「人生かけて勝負する経営者は魅力的」──アクセンチュア・マネジングディレクターから特殊冷凍ベンチャーへ。デイブレイク取締役に訊くCxO採用の鍵
Sponsored「自身の右腕となる優秀なCxOさえいれば、事業を伸ばせるのに」──と、多くの経営者や起業家は考えているはずだ。
しかし、誰もが認識しているように「CxO」の採用は決して容易ではない。採用市場において、CxOポジションに適した資質やスキルを持つ人材は極めて少なく、出会う事が困難だからだ。
結果、そうした優秀な人材を確保するために各社で熾烈な争いが生まれている。そんな時、経営者や起業家はこう思う。
「一体、他社はどうやってあれだけのCxOたちを迎え入れているのだろうか…」と。
今回はそんな悩みを解消すべく、あるスタートアップの事例を紹介したい。それは、読者にとってはややニッチかもしれない「特殊冷凍」という領域において、国内に留まらずグローバルでも急成長を遂げるデイブレイクだ。
まずはともかく、デイブレイクのCxO布陣を見てもらう。
同社には、野村総研を経て、2度のEXIT経験を持つCFO(参考)、キーエンスの事業部で1%以下の確率でしか選ばれない「本社販促」グループを経験したCOO(参考)、さらに、アクセンチュアでマネジングディレクターまで上り詰めたCSOがいる。
読者の心情を察するに、「なぜ、そんなニッチな領域のスタートアップに実力者たちが揃うのか?」「経営者は一体、どんな人物なのか?」といった声が聞こえてきそうだ。
その答えをぜひ、今から当事者たちに直接聞いてみたい。本記事がCxO採用に悩む多くの経営者・起業家の仲間集めの一助になれば幸いだ。
- TEXT BY YUKO YAMADA
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
グロービスの「生徒が」アクセンチュア・マネジングディレクターの「客員准教授を」口説き、CxOに招き入れる
片山覚悟を決め、リスクを取りながら自分の事業に人生を懸けて取り組んでいる経営者って素直に尊敬しますし、かっこいいな」と感じてしまいます。
そう語るのはデイブレイク・CSOの片山氏。元々、アクセンチュアで20年近く戦略コンサルタントとして活躍し、マネジングディレクターまで上り詰めた人物である。
片山氏は、数多くのオファーを受けながらも、2024年3月、木下氏が率いるスタートアップ、デイブレイクに電撃移籍を果たした。
片山経営者は、大きな夢と同時に、その夢に対する「覚悟」をどれだけ持っているかが大切だと思います。
本気でリスクを背負って勝負をしている姿を見せられたら、やはり心が動かされます。
そうすると、こちらも自分の人生を懸けてでもその夢や想いに応えたくなりますし、いっしょに全力でそれを実現していきたいと思いますよ。
そんな片山氏と木下氏の関係は、なんと元々グロービスでの講師と生徒という間柄…。グロービスで経営戦略の講師をしていた片山氏が、生徒だった木下氏の企業へ転職したということになる。
「講師が生徒の会社に入社…?」。諸君らが驚くのも無理はない。
二人の出会いは2019年。木下氏は、自身が2013年に創業したデイブレイクの事業に伸び悩みを感じており、経営に関して本気で学ぶべく、グロービスに通うことに決めた。当時、そこで講師を務めていたのが片山氏だったのだ。
木下片山さんとはすぐに意気投合しましたね。グロービスで3ヶ月間のカリキュラムが終了してからも、有志での勉強会を通じて片山さんとは交流を続けていたんです。尊敬できる先生であり、友達以上に親しい間柄でした。
出会った当初は、勝手ながら「経営コンサルタントという職業柄、近寄りがたい人なのかな」と思っていたんです。でも、聞くと片山さんはプロサーファーを本気で目指すため、敢えて地方公務員という職を選んだという意外な出自を持っており、また地元が湘南出身で僕と一緒だなと──。
そこで、「片山さんも僕と同じ湘南の風を浴びて育ってきたんだな」とすぐに親近感が湧きました。片山さんといると心が安らぐし、いつも以上に自由に振る舞えるんです。本当に頼りになる存在です。
片山それは嬉しい。これまでグロービスで数多くの生徒を担当してきましたが、木下とは一番親しくなりました。彼に誘われて当時からデイブレイク社にもよく顔を出していたので、入社前から社内のメンバーともすっかり打ち解けていました。
なので、ある時デイブレイクの役員合宿に参加した際は、社員でもないのになぜか私がファシリテーションを務めることもありましたね(笑)。
「そうそう、そんなこともあった」と、二人は笑みをこぼしながら当時を振り返る。
木下これまでも、片山さんにはずっと事業の相談をしていました。2019年当時、デイブレイクは特殊冷凍の技術を用いてフードロスの問題に取り組むフルーツ事業を進めていて、その取り組みに片山さんが関心を示してくれたんです。
僕は事業に対する熱量が高いと自負していますが、片山さんの熱量やパワーも凄まじいものがある。
話をしていると、デイブレイクの事業に心からワクワクしてくれているのが伝わってくるんですよ。もちろん、ワクワクしてくれる人は他にもたくさんいます。でも、片山さんは人としてのエネルギーがズバ抜けて高く、対話していると何か覇気のようなものがどーんと迫ってくる感じがあるんです。
グロービスで出会って半年ほど経ってからでしょうか。その頃から「片山さんと一緒に仕事がしたい」と思うようになっていきまして。そこで「ぜひウチに来てくださいよ」とオファーをするんですが、最初の頃は「ありがたいことだけど、今は担当している仕事をしっかり成し遂げたい」とその度にかわされてしまうという(笑)。
片山時々、冗談みたいに「いつか一緒に仕事ができたら絶対面白いね」と話してはいたんです。
しかし、5年前の私はアクセンチュアの仕事に大きなやりがいを感じており、当時、社員数が5〜6名の“どスタートアップ"のデイブレイクに移ることで、自分が本当に活躍できるかどうかがまだ想像できませんでした。
その後、デイブレイク事業が拡大してからも、自ら起業するか、他社に移籍するかを含めてキャリアの選択肢は多く、最後の最後まで迷っていたんです。その時も木下とは何百回も会って話し合いましたよね。そこでも彼は諦めずにずっとオファーをくれていました。
木下しまいには僕も痺れを切らして、「片山さん、ここらで一緒に人生懸けましょうよ。もうそろそろ僕の船に乗ってください」とストレートに伝えていました。ただし、「失敗したらごめんなさい」とも(笑)。
片山そう、お互いに本気だったよね(笑)。そんなこんなで、今回デイブレイクに参画できたのはいろんなタイミングが重なったからです。
前職の同僚は私の決断に驚いていました。「片山と言えば、ずっとアクセンチュアでやっていくのだろう」というイメージを持たれていたので、まさか辞めるとは思われていなかったようで。そんな私が20年勤めたアクセンチュアを辞め、さらに移籍先が特殊冷凍業界のスタートアップだったので、周囲はかなりざわついたようです(笑)。
木下絶対そうなりますよね(笑)。本当に感謝していますよ。
取材の冒頭から何度も笑いが湧き起こる。彼らの和やかな掛け合いで場が温まってきたところで、話を本題へと進めていこう。
CxO採用に必要なことは、経営者の「弱み」と「リスクテイク」の開示
CxOポジションに限らず、ベンチャーやスタートアップで優秀な仲間を巻き込むためには、事業が急成長していることは大前提。さらに、組織としてどれだけインパクトのある世界観を目指しているかという点が重要だ。
その点、デイブレイクは国内の特殊冷凍機メーカーとしてトップシェアを獲得し、日本のみならず世界中の食に変革をもたらすという壮大なビジョンを描いている。
アクセンチュアでマネジングディレクターを務めていた片山氏がデイブレイクに飛び込んだのは、こうしたユニークなビジョンに魅力を感じたからだろうか。
片山それはありますね。木下氏が掲げる「冷凍テクノロジーを活用して、世の中の食品流通やサプライチェーンを変革する」という壮大なビジョンには非常に魅力があります。
私がこのタイミングで参画を決意したのは、デイブレイクが世界中の「食」生活に変革をもたらす新たなビジネスモデルの構築と、それに伴う組織づくりのフェーズに来ていたからです。まさに今こそ自分が貢献できる時が来たと感じたんです。
その前提として、コンサルティング業界で20年の節目を迎え、新たなチャレンジをしたいという気持ちも大きかったですね。
片山さらに、デイブレイクには共同創業者兼CFOの守下、元キーエンスで本社統括のマーケティング・販促を手がけたCOOの下村をはじめ、他にもキーエンスで23年間トップセールスを勤めた国内事業責任者の大平、キーエンス、アクセンチュア、日本M&Aセンターを経て参画した執行役員 兼 海外事業部長の杉浦など、実力者揃いのメンバーが次々と加わっている。
そうした状況を目の当たりにして、「このメンバーなら、世界を舞台にデイブレイクのビジョンを実現していける」という確信もありました。
しかし、片山氏がデイブレイクに参画を決めた理由はそれだけではない。やはり最大の決め手は、「木下氏が持つ経営者としての器」だと付け加えた。
片山アクセンチュアを辞める際、江川社長から「あの木下社長がいるデイブレイクに行くのか。デイブレクは今後世界で勝負する会社だし、木下社長は非常に魅力的な経営者だ。それならもう引き留めようがないな。全力で応援するよ」と言わしめるほどの男です。私自身も、木下の経営者としての資質は文句なしと思っています。
それを示す一例を挙げると、木下は経営者として、自分のできないことを包み隠さずオープンに打ち明けてくれることですね。真っ直ぐすぎるところもありますが(笑)。
「これは自分にはできないから、協力してほしい」と。世の中、完璧な人はいないとはいえ、自分を完璧であるかのように装う人は少なくありません。
ところが彼は、自分に不足しているところやコンプレックスさえもオープンにして、それを面白さに変えて話をしてくれる。すると不思議なもので、自然と「力になりたい」と思えてくるんですよ。
木下できないことは「できない」って言いますからね。
僕には「世界で勝てる日本企業をつくる」という明確な想いがありますが、そこに向けて自分ができないことまで幅広く手がけようとは考えていないんですよ。経営者として平均点を取ることが目的ではないですからね。
自分に欠けている部分はスペシャリストにお願いした方がより速くゴールに近づくことができます。「僕にはこれができないです。だから、専門家のあなたに全力を尽くしてもらいたい」と素直に伝えた方が相手も嬉しいんじゃないでしょうか。
木下片山さんは、人の視点をロジカルに的確に引き上げる力や、数多くの大企業相手に仕組みづくりをされてきた経験から、多くの関係者を巻き込んで事業や組織を構築する力に長けています。また、経営戦略において成功要因を見出し、的確にアクションに落とし込んでいく際にも強い力を発揮します。これらは自分には到底できないこと。だから素直にお願いできるんです。
僕は、自分をごまかしたり、見栄を張るようなカッコ悪い生き方はしたくない。だからこそ、「できない」ことは認めて、周りの優秀な人たちにサポートしてもらう方が結果的にうまくいくと感じています。
片山それこそが経営者としての強みになっていますよね。そして木下からは、命を懸け、リスクを取って勝負をする姿勢と覚悟が強く感じられるのも魅力です。
もちろん、世の中のさまざまな経営者にも大きな重圧があることは分かっています。それこそ、大企業の経営者であれば長年築いてきた事業を守り、さらに成長させていくわけですからね。ですが、資金が潤沢でなく、人材も限られている中で資金がショートすれば事業がすぐに立ち行かなくなる可能性のあるスタートアップ経営者とは、プレッシャーの質が異なる。
デイブレイクは創業以降、約8年間に及ぶ苦節の時代があり、木下は多くのプレッシャーを受けながらも一つひとつの逆境に立ち向かってきました。その経験があるからこそ、彼のメッセージには説得力があり、多くの人を惹きつけるのかもしれません。
さらに木下氏は、スタートアップの経営者が一度でも招待されることが名誉とされるアクセンチュア主宰のイノベーションフォーラムに、過去6回も招待されている。こうした場で彼が各界の有識者たちを唸らすことができているのは、やはり座学で得た理論理屈だけでなく、血の滲むような実体験から得てきた知見があるからなのだろう。
クレイジーだと言われても、社会に必要とされる未来をつくりたい
木下氏は食品流通に革命を起こすべく、デイブレイクの事業にすべてを捧げてきた経営者だ。
詳しくは、木下氏による独占取材で語られた創業の背景についての記事に譲るが、彼は3代続く老舗冷凍会社の3代目であった。言うなれば、生まれながらにして人生に保証がある環境の下に生まれたのだ。
しかし、彼はあえてその座を手放し退路を絶つことで、デイブレイクを創業した。また、この場で詳細は書けないものの、同氏はここまでの人生において多くの「断」を実行しながら事業に勤しんできた。
木下家業を継ぐために施工管理士として父の会社に勤めていた時は、寝る間もないほど忙しく働き、一定の達成感はありました。しかし、業界の未来を考えた時に、「このままでは何も変わらないのでは」という疑問が頭をよぎり、業界のビジネスモデルに限界を感じるようになっていったんです。
その後、自分には何ができるのか、人に誇れる仕事とは何か、必要とされる商売とは何かを深く考えるようになりました。
そして、何かアクションを起こそうと思って東南アジアを旅していた時に、マンゴスチンをきっかけにフードロスの問題を目の当たりにしたんです。そこからたくさん思い悩んだ末に、「社会課題を解決する未来をつくりたい」という想いに至りました。
木下人から「クレイジーだ」と言われるほど多くを犠牲に、そして手放してきましたが、その分すべてをデイブレイクの事業に注ぎ込んできました。失うものはもう何もないと言い切れるほど、本気で人生を懸けてきたんです。
ただ、未来が見えない中で一度は投げ出した冷凍業界の延長線上に、まさか社会課題を解決できるポテンシャルが秘められているとは思わなかった。こんなストーリーがあるなんて想像していなかったです。今の事業に出会えたことは、僕の人生において最大の幸運ですよね。
片山氏は、このように木下氏が人生を懸けて事業に全力を投じるその「覚悟」に心を打たれた。このことが、片山氏が自身のキャリアパスを変えて、デイブレイクへの参画を決意する大きなきっかけになったのだ。
そんな木下氏に、経営者として大事にしてきたことは何かと尋ねると、「自分が何をやりたいのか、しっかりと相手の目を見て、堂々と、そして楽しげに話せるかどうかに尽きる」と返ってきた。
木下当然ですよ。経営者が自信を持たずどんよりとした姿を見せてしまうと、それがチームの士気や事業にも影響を与えてしまいますからね。
経営者は、自分が何を実現したいのかを真剣に考え、それに基づいてアクションできているかどうかが大事。自分にしか実現できない世界観を持って、経営者自身が背中でビジョンを示すことができれば、共感してくれる人は必ず現れると僕は信じています。
そして今、自信が持てなくても、常にポジティブな姿を示していくことで、徐々に自信は生まれてくるものだと思いますね。
片山本当にそうです。木下と一緒にいると、彼の持つポジティブなオーラによって、「一緒に取り組めば、どんなことも乗り越えられるのではないか。大きなことが成し遂げられるのではないか」と思えてくるんですよ。もはや論理の世界を超えています(笑)。
なので、たとえうまくいかないことがあっても必ず這い上がれると思うし、事業を成長させていく未来も明確に見せてくれる。私だけでなく、他のメンバーも「デイブレイクなら、とんでもない挑戦ができるんじゃないか」と強く感じていると思いますよ。
また、私は木下が経営者としてどれほど努力を重ねてきたのかも間近で見てきました。アカデミックな学びに加え、事業で関わる日本の経済界トップとの交流を通じて得た知識や経験もすべて血肉に変えている。経営者として常に新たなステージに挑戦し続ける姿に深く共感します。
スタートアップの経営者が大きな野望の実現に向けて仲間を募る際には、相手のキャリアメリットなどを丁寧に提示することが必要だ。しかし、自分たちと同じ船に乗ってもらうためには、結局のところ経営者自身の「覚悟」をどれだけ見せられるかどうかが鍵となる。
特に、これから急成長を遂げていこうとするスタートアップにおいては、相手の心を動かすような熱い想いや、それを体現する経営者としての生き様、姿勢が仲間を引き込む最終的な決め手となるのではないだろうか。
コトラー教授も太鼓判を押す、デイブレイクの世界を獲る事業ポテンシャル
心が熱くなる話を聞けたところで、読者の中には次第にこのように感じる者もいるのではないか。
「これほどまでに人を惹きつける木下氏が、本気で取り組むデイブレイクの事業とは何か?」「アクセンチュアのマネジングディレクターを務めた片山氏が、新たな挑戦の場として選んだ事業の魅力とは?」と。
ここでは、食を通じて世界の変革を目指すデイブレイクの取り組みについて掘り下げていこう。
「食」の領域では、フードロス、環境問題、人手不足など、国内外問わずさまざまな課題が存在する。そこでデイブレイクは特殊冷凍機『アートロックフリーザー』による独自の冷凍技術を活用して解決策を提供している。
では、具体的にどのようなビジネスモデルを提供しているのか。下図をご覧いただきたい。デイブレイクでは、特殊冷凍機を起点とした3つのソリューションを構成し、そのサイクルを回すことで事業を成長させている。
デイブレイクが生み出す3つの価値
-
「特殊冷凍テクノロジーのプロダクト」
特殊冷凍機『アートロックフリーザー』の提供による、高品質冷凍食材の作り手の増加 -
「特殊冷凍コンサルティング」
CS型コンサルティングとコミュニティ運営により冷凍事業者のエンゲージメントを向上し、高品質冷凍ビジネスの立ち上げを支援 -
「特殊冷凍フードプラットフォーム」
特殊冷凍を用いた食品流通のプラットフォームにて商品化と販路開拓を支援
前提情報として、特殊冷凍業界は国内で30年近く前から存在している。2013年に創業時したデイブレイクは、当初、冷凍機メーカーの代理店として事業をスタート。その後、2021年に特殊冷凍機『アートロックフリーザー』を提供するメーカーとなったデイブレイクは、わずか2年で他のプレイヤーを抑え、業界のトップランナーへと駆け上がった。
その背景には、業界外から選りすぐりの人材を仲間にし、レガシーな業界ながらテクノロジーを用いて最先端のビジネスモデルを構築している点にある。これまでの取材でも紹介してきたように、デイブレイクにはキーエンスやアクセンチュアでトップクラスの活躍をしてきた面々がCxO以外にも集まっているのだ。
加えて、デイブレイクの事業がユニークな点は、事業を通じてCSV(社会貢献をしながら利益を生み出す)を体現していることだろう。
木下今の世の中、企業に対してSDGsやCSV(Creating Shared Value)への取り組みが強く求められています。
そのため、SDGsやCSVを目的に事業を始める企業も少なくありません。しかし、デイブレイクが他の世のサービスと異なるのは、僕たちの事業活動そのものがSDGsやCSVの実現に直結している点にあります。つまり、僕たちは事業を通じて成長していく過程で、社会課題にも同時に貢献しているんです。
木下2021年、そんなデイブレイクの取り組みについて、なんと「近代マーケティングの父」と称されるフィリップ・コトラー教授からも直接、「今後、サステナビリティの重要性が加速していく中で、世の中のマーケティングのあり方も変化していく。デイブレイクのような事業がこれからの社会において重要になるだろう」とのお言葉を頂きました。
このことがきっかけでメディアからの注目が集まり、デイブレイクの知名度が一気に広まったんです。また、コトラー教授がデイブレイクが持つ価値を具体的に言語化してくれたことで、あらためて自分たちが向かうべき方向性も見直すことができました。
デイブレイクにとって大きな節目となったコトラー教授との出会い。そのきっかけをつくったのがまさに片山氏本人である。かねてより木下氏から事業相談を受け、デイブレイクの取り組みを深く分析していた片山氏は、デイブレイクの事業がまさにCSVに直結することを見出していた。
片山あれは確か、グロービス時代の繫がりで元アクセンチュアのCMI(チーフ・マーケティング・イノベーター)の加治慶光氏と木下を交えて朝食会を開き、CSVに関する意見交換を行っていたんですよね。
その際、加治氏から「今、コトラー教授が来日していて、ぜひ会ってみないか?」と誘ってもらったんです。そしてその日の夜、クローズドのパーティで木下も交えてコトラー教授とお話する機会を頂きましてね。そこで木下が当時のデイブレイクのプロダクト(『HenoHeno』)を紹介すると、「素晴らしい。ぜひ明日、私が登壇するCSVのセミナーに持ってきて欲しい」とコトラー教授が直々に仰ってくださったんですよね。
木下あの時は本当に驚きました。元アクセンチュアCMI・加治さんとのCSV意見交換ですら学びが多く頭がついていかない点がありましたが、そこから夜にはコトラー教授との面会ですよ…(笑)。
翌日のコトラー教授のCSVセミナーにおいても「CSVに本質的に向き合う会社はほとんど無いが、日本のベンチャーでCSVを体現しようとしている会社がある」とデイブレイクを紹介してくださったんです。
今思うと、あの一連の流れは何か特別なパワーが働いて、運命的な「縁」によって導かれたように感じますね。このきっかけを創ってくれた片山さんは間違いなく、デイブレイクにとって大恩人です。
さらに、デイブレイクには、元ソニーの会長である故・出井氏が顧問としてバックアップしてくれた経緯もある。これらを見るに、デイブレイクが未来の食文化に変革を起こすスタートアップであるという信憑性がより一層、読者の中で高まってきたのではないだろうか。
2024年3月、片山氏が正式にデイブレイクに参画することにより、デイブレイクは今後どのような展開を描いていくのだろうか。
【まもなく解禁】
世界中の健康や生活を豊かにするプラットフォームが始動
片山デイブレイクは、これまで国内市場において急速冷凍機『アートロックフリーザー』の事業を中心に伸ばしてきました。
そして今後は世界を舞台に特殊冷凍テクノロジーを活用した「食の流通を変革するプラットフォーム」を展開していきます。現在この新規事業は既に検証段階にあり、順調に行けば春先にはリリースできる予定です。
皆さんご存じの通り、日本食は世界的に見ても高く評価されています。そのため、高品質な日本の「食」を提供できる日本企業は、グローバル市場において優位性が高いと言えるでしょう。デイブレイクが日本発の企業として世界市場に進出していく上では非常に良いポジションにいると感じています。
正式発表はこれからだが、このプラットフォームでは日本の農家や生産者、加工メーカーなどを巻き込んで、世界中の人々の健康と生活を豊かにすることを目的としているという。
木下 このプラットフォームは、「作り手から食べ手までのより良い未来を創造する」というデイブレイクのミッションをまさに体現できる構想です。
木下この10年間、僕たちが培ってきた特殊冷凍機における技術やノウハウはもちろん、業界トップレベルの人材が集うデイブレイクだからこそ実現できる。いわば「集大成」とも言えるビジネスモデルです。
我々はいま、この新しいプラットフォームのリリースをはじめ、特殊冷凍機『アートロックフリーザー』のグローバル市場への進出など、より事業規模を拡大させていくフェーズにいます。ここからが本当の勝負ですね。
市場で勝つための構想は既に存在し、それを実現するための具体的な道筋もある。さらには地球規模での潮流にも沿ったビジネスモデルということもあり、事業拡大に向けすべてが追い風となっている状態だ。
しかしその一方で、グローバルで事業展開を加速していくためには、商品開発、マーチャンダイジング、サプライチェーン、マーケティング、販売といった領域においては、まだまだ足りないパーツがあるのも事実。
そう、デイブレイクが今後さらに成長し、拡大していくためには共に戦う強力な仲間が必要なのだ。これまでの取材において各メンバーからも聞いてはきたが、木下氏と片山氏にもぜひ、今後の新規事業に向けて必要な人物像を訊いた。
片山泥臭い作業も厭わない、実行力のある人ですね。
つまり、構想をスピーディーに形にでき、ビジネスの立ち上げから運営まで担えるような人です。単に「構想だけを描きたい」という人では、おそらくデイブレイクでは活躍は難しいでしょう。
片山また、デイブレイクが今後さらにグローバル市場へと注力していくため、グローバルビジネスの経験のある人は活躍できる環境だと思います。
木下そうですね。ありがたいことに、僕らはアクセンチュアの江川社長からも「デイブレイクは世界に羽ばたける企業である」という太鼓判をもらっているんです。
現時点で組織の規模はまだ小さいですが、ここから一気に拡大していく可能性を秘めている。そして、現在の評価よりも100倍以上の価値を持つ企業になるだろうと僕は信じています。そのためには乗り越えていくべき課題は多い。そこに対して一緒に戦っていける仲間を求めています。
このように壮大な夢を語っていますが、もし実現できなければ恥ずかしいと感じるほど、自分自身に強いプレッシャーをかけて臨んでいきたいです(笑)。
これまでFastGrowでは、スタートアップ界に突如として現れたスター集団、デイブレイクについてさまざまな角度から掘り下げてきた。
1回目 代表・木下氏による創業背景や事業モデルの紹介
2回目 共同創業者CFO守下氏とCOO下村氏による事業グロースの歴史
3回目 キーエンス流儀を活かした強固なセールス組織の構築
4回目 世界で勝てるものづくり企業を目指す、海外事業部の今
特殊冷凍機というユニークな事業ドメインをもつデイブレイク。2回目のCFO守下氏×COO下村氏の対談で、彼らは自らの組織を「サバンナ」と称していたが、確かにすべての取材を通して同社からは圧倒的な「強さ」を感じ取ってきた。ここに加えて片山氏のジョイン。もはや文句なしと言えるのではなかろうか。
そして、そんな猛者たちを惹きつけるのが今回再登場してもらった代表の木下氏だ。あらためて、優秀な人材を引き入れるには代表の魅力が重要だということがお分かりいただけたかと思う。
そんな木下氏の器を表す各メンバーたちからのコメントをまとめて、筆を置こう。
デイブレイク代表・木下氏に対する各メンバーからのコメント
(過去記事より抜粋)
「木下は出会った時から異彩を放って、みんなが振り向くほどのオーラを放っていた」
「学生時代から兄貴的な存在。各界の重鎮をも巻き込む人的ネットワークがすごい。特に、コトラー教授や元ソニー会長・出井氏がデイブレイクを推していると初めて聞いた時の衝撃は忘れられません」
「気取らない人柄、壮大なビジョン。一見、豪快に見えて誰に対しても細やかな配慮をする人です」
「初めてお会いした時、『こんな魅力的な人は見たことがない』『この人は天下を取れる人だ」と一瞬で惹かれました」
木下氏のカリスマ性は、生まれ持った才能でもあることは間違いない。しかし、経営者として事業に挑む「覚悟」に関しては、読者にとっても多くの学びがあったのではないだろうか。
デイブレイクはこれから一気に事業を拡大させ、グローバル市場で大きく成長を遂げていくベンチャーとなっていく。この記事を読んで可能性を感じた読者は、ぜひ彼らの船に乗ってみてはいかがだろうか。
こちらの記事は2024年04月19日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
山田 優子
写真
藤田 慎一郎
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。
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