【起業家・PdM必見】知らないとまずい?
新規事業で活用すべきSaaS4選──FastGrow厳選スタートアップのプロダクト

起業や新規事業が増えている。VC・CVCファンドの組成や、オープンイノベーションについての取り組みについて聞く機会が多くなっている。それに伴い増えているのが、事業の立ち上げ事態を支援するプロダクトだ。

FastGrowを読んでいるのならきっと、起業や新規事業立ち上げに取り組むこともあなたは多いのだろう。そこで今回は、そんなプロダクトをいくつか取り上げまとめてみた。

日本政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と呼び、ユニコーン100社の創出を掲げる。そんな時代にあってこれらのプロダクトは、いわばゴールドラッシュ時代のツルハシだ。どこに着目し、何を解決するのか。事業づくりのお手本になる部分も大いにあるだろう。

  • TEXT BY TAKASHI OKUBO
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Relic / 『Throttle』──国内99.7%の中小企業にまで自発的なイノベーションの力を

Relicの『Throttle

“「後世への最大遺物」を残す挑戦者が正しく称賛され、報われる社会を実現したい”そんな思いから生まれたのがRelicである。同社は新規事業コンサルティングを祖業としながら、自ら多くの新規事業を生み出してもいる。その一つが、SaaS型イノベーションマネジメント・プラットフォーム『Throttle』だ。大手からスタートアップまでを幅広く対象とし、企業の新規事業創出にかかわる課題を解決する。

アイデアやプランの創出や共有から、社内外の起業家やイノベーション人材の発掘、チームビルディング等を通じたPoCなど、事業化までをワンストップで支援する。事業創出における活動の生産性を劇的に向上させることで、事業を確実に立ち上げ、グロースさせる。

既に2,000社以上が導入・5万人以上が利用し、イノベーションマネジメント・プラットフォームとしては国内No1のシェアを誇る。導入企業は京セラや電通、三菱地所といった名だたる有名企業から、アカツキのようなベンチャー企業にまで広がる。

その特徴は、単に「新規事業でよくある業務」を効率化するにとどまらない。注目すべきは、やはりRelic新規事業専門のコンサルティングで培ってきた貴重な知見・ノウハウの活用だ。

市場分析やKPIツリーの作成、カスタマージャーニーマップの作成などの雛形が数多く提供されています。これらのフレームワークは、一度体系的に学んだことがある人であればやり方はわかるかもしれませんが、新規事業の設計を一度もやったことがない方だとフレームワークをイチから思いつくことは不可能に近く、短期間で成功に近づくための効率的な近道ができると考えれば、管理側だけでなく、新規事業の事業担当者も日々の事業検討やプロジェクト推進にこのサービスを使う理由が生まれてくるところに、Throttleの面白さがあります。

Relic社の事例紹介<新規事業創出プログラムや社内ベンチャーを強力に支援する「Throttle」>から引用

Relicはこうしたノウハウの提供を、企業規模に限定せず日本中に広げようとしている。国内の99.7%を占める中小企業から、自発的にイノベーションが生まれる環境を創ろうとしているのだ。

国内イノベーションマネジメント・プラットフォーマーとして確固たる地位を築き上げているように思えるが、それでもCEOの北嶋氏は思い描くビジョンの10%も進捗させられていないと危機感を感じているという。日本中にイノベーションをもたそうとする、Relic自身のイノベーションにも注目だ。

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フライル / 『Flyle』──最高のプロダクトをつくるために生まれたプロダクト

フライル『Flyle』

『Flyle』は「プロダクトマネジメント」にフォーカスしたプロダクトである。例えば、多数のユーザーから寄せられるフィードバックの管理、同時並行に進む開発案件をチーム内で共有できるように整えて管理するなど、自社のプロダクト開発組織の地力を高め、再現性のあるプロダクトマネジメントが構築できるようになる。

スタートアップが重要な指標として意識するPMF(Product Market Fit)に向けては、ユーザーのフィードバックを的確に収集し、隠れたニーズを把握し、適切に開発していくことが欠かせない。しかしそれが難しいのだ。特にある一定の規模になってくると、その貴重な“声”が適切に反映できなくなり忸怩たる思いを抱えているプロダクトマネージャーやエンジニアは少なくない。マネーフォワードをはじめ、導入企業が抱えている課題の中で多いのが「フィードバックの管理や収集後の情報整理」だということにも表れている。

『Flyle』はSlackやSalesforceなど外部ツールとも連携し、顧客の情報と紐付けることでフィードバックの背景も明確にできる。こうした機能からも見えてくるのは、とにかくプロダクトの基本であるユーザーファーストを忘れさせないようにサポートしてくれることだろう。

それは同社のバリューにもなっている通り“ユーザーの理想に、活路を見いだす”を反映したものではないだろうか。また、日本のプロダクトマネジメント動向調査も大々的に行ってリリースするなど、市場自体を大きく盛り上げるための取り組みに熱心な点も、スタートアップエコシステムとしてありがたい限りだ。

運営元のフライルは2022年7月にシリーズAラウンドにて3億円を調達している。その際にリード投資家となったALL STAR SAAS FUNDの前田氏は「ユーザーがより本質的にプロダクトやサービスを選ぶ時代が到来した」と話す。SaaSを展開するベンダーが増えた今だからこそ、プロダクトの質が問われている。

セールスがプロダクトを売るだけではなく、プロダクトがプロダクトを売るPLGを考えるべき時代だからこそ、プロダクトの質が新規事業の肝である。そんな開発の肝にフォーカスした『Flyle』が、より一層存在感を高めていくかもしれない。

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aifie / 『smartLP』──当たり前に使っているものこそ本質を追求せよ

aifie『smartLP』

smartLPはノーコードでLPの制作・運用・改善が行えるツールだ。特徴はLPの制作ができるだけでなく、広告から送客、LP内でのコンバージョン獲得、顧客管理までWebマーケティングの一連の流れを一本化できることにある。

こうしたプロダクトを開発する企業や、ページ制作とコンサルティングを請け負うマーケティング支援企業が多く存在することは、FastGrowの読者ならご存知だろう。そんな市場において、プロダクトの質で真っ向勝負を仕掛け、じわじわと存在感を示しているのがこのプロダクトだ。

『smartLP』のLPから紹介

運営するaifieは2022年10月に7,000万円の資金調達を実施。出資者であるB Dash Ventures 代表取締役の渡辺氏は、「AI技術を活用して最短工数でマーケティング効果を最大化できることはsmartLPの大きな魅力」だと述べている。開発者である萩原氏も自身のnoteで「LPを運用していかに成果を出すかが最も重要」だと語っており、『smartLP』は“LPという接点からWebマーケティングにイノベーションをもたらすツール”だと言えるだろう。

smartLPを活用することで、ヒューマンリソースをクリエイティブな仕事に集中させることができる。そんな『smartLP』で画期的なのが、ワイヤーフレーム画像からLPをAI技術で自動生成する機能だ。2022年11月現在、β版として一部のユーザーにしか開放していないようだが、今後、一般的に提供されるのは時間の問題だろう。

マーケティング関連のSaaSは飽和状態でレッドオーシャンだと思うだろう。『smartLP』が見せるベネフィットには、全くそのようなことを感じさせない。シンプルなソリューションを、洗練させる。そんな美学を感じるプロダクトだ。

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バフェットコード / 『バフェット・コード』 ──分析の力でイノベーションを。
企業情報のGoogleを目指す

バフェットコードの『バフェット・コード』

投資家のみならず、M&Aの買収企業の選定から市場調査まで幅広い用途で活用される企業分析SaaS『バフェット・コード』。2019年にリリースされて以降、日経新聞や日本取引所の公式メディアで取り上げられるなど、年々、その存在感を増している。起業家が参考となる情報を探す際に、とても重宝するデータベースになっていくだろう。

2022年9月には、グロース・キャピタルCEOの嶺井氏ら複数の個人投資家からの資金調達を実施し、さらなる進化が期待される。投資をした嶺井氏は、「使いやすいUI」「代表福田氏のコミット力」「市場から支持されている点」といった3つの点を評価したと述べている。

今回の資金調達に伴い、嶺井氏が代表の福田智宏氏にインタビューをしており、「企業情報のGoogleとなる」と力強く語った。また、2023年内に企業分析ツールとしては異例の100万MAUの達成を目指すことも宣言している。調達報告の同日付で未上場のデータベースもリリースし、その意思を具体的な行動を持って表した。

今後の具体的な展望としては、急拡大する事業会社の利用に対して強化していく狙いがあるという。さらに分析ツールという枠組みを超え、発行体企業が直接投資家にIRができる場にしたいという考えも示した。2021年から試験的に取り組んできた実績をもとに、IR面も強化する。数年内にはARR30億円を達成することを目標としている。

分析の力で資本市場に大きなインパクトとイノベーションをもたらす『バフェット・コード』。それでもまだ、福田氏が理想とするプロダクトイメージの半分にも達していないという。資金調達を皮切りに、今後、加速度的に成長していくことだろう。

こちらの記事は2022年11月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大久保 崇

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