5年後に1,000億円市場のオンラインデーティング業界を制す──急拡大市場で、エウレカ二代目CEO石橋氏はどう戦うか

インタビュイー
石橋 準也

2013年に株式会社エウレカに入社。2016年に代表取締役CEOに就任し、Pairsの世界展開を担う。また2019年6月、親会社であるMatch Groupの日本・台湾エリアのゼネラルマネージャーに就任。

関連タグ

2019年6月、国内最大級の恋愛・婚活マッチングアプリ「Pairs」を運営する株式会社エウレカ代表取締役の石橋準也氏が、親会社であるMatch Groupの日本・台湾エリアのゼネラルマネージャー(以下、GM)に就任した。Match Groupは全世界で複数のマッチングサービスを展開するNASDAQ上場企業で、その時価総額は2兆円をゆうに超える、まさにワールドクラスのテクノロジーカンパニー。石橋氏は日本で展開する3サービス、台湾で展開する2サービスの管掌および同エリアでのプロダクト・ポートフォリオの強化、そして引き続きエウレカCEOとしてPairsの世界展開を担う。

ただ石橋氏は、もともと自身での起業を志していた。エウレカにはビジネスのノウハウを学ぶためにジョインしたが、2016年に、創業者である赤坂優氏の後を継ぐかたちで二代目CEOに就任。Match GroupのGMまでも引き受けた現在の状況を見ると、当初の想定からは遠ざかっているように思えるが、石橋氏は「迷いなくエウレカにコミットできている」と語る。

創業者2人から熱烈に説得されてCEOに就任し、彼らの期待に応えるために働き続けたが、ある時「利他的なモチベーションの脆さ」に気づく。他の誰かのためではなく自分のために働けるようにするため、会社のミッション・ビジョンを刷新。自分のやりたいことと会社の目的に共通性を持たせることで、心から事業にコミットできる環境を構築した。

石橋氏が迷いなくコミットしていることは、エウレカの飛躍的な成長を見ても明らかだ。もちろん、今の状態に至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。石橋氏が経験してきたいくつかの強烈な原体験をたどりながら、彼の成長の要因を探る。

  • TEXT BY YUKO TAKANO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY MASAKI KOIKE
SECTION
/

開発スキルが高くても、事業は潰れる──自身の無力さを痛感したエンジニア時代

18歳になった頃、石橋氏に最初の転機が訪れた。大学進学直前に、突如実家が差し押さえられたのだ。

石橋親戚がバブル期に購入したマンションの保証人を両親が引き受けていたのですが、その親戚が逃げちゃったんですよね。大阪市からいきなり差押状が届いて、家族全員パニックに陥りました。

ちょうど大学に進学するタイミングだったのですが、それどころではなくなってしまって。一度は進学をあきらめかけました。しかし、当時東京のWeb制作会社で働いていた兄から「自分がいる会社でアルバイトをしながら大学に通ってはどうか?」と提案され、上京を決意しました。

アルバイト先の会社で初めてプログラミングに触れた石橋氏は、すぐにその魅力に取り憑かれる。東京理科大学ではかねてから憧れていた建築を専攻していたが、同時に夜遅くまでプログラミングするような毎日を過ごしていた。

石橋プログラミングに楽しさを見出す一方で、建築学科の厳しさと膨大な課題量にどんどん辟易していきました。相当嫌だったのか、気づいたら夏休み終了の2日前なのに課題に一切手をつけていなかったんですよ(笑)。

一方でソフトウェアには未来を感じていたので、「自分は建築にもう興味がないんだな」と気付き、大学を辞めることにしました。

退学後、Web制作会社でエンジニアリングに集中する日々を送ったが、再び転機が訪れる。会社の業績が悪化し、人員が次々と削減される事態に直面。石橋氏も別の会社への出向を余儀なくされた。

石橋エンジニアとしてのスキルにはそれなりの自信があったのですが、ビジネスにおいては無力だと痛感しましたね。業績が悪化していくなかで、自分は何もできていないじゃないかと。

ビジネススキルを伸ばす必要性を痛感した石橋氏は、出向先の企業に転職し、エンジニアリングとビジネスサイド双方の仕事を請け負った。自身が立ち上げた新規事業で黒字化を達成したが、納得はしていなかった。

石橋若年層向けのモニターサイトを立ち上げたのですが、収益モデルがイマイチでした。ほぼノンプロモーションで20万人以上のユーザーが集まるなど、ユーザーニーズはある程度捉えていたのですが、広告を出してくれるクライアントがほとんどいなかったんです。

ビジネスモデルとしてのピボットを図ろうと、スティーブ・ブランクの顧客開発モデルを参考にして見込みクライアントにヒアリングを重ね、買ってもらえそうな広告パッケージをつくってなんとか黒字化できたものの、事業としてはイケてないなと。

結局、ビジネスモデル自体もそうだし、ターゲット層やリーチ数のキャップを鑑みても、クライアントが喉から手が出るほど欲しがるようなサービスではなかったんです。

次こそ自分が納得できるビジネスを──それなら起業するのが一番だと考えたが、どうしてもビジネスセンスに自信が持てなかった。"イケてる"事業の立ち上げ経験がなく、成功するイメージが湧かなかったのだ。

石橋それなら、イケてるビジネスモデルを生み出し、実際にグロースさせている企業でノウハウを吸収すればいいと考えました。

Wantedlyでいろいろな会社を見ているときに偶然エウレカを見つけ、「マーク・ザッカーバーグにできて、私たちにできないはずがないだろう」という強烈なキャッチコピーにものすごく興味を惹かれたんです。話を聞きに行った際、赤坂からPairsの立ち上げ経緯を説明してもらって、非常にスマートだと感じましたね。

彼らは、ユーザーニーズの1.5歩先を行くビジネスを考えていたんです。海外の先行事例を参考にする、いわゆる「タイムマシン戦略」を取っていました。

「欧米で成功している」「日本にはまだ根付いていなくて、日本に持ち込めば広まる可能性がある」「現在・未来の競合と比較した時に自社に優位性がある」の3点を満たすビジネスを探し、目をつけたのがオンラインデーティングサービスだったと。

当時はPairsがリリースされて間もない時期でしたが、着実にユーザー数も伸びていましたし、「このサービスに携われば、確実にビジネススキルを高められる」と思い、2013年にジョインしました。

SECTION
/

「実は一度断っていた」赤坂氏から受けた、エウレカCEO就任のオファー

2012年にリリースされたPairsは急成長を遂げ、わずか3年後の2015年5月にMatch Group傘下に入る。世界最大級のオンラインデーティング企業による国内スタートアップのM&Aは、当時大きな話題となった。

盛り上がりを横目に、石橋氏はM&Aが一段落したら起業しようと考えていた。しかし、エウレカの共同創業者である西川順氏に「自分はもうリタイアするから、代わりに赤坂を支えてほしい」と説得され、エウレカに留まることを決意。

留まるからにはより成長させようと決心し、さらなる事業推進にコミットしようとした矢先、赤坂氏のある変化に気づいたという。

石橋赤坂は根っからの起業家ですから、Match Groupへの承認フローが発生し、自分のコントロールできる範囲が狭まったことに違和感を抱いたんでしょうね。

売却で起業家として一区切りついたこともあり、エウレカへの関心が薄れていく様子が見て取れたので、2015年8月のある日、発破をかける意味でお願いしたんです。「今の赤坂さんは違うことをやりたいように見えます。でも、ここにいるならちゃんと目の前の事業をやりましょうよ」と。

その言葉をきっかけに赤坂も真剣に悩んでくれて。ただその結果が、なんとCEO辞任を決意し、僕に跡を継いでほしいという打診だったんです。

想定外の展開に石橋氏は戸惑い、悩みに悩んだ。

石橋僕は悩んだ時や深く考え事をしたいときに、海を眺めに行くことが多いのですが、その時も小田原の海まで行って2時間ほど考え抜き、CEOを「継がない」と決断しました。

しかし、辞退の意志を伝えたその日のうちに、創業者が2人がかりで石橋氏の説得に乗り出した。結局、熱意に押されて「彼らの期待に応えたい」という想いが湧き上がり、CEO就任を承諾。

創業者たちが、これほど石橋氏を後継者とすることにこだわったのはなぜなのか。

石橋赤坂からは「最後の最後で責任を持てる人間だから」と言われました。ゴールに行くために何でもやれるのか、最後まで何があっても逃げずにやりきれるかどうかという、覚悟の度合いを見ていたんだと思います。

僕自身、倫理観は大前提として、目標達成するためには何がなんでもやりきるという気概を大事にしているので、そこを評価してくれていたことが伝わりました。「そこまで言ってもらえるなら、僕がやるしかないな」と。

SECTION
/

業界トップシェアを誇るMatch Groupに参画。「子供時代」を経て、日本・台湾エリアのGMに抜擢

Match Group参画後、エウレカの成長速度は劇的にアップした。

Tinderをはじめとするマッチングサービスを世界190カ国以上・42言語で展開するMatch Groupは、1995年にMatch.comを立ち上げて以来、オンラインデーティング業界のトップを走り続けている。

長年かけて培ったオンラインデーティングサービスのナレッジが豊富で、市場リサーチや投資基準の精度といったマーケティング、ファイナンスマネジメントのレベルも非常に高い。エウレカの成長戦略に大きな影響を与えたという。

石橋Groupに参画して最も変わったのは、広告投資戦略ですね。参画前と比較すると、広告費は何倍にも増えて、投資効率も大幅に向上しています。

世界から見ると、日本のインターネット・サービスのグロース戦略はまだまだ未成熟で、特にマーケティングに対するファイナンス思考が弱い。

一例として、エウレカも、以前はプロモーションへの投資基準が曖昧でした。もちろんROIは常に見ていましたが、長期の予測は難しいので、どちらといえばP/Lベースで投資判断を行い、アクセルを踏めてはいませんでした。

一方、Match GroupはROIの予測精度が非常に高く、かつ流入経路やユーザーデバイスだけではなく、さまざまな条件ごとに細かくROIを見るための方法論が確立されているんです。そのノウハウをどんどん吸収していきました。そして、方法論も常にブラッシュアップしており、予測と結果にズレが出た場合は、何が問題だったのかを議論し、投資シミュレーションの予測精度を上げていくんです。

またヨーロッパ・中東及びアフリカ&アジア太平洋地域の統括担当に、欧州で最大規模を誇るマッチングアプリ「Meetic」のCEOであるAlexandre Lubot氏(以降、Alex)が就任してからは、僕たちとのディスカッションの頻度も増え、よりノウハウを吸収しやすい体制になりました。

AlexはP&G出身で、経験豊富な経営者であると同時に、ワールドクラスのマーケターでもあります。Match Group入りして当初はファイナンスやプロダクト面での学びが多かったですが、直近は彼からの広義でのマーケティング面での学びが多いですね。そういう意味で世界トップレベルの企業のサポートを全方位的に受けられているのはエウレカの強みでもあります。

オンラインデーティング市場のトップを走るMatch Groupが次に狙うのは、アジア地域だ。欧米に比べてマッチングアプリの浸透度が低い一方、Facebookの利用率は高く、市場としての成長ポテンシャルを秘めている。

アジア地域のなかでも、特に重要な市場と見ているのが日本だ。

石橋Groupは、日本を圧倒的に重要な市場だと捉えています。スマートフォン普及率が高く、ゲームアプリのARPU(1ユーザーあたりの平均売上)やLTV(1ユーザーが利用開始から終了までに使う金額)も高い。僕はガラケー時代からデジタルコンテンツに課金する文化があったからだと考えているのですが、アプリに課金するハードルが低いんです。

一方で、オンラインデーティングサービスへの許容度(ネガティブなイメージを持たずに利用できるか)はまだまだ低い。アメリカやヨーロッパの許容度が70~80%に達しているのに対し、日本はまだ20%ほど。許容度を上げればマーケットサイズも広がっていくことは、Match Groupが展開する複数のエリアで実証済みです。

日本のオンラインデーティング市場は2018年で約400億円で、今後5年間で1,000億円市場に成長するという予測も出ています。毎年20%以上の成長率を見込める市場って、なかなかないですよね。

重点エリアでの事業戦略をより推進するため、Match GroupはエリアごとにGMを置くべきだと判断。そうした経緯で、最重要エリアである日本GMに、石橋氏が指名されたのだ。

石橋今でこそMatch Group内でもある程度認められる存在になったのですが、参画当初は僕もエウレカも、正直まだまだ子供扱いされていたと思います。「アジアの島国の、若いスタートアップが頑張ってるね」、と。

当時はMatch Groupの他サービスに比べると規模が小さかったし、アジア自体それほど注力対象ではなかったので、最初の1年間はほとんど相手にされていませんでした。4半期に一度行われるビジネス・レビューでも、何を話しても「いいね、頑張ってるね」としか言われなかったくらいです。

「子供扱い」されていたエウレカだが、Match Groupのノウハウをハイペースで吸収した結果、短期間で驚異的な成長を遂げる。参画後は売上が数倍になり、累計会員数は1,000万人を突破。現在はMatch Groupのなかでも売上規模でトップグループ入りを果たし、日本は最重要エリアとして見直されたのだ。

2019年4月からGMに就任した石橋氏は、担当サービスのあるべき姿を整理するところから始めた。GMの仕事は多岐にわたるが、担当エリアにおける既存サービスの成長促進がその一つとなる。石橋が担うのは、日本・台湾エリアで展開する、Pairs、Tinder、Match.com の3サービスだ。

石橋GM就任後、まず3サービスのブランド・プロポジションを明確にする作業に取り掛かりました。同じオンラインデーティングサービスでも、背景にある消費者のインサイトや解決したい課題は異なっており、それぞれの目指す姿を理解する必要があったからです。

実際に利用するユーザーは重複するのですが、マッチングアプリは複数同時に利用されるのが一般的。目的によって使い分けてもらえればいいので、サービス間の競合はそれほど危惧していません。

ただ、それぞれのサービスのエッジは明確かつ重複しないようにマネジメントしないと、サービスごとのイメージが似たり寄ったりになります。それでは強いブランド価値を持ったサービス、つまり中長期にわたり愛されるサービスは生み出せません。

PairsとTinderは日本・台湾に、Match.comは主に日本のみで展開。日本では3サービス、台湾では2サービスを運営しており、当然それぞれの事業戦略を別個に打ち立てていくので、実質“会社を5つ経営している”ような状態だ。加えて、新規での事業立ち上げやM&A、Match Groupがもつ他のサービスを管掌リージョンに展開することでのポートフォリオ強化も担う。

石橋氏自身の負担が増えるだけでなく、エウレカに割けるリソースも減ってしまう。それでもMatch GroupのGMに就任したのはなぜか。

石橋理由は2つあります。1つは、純粋に、Match Groupの期待に応えたいと思ったから。正直な話、Match Groupレベルであれば僕より遥かに優秀で英語が上手い人間を採用するのなんて難しくもなんともない中で、「Match Groupで実績を残してきたJunyaだからこそGMをやらせたいし、やるべきだと思っている」というAlexの言葉に心を打たれました。

2つ目は、GMに就任した方がエウレカをより速く成長させられると踏んだからです。もし他の人がGMになったら、コミュニケーションコストが増します。加えて、エウレカのCEOとしては日本・台湾リージョンだけではなくPairsのグローバル展開を担う立場にありますから、他のリージョンのGMと密にコミュニケーションを取れた方が良いと思ったんです。

SECTION
/

「人のために働くのは辞めた」エウレカ成長にコミットし続けるため、新ミッションを策定

Match Groupの日本・台湾エリアのGM、エウレカのCEOとして、今後ますます敏腕を振るっていくであろう石橋氏。しかし、元々は自分で起業しようと考えていたところを、「創業者に引き止められたから」エウレカに残ったに過ぎないとの見方もできる。

自分を引き止めた創業者の2人が会社を去った今、石橋氏を突き動かすモチベーションはどこにあるのか。起業の夢から遠ざかっているようにも見えるが、そこに不満はないのか。

石橋今、Match Groupでは自分がやりたいことをできているので、不満はないんですよ。むしろ職責に対して自分やチームの能力を上げていかねばと、必死な毎日です。ただ、ここに至るまで少し時間がかかりましたね。昔は自分がやりたいことを後回しにしがちだったので。

僕って、基本的には誰かのために頑張りたい人間なんです。エウレカCEO就任当初も、赤坂と西川の期待に応えたい、残された社員のために頑張りたいという利他的なモチベーションが大きかった。

ただ、「誰か」のために頑張っていると、その「誰か」とコミュニケーションがうまくとれなくなったり、自分の元から去っていったりしたとき、モチベーションも一緒に霧散してしまうんです。拠り所となっていたはずの「誰か」が減るにつれ、だんだんメンタルを保てなくなっていきました。

「誰かのために働く」のは、美徳に見えるが実は危うい。自分がコントロールできるのは自分だけであり、モチベーションの源泉を他人に置いてしまうと制御できない可能性が高いからだ。

精神的に追い詰められながらも自分自身と向き合い、利他的なモチベーションの危うさに気づいた石橋氏は、解決に動く。

石橋他の誰かではなく、自分自身の内側に原動力を持てるよう、半年以上かけ、会社のミッション・ビジョンを経営メンバーとも何度も話し合い、本当に自分がやり遂げたいと思う内容に変更しました。そこでようやく、たとえ自分一人でも最後までやりきるんだと思えましたね。

現在エウレカが標榜するビジョン「かけがえのない人との出会いを生み出し、日本、アジアにデーティングサービス文化を定着させる。」と、ミッション「すべての人が、人生の可能性を拓いていける世界をつくる。」には、石橋氏の覚悟が込められていた。

一方、Match Groupのミッションにもコミットしなければいけない立場だが、両社のミッションに齟齬はないのか。

石橋Groupのミッション「Sparking Meaningful Connections for Every Single Person Worldwide」(すべてのシングルに価値のある出会いを世界中で生み出す)は、エウレカのビジョンの上位概念だと理解しています。エウレカは人生のパートナーを見つけることに主軸を置いていて、Match Groupはより広範囲でのつながりを生み出そうとしている。

ですので、エウレカのビジョンを追いかけていれば、自然とMatch Groupにも貢献できる。非常に良い関係性を築けていると思います。

石橋氏の主軸はあくまでエウレカだ。引き続き事業成長にコミットし、新規事業にも踏み出している。7月11日から事前登録を開始し、7月31日からサービスを開始した結婚コンシェルジュアプリ「Pairsエンゲージ」もその一環だ。Pairsのリリース以来、計20万人以上のカップルを生み出してきたエウレカならではの婚活ノウハウが凝縮されている。

マッチング度の高い候補者が提案されるうえ、Pairsの飛躍を支えたカスタマーサクセスのノウハウを凝縮。専属コンシェルジュチームによる24時間365日サポートを受けることが可能だ。

Match Groupの成長戦略にも足を踏み入れた石橋氏だが、起業という考えを捨てたわけではない。

石橋エウレカがMatch Groupに参画したのは、自分にとっては上場や起業よりもインパクトのある出来事でした。日本の小さなスタートアップが世界的なリーディングカンパニーに参画できたのは、創業者である赤坂と西川の力があってこそ。僕自身もサービス成長を牽引してきた自負はあるのですが、ビジネスモデルを生み出したわけではない。

今はミッション・ビジョンを実現すること以外何も頭にはないし、その毎日を楽しんでいますが、もし今後自分で起業にチャレンジした暁には、Pairsを超えるような事業を生み出したいですね。

その観点で言えば、PairsエンゲージもPairsと同等かそれ以上の事業になる可能性を秘めていると思います。そう思うと、やっぱり今はエウレカ、Match Groupのことしか考えられないですね(笑)

ビジネススキルが欠けていることにコンプレックスを抱いていた青年は、今や世界的企業の経営者たちと対等に渡り合えるレベルの経営者に成長した。エウレカを離れることになりうるタイミングは何度もあったが、そのたびに自身の深淵と向き合い、モチベーションの真の源泉を見つけ出して事業にコミットしてきた。

高度なビジネススキルだけでなく、強靭な精神力を手に入れた、31歳の石橋氏。今後も、エウレカ、Match Groupをより高次元に導いていくだろう。

こちらの記事は2019年07月31日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

記事を共有する
記事をいいねする

執筆

高野 優子

フリーの編集、ライター。Web制作会社、Webマーケティングツール開発会社でディレクターを担当後、フリーランスとして独立。

写真

藤田 慎一郎

編集

小池 真幸

編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

おすすめの関連記事

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。

新規会員登録/ログイン