【ソルブレイン櫻庭×UPSIDER宮城】僕らが20代なら、どうやって入社企業を見極めるのか?

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インタビュイー
櫻庭 誠司

2008年に仙台で株式会社ソルブレインを創業。当初はマーケティングの一部分に特化したサービスを提供していたが、時代の変化とともに価値提供の形を柔軟に変えながら一貫して企業のマーケティングの課題解決を手がけてきた。2014年よりグロースマーケティング事業を立ち上げ、企業の持続的な成長の実現に取り組む。

宮城 徹

東京大学を卒業後、2014年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに新卒で入社。東京支社・ロンドン支社にて、銀行オープンAPI等のデジタル戦略策定、手数料体系や店舗配置の最適化等、大手金融機関の全社変革プロジェクトに携わる。同領域への課題意識と知見・経験をもとに、共同代表取締役の水野(株式会社ユーザベースの元マーケティング責任者)と、2018年に株式会社UPSIDERを共同創業。

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今、ビジネスの世界ではゲームのルールが大きく変わりつつある。

生成AIを主としたテクノロジーの台頭によりビジネス環境は一変し、これまでの常識に縛られない発想やテクノロジーへの親和性ある若手人材の価値が高まっている。新卒初任給の上昇や企業間での優秀な若手獲得競争の激化がその証だ。

また、若手の活躍の場も大手商社や大手コンサルティングファームからベンチャー/スタートアップ、起業まで多様化している。その中で最適なキャリアパスを見極めるのは容易ではない。特に、起業家や経営者を目指す者にとって初期のキャリア選択は将来を左右する重要な決断となりうる。では、自分に合った環境はどのように選択すればよいのか──。

この答えを探るべく、グロースマーケティングを武器に顧客の持続的成長を支援するソルブレインの櫻庭氏と、FinTech領域で急成長を遂げるUPSIDERの宮城氏によるトップ対談を実施。

両社は20代の若手育成に注力し、早期から重要な意思決定を任せている点が特徴だ。当対談では将来のビジネスリーダーを目指す20代に向けて、これからの時代に求められる人材像や身を置くべき理想的な環境などについて熱く語られた。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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若手の成長を見守る。
これ以上の楽しみはない

若手を組織の中心に据え、その挑戦を支える組織づくりに取り組むソルブレインの櫻庭氏とUPSIDERの宮城氏。金融とマーケティング、一見すると接点が少なそうな二人だが、両氏の出会いは4年前、共通の知人であるVCの紹介だった。

宮城2018年に創業してまだプロダクトが市場に出ていなかった頃、櫻庭さんにオンラインで「まだリリース前なのですが、私たちのプロダクトの導入をご検討いただけませんか?」と営業させていただいたのが最初の出会いでしたよね。

株式会社UPSIDER 代表取締役 宮城 徹氏

櫻庭懐かしいですね。宮城さんと共同代表の水野さんとお話をした際、お二人が優秀な方たちだということはすぐにわかりました。

その後、会って直接お話がしたいと思い、私から「食事に行きませんか」とお誘いしてそこから仲良くさせていただいています。

最初のきっかけはよくある営業のシーン。互いの印象はどう映ったのか。

株式会社ソルブレイン 代表取締役 櫻庭 誠司氏

櫻庭会食でも宮城さんは私の質問に対し的確に意図を汲みとり、どれも120%の回答をしてくれる頭の切れる方だなと感じました。

一方で最初の5分くらいから「あれ、天然な要素もあるぞ」と感じていると、宮城さんの人間味に触れる面白い出来事が起きたんですよね(笑)。

宮城そうなんです。大変失礼ながらその時私は櫻庭さんのお名前を「サクラバ」さんではなく「サクラニワ」さんと誤認しており…。しかも会食の最中、櫻庭さんもずっとそのことを指摘せずという…(苦笑)。

櫻庭そうですそうです(笑)。こちらこそタイミングを逃してすぐに伝えられずすみませんでした。宮城さんのサービスに懸ける想いが熱く深く、話自体に引き込まれていたんです。

でも翌朝、何かで気づかれたのか宮城さんから「すみません…!!」とメッセージを頂きましたよね。この出来事があったからこそ宮城さんの人となりに触れたような気がします。知性と人間性を兼ね備えた人というのはまさに宮城さんのような方を指すのだなと感じていますね。

二人のやり取りに思わず取材陣の間にも笑みがこぼれる。しかし、こうした和やかな雰囲気とは裏腹に、2018年にUPSIDERを立ち上げた当初の宮城氏は苦悩を抱えていた。

同社の祖業である法人カード市場には古くから外資の巨大プレイヤーが存在しており、周囲からは「無謀な挑戦ではないか」という批判的な声が集まっていたのだ。

宮城創業からプロダクトをリリースするまでの約2年間はまるで、“光のないトンネルの中をさまよう”ような日々でした。

今はありがたいことに多くのお客様に恵まれ、優秀な仲間たちが集うほどに成長することができています。しかし、当時の私は大きな構想を掲げているだけで周囲からはほとんど受け入れられず、空振りばかりしていたんです。

だからこそ、櫻庭氏との出会いは宮城氏にとって大きな支えとなった。

宮城櫻庭さんは非常にお忙しい方なのに、私たちに興味を持っていただきわざわざ時間を割いて会いに来てくださいました。まずそこに驚きましたよね。

特に印象的だったのは、UPSIDERがまだ具体的な事業成果がない段階でも私の考えや内面について深く理解をしようと、たくさん問いを投げかけてくださったことです。そしてそれは私に対してだけでなく、私の仲間に対しても同様でした。

以前UPSIDERの若手が櫻庭さんとお話させていただく機会があったのですが、その時も櫻庭さんは弊社の若手が抱く事業やキャリアの悩みに真摯に耳を傾け、適切なアドバイスをしてくださっていた。その姿をみて深く感銘を受けたんです。しかも、後日わざわざ私に一言入れた上で本人に電話までしてくださって…。

「自社の若手に対してならまだしも、他社の若手にまでここまでしてくれるのか…」と。こうした櫻庭さんの懐深い姿勢から学ぶところはとても多いです。

櫻庭ありがとうございます。アドバイスと言っても、「君の武器は〜〜で、今のタイミングは正念場。ここで負けじと頑張れ」と一言伝えた程度ですよ。もともと私も知っている方だったというのと、純粋な好奇心からです。

変革や挑戦を担う人たちがどんな道を歩んできたのか。そしてこれからどんな道を切り拓いていくのか。成長の軌跡はそれぞれ違うからこそ、その人ごとのストーリーを追うことは私にとってどんなエンターテインメントよりも興味深いんです。

                      

櫻庭氏は笑みを浮かべてそう返した。その言葉には若手の可能性を信じ、その成長を見守る櫻庭氏の経営哲学が垣間見える。

さて、こうして穏やかな雰囲気で始まった本対談。二人の関係性や人となりが伝わってきたところでさっそく本題に入っていこう。

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デジタルネイティブな若手の力が、組織や社会に新たな価値をもたらす

冒頭に挙げた通り、昨今は生成AIの登場によりビジネス環境が大きく変化している。従来のアプローチでは対応しきれない課題が次々と生まれる中、柔軟な発想と最新技術への適応力を持つ若手により大きな期待が寄せられるようになった。

櫻庭これまで、多くの業界では長年のキャリアで豊富な知見を積んできた人材こそが活躍する傾向にありました。しかし、最新の技術やビジネストレンドの移り変わりが加速する昨今では、既存の手法やノウハウに固執していては変化の波に乗り遅れてしまう可能性が高い。

事実、トレンドの移り変わりが激しいデジタルマーケティング領域に身を置くソルブレインにおいては、ビジネス経験が浅くても大学で最新のテクノロジーや生成AIを学んできた若手の方が素早く課題を解決できるケースが増えているんです。

ソルブレインの事業モデルである「グロースマーケティング」はデータドリブンで顧客のバリューチェーン全体を分析し、ボトルネックを抽出して解決していく。そのソリューションには常に最新技術の活用が検討され、デジタルネイティブ世代が強みを発揮できる有利な世界観となっているのだ。

櫻庭また、これからの時代、ビジネスでは年齢や経験に関わらずパフォーマンスに見合った評価と報酬が求められるようになります。

実際、大手企業では新卒の初任給を大幅に引き上げる動きが次々と出てきていますし、「若手だからこそ生み出せるパフォーマンスに期待する」という認識が徐々に広まりつつあるのでしょう。

宮城ビジネスのゲームルールが従来とは大きく変わっていますからね。金融領域でもプロダクトを開発する際、過去の経験や常識が新しいアイデアの妨げになることが少なくありません。

例えば金融サービスの利用規約一つ取っても、経験者は慣れ親しんでいるがゆえに疑問を持たないことがほとんどです。一方で若手は「わかりにくい」「もっと改善できるのでは」といった新しい視点で対象を捉えていきます。

こういった「当たり前」を疑う姿勢によって新たな価値を生み出すことができる。これこそがビジネスのゲームチェンジの本質だと思いますね。

一方で、宮城氏はバランスの取れた視点の重要性も挙げつつ、若手に対してエールを送る。

宮城ただし、若手が先輩方の経験や知識を軽視していいというわけではないですよね。過去から学び、支えてくれる先輩方をリスペクトすることはとても大切。その上で既存の常識を超えていく挑戦ができると良いのではないでしょうか。

例えば以前は人が議事録を取ることが当たり前でしたが、今ではAIを活用すればほぼ人の手は不要となります。つまり、テクノロジーの進歩により従来の方法が必ずしも最適とは限らなくなっているんです。

若手の皆さんには先人の知恵を学びつつ、現代のテクノロジーを存分に活用してほしい。そして新たなゲームルールにおいて自分たちが有利な戦い方を見つけ、自信を持って仕事に取り組んでほしいと思っています。こうした若手ならではの柔軟性や強みを活かす姿勢が、組織や社会に新しい価値をもたらす原動力になると良いですよね。

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活躍する若手は「エネルギーレベル」が高く、「確固たる意志」がある

では、両氏が考える「活躍できる若手」にはどういった特徴があるのだろうか。

宮城エネルギーレベルが高く、エネルギーの総量が大きい人だと思います。

具体的にはモチベーションの高さや活力、ポジティブなマインドセットなどを指します。若手には柔軟性があり、そのエネルギーをどんな方向にも広げていくことができる。そしてその力をどのように活かすかは環境や教育、出会う人たちによって大きく左右されると考えています。

しかし、若手が持っているエネルギーの総量そのものは「その人特有のもの」であり、外部から容易に変えられるものではありません。そのため、もともと高い活力や意欲を備えた若手はどのような環境でも自然と目立つ存在になりやすいのだと感じています。

櫻庭私も宮城さんの意見に共感します。ソルブレインにもまさにそんな若手がいまして──。

ここで櫻庭氏は前回のソルブレインの取材に登場した若手・亀田 朋花氏を例に挙げた。新卒入社3年目ながらBizDevとして同社の事業を牽引するエース人材だ。

櫻庭亀田は非常に高いエネルギーの持ち主で、面接時から社内が騒然とするほどでした。彼女が抱く社会に対する強い問題意識、特にキャリアにおけるジェンダーの不平等さへの憤りは凄まじいものがありました。そしてそこから生みだされる圧倒的な事業へのコミットメント。

ちなみに、私は経営者になる前はミュージシャンでしたが、大成するミュージシャンも世の中に対して強い憤りを抱えている人が多いです。彼ら彼女らは他人には見えない独自の視点で物事を深く捉え、「現状を変えたい」という強い動機、確固たる信念を持っているんです。

そしてこれはビジネスの世界でも言えること。自分なりの強い信念や熱意が新たな価値を生み出す源泉になるのだと感じています。

対する宮城氏もUPSIDERで活躍する二人の20代の事例を挙げる。

宮城2022年1月にUPSIDERに入社した近藤 万葉は、出会った当時、エネルギーの総量が大き過ぎて持て余している印象を受けました。とにかく人とたくさん会うとか発言量が多いとか、あらゆる行動量が際立っていたんです。

ちなみに私自身もそうでしたが、当初は彼女も特段“金融領域”に興味があったわけではありませんでした。しかし、「UPSIDERにはそのエネルギーを最大限に爆発させる機会がある」と提案したところ、興味をもってくれまして。そして今では顧客のビジネス成長を支援する“Growth Partner”のマネージャーとして大活躍しています。

宮城一方、2024年4月入社の小林 豪は思考の深さが際立つタイプ。当初、私はFinTechに関する洞察に優れたnoteをX(旧:Twitter)上で発信しているのを見つけました。それを見て「話を聞かせてほしい」と連絡を取ったんです。

そこで40代くらいの方が現れるのかなと思ったら、なんと大学生だったんです…(笑)!いざ話をしてみると、小林はアカデミックな道ではなくビジネスの世界で活躍したいと考えており、キャリアの具体的な方向性を見出せずに悩んでいることを知りました。そこで私は、「UPSIDERで実践的なビジネス経験を積んでみてはどうか」と提案したんです。

その後、長期インターンシップとして参加した小林は持ち前の知見を活かし、2023年に「UPSIDER Capital」というグロースステージ以降の成長企業に対して融資(ベンチャーデット)を進めていく子会社の立ち上げに尽力してくれました。

一口に若手と言っても行動量が突き抜けているタイプや思考力が深いタイプなどさまざま。各自その特性を理解し、ポテンシャルを発揮できる場所を選んでいきたいものだ。

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エネルギーレベルが高く、一歩二歩先を進んでいる仲間が集う場所へ

両氏の見解から、活躍する若手は高いエネルギーレベルと確固たる意志を持ち、そのエネルギーを適切な方向に注ぎ込める人物だということが見えてきた。

二人の話を聞いていると、こうした特性は生まれつきのものだけではなく、個人を取り巻く環境との相互作用によって磨かれていく側面もありそうだ。ではその環境とは、どのように見つけていくべきなのだろうか。

櫻庭エネルギーレベルの高い人材が集う環境に身を置く習慣をつける。これが重要ではないでしょうか。

人は周りの行動や感情に無意識のうちに影響を受けるため、高いエネルギーを持つ人たちと過ごすことで自身のエネルギーレベルも高めていくことができます。

その一方で、櫻庭氏は「群れない」ことの重要性も指摘する。

櫻庭ビジネスにおいては無駄な集まりや会議に時間を費やすのではなく、有益な時間の使い方を心がける必要があります。そうでなければ自分の目標や方向性を見失ってしまいやすいからです。

もちろん、仲間との関係性は大切ですよ。ただし時間泥棒になってはいけない。私自身も定期的にお会いする経営者仲間の方々がいますが、時間泥棒にならないように常に進化して、新しい話や役に立つ話を提供できるように精進しています。お互いの時間を尊重し、共にプラスになる関係を築くことが重要ですよね。

その中でもし自身の成長が止まったと感じた時は、新しい環境や次のステップに進む勇気を持つことも大切だと思います。

宮城氏も環境の重要性に頷きつつ、エネルギーレベルを高める実践的な方法として以下のアプローチを提唱する。

宮城エネルギーレベルには個人差があるので、そのギャップが大きすぎる場合は自身の成長につながりにくいことも頭に入れておきたいです。

例えば、孫 正義さんのように膨大かつ卓越したエネルギーレベルの方との交流は多くの人にとって大変刺激になりますが、同時に圧倒されてしまう場合があります。その結果、単に「憧れ」で終わったり、自身の現状と比べて一時的に挫折感を味わったりすることすらあるかもしれません。

つまり、確実に自身のエネルギーレベルを上げていくためには自分よりも一歩か二歩くらい進んだエネルギーレベルの人たちの側に身を置くこと。これが最適ではないでしょうか。

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音楽とスキー。やりたいことを続けるために体得したビジネス感覚

自分より一歩ないし二歩進んだエネルギーレベルの人たちの側に身を置く。既にビジネスパーソンとして活躍している20代の場合は次なる挑戦の環境を探すことが挙げられるが、昨今の学生の場合は長期インターンシップへの取り組みが最たる例となるだろうか。

櫻庭氏と宮城氏によれば、長期インターンシップなどでビジネス経験を積んできた学生たちは、新卒1年目でありながら既に鋭いビジネス感覚を備えており、中には入社3〜4年目レベルのパフォーマンスを発揮する者さえいるという。

そこで気になるのは、二人は学生時代をどのように過ごしていたのかという点だ。話を聞いてみると櫻庭氏と宮城氏も当時の活動を通じて実践的なビジネス経験を積んでおり、早期からその感覚を養っていたのだった。

櫻庭先ほど述べたように私は20歳の時からプロのミュージシャンとしてバンド活動をしていまして、当時の担当マネージャーからビジネスの基本的な考え方を叩き込まれたんですよ。

「予算はこれだけある。今、君たちのバンドにはこれくらい投資をしていて、この投資を回収するためにはCDを何枚売らなければならない」と。

音楽はプロの世界でも自分のやりたいことだけを最優先に求めがちなんですが、あくまで“商売として”取り組むという意識が持てたこの経験は大きかったです。

宮城私も似たような経験があります。私は大学時代に体育会スキー部で財務管理を担当していたんですが、スキーはお金がかかるスポーツなので部の存続のために寄附金を集めたり収益を上げたりする必要があったんです。

予算管理をしなければ合宿や遠征の頻度が減り、練習量が落ちるため成績が伸び悩む。試合に勝つためにはしっかりとした財務管理が不可欠でした。ですがそのお陰で、私も学生時代から知らず知らずのうちに商売の基本的な知識やスキルを学ぶことができましたね。

櫻庭それは面白い経験をされていますね。スキーと音楽、ジャンルはまったく異なりますが、お互い学生時代からビジネス感覚を養う機会に恵まれていたというわけですね。

櫻庭氏の言う通り、二人はやりたいことを追求する過程で偶然にもビジネスの基礎を体得していた。この経験が後のキャリアに大きく影響を及ぼしたことは言うまでもないだろう。

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自分にとって最適なロールモデルや環境がわかる、5つのヒント

自己成長の具体的な方法についてわかってきたが、次に考えるべきはその成長を最大化できる環境だ。

若手のキャリア形成において、働く環境や経営者の存在は極めて重要である。最適な環境と経営者のもとで働くことで成長速度や将来の可能性まで大きく変わるからだ。

しかし、社会経験の浅い学生や20代の若手が、自分に合った経営者や環境を見分けられるだろうか。そこで両氏に理想の経営者と環境の選び方について訊いた。まずはロールモデルの見極め方から探っていこう。

櫻庭自分が学生であれば、なりたい自分を体現している人に会いに行きますね。

その際は対外的な実績だけでなく、自分の目標や価値観に合うかどうかといったフィーリングも重要です。その感覚が少しでも近い人と出会うことで、自身のモチベーションを高めやすいと思います。

宮城私は、経営者が若手を「知ろう」としているかどうかを見ますね。

自分の成功体験を共有するだけでなく、若手の声に真摯に耳を傾ける姿勢を持っているかどうか。そして、若手との対話を通じて個々の状況や個性に応じて具体的なアドバイスを授けてくれるかどうかを見極めます。

例えば、「あなたはこの方向性が合っているかもしれない」「一般的にはこうだけど、あなたの場合はこの点に気をつけた方がいいよ」など、その場ですぐにでも役立つ「お土産」を与えてくれるような経営者のもとであれば、若手は伸び伸びと成長していけると思います。

続いて、環境面においてはどうだろうか。

櫻庭ベンチャーで働く利点は経営者との距離の近さにあります。

ソルブレインの場合は社長室を設けておらずいつでも経営陣にアクセスできる状態で、先に挙げた亀田や入社2年目からCTOとのPJTをリードしてきているエンジニアの熊谷 龍之裕などは積極的に相談しにきますね。

また、最近「若くして1人で生き抜く力をつけたい」という理由でベンチャー企業を志望する若手と話す機会がありました。ところが彼が選んだ会社はメンバーが100人程の中規模のベンチャー企業。確かに、この規模でも多くのことを学べるでしょう。

しかし、本当の意味で「生きる力」を鍛えたいならば、もっと小さな組織、例えば5人程度のスタートアップに飛び込むのも一つの手だと思うんです。経営者のすぐ近くで事業の成功や失敗を身をもって感じられますからね。

宮城おっしゃる通り、企業の成長段階や規模によって若手が得られる経験は大きく変わりますね。

例えば、急成長中のメガベンチャーではダイナミックな事業拡大の過程を肌で感じられる貴重な機会があります。新規事業が次々と生まれ組織が拡大していく過程は若手にとって刺激的で学びの多い環境です。

宮城しかし、この環境がすべての若手に適しているわけではありません。仮にそのメガベンチャーの拡大を牽引してきたのが経験豊富な中途人材たちであったなら、新卒の若手が入社したからといって同世代と比べて突き抜けられるかはわからない。なぜなら、急成長を牽引したのはあくまで優秀な中途人材たちだからです。

つまり、若手で突出した活躍をしたいのであれば、同世代の仲間たちが切磋琢磨して事業を急成長させている環境こそが最適であるケースもあるわけです。

結局のところ、自分が何を目指しているのか。起業家を目指すのか、プロフェッショナルになりたいのか、それとも幅広い経験を積みたいのか、各々の目的にあった環境選択の重要性を説く宮城氏。

両氏の見解を踏まえ、若手が自分に最適なロールモデルや環境を見つけるためのポイントを以下の5つにまとめた。こちらを参考に、自分に最適な環境を探してもらいたい。

自分に最適なロールモデルや環境を見つける5つのヒント

  1. 自分の直感や価値観に合う環境(経営者)か
  2. 経営者が若手を本当に知ろうとしているか
  3. 親身になって具体的なアドバイスをくれるか
  4. 経営者の近くで働き、学べる環境か
  5. 企業の成長段階や規模が自分の目標に合っているか
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「恩返しがしたい」──。
櫻庭氏と宮城氏が若手を想うワケ

ここまでで、二人が若手に対しどれだけの期待を持ち、またそれを行動に表しているのかが伝わってきたかと思う。しかし、「なぜここまでするのか?」という疑問も同時に浮かんでしまう。経営者として、もっと自分自身のために時間を使うべきだとは考えないのだろか──。

と、ここで宮城氏が本取材で最も熱を込めて思いの丈を語った。彼の胸の内から出てきたものは、自身のキャリアを支えてくれた人たちへの感謝と、その恩を次世代に還元したいという強い想いであった。

宮城 振り返ると、私はこれまで多くの方たちに支えられて今に至ります。特に印象的なのはマッキンゼーに入社したばかりの頃。

金融グループに配属されたものの、最初は知識も実務スキルもなく足を引っ張ってばかりでした。しかし、クライアントの方たちが私の可能性を信じて「宮城は頼りないけれど、懸けてみよう」と金融業界の知識を教えてくださるんです。本来であれば私がお金を頂く立場なのに、もはや逆転していますよね。

そんな時期を経てつい最近、当時お世話になった金融機関の役員の方とお会いする機会があったのですが、そこで「あの頃は半人前だったのによくここまで頑張った。あなたと向き合ってきてよかった」とおっしゃってくださって。その言葉を聞いて、「恩返ししなければ」と強く思いました。私が今も金融業界に深く関わり続けるのはこの気持ちが原動力になっているからです。

そしてそれは共同代表の水野も同じです。彼も前職ユーザベースで多くの方たちから支援を受け、チャンスをもらって今があります。だからこそ、今度は私たちが誰かの背中を押す番だと。

受けた恩を次世代に還元していくことが私たちの使命であり、生きがいであり、人生を豊かにしてくれるものだと信じています。こうしたサイクルが社会全体に広がれば世の中はもっと良くなる──。私たちは本気でそう考えています。

櫻庭全く同感ですね。音楽時代に先輩から受けた指導や支援は、現在のビジネスにおいて大きな財産となりました。その経験を活かし、今度は私が若手を支援する立場になりたい。この想いが若手の育成に対する原動力となっています。

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20代で経営幹部も夢ではない。
ソルブレイン、UPSIDERの成長環境

今回、櫻庭氏と宮城氏からは二人のような起業家・経営者を目指していく上でのポイントを存分に伺ってきたが、そんな両氏がリーダーを務めるソルブレインとUPSIDERは若手にとってどのような環境なのだろうか。

宮城UPSIDERは「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」というミッションを掲げています。今何かに挑戦している人や立場が強くない企業やお客様を大切にするという文化を、お客様だけでなく取引先や従業員にも徹底しているんです。

このカルチャーを大切にするために重視していることは、「これから挑戦していきたい」「自分のキャリアを切り拓いていきたい」というマインドセットを持った人材で組織を埋め尽くすことです。

つまり、経験豊富な即戦力集団をつくるのではなく、挑戦心あふれる若手を中心に据え、それを経験豊富な各領域のベテラン・プロフェッショナル勢がサポートするといった組織構造を目指しています。

そんなUPSIDERは「失敗も学びの一つ」として捉え、若手は自らの意思決定が組織全体に影響を与えるような立場を早期に掴み、責任感や実践的スキルを身に付けている。もちろん法務やファイナンスなどの専門的なフォローや、事業経験豊富な経験者によるフォロー体制なども敷かれた上でだ。

宮城実際に20代前半から中盤の若手が事業単位でオーナーシップを持つケースも出てきており、このまま経験を積めば20代後半で経営幹部になる人材も出てくると思いますね。

ここで皆さんにお伝えしたいのは、創業者である私自身、学生時代から金融業界に対して特別な想いがあったわけではないということです。

新卒で偶然にも金融業界に配属され、仕事を通じて学び知識を得ていくうちに金融の奥深さや可能性を知り、興味を持ち始めていきました。ですから、何事も先入観で決めつけずまずは経験してみることが大切だと感じています。現時点で金融自体に強い関心がなくても、UPSIDERの理念や挑戦に共感してくださる方であればぜひ一度お話しましょう。

櫻庭宮城さんや水野さんといった優秀な経営者の近くで働くことができ、かつポテンシャルの高いプロダクトと共に急成長できる環境は稀少です。UPSIDERは個の能力やエネルギーを評価するフェアな採用方針を取っており、やる気のある若手にとっては最高の環境だと思いますね。

そしてもちろん、ソルブレインも若手の活躍に大きな期待を寄せている。特に新たなテクノロジー活用の点においてその期待はひとしおだ。

櫻庭現在、入社2〜3年目の若手が中心となって進めている新規プロジェクトでは著しい成果が出始めています。(若手への権限委譲が進むソルブレインの組織づくりに関してはコチラ

若手が自分たちの能力を最大限に発揮できるよう、経営者として「若手だからここまで」という制限は一切設けず、実力と成果に応じて昇進できる仕組みを整えています。UPSIDERと同じく、近い将来、20代で経営に関わるメンバーが出てきてもおかしくありません。

櫻庭ソルブレインに入社する若手たちは、「最新技術を活用して社会貢献をしたい」「東北の現状を変えたい(ソルブレインは仙台発のベンチャー企業)」などさまざまな動機を持っています。また、従来の広告やPRといった販促活動だけでは企業の課題を解決できないことに気づき、どうすればよいか模索する中でソルブレインのグロースマーケティングを知り、「これだ」と感じてくれた学生もいました。

このように目標を持って入社してくれる若手に対して実践的な経験と成長の機会を提供し、彼ら彼女らの可能性を最大限に引き出していきたい。そして同時に、今後も世の中に新たな価値の創造を目指していきたいと考えています。

宮城ソルブレインの環境は、経営の本質、つまり「商売とは何か」を実践的に学べる場です。

商売の一部を若手が担うわけですから要求される水準は高く、厳しい場面もあるかもしれません。しかし、そういった環境こそ成長の糧になるはずです。社会人としてベースを築く最初の数年間は、どれだけ厳しい環境で鍛えられたかどうかでその後のキャリアが決まるといっても過言ではありません。この時期に高い強度を身につければ、その先の選択肢はいくらでも広がっていくはずです。

ビジネスパーソンとして強度を高めたい人にとって、ソルブレインは理想的な環境だと思いますね。

本対談を通じて、ソルブレインとUPSIDERが若手の成長と育成を重視し、早期から実践的な経験を積ませることで若手の可能性を最大限に引き出そうとしていることがわかった。櫻庭氏や宮城氏の様な起業家・経営者といったビジネスリーダーを目指す若手は、ぜひこうした環境に飛び込み、自らチャンスを掴んで今後のキャリアを大きく広げてほしい。

こちらの記事は2024年08月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

写真

藤田 慎一郎

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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