつくくらいのギリギリの成長度合いを狙わなければならないのです。
スタートアップである日本農業だからと言って、決して「“超極秘のレシピ”や、改良を重ねた“魔法のりんご”」といった秘策があるわけではないのだ。その過程は想像以上に泥臭く「まるでほふく前進をしているかのよう」と内藤氏は表現する。しかしその謙虚な言葉とは裏腹に、事業は毎年、倍々でグロースしているのが、日本農業の凄みであろう。
内藤事業計画は意外と立てやすいんです。売上から逆算して、来年の営業人員、キャパシティを増やすための設備投資、りんごなどの仕入れのポートフォリオを組むといった計算は、連続的な成長線を積み重ねるイメージなので、立ちやすいと思います。
ただし、まだできていないたくさんの施策があるので、「連続的な成長」をいくつも積み重ねることができ、その結果として「スタートアップらしい非連続的な成長」を目指すこともできるんです。
農業という目の付け所はもちろん、戦略や農業界における立ち回りの鮮やかさも、まさに目を見張るものがある。もちろんまだまだ発展途上。これから同社がどのように進化していくのか、楽しみで仕方がない。
ここからは、やや今更な感じもするだろうがせっかくの機会なので、これだけの事業を作り上げた内藤氏という起業家が、一体どのような経験を経て生まれたのかについても見ていこう。
農業もビジネスなんだ、と気づいた大学時代
内藤氏は大学時代にアメリカで「ビジネスとしての農業」を目の当たりにし、日米の農業の“当たり前”の差を目の当たりにした。産業として強く、生産性も高く、儲かるアメリカの農業。その一方で、“美味しさ”に限っては日本の農産物のほうが圧倒的に上回るのだ。
内藤実は、私は実家が農家だったというわけではないんですが、高校生のころに日本中を自転車で回っていた際に、農家の方から美味しいフルーツを食べさせてもらい「この業界いいな」と感じたことが、農業への興味を強く抱くようになったきっかけです。
そこで大学時代、世界で一番農業が進んでいそうなアメリカへ留学に行ってみたところ、多くの驚きがあったんです。アメリカの農学部には家業が農家の子供たちが多いのですが、彼らは当たり前のように「選果場という工場を建てるのに、自分たちでゼロイチの部分から始めて建てるのか、M&Aするのか」「M&Aするにも、地理的な要件を踏まえてロールアップ(連続的に買収)することで得られるメリットは何か」「海外展開するのであれば、ブラジルなのか中国なのか」という議論をずっとしているんですね。
農業も商売で、当たり前にビジネスなんだと思えた経験が大きかった。自動車メーカーや製造業では当たり前に行われているような、大きな資金を集めてやり切る手法が農業でも採られているのです。
一方で、現地でフルーツを食べてみると、実はそんなに美味しくないんです(笑)。農業の一番の本質である「美味しさ」では日本が進んでいる、でもビジネス観点で大きく損をしている。そこに実はチャンスがあるのではないか? そう感じて将来的には農業の世界でチャレンジしたいなと思いました。
その後、マッキンゼーでの経験を経て日本農業を創業し、7年が経過した内藤氏。これまで変わらず「農業の改革に価値がある」と確信し続けている理由は何だろうか。
内藤まず、少し地味ですが、エクセルモデルを用いて分析するだけで、従来の手法と比べて収益性が明らかに向上し、定量的なアップサイドが確実に見込めることがわかるからです。
そして次に、「海外でも同じような事情だった」という事実です。アメリカの農業はどこか100〜200年前から発達しているイメージがありますが、日本の農業が直面している課題は、アメリカやオーストラリアもたった20年ほど前に通り過ぎたばかりの世界なんです。10〜20年前までの、プリミティブな手法から農業の改革を行う姿を私は原体験として見ていたので、日本でも同様の改革が可能だと確信しています。
最後に、我々の成果というのは、すごくわかりやすいんです。例えば、広大な耕作放棄地を生産性の高いりんご畑に変えることで、冬になればりんごが実り、地域の人々がその美味しさを直接賞賛してくれる。このように目に見える結果を体験することで、「これは成功する」という確信がより一層強まるんです。
「農業だ」と身構えず、人の気持ちがわかる普通の人に来てほしい
23年12月には新たに資金調達を行う予定で、ここ数カ月はそこに向けた活動を続けてきた内藤氏。VC(ベンチャーキャピタル)が農業分野をDD(デューデリ)するのは難しい一方で、農林中金を始め一部には志を同じくするプレイヤーも存在している。ほかにも、事業会社やPE(プライベートエクイティファンド)、銀行融資(デット)などを織り交ぜた調達活動を進めてきたという。
内藤一時期、22年3月期は売上が36億円と、それなりの実績を残し始められていると感じます。しかし、農業のマーケット全体の大きさに比べたら、まだまだ小さい。昨年はアクセルを踏んだこともあって2倍以上の成長ペースで進められており、23年3月期は売上60億円近くで着地できそうな見立てです。
現在約80名を超えるメンバーを抱えているが、今後の成長に向けてどんな人材を求めているのだろうか。
内藤CEOの仕事は基本的に、戦略の方向性・資金・人材のアロケーションをマネジメントチームの力を借りて決めることで、アウトプットは事業計画になると考えています。事業計画には各事業をどのレバーを引くことで伸ばすのか?そのために資金をいくら集めてどこに投下するのか?が含まれています。これらを一緒に練り、そしてそれを実行していくメンバーを多方面で求めています。
その中でも特にといえば......りんごの輸出事業とそのビジネスモデルを横展開していく事業をお任せできるような人です。といっても、そのためにどのようなビジネススキルが必要になるのか、我々のビジネスはバリューチェーンが多岐に渡るため、スキルセットだけでは一概には言えず、採用も事業も苦戦する場面がまだまだ多そうです......(笑)。
というのも、直近1~2年で、売上目標を60億円から200億円にまで一気に引き上げなければならないフェーズとして捉えているので、国内外で売っていくマーケティング能力だけではなく、インフラや仕入れなど様々な分野で革新的かつ地道な施策の実行が求められます。国内外での営業拡大、オペレーションの人員確保、仕入れ量の増加など、多角的な能力を持つ人材とチームが不可欠なんです。
さらに、利益率を向上させるためにも、農家の方からの直接仕入れ比率を高めることが今後重要となります。これを達成するためには、農家の方からの良い評判を増やすためのインセンティブを考える必要があります。例えば、輸出先の視察ツアーや地元の祭りへの参加など、リアルな体験を通じて農家の方の支持を得る施策が考えられます。このような非連続な取り組みを通じて、人々の気持ちやリアルな経験を重視する人材が、今後もっと必要になってきます。
バリューチェーンの上流から下流まで、当たり前のことを進めていく。そんな性質の仕事の掛け算がとても多い会社なのだ。そのため、メンバーにも当たり前の「普通」の感覚をもっている人が多いそうだ。
内藤農業をやるというと、身構えてしまう人もいるかもしれませんが、僕らは至って普通のことをやっていて、普通にビジネスで勝とうとしている普通の組織です。身構えることはないですし、農業のビジネスを立ち上げることにやりがいと想いを持って働ける人を歓迎したいです。 専門技術を持っていることよりも、普通のビジネスパーソンとして大事な、論理的に動けて、人の気持ちを考えてコミュニケーションできる。この二つが大事だと考えています。
論理があまり存在せず非合理が生まれている業界だからこそ、論理的意思決定をベースに置きつつ考えて動くこと。それと同時に、人をとにかく巻き込まないといけない仕事ですから、営業でもなんでも、人と接する経験は活きるはずです。
日本農業の進撃は、政府の風向きを味方につけ、農業界に新たな潮流を作り出している。この業界の変革者として、同社は単なる農産物の生産・販売としての役割を超え、農業の根幹そのものを刷新しようとしているのだ。
世界市場で勝負する野心と、農業ビジネスに新しい息吹を吹き込むその志は、間違いなく日本の将来の農業を形作る重要な一石となるだろう。今後もその一挙一動から目が離せない。
こちらの記事は2023年11月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
山岸 裕一
写真
藤田 慎一郎
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