クリエイターたちの登竜門を目指して──トライフォート大竹は「MONOZUKURI Platform」の実現を目指す
Sponsored日本のモノづくりは、もはや世界で通用していない──。
トライフォート代表取締役CEO の大竹慎太郎は、ITという今もっとも発展している市場で、日本産のサービスやプロダクトが受け入れられていないことに焦燥感を覚えた。
同社では「MONOZUKURI Platform(モノづくりプラットフォーム)」をビジョンに掲げて、優秀なクリエイターたちが“登竜門”として意識するような企業を目指している。
- TEXT BY MISA HARADA
- PHOTO BY YUKI IKEDA
トップは「アメリカ産」ばかりのIT市場
2003年4月、新卒でサイバーエージェントに入社した大竹。高校も大学もハンドボールでスポーツ推薦を受けていた彼は、特別就活への意識が高い学生だったわけではない。
「親からもらったリクルートスーツ用のお金を遊びに使ってしまい、入学式のときに着た派手なスーツで面接に行ったんですよ。よく内定もらえましたよね(笑)」と、当時を思い出し笑みを浮かべる。
同社を選んだのは、就活情報誌での特集を読んで、代表取締役社長である藤田晋氏に興味を持ったからだ。
当時のサイバーエージェントは、広告代理事業をメインビジネスとして利益を出していたフェーズ。そんななか大竹は、広告代理店部門で営業を担当。新卒1年目で新人賞を受賞。その後の営業成績も常にトップクラスだった。
当然ビジネスマンとして自信を持っていた大竹だったが、他業界の人々と交流する機会が増えたことで、「自分は井の中の蛙に過ぎない」という思いを抱くようになる。
もっと勉強しなければ──。「サイバーエージェントでの経験のおかげで、どうしたら事業が成長したり、衰退したりするのか理解できた」と語る大竹だったが、実経験だけでなく、大学院で経営学を学び直すことを決めた。
そして、働きながら大学院に通うため、営業職だったサイバーエージェントを“卒業”。2007年にSBIベリトランス(現ベリトランス)に転職した。
そんな大竹はサイバーエージェント時代、「自分は井の中の蛙に過ぎない」という以外に、日本産のサービスが世界で受け入れられていないことにも危機感を感じていた。同社でさまざまなITサービスに触れる中で、「今もっとも発展しているIT市場でトップを走るものは全部アメリカ産だ」ということにショックを受けた。
大竹戦後の焼け野原の中で、かつての日本がなぜ高度経済成長期を迎えることができたのか。それは一重にトヨタやホンダ、ソニーが生まれたからです。
自動車や電機という当時伸びているマーケットで、日本産の製品が世界で通用した。だから勝つことができた。でも今もっとも発展しているIT分野では、FacebookもTwitterもInstagramもAppleもGoogleもYahoo!も全部アメリカ産。これは日本全体が危ういんじゃないかと感じたんです。
自身のことを「次に伸びそうな事業やトレンドを捉えるのが好き」と語る大竹は、営業出身で成果を上げ続けていたものの、“モノづくり”への強い憧れをずっと抱いていたのだった。
大竹ピクサーやディズニーみたいに、モノづくりによって世界中の人たちを感動させたり、影響を与えたりできる会社って本当にすごいと思うんです。
日本にはスタジオジブリがありますが、人数が少ないからあまり作品数が作れません。優秀なクリエイターたちが憧れを抱くような、なおかつ大所帯で作品を量産できるような会社って日本にないんですよね。
世界に通用するモノづくりができなければ日本は危うい、優秀なクリエイターたちを数多く抱える大きな組織があったらいいんじゃないか──。
それが、大竹の起業の原点となった考えだ。2009年にSpeeeにジョインし執行役員を経験した後、2012年8月に満を持してトライフォートを創業した。
受託開発によって技術力と組織力を高める
トライフォートの創業事業であるスマートフォンアプリの受託開発事業は、大竹のSpeee時代の原体験に端を発する。
Speee時代、アプリ開発の外注先を選定するため何社かに声をかけたことがあったが、たとえ技術力があったとしても営業力もなければ言ったことも守らない、「シャレにならないくらいダメ」な会社ばかりだった。
大竹一度発注したけど途中で契約中止にしてもらうこともあったくらい、当時はまともな開発会社がありませんでした。
そして閃いた。自分の営業力や組織作りの力と、クリエイターたちの技術力をかけ合わせれば、どんな企業にも勝てるんじゃないかということ。そんな考えから作られたトライフォートだからこそ、組織力を非常に重視している。
組織としての力を固めるために大竹が描いたのが“3つの事業ポートフォリオ”だ。
その「心臓部」として受託開発事業がある。モノづくりの会社としては少々意外な話のようだが、受託開発により、パブリッシング事業の土台としても大切な開発力・技術力が磨かれる。
受託開発案件で、EC系やコミュニティ系、金融系などといった、多様なサービスに関わることになるため、同社が持つ技術の幅も広がっていくという構造だ。
大竹は、「うちほど技術の幅が広い会社は国内でも珍しいと思う」と自負する。また、受託開発によって組織力が高まるという一面もある。
大竹単一事業だと、そこまで組織が固まっていなくても、『よし、皆で一緒にこれ作ろう!』でまとまれちゃったりするんです。
でも、いろんな種類の開発をするとなると、組織がしっかりしていないと無理。開発するサービスやプロダクトに応じていろんなタイプの人を受け入れなければいけないので、組織力の高さによってチームをまとめることが前提条件となる。
つまり受託開発を通して、技術の幅も広がるし、さらに組織力も強まるということです。
開発力に特化した同社だからこそ、アライアンスでのアプリ開発事業も大きな意味を持つ。
トライフォートの実績や開発力に興味をもってくれる、知名度やユーザーを持つ企業と一緒にゲームやサービス開発することで、自分たちだけでは実現できないスピード感で数百万、数千万というユーザーにアプローチできるアプリ開発できるのだ。
このような受託開発とアライアンス開発の合わせ技によって、トライフォートは、 “ローリスク・ミドルリターン”の収益モデルを作ることに成功したと大竹は語る。
大竹現在のゲームをメインとしたアプリ業界は、クオリティの向上にともない制作費だけでも数億円。その規模の投資はベンチャー企業にとってはハイリスク・ハイリターンでしょう。
しかしそこにローリスク・ローリターンである受託開発事業、ローリスク・ミドルリターンを狙えるアライアンスアプリ事業をうまく組み合わせることによって、安定収益を稼ぎつつもミドルリターンが狙えるビジネスモデルを生み出すことに成功しました。
受託開発、アライアンスアプリ事業で培ったスキル・ノウハウを活かし、トライフォートでは今後更にパブリッシング事業にも力を入れ、 大竹の描く“3つのポートフォリオ”を完成に近づけていく考えだ。
大竹ドラゴンクエストの開発デベロッパーなどで実績を積み、その後、妖怪ウォッチという自社コンテンツが大ヒットしたレベルファイブ社のような変遷を辿りたいと思っています。
ただ、勘違いしないでほしい。トライフォートは単なるゲーム事業や受託の会社というのではなく、あくまで“アプリ開発全体にリーチできる会社”である、ということだ。
大竹受託開発でもアライアンスでもパブリッシングでも、どういうレイヤーであろうとも、我々が担当している限り、世界で勝てるようなサービスを生み出していきたい。
どんな関わり方であっても“生み出す”ことに変わりはありませんから。
クリエイター同士のシナジーを発生させる“技術ディビジョン”
サービス開発をしたい人、最先端の技術に触れたい人。そんなよくある開発者の両方のニーズを満たす事ができる国内では稀有な職場、トライフォート。
そんな同社が掲げているビジョンは、「MONOZUKURI Platform」。優秀なクリエイターたちが集い、世界に通用するモノがアウトプットされる場になるように、との意気込みが込められている。
大竹は、「クリエイターたちが憧れる会社、クリエイターの登竜門となるような会社になりたい」と言う。
クリエイター同士のシナジーを生むため、同社では、“技術ディビジョン”を導入。マトリクス制の組織を採用している。
メンバーたちは、開発プロジェクトと同時に、技術ディビジョンにも所属することになる。例えば、Unityエンジニア・ディビジョンでは、異なるプロジェクトを担当しているUnityエンジニア同士で勉強会や定期ミーティングを行うことによりコミュニケーションを推進。社内に蓄積された技術ノウハウを共有し、メンバー全員の開発力アップを目指す仕掛けである。
大竹ディビジョン側で技術力を伸ばし、それをプロジェクト側でアウトプットして還元していく。そんなサイクルが生まれることを狙って、マトリクス制の組織を採用しているんです。
「MONOZUKURI Platform」という開発者を中心に据えた壮大なビジョンと、高い技術力を評価し、名だたる企業たちがトライフォートに期待をかける。
WiL、そして大竹の古巣グループであるSBIインベストメントから資金調達している他、LINEと資本業務提携しており、ネクシィーズからも出資を受けた。LINEとネクシィーズに関しては、協業する中で技術力の高さを認められ、提携や出資に至ったという。
大型案件や先端領域での開発案件も近年増加中だ。VR領域での開発実績も増えてきた。また、大手眼鏡チェーン「JINS」がリリースした、眼の動きなどから生体データを検知する眼鏡型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」の開発もサポート。他にもセブン銀行の「かんたん通帳」や、サンシャイン水族館を始めとした全国の動物園水族館と協働した“いきもの好きの、いきもの好きによる、いきもの好きのためのSNS”「いきものAZ」の開発も担当している。
これだけ多様な開発案件を任されていることから見ても、トライフォートの技術の幅の広さが見て取れるだろう。
大竹いわく、現在は「土台作りのフェーズ」。「MONOZUKURI Platform」のコアを築き、土台が完成した段階。これから本格的に“種を蒔く”のだ。
大竹『MONOZUKURI Platform』と技術力を武器に、DeNAやリクルート、サイバーエージェントのような、多角経営している会社を目指しています。
今は受託開発とゲーム事業がメインですが、世界に通用するモノづくりをするとなると、そこで作るべきはアニメかもしれないし、漫画かもしれないし、ITサービスかもしれない。
その時々のタイミングに合わせて、世界で通用する優秀なサービスを生み出し続けていくのが重要だと思っています。一発ドカンと良いサービスを作っても、テクノロジーの波が変われば一気に衰退するリスクがありますからね。そういう時代の変化にも対応できる企業でありたいと思っています。
次の事業の種を見つけた時、すぐに作れる環境──。ヒットしそうなサービスを思い付きながらも開発できない。そんな過去の悔しさを払拭できる理想郷に向かって、大竹は少しづつ歩を進めている。
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