「そのアドバイス。老害かもしれないですね」──50人の壁突破に向けた若手経営人材への投資術を、ソルブレイン代表・櫻庭氏に訊く

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櫻庭 誠司

2008年に仙台で株式会社ソルブレインを創業。当初はマーケティングの一部分に特化したサービスを提供していたが、時代の変化とともに価値提供の形を柔軟に変えながら一貫して企業のマーケティングの課題解決を手がけてきた。2014年よりグロースマーケティング事業を立ち上げ、企業の持続的な成長の実現に取り組む。

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事業成長に応じて組織が拡大するときに直面する「組織の壁」。

成長ポテンシャルのある事業を生み出せるかという「30人の壁」を乗り越えたかと思えば、次は組織を率いる経営陣および管理者を揃えられるかが問われる「50人の壁」が待ち構える。今回はこの「50人の壁」の突破方法について取り上げていきたい。

ここで求められる経営者のアクションとしては、「経営者の代わりに意思決定を担えるCxOの採用」や、「将来のリーダーとなる若手経営人材の育成」である。

しかし、これがなかなかに困難を極め、苦戦している者たちも多いだろう。前者においてはそもそも求める層に出会えていない。後者においては、経営者が自身の経験則や成功体験からつい口出しをしてしまい、思うような権限委譲が進まずにいるという具合に──。

そこで今回、後者の「将来のリーダーとなる若手経営人材の育成」に関して事例を持つベンチャー企業・ソルブレインにアドバイスを求めた。

同社は、あるタイミングから若手の成果創出において「短期成果よりも長期成果」を重視する方針に転換したところ、成果にポジティブな変化が起きるようになった。その結果、今では入社2〜3年目の若手たちが主軸を担う新規プロジェクトが、自社の主力事業として期待されるまでに成長したのだ。

今まさに「50名の壁」を迎えようとしている、ないしその渦中にある起業家・経営者にとって、ソルブレインの事例は組織の壁を突破し、事業成長を加速させるための貴重な学びとなるはずだ。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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期初に若手が数百万円の損失。
経営陣が出した答えは「GO」

ソルブレインは顧客の持続的な成長を目指すマーケティング手法『グロースマーケティング』を武器に、中小企業から大企業まで業界問わず事業成長の支援を行なっている。組織規模は2024年5月現在でおよそ50名。まさに「50人の壁」をテーマにするにはピッタリのフェーズである。

これまでは若手が活躍する機会が限定的だったというが、今ではそうしたメンバーが自ら事業の方向性をデザインし、最前線で活躍している。

櫻庭実は今年(2024年)の期初に入ってから、ある新規プロジェクトで数百万円の広告費を投じたにもかかわらず、ほとんど売上につながらなかった事案がありまして(笑)。

そのプロジェクトの特性上、新年度は特に不確実な要素も多いため、私の中である程度の予測はしていたんです。ですが、若手はこうした事態に直面するとつい反射的に「広告費を縮小しなければ」と考えてしまいがちですよね。でも、果たして本当に今すぐ広告費を削ることが適切なのかどうかは、短期的な結果だけでは判断できません。

そこで私は「改善や最終的な目標数値への達成は必要ですが、一時的な損失で一喜一憂せず、そのまま進めてください」と伝えたんです。

櫻庭例えば一般的なベンチャー/スタートアップの場合、若手が投じた数百万円の広告費で「コンバージョンがゼロです」となれば、経営陣はそのプロジェクトの主導権を巻き取るか、もしくは「ゼロからプランをつくり直せ」と指示しますよね。他にも、例えばVCから投資を受けている場合だと厳しくその原因を追求されるかと思います。

もちろん、私たち経営陣も日々の若手の事業推進に対して「本当に大丈夫か?」とツッコミたいことはたくさんあります。ですがそれを上回るくらい若手には積極的に挑戦してもらいたいとも思っています。ですので今は口出しせずグッと我慢して、年間で採算を合わせて利益を生むまでは若手にすべて任せてみようと思っているんです。

経験の浅い若手が多く在籍するプロジェクトにおいて損失が出れば、誰だって口出ししたくなるもの。しかし櫻庭氏は、「ここで口を出すと若手の成長機会を奪ってしまうことになる」と考える。確かにそれができれば理想ではあるが、資金的なリソースが限られるベンチャー / スタートアップにおいては、「言うは易し、行うは難し」ではないだろうか──。

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事業運営に係るコストを全開示し、ゴールの数字以外のプロセスは全任する

櫻庭そう思う気持ちは100%わかりますよ(笑)。なにせ以前は、私も他の経営陣も若手のアクションに対し細かく口出ししていましたからね。

これまでも何度か若手への権限委譲には取り組んできたんですが、彼ら彼女らのやり方を見ていると素通りできなくなり、「もっとこうすればいいのでは?」と助言してばかりでした。

ですが今思うと、それはやはり避けるべきことだったんです。上の立場から「こうじゃないか」と言われると、若手は自分の考えに自信が持てなくなり、萎縮してしまいます。結果、自ら思考して意思決定することから遠ざかり、本人にとっても組織にとってもマイナスな状況を引き寄せてしまいます。

この口出しによって目先の事業成長は担保できるのかもしれませんが、長期で見れば将来の経営人材の成長機会を奪っているとも言えますよね。そう自覚してからは、経営陣はもちろんベテランメンバーに対しても「若手への口出し」は控えるように促し、文字通り若手が自ら意思決定できる環境づくりに徹しました。

ここで挙げられたプロジェクトとは、注文住宅を建てたい顧客と最適なハウスメーカーをマッチングする新規事業を指す。事業立ち上げ時こそ櫻庭氏や事業部長が一部領域を担ったりアドバイスしたりすることも多かったが、今では、セールスや集客、事業開発等、全てに若手メンバーが携わり事業を推進している。

各メンバーはWeb広告やSNS、検索エンジンなど、各集客チャネルごとに担当を分け、裁量を持ってPDCAサイクルを回していく。集客を通じて接点を持ったユーザーに対し、ソルブレイン側のインサイドセールスが窓口となり、最適なハウスメーカーを提案。そしてそこでミッション完了、とはならず、その後の契約から住宅が建つまでのプロセスに至るまでも伴走し切るというもの。さらにプロジェクトリーダーに至ってはハウスメーカーとの提携の開拓や交渉なども行うというコミットぶりだ。

その他にも、ソルブレインでは20代のメンバーが大きな裁量を持って推進しているプロジェクトが増えてきている。こうした一連の事業伴走、事業開発の権限委譲を行うことはなかなかにタフな取り組みのように感じるが、一体どのようにワークさせているのだろうか。

櫻庭事業運営にかかるコスト(広告費や人件費)をすべて開示し、そこから利益を出すためには年間でいくら稼ぐ必要があるのかというゴールを共有すること。そして、そのためのプロセスは若手たちの意思決定に委ねるということです。

自分たちの日々の事業活動でいくらの資金が使われていて、どれだけの売上を出さないと利益を生み出すまでに至らないのかをきちっと理解してもらった方が、彼ら彼女らにとってもやるべきことが明確になりますよね。また、ゴールに向かうまでのプロセスにおいても日次、週次、月次の頻度で情報共有を依頼していますので、「今何が起きているのか」は常に経営陣も把握できるようになっています。

上記を前提に、1年後の期日に出すべき数字を擦り合わせたら、あとは基本的に「やってごらん」というスタンスです。「相談」を受けた際はいくらでもフォローしますが、「報告」を受けただけではこちらからは殆どコメントしない。それくらい徹底しています。

若手への権限委譲にあたり、当初はトラブルが起きたり脱落者が出たりといった懸念もあったそうだが、このような抜本的な改革を経てからはや2年。権限委譲による離職や大きなトラブルなくプロジェクトが推進できているというのだから驚きだ。

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若手の感性が活きる領域において、「先人の知見」は足枷にすらなり得る

このようにソルブレインは社員の自主性を重んじた環境づくりに注力しているが、若手が高い成果を上げられている要因はそれだけではない。そこには若い世代ならではの「感性」が大きく影響していると櫻庭氏は説く。

櫻庭トレンドの移り変わりが激しい昨今、特にデジタルマーケティングにおいては20代の若手の「感性」こそが強みになっていると確信しています。

ほんの数年前まで、「デジタルマーケティング」といえばSEOやリスティング広告が主流でしたよね。しかし、近年ではSNSが発達し、TikTokやInstagram、XやYouTubeなどSNSマーケティングが台頭し、これらSNSの活用も含めてデジタルマーケティングとして扱われるようになっています。

そしてこのSNSは各メディアによってユーザー属性や活用目的が異なり、最適なマーケティング施策もさまざまです。このように多様化したSNSのトレンドに合わせたプロモーションを提案していけるのは、日頃からユーザーとしてSNSを使いこなしている若手しかいないと感じています。

櫻庭ですので、本に書いてあるような王道のマーケティング理論やナレッジを基に若手にアドバイスしても、その知見が今のSNSマーケティングに当てはまるかと言えば、なかなかそうではないケースも多いと思っています。

むしろ、どんな広告コンテンツやフォーマットであればユーザーに刺さるのか、日常的にSNSに触れている若い世代の方がより感度高く、効果的なマーケティングを再現できています。

例えば、TikTokで若手がつくるクリエイティブに対し、私からすると「なんだこれは…本当にこれでユーザーが反応するのか?」と感じることがよくあるんです(笑)。でもよくよく見てみると確かに昨今よく見るトレンドに最適化された構成になっており、蓋を開けてみればしっかりと成果につながっている。

マーケティングにおいてはしばしば「理論や経験が重要だ」などと言われますが、そこだけに縛られていたら見えてこないものや生み出せない成果があるんだなと、若手たちの動きをみていて学びになりました。

この話の派生になるが、最近始動したソルブレインのプロジェクトにおいてはとりわけ同世代でチームを組成していることが多いとのこと。なぜならその方が同じ世代同士、同じ情報感度やセンスでコミュニケーションを取ることができ、クイックな意思決定やアクションに繋げることができるためだ。

例えば、「最近TikTokでバズったあのフォーマットだけど」「今インスタやるならこの機能使わない手はないよね」といったコミュニケーションが発生した際、逐一「どういうこと?」と確認しないと進まないチームと、「あれね、それね」と文脈を理解しあっているチームがあればどちらが素早く事業を伸ばすことができそうだろうか。当然ながら後者である。

今まではこうしたポイントに櫻庭氏自身も気づけず、経営陣やベテランメンバーは善意でもって若手にアドバイスという名の口出しをしてしまっていた。ここまで読むと、櫻庭氏が「もっと早く若手に権限を渡すべきだった」と振り返る様に共感する読者は多いのではないだろうか。

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地方の優良企業に留まるつもりはない。
経営者としてのあくなき挑戦心

事業の成長に向け、50人の壁を突破すべく試行錯誤してきたソルブレイン。なぜこのように若手の経営人材育成に乗り出す様になったのだろう。

言わずもがな「ミッション実現」「事業成長」のためではあるのだが、経営者がこうした若手の育成に向き合う背景とは──。

櫻庭私自身の考えに変化が生じたことが大きいですね。その変化とは、ベンチャー / スタートアップの著名な経営者たちと交流する中で芽生えてきたものです。

読者は今「?」が浮かんでいると思うが、詳細はこうだ。ソルブレイン代表である櫻庭氏自身に向けられる経営者としてのポジティブな市場評価に対し、ソルブレインという企業自体の成長度合いは、経営者である櫻庭氏からすると「まだまだ胸を張れる位置にはいない」状態であるのだ。

櫻庭私が慕う経営者たちと比べるとソルブレインには大きな伸びしろを感じています。

今の弊社の売上は、政令指令都市で活動する企業であれば地元の企業を対象にしたビジネスで十分に達成できる数字だと思っています。なので、今のままではソルブレインも「地方の優良中小企業」という形に収まってしまう。

もちろんそれ自体も素晴らしいことですが、ソルブレインは仙台発のベンチャーとして地方の優良中小企業に留まる気はありません。もっともっと高みを目指していきたい。そのためには周りの経営者たちを圧倒できるくらいの売上を叩き出し続ける必要があると思っています。

ここで誤解を避けるために敢えて付け加えるが、櫻庭氏の発言は個人的な願望のみで語られているわけではない。

ソルブレインのミッションは「全ての産業にテクノロジーで最適解を提供する」こと。新たな技術が次々と世の中に登場する中、同社は最適なテクノロジーを活用して顧客の売上・利益の最大化を目指している。つまり、ソルブレインの事業が成長すればするほど、より大きな社会的価値を世の中に生み出すことができる。

そしてそのために今のソルブレインができる最も効果的なアプローチこそが、「若手経営人材の育成」ということになるわけだ。

櫻庭目下売上100億円という目標を達成するために組織拡大は欠かせません。事実、既に売上100億円を突破している先輩経営者たちの組織を見ると少なくとも300名規模には達しており、一定の人数が必要であることは間違いないと思っています。

ですがもちろん、やみくもにメンバーを増やすことはしません。数の採用が目的ではありませんからね。

ソルブレインは現在約50名ほどの組織ですが、ここから先は代表の私や取締役で弟でもある櫻庭佑哉だけが先頭に立って事業や組織のすべてを管掌していくことは不可能です。

今後はソルブレインという組織の中にも複数の組織(チーム)を生み出し、その各組織(チーム)を若手リーダーたちに担っていってもらいたい。その意味では、私も経営者としてまったく新しい挑戦のフェーズに入っていくことになり、楽しみですね。

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理想は京セラ・稲盛氏。
経営者の「思想」も仕組みで組織に落とす

売上100億円達成に向けてひた走るソルブレインだが、「本当に実現できるのか?」と思う読者もいることだろう。

そんなソルブレインは2023年3月に資本業務提携を発表した大手総合商社の三井物産との提携を皮切りに、日本を代表するエンタープライズとの取引実績を着実に積み重ねている。しかも、そのほとんどの案件がコーポレートサイトからの問い合わせや紹介などによって生まれているという。

多くのベンチャー / スタートアップがエンタープライズの顧客を切り拓くためにさまざまな努力をしている中、なぜソルブレインはこうも大手企業に選ばれるのか。その秘訣があるならぜひ伺いたいものだが──。

櫻庭特別なことではないと思うのですが、「人との縁」を大事にしているからでしょうか。

私の場合、会社というよりも「この人と一緒にビジネスをしたいかどうか」という視点で取引の是非を考えています。そのため、相手の立場が変わってもその人とのご縁のおかげで今のビジネスにつながっているとすれば、その相手がどうなろうとも無下にはできません。

例えば、お世話になったある大手企業の常務の方が子会社に出向したとします。そこでこの方に対し「あの人はもう自分が求めている役割の人ではなくなった。だから付き合いもここまでだ」と考えるかというと、私は絶対になりません。ですが世の中にはそうしたスタンスをとる人が一定いるとも感じています。

これをやってしまうことって、お世話になった人に対して極めて失礼な話だと思うんですよ。私は相手がどんな立場になろうと、ビジネスの世界から引退するまで、いやもしくは生涯にわたってその縁を大事にしたい。そういうスタンスで仕事に向き合っており、それが今のソルブレインの実績を形成していると思っています。

「この企業と、この経営者とビジネスパートナーになりたい」──。

グロースマーケティングという秀逸な事業モデルだけでなく、人との縁を大事にするというソルブレインの在り方が、多くの顧客を惹きつける要因となっていたのだ。

櫻庭はっきり言って、新たな技術が次々と生まれてくる昨今、「唯一無二のサービスや機能」なんて存在しないと思っています。

さらに言えば、すべての職業や技術でさえ代替可能だと考えています。なのでよく言われるじゃないですか、「最後は人だ」と。でもその割に、世の中の大半がその「人」とまともに向き合っていないのではと感じています。

一方、事業が伸びている先輩経営者たちを見ると、皆さん一様に「人」の部分も大切にされているんですよ。誰一人漏れることなく。

特に尊敬するSHIFTの丹下さんはあれだけの経営者の立場でありながら、若者の話にも真剣に耳を傾け真摯にフィードバックをしています。そのような姿勢が多くの人たちの心を打ち、信頼を得る結果に繋がっているんだなと側から見て感じています。

同社がM&Aを実施した後に合併先の企業とのPMIにも成功しているのは、経営者である丹下さんがこれから一緒に働く人たちに対してもきちんと心を配っているからではないでしょうか。こうした方々の振る舞いを見ながら、日々自分の背筋を伸ばしています。

ソルブレインの強みは、このような櫻庭氏の経営哲学がその根柢にあると言っても過言ではない。しかし、裏を返せば個人の考えや価値観に基づく行動というのは「組織化」とは真逆の「属人化」をもたらしやすい。

もし櫻庭氏の権限委譲が進んだ先、経営から退いた場合、ソルブレインは今と同じ状態を維持していけるのだろうか。

櫻庭もちろん、道徳的なカルチャーも組織に浸透できると考えています。

まずソルブレインのミッション、ビジョン、バリューは投資家向けにお化粧してつくったものではありません。メンバー全員が「確かに、ソルブレインとして大きく成長していくためにはこれが大事だ」と心から感じることができるものにしているため、日々のコミュニケーションにおいても言葉として自然に出てきます。

それを社内で日常的に用い続けていくことで、自ずとカルチャーとして浸透していくと思っています。

提供:株式会社ソルブレイン

櫻庭こうした道徳的なカルチャー浸透について私が参考にしているのは、ビジネスパーソンなら誰もが知る実業家、稲盛和夫さんです。

京セラやKDDI(旧 第二電電)を創業し世界的企業にまで成長させた稲盛さんは経営危機にあった日本航空の再生をも成し遂げました。これらの企業が今なお日本を代表する企業であるのは、彼が持っていた「稲盛イズム」が受け継がれているからこそです。

私は経営者として稲盛さんに遠く及びませんが、彼のように自らの考え方や思想を組織内に浸透させる努力をすることで、私がいなくなった後もカルチャーが引き継がれていく組織を築いていきたいですね。

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若手の成長環境づくりに投資せず、自社の未来など拓けない

事業成長に伴う組織の壁の攻略。中でも今回は「若手経営人材の育成」という観点からソルブレイン・櫻庭氏に話を聞いてきた。

そこには経営者としての思い切った権限委譲や、若手だからこそ発揮できる価値、はたまた経営者が心血を注ぐべき持続的なカルチャーの根づかせ方など、多岐にわたる学びがあった。

その中で櫻庭氏が口にしていた通り、ソルブレインはまだまだ発展途上の段階。冒頭では複数の頼もしい若手メンバーの台頭が見られたが、同社の売上100億円から逆算すると、まだまだ一握りにすぎない。

そこで最後に、櫻庭氏が求める次代を担う若手経営人材に向けて、メッセージをもらった。ぜひ、本記事を読み、まさに自身が活躍できる環境がありそうだと感じたものはぜひ、ソルブレインの門をたたいてみてほしい。

櫻庭ソルブレインは仙台発のベンチャー企業ですが、現在は東北だけでなく全国から優秀な20代が集まってきています。

事業が伸び、組織が50名を超えて多くのリーダーが必要になっている今だからこそ、次代を担う優秀な若手たちが挑戦できる環境づくりに投資すべきだと考えています。むしろ、今ここで若手経営人材の育成に勝負をかけないと、この先ソルブレインとして大きな挑戦をしていくことはできません。

だからこそ私たちは今、自分たちが「これは」と認めた若手を信じて採用や育成に投資をし、彼ら彼女らの成長に懸けてみようと思っています。「君ならできると思う。頑張ってやってみよう」と背中を押してあげたい。

ただ、過去の取材でもお話ししてきましたが、ソルブレインは若手・ベテランに限らずプロフェッショナルとしての振る舞いが求められる筋肉質な組織ですから一定の厳しさは覚悟してもらえると(笑)。ですがその分、高い目標を実現するための力は20代のうちに身につけられることを保証します。

ソルブレインはこれまで事業成長においてひたすらに効率を重視し、即戦力を求める「攻めの一択」で人材を採用してきた。そのため優秀な人材が集まる一方で、似たようなタイプが集まる傾向にあったことも事実。

しかし、今回教えてくれた若手の環境づくりのアップデートを行うようになってから、この1〜2年では入社してくる人材のタイプが多様化してきたそうだ。

櫻庭今回お伝えしたような権限委譲を行ったことで、多様なフィールドで挑戦できる場が増え、各自の才能が最適に発揮されるようになってきたと感じています。また、入社2~3年目の若手を見ていると従来の「職種の枠」にとらわれなくなってきていますね。

数年前のソルブレインでは、「システム開発のプロジェクトであればエンジニアとディレクター」という具合に役割がはっきりとわかれていました。しかし、直近のプロジェクトではエンジニアも顧客との折衝や契約書の作成にも染み出すなど積極的な動きが見られています。

自ら主導権を持って主体的にプロジェクトを推進できるようになったことで、事業をより自分ごと化して捉えられるようになったのでしょう。

こうした若手の活躍が増えていることを証明する事例として面白いエピソードがある。

これまでソルブレインに入社する若手たちは「経営者・櫻庭氏」に惹かれてくることが殆どであった。しかし、最近では「同じ進学校の◯◯先輩が活躍している」「20代の優秀な世代が集まっているらしい」といった情報を聞きつけてソルブレインに応募する人材が増えているとのこと。

組織化に向け、若手経営人材が活躍できる環境づくりに舵を切ったソルブレインとしてこの傾向は願ってもない話だ。

櫻庭これまではどちらかと言えばコツコツと真面目に積み上げるタイプの若手がソルブレインには多かったんですが、最近では「◯◯のような事業家になりたい」「20代のうちにスキルを身につけて稼ぎたい」と血気盛んな若手の応募も増えています。

これまでにない志向の人が増えていくのは組織の多様性の観点でも大歓迎なので、ぜひ、そうした想いを持つ人たちにもソルブレインの事業に挑んできてもらいたいです。

そして、ソルブレインはこれからも優秀な若手たちが最新のテクノロジーに触れ、学びながら成長できるプロジェクトを次々と生み出していきたいと思っています。

こちらの記事は2024年05月22日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

写真

藤田 慎一郎

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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