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採用支援を強化する500 Startups Japanが、大型転職イベントを開催
500 Startups Japanの有力投資先18社が一堂に集う大型転職イベント「500 Career Fair」が10/2(火)に開催される。
500 Startups Japanは、2015年の設立以来、株式会社SmartHRなど数々の優良スタートアップへ投資してきた日本屈指のシード投資ファンド。
今後は投資先への採用支援強化のため、スタートアップへの転職に関心のあるビジネスパーソンと、人材不足に悩む投資先企業とのマッチングに注力していくという。
FastGrowは、イベントの開催に先立ち、同社の代表兼マネージングパートナーのJames Riney(ジェームズ・ライニー)氏、タレントマネージャーの津田遼氏にインタビューを行った。
今500 Startups Japanが採用支援に注力する理由、スタートアップに求められる人材像とは?
- TEXT BY MASAKI KOIKE
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
500 Startups Japanが投資先企業とつくる「スタートアップのための人材コミュニティ」
500 Startups Japanは、アメリカの著名VC・Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)やFirst Round Capital(ファースト・ラウンド・キャピタル)のように、ただ資金を投資するだけでなく、「投資先スタートアップの資金調達」「PR」「起業家コミュニティづくり」「採用」を、一貫して支援するプラットフォームとなることを目指している。
その構想の第一歩として、2015年の創業時より、戦略的な資金調達を支援する体制をつくり上げてきた。500 Startups Japanでは、投資家のデータベースをもとに調達に向けてKPIを定め、BtoB営業におけるリードナーチャリングのように調達準備が進められる。結果、投資後1年以上を経た23社のうち、21社が次の資金調達ステージに進んでいるという。
また、PRのノウハウやリソースを持たないスタートアップへ向け、メディアとの関係性を構築し投資先に紹介し、起業家やメンターによる勉強会・イベントを定期的に開催するなど、「PR」「起業家コミュニティづくり」の支援については一定の成果を出してきた。そこで、次の打ち手として取り組むのが「採用」だ。
ヘッドハンターに数百万円の費用を投入する資金的余裕があるスタートアップは稀だけに、イベントの開催などを通じて採用支援を行う。その際にカギとなるのが、500 Startups Japanと投資先企業で形成される「人材コミュニティ」の活用だ。
独自コミュニティをデータベースに。適切な人材をアサインする
James500 Startups Japan自体は社員数6名の小さな企業ですが、投資先企業も合わせると大きなコミュニティになります。500 Startups Japanを中心に、SmartHRやカケハシといった投資先が集まって「500 Family」という大きなコミュニティを作り、その全体の採用担当となるチームを新たに設けるようなイメージです。
こうした採用支援の強化プロジェクトを担う人材として入社したのが、グリー株式会社で人事・採用に携わっていた津田氏。メガベンチャーでの経験を活かし、投資先企業を巻き込んだ大規模な人材コミュニティを構築していく。
津田Jamesの構想を聞いたとき、今までにない試みだったので、「本当にできるのだろうか?」と半信半疑でした。ただ、熱い想いを知るうちに、この取り組みの重要性や面白さが徐々に分かるようになり、入社を決意したんです。
転職者が知りたい「ビジョン」と「具体的な業務内容」を徹底的に伝える
実際に採用支援に取り組んでいくうえで、まずは人材コミュニティの認知を広げていく必要がある。潜在的な転職者層も含め、「500 Startups Japanに相談すれば、面白いスタートアップと繋がれそうだ」というイメージを持ってもらうために、10月2日開催の 「Career Fair」のようなイベントを積極的に打ち出したり、PRを強化していく方針だ。あらゆる職種のなかでもエンジニアやデザイナーの採用は特に力を入れていくという。
彼らがアプローチするのは、「現在スタートアップで働いている層」と「現在大企業で働いている層」に分かれる。投資先に物流、保険、ヘルスケアといったレガシー領域のスタートアップが多い500 Startups Japanだからこそ、大企業出身の人材へのニーズも高い。たとえば、出資先企業の一つであるZehitomoのCSO(Chief Strategy Officer)は、500 Startups Japanの紹介で楽天から転職したという。
津田氏は、スタートアップへの転職を後押しするために「メンバーの事業に対するパッション」と「具体的な業務内容」を同時に伝えていくことが重要だと話す。特に大企業で働く人の場合は全く異なる環境へ飛び込むことになるので、転職先候補のスタートアップのメンバーと何度も面談を行い、不安要素を徹底的に解消していくそうだ。
Jamesに誘われて転職した津田氏自身も、この重要性を実感したそうだ。
津田「毎日どういった業務をこなしていくのか」「どのようなマインドセットを持つべきなのか」「具体的にどういったプロセスで仕事が進んでいくのか」...。不安は尽きなかったので、Jamesをはじめとした既存のメンバーに何度も何度も話を聞きました。その結果、理想像・ミッションから、現状の課題、具体的なキャリアイベントの内容まで、かなりはっきりとしたイメージを持つことができました。
James具体性は非常に大切です。特にスタートアップは、既存の枠組みにはなかったような新しい職種を募集していることが多い。したがって、大企業出身者に対しては、実際に数日間業務を体験してもらうなど、丁寧にサポートを行っていきます。
10月2日(火)に開催される「500 Career Fair」は、今すぐにスタートアップに転職したいと思っている人はもちろん、「関心がある」だけの人も積極的に訪れてほしいと2人は話す。投資先の18社各々のピッチだけでなく、個別のブースで話を聞くこともできるので、各スタートアップのメンバーのパッションと生の声を、かなり近い距離感で体感できるはずだ。
James僕らの投資先企業は、巨大なレガシー領域のマーケットで、数千億規模のエグジットも可能なスケールの大きいチャレンジをしているスタートアップばかりです。僕たちと一緒に、世界を変えていきましょう。
500 Career Fairについて
こちらの記事は2018年09月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
小池 真幸
編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。
写真
藤田 慎一郎
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
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