連載ユナイテッド株式会社

日本発グローバルスタンダードは、“介護”から──「複雑×長期×規制」極まる社会課題。ユナイテッド × KAERU / CareFranはどう挑む?

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インタビュイー
八重樫 郁哉

立教大学社会学部卒。大学在学中より複数スタートアップでマーケティング業務を担当。Matcher株式会社の1号社員としてマーケ・セールス等を歴任。2020年9月から独立系VC勤務を経て、2022年5月にユナイテッドに入社。投資事業本部でスタートアップへの投資・事業支援に従事。

岡田 知拓

東京農工大学応用生命化学修士卒。ネットプロテクションズ、東南アジアのスタートアップを経て、LINEにてLINE Payの事業立ち上げから、事業戦略立案、プロダクト企画などサービスグロースに携わる。その後、2021年9月21日「世界アルツハイマーデー」にKAERU(β版)をリリースし、2022年4月にお買いものアシスタント機能付きプリペイドカードサービス『KAERU』をリリース。

久保田 洋介

WHILL、チカクなどヘルスケア領域での事業開発経験を経て2022年にCareFran創業。「介護をもっと軽やかに」を掲げ、ケアマネジメントプラットフォーム&居宅介護支援事業所運営を行う。

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「お金を持たないで!」

──認知症と診断された当日から、多くの人がこの言葉を家族から告げられる。財布を預けられ、買い物の自由を失う。認知機能の衰えは段階的なのに、診断された瞬間から生活が一変する。

「お金、立て替えてくれますか?」

──ケアマネジャーが耳にする、もどかしい言葉だ。銀行の暗証番号を忘れ、必要なお金も下ろせない高齢者を前にすると本来は業務範囲外だが、困りごとを放っておけない。

日本の介護現場を苦しめるこうした課題は、2024年時点で高齢者人口割合が29.7%と世界で最も高いことも起因している。やがて同じ悩みを抱えることになるであろう世界共通の問題になっていく可能性が高い。

そこで立ち上がったのが、LINE Pay出身で認知機能の低下に悩む方でも安心して利用できるキャッシュレスサービスを手がけるKAERUの岡田知拓氏と、介護業界のDXに挑むCareFranの久保田洋介氏。そして、この2社に投資を決断したのが、ユナイテッドの八重樫郁哉氏だ。

「ステークホルダーが多く、デジタル化の難度が高い介護領域。これまで抜本的な改革がなかなか進まなかった領域だからこそ、チャンスがある」と、3名は口をそろえる。

取材を通じて見えてきたのは、超高齢社会で人々が最期まで幸福に生きるために必要なインフラとしての介護のあり方。そして、そのインフラづくりに挑む起業家たちと、ユナイテッドの使命感と意志だった。

  • TEXT BY HARUKA YAMANE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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「誰かが変えなければ…」。二人の起業家が抱く、介護業界変革への意志

日本は2010年には「超高齢社会」に突入しており2024年時点で高齢者人口割合が29.7%と世界で最も高い数値となっている(内閣府「令和6年版高齢社会白書」を参照)。超高齢社会において、社会保障費の抑制や労働力の減少が喫緊の課題としてしばしば取り沙汰される。

しかし、こうした大きな社会課題の解決は時間がかかるうえ、収益化が難しいというイメージがあるかもしれない。故に、「きっと、誰かがやってくれる」──と、自分の想いに蓋をしてきた人もいるだろう。

そんなスタンスとは一線を画す存在として、投資事業という形で課題に挑んでいるのがユナイテッドだ。社会を「善」い方向へと「進」めるというコンセプトで取り組む「善進投資」、注力領域の一つとして、健康寿命の延伸と高齢者の持続的な活躍ができる社会の実現による、介護領域の負担軽減と社会全体の活性化を目指し、投資の検討・実行・支援をしている。

取材内容などを基にFastGrowにて作成

また、これまでの連載でも触れた通り、ユナイテッドは自己資金を用いた投資形態により、他のVCなどと比べて時間的な制約を軽減できる点も特徴的だ。すなわち、長期目線での支援を前提として、社会的意義が大きい分野ほど、ユナイテッドの価値を発揮しやすいとも言えるだろう。(詳細はユナイテッド全事業を解剖したこちらの記事でも確認してほしい)。

そんなユナイテッドが、「介護に対する熱い想いと、高い解像度」に期待して支援を決めたスタートアップが、CareFranKAERUだ。

八重樫今回この場にお招きした2社ですが、いずれも介護の課題に対する解像度が圧倒的に高い経営陣が率いる、魅力的なスタートアップです。

CareFranの久保田さんは、介護領域のスタートアップで長い間、現場を見てきた経験をもとに、次世代のケアマネジメントプラットフォームを構築しています。

提供:株式会社CareFran

八重樫そしてKAERUの岡田さんは、介護専用キャッシュレスの事業運営と並行し、介護ヘルパーとしても今なお、介護の現場に立ち続けています。

提供:KAERU株式会社

八重樫お二人とも、介護の課題を自分ごと化する生々しい原体験を持っており、それを元に、現場に寄り添うプロダクト・サービスを創り上げられています。

久保田ありがとうございます。「誰かがやらなきゃいけない」という使命感に突き動かされ、日々、現場に足を運んでいます。

介護を必要とする人が増加する一方で、介護従事者の方々は本業の実務に加え、書類作成や記録などの業務に日々、追われています。これから団塊の世代が75歳以上を迎える時期が訪れるため、介護の需要はさらに増えていくと予想されます。私自身、当領域でセールスやBizDevとして現場をずっと見てきたからこそ、放ってはおけない、率先して動かないと世の中は変えられないなと思っています。

岡田同感です。日々、介護の現場で出会う方々のペインを聞いて、できることからやっていかなければと、責務を感じながら活動しています。

久保田急速に加速する高齢者の増加、そしてケアマネジャーをはじめとする介護職員の人員不足において、介護制度も現代に合う形への移行が必要だと感じています。「誰かが変えなければ…」と思っているだけではいつまで経っても変わらない。ですので、「自分たちで変えるんだ」という想いで現場に向き合っています。

高齢者や要介護者の増加に伴い、今や医療/介護業界のDX市場は、2020年度の731億円から2030年には2,115億円へと2.9倍に成長するという予測もある(富士キメラ総研調べ)。介護施設や事業者向けの業務効率化ツール、高齢者とその家族向けの生活支援サービスなど、現場のDXニーズは今後さらに高まっていくことは間違いなさそうだ。

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ケアマネジャーも高齢化する時代。
「現場の負担を少しでも減らしたい」

CareFranは、『介護をもっと軽やかに』というミッションを掲げ、ケアマネジメントプラットフォームの開発・提供を行うスタートアップだ。生成AIやデータ活用を用いて介護現場のペーパーレス化、業務効率化にアプローチする一方で、自社でも居宅介護支援事業所を運営している。

株式会社CareFran 久保田洋介氏

久保田私が介護領域でスタートアップを始めるに至った原体験は、電動車椅子のWHILLでセールスをしていた頃にあります。

車椅子は、乗るときにご利用者様の身体や環境などに合わせて乗り心地を調整するフィッティングが大事です。私は介護の現場を回り、ご利用される方々のお部屋に上がって乗り心地の調整をお手伝いしていました。その際、高齢者の方々の生活を目の当たりにし、介護の重要性をひしひしと感じてきたんです。

一方で、介護現場では深刻な課題が浮き彫りになっていた。介護従事者は日々、現場実務の合間に生じるアナログな事務作業に追われ、時には規定の業務範囲を超えた仕事をも引き受けざるを得ない状況にある。

久保田介護現場で働く方々にお話を伺うと、ステークホルダーから「メールアドレスは持っていません」「その件は、FAXで送ってほしい」というシーンに出くわすことがしばしばあるそうです。現場の皆さんがデジタル化を進める意思がないわけではもちろんありませんが、実態としてはなかなか進んでいません。

このように、介護従事者の方々は行政への申請書類や日々の介護記録など、たくさんのアナログな書類作成に追われています。結果、最も大切な現場業務自体に思うように時間を割けないといったことが常態化していることがわかったんです。

そこでCareFranは、介護現場で行われる介助者とご家族の面談記録において、生成AIを活用して音声データを自動で書類化する機能を開発した。結果、これまで2時間かかっていた書類作成をたったの10分に短縮することに成功したのだ。

こういった現場の課題に対し、テクノロジーで解決策を提示するCareFran。しかし、導入にはまた別の壁も存在している。

八重樫介護領域は人と人との業務が主です。これまでもDXの必要性は顕在化していましたし、現場の皆さんも理解されています。しかし、実際にはケアマネジャーさんご自身も高齢化が進み、なんと平均年齢は53歳と言われています。慣れ親しんだ紙での業務からデジタル機器やツールを使いこなす業務へと転換するのは、心理的ハードルも高いようです。

このように、介護事業所内だけでDXを実現するためには考えるべきことがたくさんある。そういった状況も理解した上で寄り添っていけるところが、久保田さんの起業家としての強みだと思います。

久保田弊社の場合は自分たちでも介護事務所を構え、毎日ケアマネジャーさんたちとコミュニケーションをとっていることが活きていますね。彼ら彼女らの声を直に聞きながら、サービスに対して迅速にフィードバックを得られる点は強みだと思っています。デジタル技術や生成AIを用いて、ケアマネジャーさんたちの業務負荷を減らし、よりよい環境で業務を行っていただける仕組みに変えていきたいと考えています。

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認知症により突如失われる自由。
「人生の楽しみは、奪わせない」

KAERUは『誰もがお買いものを楽しみ続けられる世の中にする』というミッションを掲げ、お買いものを楽しめない事情のある人に寄り添える“やさしいペイメントサービス”の開発に力を入れている。

みまもり機能付きプリペイドカードの『KAERU』は、チャージ式プリペイドとデジタルを組み合わせた決済サービスだ。1日の予算を設定して使いすぎを防止できたり、離れて暮らす家族が必要に応じて操作を代理できたりと、お金を使う本人もその家族も安心できる機能を多数取り揃えている。

KAERU株式会社 岡田知拓氏

岡田私は前職はLINE(現:LINEヤフー)で『LINE Pay』の立ち上げからグロースに携わっていました。

ただ、キャッシュレスが広がる中、高齢者のもとにはなかなか届かない現状をもどかしく感じていました。海外では、認知症の方向けの決済サービスや子ども向けの決済サービスなど、カテゴライズされたものが多くあるんです。

そんな中、認知症の方やその家族が属するコミュニティで、ある現実に直面することになる。

岡田印象的だったのは、ある認知症のある方のお話です。「認知症は昨日と今日で大きく症状が変わるわけではない。だけど、認知症と診断された日から、周りが自分のことを病名で見るようになった」と仰っていました。

診断された当日から危険を回避するために車を運転させてもらえない、料理で火を使わせてもらえない、財布も持たせてもらえない……と。

特に、お金を使えないと、好きなものを買えない上、友だちとお茶もできなくなってしまう。昨日と今日で大きく変化がないにも関わらず、ある日突然、色々なものを取り上げられてしまうのです。もちろん、周りの方々の心配の気持ちや、危険を回避するという目的からのものではありますが、ご本人としては「人生の楽しみが奪われてしまう…」と感じてしまうこともあるんです。

こと金銭面に関しては、決済のあり方そのものを変えなければこの問題は解決できないと言えるだろう。先に岡田氏が述べた通り、高齢者には既存のキャッシュレス決済は届かないからだ。

岡田もちろん、すべてを取り上げてしまうのではなく、家族が通帳と財布を預かって、お金を封筒で小分けで渡している家族もいらっしゃいます。ですが、金額の管理や受け渡しも日々のことになるとご家族も大変なんですよね。また、認知症の進行度合いによっては、1ヶ月分をまとめて渡すと、1日で使い切ってしまうこともあります。直接お金を渡せる環境も、同居や近所に住んでいることがそもそもの前提にもなってしまいます。

こうした実情を打破する『KAERU』の導入は、行政からも期待が高まっている。

岡田こういった問題は各自治体も支援しています。サポートできるご家族が近くにいなかったり、依頼することが難しい関係だったりするときには、自治体がご家族に代わって支援しているんです。

ですが自治体の場合、金庫で通帳を保管して、依頼を受けてから銀行でお金をおろし、渡すための承認をもらい、手渡しに行く……と、手間も時間もかかってしまっている状態です。

現金であるがゆえに手渡しといった物理的な移動が伴うわけで、KAERUを用いたキャッシュレスの導入により効率的に支援に集中できるだけでなく、さらに一歩踏み込んだサポートも実現できます。

八重樫FinTech×シニアの領域はステークホルダーが多い分、誰にアプローチすればいいのか、意思決定の期間をどう設定するのかなど、検討すべき課題が多く、複雑に絡み合っています。その点において、岡田さんは自治体への導入もスピーディーに進んでいますよね。

岡田ありがとうございます。サービスの価値を感じてくださる自治体が増えてきたことで、親族の方々にも「お住まいの自治体が利用している・紹介している」という安心感を持っていただけるようになってきました。高齢者の生活の質を高める新しい選択肢として、少しずつ認知されはじめていると感じます。

自治体との連携は時間がかかるが、いったん信頼関係を築けば継続的な価値を生み出せる。KAERUの挑戦はまだ始まったばかりだ。

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スピード、意思決定力、熱量、事業解像度。
社会課題に挑む起業家支援に必要な4要素

言うまでもないが、スタートアップにとってはスピードこそ命だ。CareFranが向き合う「介護事業現場の忙しさ」や、KAERUが向き合う「認知症を取り巻くお金の不安」は、日に日に深刻さを増していく。そのため、1日でも早くサービスを届けることが大きな価値につながる。

久保田八重樫さんのスピード感と意思決定力には、本当に助けられました。

投資相談をする初回の打ち合わせの際、「会社(ユナイテッド)としての投資判断なのでもちろんこの場で断定はできないのですが」という前提を置きつつですが、「最低でもここまで出せるよう、なんとかします」とおっしゃってくださいました。特に八重樫さんはもともと自治体向けイノベーションのコンサルタントをやられていた経験もあるからか、弊社の事業領域に対する熱量を、私たち起業家と同じくらい高く持っていらっしゃる点に驚きました。

ユナイテッドのキャピタリストは、役職に応じて投資委員会ではなく、自分で投資決定ができる制度を構築している。言うなれば、スタートアップのスピード感に寄り添った仕組みだ。

ユナイテッド株式会社 八重樫郁哉氏

八重樫久保田さんとお話をさせてもらった際は「まずはこの○○万円の金額でコミットします。希望額に不足する残り分は速やかに投資委員会に上程しに行くので、お待ちください」という具合に、スピーディーに検討まで進みました。そして、結果的に久保田さんのご希望額で出資をさせていただくことができました。

岡田私も、八重樫さんはスピードや意思決定力が高いと感じています。

実はKAERUは、過去に一度、ユナイテッドさんから出資をお見送りいただいているんです。でもそのときの連絡もスピーディーで、具体的な見送り理由を明確に共有してくださいました。実はスタートアップ起業家にとってはここがすごく重要で、出資していただけるかのご縁ももちろん大事ですが、真摯に「どこが検討過程の中で解決できなかったか」という観点で、我々の課題を客観的に教えていただけたのはとてもありがたかったです。

しかし、ただスピーディーなだけではない。両社が強調するのは、「八重樫氏というキャピタリストが持つ“解像度”」という魅力だ。

岡田特に八重樫さんは、介護事業に対する解像度も非常に高いんですよね。この領域は専門性が必要になるのですが、おそらくご自身でしっかりと勉強されているんだと思います。

たとえば「社会福祉協議会が〜〜」と言われても、多くの人は何のことかわかりません。私たちは日々、現場でこうした話を聞いているので具体的なイメージを持って会話できますが、デスクリサーチのみだと「なんとなく知っている」レベルから上がりづらい。それが八重樫さんの場合、すんなりお話を進められるんです。

久保田その通りですね。そもそも国の制度や政策も含めて、具体的なお話ができるキャピタリストは多くない。でも、八重樫さんはそこまでイメージを持った状態でディスカッションができるので、彼と壁打ちさせてもらえる時間は学びが多く、助かっています。

八重樫世の中、すばらしい意志と行動力を持つ起業家さんは沢山いらっしゃいます。その中で魅力を感じる出会いがあれば、「投資家としてどうしたらご出資ができそうか?」を深く考えます。

ですので、投資検討の段階で「ここの検証が意思決定において重要です」といった具体的なポイントはできる限り言語化して起業家さんにお伝えしたり、打ち合わせが少しでも実のある時間になるよう準備したりなどは意識しています。

もちろん、起業家さんの方が事業や市場などにおいて詳しいのは当然ですから、私も同じ目線に少しでも近づいて議論ができるよう、ときには思い切って起業家さんから多くのお時間をいただき、前提や疑問に思う点を直接お聞きしています。お二人にもたくさん質問させていただきましたよね(笑)。

こうした姿勢は、シード期のスタートアップにとって心強い味方となるのではなかろうか。スピーディーな判断と、事業や業界を深く理解するための対話。そして、出資を決めるためにすべきことを必死で考え、実践する。まさに起業家が求める理想的なパートナーと言えるはずだ。

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日本発の介護DXソリューションが、世界標準となる日は近い

この2社が蓄積している介護現場のデータやノウハウは、日本社会において大きな価値を持つだろう。なぜなら、世界でも類を見ない超高齢社会を迎えているのが日本であり、「課題先進国」と言えるからだ。ヨーロッパの先進国であるドイツが2020年に超高齢社会になっており、移民流入で労働人口が増加しているアメリカも2040年には超高齢社会へ突入すると言われている。

また、2100年に向けて人口増加が続くアフリカ諸国ですら、2060年に高齢化社会になる予測が出ており、いずれは海外においても同様の課題を抱え、介護事業者の業務の見直しが検討され、要介護者のお金の問題が発生するはずである。

岡田KAERUでは、将来的に海外への展開も視野に入れています。

例えば、韓国のキャッシュレス比率は約95%もあるんです。その一方で、高齢化率は2030年頃に日本を抜いて1位になるという推計がされている。つまり、デジタル決済が当たり前の社会でありながら、高齢化による新たな課題が急速に拡大していくということです。そこに、日本で培った知見をかけ合わせることで、韓国市場にフィットするソリューションを提供できると考えています。

久保田CareFranは、2025年から2030年にかけて、団塊の世代が75歳以上となり、介護職人材が減少するという最も厳しい時期を迎えると見ています。そのため、事業の成長をさらに加速させる方針です。

また、私の今後の展望としては、“地域を守る交番”のように、“地域を元気にするCareFran”を確立したいと思っています。交番があることで治安が保たれやすくなるように、CareFranがあることで地域に住むおじいさん・おばあさんたちが長寿になる仕組みをつくりたいと思っています。そして、日本の介護のオペレーションノウハウと人材を、海外でも活かしていきたいですね。

日本人の介護職員が、海外で介護相談に乗ったり、海外の介護施設でケアマネジャーをしたりする、といった未来が実現することを夢見ています。

介護の領域で、日本は世界で通用するノウハウや人材、事業モデルをつくれるし広げられる。世の中に対して、そう発信していきたいですし、証明していきたいなと強く思っています。

八重樫いまは世界中の国々が高齢化に向けて準備を進めています。その中で、先行事例として日本発の介護DXソリューションが世界標準になる可能性は十分にある。だからこそ、ユナイテッドとしては、彼らの挑戦をしっかりと支援していきたいと考えています。

介護領域のDXは、事業化が難しい。無意識にそんなイメージを持ってしまってはいないだろうか?たしかに、法規制は多く、毎年何かしらの法改正がある。そして、事業を推進する上では自治体連携も常に必要となる。

だが、そうした難しさ、複雑さがあるからこそ、この3名は当事者意識を強く持ち、「自分たちが変えていくんだ」と考え、行動を続けている。世界に先駆けて超高齢社会を迎える日本だからこそ、ここで生まれるDXソリューションは、近い将来、世界標準になりうる。

八重樫介護の領域は、ステークホルダーの複雑性もさることながら、デジタル化のレディネスも限定的で、スタートアップが変化を起こすことが容易ではない領域だと考えています。

しかし同時に、今後の日本の高齢社会において人々が健やかに暮らしていくために、絶対にイノベーションを起こさなければならない領域であるとも捉えています。

ユナイテッドは、この領域を変革せんとする起業家に、長い時間軸をとって共に歩めるパートナーとして、事業の成長に微力ながら貢献していきたいと考えています。

CareFranとKAERUという2つのスタートアップと、彼らを支える投資家・ユナイテッド。誰もが解決を望む社会課題に正面から挑む彼らの挑戦を、応援せずにはいられない──。

こちらの記事は2025年02月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山根 榛夏

写真

藤田 慎一郎

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