「セカンドキャリア」は先人に学べ──広告・コンサル・商社出身者が活躍する、ベンチャー / スタートアップ特集

「自分のキャリア、今のままで本当に良いのだろうか」──。

FastGrow読者に多い、20〜30代の若手ビジネスパーソンなら一度は考えるであろう、セカンドキャリア。

「別に今すぐ転職したいわけではないが、かといって、今の環境に満足しているわけではない」。そんな状況の中、日々の業務に勤しんでいる人も決して少なくないはず。

しかし、周知の通り、近年ではもはや大手企業に所属しているからといって安泰とは言えなくなった。また、テクノロジーの発展により、人の介在価値はますます減少傾向となっている。つまり、悠長に物事を考えている時間はないということだろう。

「確かに、周囲を見渡せば、起業や、ベンチャー / スタートアップの創業メンバー、ないしCxOとして参画するなど、挑戦機会に飛び込む仲間の姿も目に入る。自分も何かしなければ」──。

そんな想いを抱く若手読者に向けて、今回は、読者諸君がセカンドキャリアを“具体的に”考えていくきっかけとなるような記事をお届けする。第一回目の対象は、広告代理店・総合商社・コンサルティングファームの3つだ。

本記事では、上記の領域で活躍している人材が、そのスキル経験をそのまま活かせるであろう急成長企業をカテゴリ別に紹介していく。「才能の最適最適」を志向するFastGrowとして、ぜひ自身のセカンドキャリアを考えるために有効活用していただきたい。

  • TEXT BY TAKASHI OKUBO
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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広告代理店(ex.デジタルマーケティング)

世間を賑わせているChatGPTを筆頭に、テクノロジーの普及によって、人が介在しなくても価値が生み出せるようになっている領域は数多く存在している。そしてその波は、今回取り上げる広告業界にも押し寄せているという。

しかし、「ピンチはチャンス」とも言うように、これを機にネクストキャリアを模索してみるのも一考である。例えば、当業界に関して言えば、広告代理店で培ったノウハウを活かし、広告主側であるメーカーのマーケティング責任者に移ったり、ベンチャー / スタートアップのCMOに就任するといったキャリアが考えられるところだろう。

そこで、ここからはFastGrowが広告領域で注目する企業を具体的に紹介していこう。次のセクション2ではマキヤマブラザーズ、そしてセクション3ではマイベストを取り扱う。

両社とも急成長必至のベンチャー / スタートアップとなっているので、読者にとって思いがけない巡り合わせが生まれることを期待している。

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シードラウンドの資金調達を終えた、「縦型ショート動画素材」のプラットフォーマー・マキヤマブラザーズ

パートナーであるTikTok for Businessとの対談取材

「ゼロから市場を創っていきたい」と考える人材ならば、クリエイターエコノミー市場で唯一無二のポジションを取る、マキヤマブラザーズをオススメする。

同社は、クリエイターから「縦型ショート動画素材」を収集し、その素材を広告・マーケ業界の企業に提供するプラットフォーム『DeLMO』を運営する、新進気鋭のスタートアップだ。

市場を見渡せば、ソーシャルメディアマーケティングに関するコンサルティングサービスを提供する企業は無数に存在する。しかし、ソーシャルメディアマーケティングに注力している広告代理店や広告主などに対し、「縦型ショート動画素材」という“武器”を提供している企業は、このマキヤマブラザーズのみ。昨今の縦型ショート動画の盛り上がり具合を見れば、これがいかに事業として筋が良いものなのかは言わずともお分かりいただけるだろう。

事実、このサービスの登録クリエイター数は1,000名を超え、導入社数は前年同月比で436%増・売上も336%増と、破竹の勢いで急成長*している。

*導入社数と売上の数字は、2022年2月と2023年2月時点の比較

「全ての人がクリエイターとして稼げる社会を作りたい」──。そう語る同社の創業者でありCEOの鬼山 真記氏も、元々デジタルマーケティング領域の出身だ。

そんなマキヤマブラザーズには、サイバーエージェントやSpeee、アライドアーキテクツなどといった広告代理業を行なっている上場企業出身のメンバーや、ヤフーを主とした大手企業出身のメンバーが集まっている。

詳細は下記のスライドを参照してもらえればと思うが、デジタル領域における広告代理店や広告主としての事業経験、インフルエンサーマーケティング領域での経験を持つ人材は、次なる挑戦をする環境として、面白みのある選択肢ではないだろうか。

「デジタルマーケの経験は一通り積みきった」。

「この経験を活かしてもっと刺激的な挑戦がしたい」。

そう考える者にとっては絶好のセカンドキャリアとなるだろう。

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世界の“選択サポートサービス”へ。
創業以来、黒字経営のマイベスト

続いて紹介するのは、選択サポートサービス『mybest』を展開するマイベスト。世の中に星の数ほどある「商品」と「情報」の中から、ユーザーにとって最適な商品を提案してくれるサービスだ。

月間利用回数は約5,000万回以上、日本人の4人に1人が毎月使うサービスとなっている。さらに『mybest』は海外へも積極的に展開し、台湾、インドネシ、タイ、ブラジルなど8カ国で利用されており、今後はアメリカへの事業展開にも注力するという。

『mybest』の事業構想は代表の吉川氏が1年かけて1人で仮説検証を行い、「この事業はいける」と確信してスタートした。そして創業して以降6年間、黒字経営を継続しているのである。

『mybest』に登録されている商品は毎月2,000商品が追加されており、その全てが“実際に購入して自分達で検証したもの”である。

1つの商品を評価する際に、絶対評価ではなく他の類似品と比較検証した上で相対評価する形式を取っているため、時には1,000個もの商品を比較検証することもあるという。

この狂気ともいえる徹底した一次情報へのこだわりこそが、『mybest』の唯一無二の強みだと言えるだろう。圧倒的な泥臭さ。今さらこの土俵に並び立とうという酔狂な企業はいないだろう。

そんなマイベストは中途入社から新卒までバランスよく活躍している組織であり、多国籍かつ20代を中心とした非常に多様性にとんだ組織だ。実力主義を掲げ、実績のあるものは年齢関係なく重要なポジションに登用する。2023年5月には17卒の佐藤氏が執行役員に就任した。『mybest』の成長に伴い、組織は今も拡大中だ。

圧倒的な泥臭さは、広告代理店の現場でも成果を出すために求められていたのではないだろうか。その泥臭さが『mybest』でも通用するか。挑戦してみたくはないか。

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総合商社

「ラーメンから航空機まで」と言われるように、ありとあらゆる商材を手掛け、グローバルな事業の経験までできる総合商社。

海外との架け橋となり、日本経済を支えてきた商社には歴史ある大手企業が名を連ねる。中国やインドなど経済的に急激な発展を遂げてきた諸外国の台頭や、コロナや戦争と言った世界情勢の影響、円安、為替市場の影響など、国内のみを対象とした仕事では体感できない時流を肌で感じてきたことだろう。

ただ一方で、大きな規模感の中で働いていると、自分が社会に貢献しているという手触り感がないといった葛藤を抱くこともあるのではないか。

そんな人にこそ、世の中に革新的な変化をもたらそうとしているスタートアップ・ベンチャーの舞台に上がってみてほしい。これまでの経験や知識が、目まぐるしく変化するスタートアップ・ベンチャーにおいて力強い“芯”となるはずだ。

続いては、そんな総合商社出身者が輝けるであろうスタートアップ・ベンチャーを紹介しよう。セクション5ではキャディ、セクション6ではZEALSを取り上げる。

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大手総合商社出身者が創業期にジョイン。
今や80.3億円を調達するメガベンチャーへと成長したキャディ

キャディは2017年11月に創業したスタートアップで、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」というミッションを掲げた製造業界のDXを実現する企業だ。

小さな町工場から歴史ある大手メーカーまで、ものづくりに携わる全ての企業がポテンシャルを最大限に発揮できる「新しい仕組み」をつくる。

同社は2021年8月にはシリーズBラウンド総額80.3億円の資金調達を実施。翌年2022年4月には初の海外現地法人をベトナムに設立し、その後タイ、アメリカと順調に展開している。

製造業という世界最大規模の市場で着実に成長し、世界を相手取りながら確実に影響力を高めていると言えるだろう。2022年9月の時点で社員数は554名に達している。

そんなキャディだが、大手総合商社の三井商事や三井物産にて海外事業を任された者たちが、まだ社員数3名という創業間もないタイミングでジョインしていた。彼らもまた、自分たちの力で社会を変えたいと志し、総合商社時代に培ったスキルを活かして今日のキャディを作り上げてきたのだ。

同社はまだまだ成長半ばであり、今後も益々成長が期待される。世界最大規模の市場である製造業界のスタートアップで、世界と戦ってみたいと思うならその門を叩いてみてはどうか。

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青き炎を宿すサムライカンパニー。
チャットコマース市場にて世界を目指すZEALS

総合商社からのネクストキャリアにおすすめしたい企業をもう1社紹介しよう。

AIチャットボットとコミュニケーションデザインにより、日本のおもてなし体験をデジタル化する「おもてなし革命」に挑戦するZEALSだ。同社はチャットコマース®️『ジールス』*を提供し、質の高い接客体験・購買体験をデジタルの中で表現できるようにする。

*チャットコマース®️は株式会社ZEALSの登録商標です。

チャットコマースというのは、チャットができるサービスを活用しオンライン上で質の高い接客体験を提供できるサービスのことだ。

このチャットコマース、世界でも広がりを見せており、2025年までに2,900億米ドル(約35兆円)規模になると見込まれている。その内90%はアジア地域が占めると予想されており、そのパイオニアたる存在がZEALSである。コロナ禍以降も急成長を遂げ、自動車、化粧品、金融など幅広い業界に広まっている。

ZEALSも2022年5月に50億の資金調達を実施し、そして2022年9月に米国法人を設立した。国内に留まらず果敢に世界に挑戦するその姿は、今の日本にとって心強いことこの上ない。

そんな同社は中途採用の割合が87%を占めており、国内のマーケティング・ITソリューション企業の出身者を中心に世界中から優秀な人材を集めている。国内でも、伊藤忠商事、サイバーエージェント、DeNAなど大手企業からの転職者も多い。

もし今の環境で力を持て余しているのであれば、世界に立ち向かう青き炎を宿すサムライカンパニーに挑戦してみるといい。

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コンサルティングファーム

2023年3月。米国の大手コンサル企業である、マッキンゼーとアクセンチュアの大規模リストラが話題になったのは記憶に新しい。コンサル業界では過去最大規模の人員削減だと話題になりNHKでも報道された。

その原因と見られているのは、コンサルブームを牽引してきたIT業界などの衰退や、AIなどのテクノロジーの活用によるコスト削減などだと言われている。その波が日本にもやってくる可能性がないとは誰も言い切れないだろう。

しかし、当事者たるコンサルタント達はそこまで焦っていないのではないだろうか。むしろこうしたコンサルブームの終焉というタイミングが訪れようものなら、この機会により高みを目指そうという強者が多いはずだと、我々FastGrow編集部は考える。

なぜなら、コンサル出身でスタートアップ界隈を賑わせている猛者をこれまで何人も取材してきたからだ。たとえば、コンサル出身者が活躍する企業といえば、先述したキャディやUbieなどがあげられる。

ここではそんな猛者たちが率いる今イチオシのスタートアップ・ベンチャー企業を紹介しよう。セクション8でSEPTA、セクション9ではエクサウィザーズ、セクション10ではスイッチメディアだ。コンサル業界にいる若手諸君の、新たな選択肢となれば嬉しい。

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創業2年で売上2億円。
ハイ・シナジーコミュニティなる新概念を創ったSEPTA

まず紹介するのは、フリーのコンサルタント向けマッチングサービス『CoProJect』を展開するSEPTAだ。同社を率いるのは、「ハイ・シナジーコミュニティ」という新たなコミュニティ概念を創り出し、FastGrow上で注目を集めた山口氏だ。

彼は外資系コンサルティングファーム・PwCのFASメンバーとして活躍し、SEPTAと、過去にはもう1社の起業を果たしているコンサル出身の経営者である。「ハイ・シナジーコミュニティ」について詳しく知りたい読者は、ぜひこちらの記事を参照されたし。

『CoProJect』はコンサル出身者が構築した事業ならではのサービスで、ユーザーであるコンサル視点で設計されているのが特徴だ。サービス開始から2年で売上高は3億円に到達し、3年目となる今期は7億5千万円を狙える見込みだとか。

そのポテンシャルの高さに期待を寄せ、投資事業会社のREAPRA JapanはSEPTAの経営支援を行っている

ちなみにのREAPRA Japanとは、若干25歳でエス・エム・エスを創業し東証一部上場させた諸藤氏が率いるベンチャービルダーである。“100年以上続く”持続可能な事業体を創ることを目指し、起業家を支援している。SEPTAの事業にはそれほどの価値があると評価されたわけだ。

しかし、これほどの実績や外部からの期待を寄せられているSEPTAは、まだアーリーフェーズのスタートアップで創業3年目というのだからまったく驚く。

そんなSEPTAと山口氏のもとには頼もしいメンバーが集う。取締役にはヤフーでエンジニアとして活躍した東山氏、他にも大手事業会社やコンサルティング会社で活躍してきたメンバーなど、様々なバックボーンをもった才能が集まっている。

フリーのコンサルタント達から圧倒的な信頼を得る『CoProJect』。急成長するアーリーフェーズのスタートアップで、コンサルタントの経験を活かしてみたくはないか。

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AIの力で社会課題を解決。
元Google研究者など多様な人材が集うエクサウィザーズ

巷では2022年は画像生成AI元年とも言われ、世界のビッグテックから新興企業まで多くの企業が画像生成AIのサービスやプロダクトを発表した。

ChatGPTや画像生成AIなど、ここ数年でAI領域は一部のIT企業に留まらず、より一般的なものとして認識されたのは間違いない。ただ、これらもAIの可能性のほんの一部にすぎないだろう。

エクサウィザーズはAI技術を用いて企業のDXを推進し、経営課題の解決と社会課題の解決を実現するスタートアップだ。

同社は2016年創業以降成長を続け、世界22カ国に従業員がいるグローバル企業となっている。2019年には元Google研究者のアロン・ハレヴィ氏をエグゼクティブサポーターに迎え、2021年には世界で最も有望なAIスタートアップ100社にも選出されるなど、日本を代表するAIスタートアップと言っても過言ではない。

エクサウィザーズには多様なバックグラウンドを持つ人材が集まっており、AIコンサルタントにはアクセンチュアやマッキンゼーなど著名なコンサル企業からの転職してきたものもいる。成長著しいAI業界のど真ん中で働きたいと思うのならうってつけの場所と言えるだろう。

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SaaS ✕ データ分析の力で抽象的だったテレビCMの効果を精密に可視化。スイッチメディア

続いて紹介するのは、テレビCMの売上効果を分析するSaaS『TVAL』、『SMART』を提供するスイッチメディアだ。

同社はテレビCMの効果測定に新しい指標をつくり、抽象度の高かったテレビCMの効果をより具体的に可視化。これによって、広告主は無駄なコストを削減できるばかりでなく、自社が広告を届けたいと思うユーザーにピンポイントで届けられるようになった。

「テレビCMって成熟産業では?」「テレビCMの具体的な効果測定なんて本当にできるのか?」などと思うかもしれない。しかし前者に関してはこちらの記事で代表取締役社長の高山氏が語っている通り、「『テレビ以外の面白いメディアコンテンツが増えた=テレビCMに可能性がない』と結びつけて考えてしまっていませんか?」という問いに答えがある。

テレビCM広告は今も圧倒的な効果を発揮する広告媒体の1つであることは間違いない。後者に関しては、同社のデータサイエンスチームには元研究者も顔を連ね、解像度の高いテレビ視聴データという希少性の高い情報を保持している点が可能にしている。

同社には、「これからのテレビに将来性はあるのか?」と考えていた者もその実態を目の当たりにし転職するなど、事業内容やその理念に惹かれて選ぶものも少なくない。読者諸君ならどう判断するだろうか?気になるならばこちらの記事を読み、その目で確かめてほしい。

こちらの記事は2023年06月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大久保 崇

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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