連載Next Entrepreneur's Meetup

インターンわずか3ヶ月で、経営者に囲まれたプレゼンの舞台へ──アメリカ帰りの慶應生がスタートアップで掴んだ成長のきっかけ

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登壇者
御宮知 香織
  • エクリプス・フーズ・ジャパン株式会社 代表取締役 

1979年東京都生まれ。JPモルガン、人事コンサルティング会社を経て2011年Farm To Tableのベンチャー企業を設立、軽井沢で無農薬野菜を育て直接消費者に届ける事業を始める。2019年東京に戻り、ヘルスケアスタートアップ企業のマネージング・ディレクターとして、日本展開に従事する。2022年Sozo Venturersに入社、複数のスタートアップ日本進出のサポートを務める。2023年Sozo Venturesの投資先であるEclipse Foodsの日本法人を立ち上げる。

住友 菜のは
  • エクリプス・フーズ・ジャパン株式会社 インターン 

慶應義塾大学総合政策学部3年生。1年間のカリフォルニア留学から帰国後、2024年9月にエクリプス・フーズ・ジャパンへ長期インターンとして入社する。

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「まさか、日本でアメリカのスタートアップシーンを思い出すなんて」

あのシリコンバレーが位置するスタートアップの聖地、カリフォルニアへの1年間の留学を終えて帰国した、慶應義塾大学3年の住友 菜のは氏。現地で彼女が目にしたのは、新しいアイデアが次々と市場に送り出され、大学や企業、投資家が一体となってイノベーションを支える姿だった。以前より、サステナビリティを取り巻く新たなビジネスチャンスに興味があった住友氏は、留学先での体験から、帰国後もなんらかの形で関われる機会を模索していた。

そんな住友氏が偶然目にしたのが、三菱地所と『Goodfind』(スローガン運営)が共催する長期インターンシップ紹介イベント「Next Entrepreneur's Meetup」だ。

日本のビジネスの中心地となる大手町・丸の内エリアを拠点とし、次世代の可能性を秘めたスタートアップたちが集うこのイベント。住友氏がエントリーを躊躇する理由はなかった。実際にイベントに足を運び、起業家たちが描く熱いビジョンやそれを支える仕組みを肌で感じた住友氏はふとこう思ったそうだ。

「留学時に感動した、カリフォルニアのスタートアップシーンみたい!」」

その気づきは、彼女自身の挑戦の始まりとなった。

このイベントでプラントベース(植物由来)の代替乳製品開発に取り組むエクリプス・フーズ・ジャパンの代表・御宮知氏と出会い、長期インターンシップを始めた彼女は、わずか4カ月ほどで、東京都主催のピッチコンテスト登壇を任されるまでに成長を遂げた。

本稿では、日本のスタートアップシーンに新たな可能性を見出した一人の学生の挑戦と、長期インターンシップだからこそ得られるチャンスに迫る。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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先入観を覆した、日本のスタートアップシーンとの出会い

住友留学先のカリフォルニアでは、スタートアップを育てる土壌が整っていました。企業や大学、地域コミュニティが連携して、革新的なアイデアや技術を持つ起業家を支援する。そうしたエコシステムを目の当たりにしたんです。

一方、「日本のスタートアップシーンはアメリカと比べるとまだまだ発展途上」という話をなんとなく耳にするじゃないですか。本当にそうなのかなと思って足を運んでみたのが、三菱地所の長期インターンシップイベントだったんです。

そのイベントというのが、先に紹介した丸の内・大手町で急成長を遂げるスタートアップとのミートアップイベント「Next Entrepreneur's Meetup」である。

イベント会場となった大手町のオフィスには、日本のスタートアップシーンの最前線を行く企業が集結。衛星データの活用や先進的な金融サービス、最新のヘルスケアソリューションなど、多岐にわたる事業領域のスタートアップが参加していた。

企業ごとのプレゼンテーションでは、起業家たちが自社の技術やビジョンを力強く語り、一方、企業別ブースの交流会では、学生からの鋭い質問に対して起業家たちは熱意を持って答えていく。その活気あふれる場に住友氏の胸は高鳴った。

中でも住友氏が特に関心を持ったのが、エクリプス・フーズ・ジャパンだ。住友氏は、もともと学生寮でマルシェを企画したりするなど、「食」を通じた活動に携わっていた背景がある。また、留学先のカリフォルニアで、日本にはないサステナブルな食生活を実現するビジネスの数々に触れたことで、プラントベース(植物由来)の可能性に強い興味を抱いていた。

エクリプス・フーズ社は2019年にアメリカで創業し、2023年に日本に上陸したカリフォルニア発のスタートアップだ。日本で同社の代表取締役を務める御宮知香織氏は、自社の技術について次のように説明する。

御宮知私たちは、独自の特許技術により、牛乳の成分を分子レベルまで分析し、それを植物由来の成分を組み合わせて再現したプラントベースアイス『エクリプスコ』を展開しています。本物の乳製品と同じような味わいや口溶けを実現するために、ジャガイモ、キャッサバ、トウモロコシなど、最適な原料を組み合わせているんです。

牛乳やその他の乳製品を口にした後に、おなかを壊してしまったり、気持ち悪くなってしまった経験ってありませんか?実は、日本人のおよそ4人に1人は、乳糖不耐症といって、そもそも乳製品が体に合っていないんです。そんな方でも安心して乳製品の味わいを楽しめるような商品を提供しています。ちなみに、大豆やオーツ(麦)も使用しておらず、アレルギーフリーの商品も多数展開しています。

また、エクリプスコのアイスは乳製品のアイスに比べて65%CO2の排出量を削減することができます。どこの国でも調達可能な、干ばつに強い植物由来の原材料を使用しているため、将来的にスケールしていけば価格の面でも供給の面でも安定供給が可能となります。

2050年には100億人になると言われている世界人口に対してサステナブルな食のプラットフォームを提供していくことも、エクリプスのミッションの一つです。人にも地球にもやさしい、みんなで楽しめる、そして何より「おいしい」商品を世の中に送り出していくこの事業にやりがいを持って取り組んでいます。

住友香織さん(御宮知氏)のお話を聞いて、私の中にあった想いと重なったんです。単に「地球のために植物性食品を選びましょう」という義務感を押し付けるのではなく、「美味しいから選ぶ、楽しいから食べる」というポジティブでわかりやすいメッセージ、その考え方に共感したんです。

さらに、エクリプス・フーズはただのアイスクリーム製造会社ではなく、独自の技術を活かして他社とも連携しながらプラントベース市場を広げようとしている。ポップでかわいらしい雰囲気の裏に、未来の可能性を秘めたビジョンがある。そこに強く惹かれました。

提供:エクリプス・フーズ・ジャパン株式会社

イベント会場での住友氏の熱心な様子は、御宮知氏の印象にも強く残った。

御宮知イベントでは意欲的な学生さんたちが多く参加している中、たくさん質問をしてくれた住友さんの存在は特に際立っていましたね。アメリカでの経験に基づく視点、プラントベースフードへの理解、さらに私たちが目指す未来への関心も示してくださって。この方がインターン生として来てくれたらいいなと思っていました。

イベント後、住友氏は早速行動を起こす。インターン選考希望のメールに加えて、御宮知氏へ個別にメールを送り、「とても印象的で、ぜひ一緒に働いてみたい」と急いで自身の想いを伝えたのだという。さらに、外苑前で開催されていたポップアップストアのイベントにも足を運ぶ。そこで本社のCEOとも出会い、「彼女(住友氏)、すごくいいね」と太鼓判を押されたという。

「こんなに魅力的な会社は他にないんじゃないかと思うほど、ここで働きたいと強く感じたんです」と住友氏。彼女の積極的なアプローチが実を結び、2024年8月末、晴れてエクリプス・フーズ・ジャパンにインターンとして参画することになったのだ。

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学生インターンが掴んだ「TIB」プレゼンでの成功体験

インターン生としてエクリプス・フーズ・ジャパンに参画してわずか3カ月ほど。住友氏に思いがけない話が持ち上がった。東京都が運営する「Tokyo Innovation Base(TIB)」への出店権を競うプレゼンテーションを任されたのだ。

TIBは、東京発のイノベーションを世界に発信するための拠点として、スタートアップを支援する施設。審査を通過した企業には、期間限定で「SHOP」スペースなど、新しいプロダクトやサービスを顧客に届けながらフィードバックを得られる機会が与えられる。本来、このような重要なプレゼンテーションには企業の代表者が登壇するのが一般的だ。

住友最初に香織さんから「プレゼンをやってみる?」と、声をかけていただいたんです。あまりにもさらっと言われたので、私も勢いで「ぜひ、挑戦させてください」と返事をしました。実際は、そのときTIBのことはあまり詳しくわかっていなかったんですが(笑)。

そして迎えたプレゼン当日、会場に到着してびっくりしました。参加している10社ほどの企業の登壇者は全員が経営者。その中で学生は私だけ。「これは場違いなところ来てしまったのではないか」と、さすがに焦りました。審査員から「今後どういう事業展開をしていきますか?」といった質問が飛んでくるたびに、香織さんの方をちらちらと見ながら答えていました(笑)。しかし、このような大事な場を任せていただいた以上、「最後までしっかりやり遂げるしかない」と覚悟を決めて挑みました。

なぜ、御宮知氏は、このような重要なプレゼンを学生の住友氏に託したのだろうか。

御宮知審査員から「代表者がプレゼンしないんですか」と指摘されたのですが、私は若い方にチャレンジしていただきたかったんです。住友さんは3~4カ月とはいえ、現場での経験を重ね、プロダクトへの深い理解を示してくれていました。そして何より、彼女には私たちの事業を多くの人たちに「伝えたい」という熱意がありました。彼女なら絶対に大丈夫という確信があったんです。

その確信は見事に的中する。住友氏は2025年2月からスタートする期間限定ショップの出店権を勝ち取ったのだ。一緒にプレゼンした他社の代表者からも「学生さんとは思えない堂々としたプレゼンでしたね」という声が上がるほどだった。

住友プレゼンが終わったときは、安堵と達成感で胸がいっぱいでした。まさかこうした場に立てるなんて思っていなかったので、本当に光栄でしたし、貴重な経験でした。

御宮知TIBへの出店は、私たちにとって大きなメリットとなりました。「ここに行けば確実に商品が買える」という場所を持てることは、スタートアップにとって非常に重要なこと。

しかもこれは単なる出店機会以上の意味があります。東京都がお墨付きを与えてくれた企業として、今後ビジネス展開する上で大きな強みとなるのです。この貴重なチャンスを住友さんが掴み取ってくれました。同時に、これは住友さん自身にとっても胸を張れる大きな成功体験になったと思います。

ピッチイベント時の写真

学生インターンが、企業の未来を左右するような重要なプレゼンを任され、成功を収める。それは、普通なら考えられないことだろう。なぜ、実現できたのか。そこには長期インターンシップだからこそ得られる成長プロセスがあった。

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信頼関係の構築でより大きな裁量を学生へ

住友氏が参画したのは、東京・外苑前での期間限定ポップアップストアを展開していた時期だった。参加し始めたオンラインミーティングの中で、施策の検討と実行のサイクルが早いことに驚かされたと振り返る。

住友ミーティングで「これを検討しましょう」となった次の週には、「もっとこういう方向性で」と展開が変わっていくんです。さらに、私自身も店頭に立つことも、すぐに決まりました(笑)。変化が大きく、とにかく追いつくのに必死でした。

しかし、日々新しいアイデアが生まれ、どんどん形になっていくこの環境がスタートアップらしさにあふれていて、とても刺激的でワクワクします。

そんな彼女の様子を見守る御宮知氏の視線には温かさが感じられる。

御宮知住友さんは、どの業務に対しても責任感を持って最後までやり抜く力が本当にすばらしい。とはいえ、学生にとっての本業は学業です。業務量が多くなりすぎて授業に出席できなかったり、課題に時間を割けず単位を落としたりするようなことがあれば本末転倒です。そのため隔週のペースで1on1を設けて、住友さんの業務負担が大きくなりすぎていないか確認し、バランスが取れるよう細心の注意を払っています。

住友香織さんは私のことをいつも気にかけてくださり、「学業が最優先で、仕事は休んでも大丈夫です」と声をかけてくださるんです。先日も、TIBのプレゼンの日程が授業と重なってしまったとき、私が「1回ぐらい授業は休めますから」と言うと、香織さんが「それは絶対にダメ」と。すぐにプレゼンの順番を調整してくださいました。その優しい心配りに、まるで守られているような安心感を覚えながら働いています。

一方で、住友氏を含むインターン生が会社に新たな視点をもたらしているのも事実だ。エクリプス・フーズ・ジャパンは代表の御宮知氏を含めて正社員3名、業務委託スタッフ2名で、いずれも40代。それに対し、住友氏をはじめとするZ世代のインターン生の感性が加わることで、特にSNSを活用したマーケティングにおいて大きな変化が生まれたという。

御宮知一般的に「Z世代は気軽にSNSに写真を投稿してくれますよ」と聞いていたのですが、実際に住友さんたちのような現役大学生に話を聞いてみると全然違いました。彼女たちが言うには、ネット上にログが残る投稿はとても慎重に行うそうです。一方、Instagramのストーリーズは24時間で消えるので、気軽に投稿しているとのこと。SNSにもいろいろな種類や機能があり、細かく理解することが重要なのだと痛感しました。リアルな若者目線の意見は、私たち社員だけでは気づけないものばかりです。

また、商品写真一つとっても、「外苑前の銀杏並木など、映えるロケーションとセットで撮ることで価値が生まれる」といったアドバイスや、インフルエンサーの選定についても「最近この人は広告投稿が多すぎて、みんなスルーしている」といったリアルな意見まで教えてもらい、SNS施策の改善に大きく役立ちました。

住友氏自身も、同社での業務を通じてさまざまなスキルを身につけている。

住友データ分析をしたり、英語力を活かしてアメリカ本社のマーケティング担当へ報告を行ったり。自分から「これをやってみたい」と声を上げれば社員の方から「どうぞ」と挑戦させてくれる環境で、スタートアップならではの裁量の大きさを実感しています。

現在は2月から始まる期間限定ショップのプロジェクトマネージャーとして、企画運営や営業許可の取得、人員のシフト作成までプロジェクト全般を任されています。

御宮知長期インターン参加者では、実際のビジネスシーンの中で成長するために、ある程度の裁量を与えてほしいという方が多いです。住友さんのようにしっかりと責任を果たし成果を出し続けてくれると、「この人ならもっと大きな仕事も任せられる」と考えるようになります。こうした責任を共有する経験を積み重ねる中で、信頼関係が深まっていくのを感じますね。

一方、短期インターンやアルバイトでは、型化されたタスクや定型業務をお任せすることが中心です。それに比べて、長期インターンでは、自主的な提案や裁量ある判断が求められ、成果が企業全体に影響を与えます。その結果、同じインターンでも学べる内容に大きな違いが生まれます。

特に、スタートアップのように人手が限られた環境では、インターン生がプロジェクトの中心を担ったり、外部との交渉を行ったりすることで、チーム全体の力を支える重要な存在になります。企業側にとっても、これこそが長期インターンの最大の魅力ではないでしょうか。これからも住友さんをはじめ長期インターン生の方にはビジネスを通じてどんどん挑戦してもらいたいと思っています。

若手の可能性を信じ、成長を後押しするエクリプス・フーズ・ジャパン。そんな同社の活動拠点は、日本のビジネスの中心地である丸の内にある。この刺激的な環境の中で、スタートアップの未来を切り開く一員として活躍する住友氏。彼女は一体、どのような想いで働いているのだろうか。

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三菱地所が全力支援するスタートアップが挑戦の場

「それはもう、丸の内や大手町といった東京のビジネス街で働けるなんて、気分は爆上がりですね」と茶目っ気たっぷりの笑みを見せる住友氏。

エクリプス・フーズ・ジャパンが拠点を置くオフィスは、「EGG」というスタートアップの集積拠点の一つだ。ここでは最先端のビジネス環境が整備されており、コワーキングスペースやイベントスペース、交流ラウンジなどを通じて、入居企業間の連携を促進する仕組みが特長となっている。また、同拠点のオフィス運営の方法にもスタートアップフレンドリーな魅力が垣間見える。

EGG」の内観(提供:三菱地所株式会社)

普段、リモートワークが中心の住友氏は、実際にオフィスを訪れた際、その仕組みに深く感銘を受けたという。

住友もちろん建物のエントランスなど、とても素敵なんですが、私が一番驚いたのはオフィス運営の考え方です。三菱地所さんは入居するスタートアップの成長に合わせてオフィススペースを提供してくださるそうなんです。

最初は2人用の小さい部屋から始まり、組織の規模が大きくなれば同じビル内で場所を移していける。つまり会社のアドレスはそのままで、成長に合わせて拡張していけるんです。このような日本を代表する大きなデベロッパーが、日本のスタートアップエコシステムの土台となって全力で成長を支援している姿勢に、心を打たれました。

EGG」の内観(提供:三菱地所株式会社)

こうした環境で成長を続けるスタートアップたちが存在する一方で、学生たちがそうした企業の存在を知るためには、さまざまな障壁が存在する。

住友長期インターンに関する情報といえば、知り合いの伝手や教授からの紹介で得られることが多いんです。一方で、そうしたコネクションを持たない人がインターン先を探そうとすると、インターネット上の情報のみで判断せざるを得なくなり、その正確性や信頼性には不安も覚えます。学生にもわかりやすい書き方で紹介されているページも少ないですし。

カリフォルニアの学生がよく使うLinkedInのようなビジネス特化型SNSもありますが、その場合、特定の企業に狙いを定めて応募する形となるため、事前に自分がどのような企業で働きたいのか、具体的なビジョンを持っておく必要があります。そもそも日本ではスタートアップがまだそれほど身近ではないですし、いきなり応募するというのも心理的なハードルが高い。

「長期インターンでビジネス経験を積みたい」という漠然とした思いを抱いているに過ぎない段階で、もっと気軽に幅広い企業情報を得られる場があればいいなと思っていました。

特に住友氏が懸念していたのは、スタートアップの実情だった。

住友例えば、「役員直下のポジションで、裁量権があります」といった説明を受けても、会社名を聞いたことがなければ、本当に信頼できるのかわからず、怖い部分がある。実際、友人の中には「大きな裁量がある」という約束で入ったものの、現実には雑務しか任せてもらえなかった人もいました。また、スタートアップの中には、インターンとしての適切な業務範囲を超えた責任を求められ、学業に支障をきたすケースもあると聞いていたんです。

だからこそ、「Next Entrepreneur's Meetup」は私にとって非常に貴重でした。三菱地所さんという日本を代表する企業が、将来性や技術力を含めて精査して選んでくれたスタートアップと直接話せる場だったので、安心感がありました。

さらに、イベントでは予想外の発見もあった。

住友隣の席の学生の方との会話からも気づきがありました。私は「食」という業界でエクリプス・フーズ・ジャパンという企業を見ていたんですが、その方は「マーケティング」という職種から「新たな文化を広げる仕事として面白そう」と捉えていて。「こういう切り口があるんだ」と気づかされました。イベントはオンラインとオフラインのハイブリッド形式でしたが、こうした発見はオフラインならではだと感じました。

御宮知そうですね。オフラインで多くの学生が集まってくれました。私としては、可能であれば企業とは対面でやり取りするほうがいいと思います。相手の目を見て話すことで、その会社で働くイメージや温度感がより深く伝わってくると思いますね。

一方で、この「Next Entrepreneur's Meetup」はオンライン参加も可能なハイブリッド型だったので、地方在住の学生にもチャンスが広がっています。それぞれに合った形で活用できるのが魅力だと感じます。

学生がスタートアップの実態を知ることは容易ではない。表面的な募集情報だけを頼りにインターンシップを始めた学生たちからは、「思い描いていた環境と違った」という声も聞かれる。そうした中、三菱地所が将来性と技術力を見極めた上で成長を支援するスタートアップは、長期インターンシップを目指す学生にとって、安心して挑戦できる選択肢であるはずだ。

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長期インターンで、就活の解像度は格段に上がる

三菱地所が架け橋となり、学生とスタートアップの新しい出会いの場を創出する。この取り組みを通じて、住友氏は自身の可能性を大きく広げることとなった。

住友長期インターンシップを行う前は、比較的慎重なタイプでした。リスクを考えすぎてしまって、あと一歩踏み出せない経験がしばしばあり、そんな自分にもどかしさを感じていました。ですから、TIBでのプレゼンテーションをはじめとするインターンシップでの経験は私の中で大きな転機になりました。周りと信頼関係を築きながら、自分から行動を起こすことの大切さを学び、気づけば「今の環境で自分ができることは何なのか、どんな提案ができるだろうか」と考えるようになっていたんです。

その変化は、キャリアを考える視点にも表れている。

住友就職活動の考え方がはっきりと変わりました。インターンに参加する前はマーケティングの仕事が輝いて見えていたんですが、主体性をもってさまざまな職種にチャレンジしてみると、営業の面白さにも気づけるようになって。将来の選択肢が増えた実感がありますね。

周りの就活事情を見ていると「とりあえずマーケティングかな」「とりあえず金融かな」「とりあえずコンサルかな」という感じで、漠然と進路を決めている人が多いんです。一方私は、実体験をもとに「この仕事はこういう魅力があって、だからやりたいんだ」という具体的な理由が持てるようになりました。周りからは「自分をしっかり持っているね」と言われることもありますが、これはアルバイトではなく、ビジネスの現場で働くからこそ得られた気づきだと確信しています。

御宮知学生の多くは、授業という受け身の環境に慣れています。けれど、インターンシップは違う。特にスタートアップでは、ある程度の裁量を持ってプロジェクトに関われます。その分、責任は重くなりますが、達成感も大きい。成功体験や失敗も、必ず次につながる学びになっていきます。

このように一歩を踏み出すことで大きく視野を広げた住友氏。インターンを探している学生たちへ次のメッセージを送る。

住友スタートアップへの興味はあっても、どの企業を選べばいいのか、どこから探せばいいのか、最初は誰もが戸惑うと思います。けれど、私自身が経験したように、実際にイベントで経営者の方たちと直接話をすることで多くの発見があるはずです。スタートアップは、私が想像していた以上に身近で、可能性に満ちた存在でした。だからこそ、迷っている人には、まずは一歩踏み出して、経営者の話を聞きに行くことをお勧めしたいですね。

次回の「Next Entrepreneur's Meetup」は、2025年2月25日(火)に開催予定。三菱地所が厳選した国内外の有望なスタートアップ企業と直接出会い、話すことができる貴重な機会だ。

出展企業一覧(a-z、あ-ん順)

  • 株式会社MFS
  • Netskope Japan株式会社
  • アッペンジャパン株式会社
  • イークラウド株式会社
  • 株式会社グロービッツ・ジャパン
  • ナレッジオンデマンド株式会社
  • 株式会社プライスハブルジャパン
  • 株式会社ポンデテック
  • リアルワールドゲームス株式会社

会場を囲む大手町・丸の内・有楽町エリアは、日本を代表するビジネス街であり、最先端の技術や革新が集まる場所。この特別な環境で、成長を続けるスタートアップと直接つながる機会は、将来のキャリアを描く上でかけがえのない一歩となる。

大学生活という限られた時間を活用し、長期インターンシップを通じて実務に触れ、成長する道を探るのも良い選択だ。興味があるなら、ぜひこのイベントに足を運び、スタートアップとの「接点」をつくるところから始めてみてほしい。その一歩が未来の扉を開く鍵になるはずだ。

こちらの記事は2025年02月18日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

写真

藤田 慎一郎

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