連載資金調達の週報
日本の宇宙ベンチャーから、ミレニアム世代向けアプリ銀行まで──押さえておきたい資金調達の週報【〜6月3日】
資金調達が活況となり、日々調達のニュースが溢れている。
一つひとつを追いかけるのが大変な読者のために、FastGrowでは週次で国内外スタートアップの資金調達ニュースを紹介している。
今週は日本から4社、海外から2社をピックアップしたい。過去の週報はこちら
- EDIT BY KAZUYUKI KOYAMA
シナモン : AI活用の業務効率化ツール
資金調達概要
調達額 |
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約9億円(シリーズB) |
調達先(第三者割当増資) |
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SBIインベストメント |
FFGベンチャービジネスパートナーズ |
伊藤忠テクノソリューションズ |
Sony Innovation Fund |
TIS |
調達先(融資) |
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みずほ銀行 |
三井住友銀行 |
サービス概要
ホワイトカラーの生産性向上をテーマに、AIを活用したプロダクトを複数展開。
主力サービスである文書読み取りエンジンの「Flax Scanner(フラックス・スキャナー)」では、さまざまなビジネス文書をAIが読み取り、データベースに自動で入力する。
対象はPDF、Wordファイル、印字・手書きなどの紙文書など。手書き文書の読み込み精度が実データで95〜98%と高いことに加え、不定形のものでも対応できることが特徴だ。現在は金融や保険業界の大手企業を中心に導入が進む。
直近では特化型の音声認識技術「Rossa Voice(ロッサ・ボイス)」の実証実験も開始している。
オプティマインド : 配送ルート最適化サービス
資金調達概要
調達額 |
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非公開(数億円規模との報道あり) |
調達先 |
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ティアフォー |
寺田倉庫 |
サービス概要
SaaSモデルの配送ルート最適化サービス「Loogia(ルージア)」を開発する、名古屋大学発のAI物流ベンチャー『オプティマインド』。
組合せ最適化、機械学習、統計の技術を用いて「どの車両が、どの訪問先を、どの順に回るか」という配送計画の最適化をサポート。ドライバーの高齢化や人材不足が進む一方で、インターネット通販の普及による物流量は増加するという物流業界の課題に挑む。ラストワンマイルの配送業者が主な対象で、宅配便のほか、食品などの卸売業者やガスなどのメンテナンス業者など幅広い企業への導入を計画している。
PD エアロスペース : 宇宙機の開発
資金調達概要
調達額 |
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5.2億円(シリーズA) |
調達先 |
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ANA ホールディングス |
エイチ・アイ・エス |
ハウステンボス |
みずほキャピタル |
オプティマ・ベンチャーズ |
サービス概要
2019年内に日本初となる「無人宇宙飛行機による宇宙空間(高度100km)への到達および帰還」を目指し、宇宙輸送インフラの構築に取り組む。科学(大気観測など)、産業(新薬の創製や衛星の開発など)、サービス(宇宙旅行など)分野など宇宙空間の弾道飛行サービスのほか、無人宇宙機による地球上の多目的観測サービスでの利用を見込む。
Secual : スマートセキュリティIoT
資金調達概要
調達額 |
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6億円 |
調達先 |
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SOMPOホールディングス |
積水化学工業 |
加賀電子 |
ケイアイスター不動産 |
サービス概要
初期費用1万円台から、月額使用料980円から使えるカジュアルなホームセキュリティを提供する『Secual』。
窓やドアなど防犯が気になる場所を選んでセンサーを貼り付けておくと、検知した情報をゲートウェイに集約しアプリへ通知するIoTサービス。セキュリティの設定は無料のアプリから行う。トイレや冷蔵庫のドアに設置し、一定時間振動が確認できない場合に通知する「見守り」機能や、地域の気象警報等を通知する「防災」機能も搭載。
調達先の積水化学とは、IoTとセンシング技術を活用したまちづくりを行う「スマートタウンマネジメント事業」を共同で推進する。
Chime : ミレニアム世代をメインにしたアプリ銀行
資金調達概要
調達額 |
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7000万ドル(シリーズC) |
調達先 |
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Menlo Ventures |
Forerunner Ventures |
Aspec Ventures |
Cathay Innovation |
Northwestern Mutual |
Crosslink Capital |
Omidyar Network |
サービス概要
実店舗を特に必要としない人をターゲットにしたアプリ銀行を提供する『Chime』。
月々の利用手数料や口座維持手数料、海外送金手数料といった「口座を保持したり活用する際にかかってくる手数料」を無料化。同様に手数料が無料のATMも3万台設置することでミレニアル世代を中心にユーザーを増やす。またデビッドカードでの決済時に端数を自動預金する機能も搭載している。
ビジネスモデルはデビッドカード使用時の支払い手数料。
Klaxoon : 会議の生産性向上ツール
資金調達概要
調達額 |
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5000万ドル(シリーズB) |
調達先 |
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Idinvest Partners |
BPI |
Sofiouest |
Arkea |
Northwestern Mutual |
Crosslink Capital |
Omidyar Network |
サービス概要
遠方からでもミーティングに参加できるように、オンラインのミーティングボード機能を提供。ボード上で自分の意見を投票したり、統計をとったりすることができ、レポートは自動で生成される。他にもオンライン上のホワイトボードのような形で、ブレインストーミングやアイデア出しをサポートするキャンバス機能や、メンバーの関係性を構築するクイズ機能やアンケート機能、ワークスペース機能など複数のプロダクトを提供する。
今週は計6社の調達状況を紹介した。今後も、FastGrowでは週次で調達状況を発信していくので、引き続きチェックしていただきたい。
こちらの記事は2018年06月07日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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編集者。大学卒業後、建築設計事務所、デザインコンサル会社の編集ディレクター / PMを経て、weavingを創業。デザイン領域の情報発信支援・メディア運営・コンサルティング・コンテンツ制作を通し、デザインとビジネスの距離を近づける編集に従事する。デザインビジネスマガジン「designing」編集長。inquire所属。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
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- Space BD 株式会社 代表取締役社長