「ハイリスクを避けて変革を語るな」──フリークアウト本田とUUUM鈴木に訊く、世をざわつかせるTOP 0.1%の事業家の心得

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インタビュイー
本田 謙

音楽作家、ロボット開発、米国での生物化学研究など多分野での経験を経て、IT 起業家に転身。 広告テクノロジー分野にて、二度の起業で M&A と上場の双方を経験する連続起業家。 2005年9月、コンテンツマッチ広告事業の株式会社ブレイナーを設立。代表取締役 就任。 2008年4月、同社をヤフー株式会社に売却。その後、IT ベンチャーなどへのエンジェル投資を本格的に始める。 2010年10月、株式会社フリークアウト(現当社)設立。代表取締役CEO 就任。 2013年6月、創業から3年9ヶ月でマザーズ市場上場。 2017年1月、株式会社フリークアウト・ホールディングス 代表取締役 Global CEO 就任。 2018年2月、株式会社フリークアウト・ホールディングス 代表取締役社長 Global CEO 就任。(現任)

学生時代からインターンを経て、2014年にフリークアウトに新卒入社。上場を経験し、その後、営業統括に就任。2020年にフリークアウト執行役員に就任。日本国内の広告事業の管掌及び新規事業開発を歴任。2023年、フリークアウト・ホールディングスの執行役員に就任し、インフルエンサーマーケティング事業を担当。同年フリークアウト・ホールディングスによるUUUMの子会社化に伴い、新たな経営体制を確立するため、UUUM株式会社取締役に就任。

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「社会をざわつかせるような規模感で革新的なサービスをつくりたい」──。

そう考える事業家志向の学生は多い。実に多い。

がしかし、いざ就職活動となると就職人気ランキング上位に名を連ねる大手コンサルティングファーム、大手商社などの安定した大手企業ないし、立ち上げ間もない小規模なベンチャー / スタートアップを選んでいる人が目立つ。

今回はこうした「掲げるキャリアビジョンとそれに適した環境の精査」という点について問題提起をしたい。

念のため断っておくと、上記のような環境選択が事業家を目指すすべての学生にそぐわないと言いたいわけではない。あくまで、「一定の事業規模で革新性あるサービスを生み出すべく、事業開発に挑みたい」と考えている学生においては、検討の余地があるのではないかという提言だ。

本テーマを語るのはフリークアウト・ホールディングス(以下、フリークアウト)。まさに「社会をざわつかせるような規模感で革新的なサービスを生み出す」事業家集団である。

同社と言えば、タクシーサイネージ広告という今までの世にない新たな広告メディアの開拓や、TOP YouTuberらが所属するクリエイター事務所・UUUMをTOB(株式公開買付け)によりグループ化するなど、祖業であるAdTechを軸にしながら周囲からは予測不可能な事業経営を推し進めることで有名だ。

そんなフリークアウトを牽引し、世界を股にかけ挑戦を続ける代表・本田氏と、フリークアウト執行役員&UUUM取締役として若手事業家世代のトップを走る鈴木氏はこう問いかける。

「社会を変える、世の中をあっと驚かすような事業家キャリアを望むわりに、失敗を恐れて安全な道を選んでいないか」と。

では、社会を揺るがすような事業規模で斬新なビジネスを生み出す事業家になるためには、どのような視点で企業を選ぶべきなのだろうか──。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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社会的インパクトや革新性ある事業開発を望むなら、「不確実性」にこだわれ

誰にも真似できないような革新的かつインパクトのあるサービスを生み出す事業家を目指すのであれば、「不確実性の高い事業領域」に挑戦することだ。

2014年に新卒でフリークアウトに入社し、現在は執行役員を務めながらUUUMの取締役も兼務する鈴木氏はこう説く。

鈴木不確実性の高い事業領域とは、該当市場が将来どのように変化していくのか誰も予測できないことを指しています。

こうした不確実な事業領域に挑むことこそが、社会に変革やインパクトをもたらす事業家になる絶好の機会だと思っています。なぜなら、不確実性の高い事業領域ほど事業家に求められる危機対応力や問題解決力、先見性、決断力といったスキルを早期に身に付けることができるからです。

日々予測できない課題が生じ続け、答えが見えずヒリヒリと擦り切れるような緊張感の中でリスクを取って意思決定をしていく。こうしたハイリスクな環境に身を置くことで、業界に革新的な価値を生み出す事業家キャリアを築くことができるのではないでしょうか。

株式会社フリークアウト・ホールディングス 執行役員 鈴木 司氏

鈴木氏が言う不確実性の高い事業領域とは具体的にどんなものを指すのか。フリークアウトの事例を交えて深めていく。

本田例えば、我々がリードするタクシーサイネージ広告事業は現在全国7万台以上の車両に導入されていますが、タクシー内に広告デバイスを設置するという発想自体、従来の広告業界にはなかったものです。

つまり、立ち上げ時点では市場がないためこの事業が成功するかどうかは誰にもわからない。ですが成功した暁には世の中にとんでもないインパクトを与えることができる。まさにハイリスク・ハイリターンな挑戦の一例です。

株式会社フリークアウト・ホールディングス 代表取締役社長 Global CEO 本田 謙氏

本田さらに、2023年8月にフリークアウトはUUUMとの資本提携を発表しました。AdTechを主軸とする我々がインフルエンサー領域の企業を買収するのは、一見するとシナジーが見えづらい経営判断に映るかもしれません。

しかし、我々はインフルエンサー × テクノロジーの融合によって革新性あるインパクトを生み出せると信じており、今こそその価値を発揮できるベストなタイミングだと判断したんです。

このように、フリークアウトは常に“度肝を抜く”ような挑戦や成長を志向しています。

他にも、フリークアウトは海外の投資事業にも積極的だ。

これまでアジア市場で4〜5社ほどのベンチャー / スタートアップを買収し、トライアンドエラーを積み重ねてきた。そしてその学びを活かしアメリカ市場で勝負を仕掛けた結果、今やグループの主力事業の一つとなるほどの好調ぶりを見せている。

事業概要図(提供:株式会社フリークアウト・ホールディングス)

このように、フリークアウトの事業ポートフォリオをいくつか挙げただけでもリスクをとって不確実な領域に挑んでいることがわかるはず。

では反対に、確実性の高い事業領域とはどんなもので、その領域で事業家を目指すことについてはどう考えるべきだろうか。

鈴木確実性の高い事業領域とは、既に市場が存在しており、今後の変化もある程度予測できる環境下で取り組む事業やその領域を指しています。

もちろんこうした挑戦にも困難はつきものですが、事業KPIが明確で収益予測が立てやすいため、事業計画・採用計画にブレが起きにくく安定した事業運営を進めることができます。こうした場では利益を着実に積み重ねていく挑戦が求められるため、「事業を成立させ続ける」という意味では確実性の高いものであるとも言えるのではないでしょうか。

その観点で見ると、事業家にとって不可欠な危機対応力や問題解決力、先見性、決断力といったものなどは、不確実性の高い事業領域に挑む方が“より早く、より多く得ることができる”と言えるでしょう。

鈴木氏が述べる、事業家として挑める事業領域の特徴の違い

不確実性の高い事業領域

  • 該当市場が将来どのように変化していくのか誰も予測できない
  • 事業領域に複雑性が高く、ゆえにビジネスモデルや事業KPIが不明瞭で、探索的な活動が多く、事業計画・採用計画に日々変更が生じる可能性が高い

確実性の高い事業領域

  • 既に市場が存在しており、今後の変化もある程度予測できる
  • 事業KPIが明確で収益予測が立てやすいため、事業計画・採用計画にブレが起きにくく安定した事業運営を進めることができる

学生が経営者・事業家キャリアを描く際、「どの進路を選べばもっとも効率的にたどり着くことができるだろうか」と考えるのが自然。その際、失敗のリスクが高そうな道を避けることは当たり前の選択だ。

しかし、社会を動かす規模感で革新的な事業開発に挑みたいと考える、“一握りの尖った事業家志望”なのであれば、本田氏や鈴木氏の言うように、リスクを取ってでも不確実な環境に飛び込んでいくことが最短の道なのかもしれない。

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不確実な挑戦の中にある、「良質な失敗」を貪れ

とはいえ、社会にインパクトを与える卓越した事業家を目指す上で、不確実性の高い挑戦環境に身を置きさえすればそれで十分というわけではない。重要なことは、そうした環境下で「良質な失敗経験」を積み重ねていくことだと二人は述べる。

「良質な失敗経験」とは予測が困難な状況においてリスクを伴う意思決定を行い、その結果から学びを得られる経験のことを指す。

こうした失敗から真摯に学ぼうとする姿勢こそが、本テーマのキーである「社会をざわつかせるような」「革新性ある価値を生み出す」事業家になる上で欠かせないとフリークアウトは捉える。

本田事業家として社会にもたらすインパクトの大きさは二つの要素に左右されると考えています。一つ目は挑戦の中で経験した「失敗の総量」。二つ目はその失敗から学び取った「教訓の質」です。

多くの失敗から学んだ教訓を糧に挑戦し続けることで自己成長を遂げていく。世の中に対して度肝を抜くようなインパクトを与えるにはこのサイクルの繰り返しが必要です。

本田その前提に立つと、ローリスクで確実性の高い挑戦をしていては失敗にさらされる頻度が少なく、学ぶ機会も不確実性の高い挑戦に比べて多くは得られません。

すると当然ですが、挑戦と失敗のサイクルで養われる危機対応力や問題解決力、先見性、決断力などを十分に磨くことができず、結果的に世の中に与えられるインパクトも限定的になってしまいます。

それは皆さんが思い描く事業家キャリアとは異なるものであるはず。

鈴木氏もまた、この「良質な失敗」から得られる成長の重要性を語る。フリークアウトでは数多くの事業機会の中からリスクの高い1〜2つに絞り込み、100%のリソースを投入して挑戦するスタンスを取っている。

鈴木 リスクを恐れて20%ずつリソースを分散させるのではなく、選び抜いた機会に100%の力を注ぎ込みます。失敗すれば大きな学びが得られ、成功すれば最大のリターンを享受できる。これがフリークアウトの信念です。

フリークアウトでは失敗を称賛し、学びを共有するための専用スレッドが存在する。この失敗共有の仕組みについて鈴木は次のように語る。

鈴木失敗共有スレッドはただの短文投稿ではなく、各自が失敗の経緯や原因分析を記事やレポート形式で細かく記しています。新人を含め全メンバーが最低でも1〜2記事を投稿しており、失敗が集合知となって次の挑戦に生かされています。

一つの失敗に対し10ページ以上に及ぶ振り返りのレポート(提供:株式会社フリークアウト・ホールディングス)

このような文化があるからこそ、フリークアウトではリスクを恐れず挑戦することができる。また、その具体的な事例として、若手メンバーの挑戦も紹介されている。

鈴木入社3年目の20代女性メンバーが業界特化型の広告プロダクトを発案し、事業責任者として取り組みました。

彼女は仮説検証のためにチームを組成しプロジェクトを進めましたが、結果として利益を生み出せず、数千万円規模の失敗を経験したんです。

しかし、彼女はその失敗を振り返り、数千字のレポートにまとめ、そこから得た学びを共有しました。こうした経験が彼女自身の成長を後押しし、フリークアウトの文化をさらに強化しているんです。

そして鈴木自身も、UUUMでの挑戦を通じてプレッシャーを感じながら大きな意思決定を行っている。

鈴木UUUMの再成長というミッションを抱え、売上目標を従来の数倍以上に設定しました。その中でエンジニアチームのリソースを新たなプロダクト開発に全て注ぎ込むという意思決定をしたんです。

これは今まさに挑戦している最中なので失敗談ではありませんが、不確実性の高い事業領域で日々とてつもないプレッシャーを感じながら、大きな意思決定の機会を得られているなと感じています。

このように、フリークアウトは「失敗を恐れることなく、その経験から教訓を得て成長する」というカルチャーを根幹に持ち、メンバーたちは大きな挑戦に取り組んでいる。失敗から得られる教訓こそがフリークアウトのメンバーを強くし、事業家としての成長を促しているのだ。

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社会をざわつかせるTOP 0.1%の事業家は、「大衆が選ぶ場所」からは生まれない

世間を圧倒し、常識さえ打ち破るような事業家を目指すのであれば、「不確実性の高い事業」で「良質な失敗経験を重ねる」ことが何より重要だと彼らは語る。

ここまでの話で確かにその重要性は伝わってきた。しかし、どうすればそのような環境を見つけることができるのだろうか。

昨今、就職先として優秀な学生に人気が高い企業といえば大手コンサルティングファームや大手商社などが挙げられる。これらの企業でも既存事業を中心に大きな社会インパクトを生み出す機会は豊富に揃っており、また社会的な評価や報酬の観点でも魅力的な環境が整っている。そのため、「とりあえず新卒ではブランドのある大手企業を選ぼう」と考える学生も少なくない。

鈴木ビジネスパーソンとして何を目指すかにもよりますが、大手コンサルティングファームや大手商社などは企業規模が大きいため大規模なプロジェクトに携われる機会が多いですよね。そして上場企業の経営者を相手にする戦略コンサルタントや、大手商社でのグローバル規模の事業運営といった経験も魅力的でチャレンジングな仕事だと思います。

しかし、こうした環境で「今までの世の中にない全く新しい挑戦」に「20代で主導する立場」として携われるかと言うと疑問が残りますよね。

私の経験上、事業家として成長するためには、若手のうちから自ら課題を発見し、解決策の仮説を立ててチームを組成し、市場にソリューションを提供して検証を回すサイクルをどれだけ高速かつ一気通貫で行えるかにかかっていると考えています。不確実な対象に向き合いながら、確実性を高めるための取り組みを一歩一歩積み重ねていくことが重要ではないでしょうか。

そしてその経験が得られる環境はどこにあるかと言うと、日々、急成長を目指してアグレッシブに挑戦を続けている企業にこそ存在していると思っています。

ですので繰り返しになりますが、「世の中の度肝を抜くような事業をつくりたい」と考えるのであれば、自ずと選ぶべき道は絞られてくるでしょう。

フリークアウトが提唱する、革新的なサービスで世の中にインパクトをもたらす事業家に必須の成長環境

  1. 事業の立ち上げから仮説検証までのサイクルを主導できること
  2. 不確実性が高く、リスクを伴う意思決定を経験できること
  3. その過程で失敗から学べる機会があること

一方で、読者の中には「立ち上げ間もない小規模なベンチャー / スタートアップならば、裁量を持って挑戦できるのではないか?」と考える人もいるかと思う。確かにそうした企業も若手に意思決定を委ねるケースが多く、事業家としての成長環境が揃っていると言えそうだ。

しかし、「それはあくまで本記事のターゲットとは異なる事業家像を描く人向けのものだ」とするのがフリークアウトのスタンスである。

なぜなら、小規模なベンチャー / スタートアップは社会にインパクトを与えるだけのリソース、つまり人材や資金などの面で伸び代があるためだ。もし、社会をざわつかせるほどの規模感で革新的なサービスを創出したいと渇望しているならば、当然ながらそれに等しい事業規模やリソースを兼ね備えた環境でなければ望む挑戦は成し得ない。

彼らは言う。

「ここでは何も“事業家”を目指すすべての人に当てはまる話がしたいわけじゃない」「事業家の中でもTOP 0.1%。優秀な人間なら誰もが思いつくようなソリューションではなく、文字通り大衆の“度肝を抜く”ような革新的なものを生み出したいと考えるような人が相手だ」と──。

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「最高の失敗」をバリューに掲げるフリークアウト

では、フリークアウトは世の中に革新的なサービスを創出し、社会に変革をもたらす事業家志望の若者にとって“最適な環境”だと言えるのだろうか。

もちろん、一概に「YES」とは断言できない。組織のカルチャーや雰囲気など、個人と環境がマッチするかどうかも重要であり、万人に当てはまるわけではないからだ。

しかし、フリークアウトは先に挙げた「革新的なサービスで世の中にインパクトをもたらす事業家に必須の成長環境・3要件」を満たしているか否かで言えば、間違いなく「YES」だ。その理由を1つずつ見ていこう。

まず1つ目は、事業の立ち上げから仮説検証までのサイクルを主導できるかどうか。答えは当然「YES」だ。

先ほどの20代女性メンバーの事例のように、同社では若手が自らプロダクトを発案し、すぐさまチームを組成して仮説検証を行うことが通例となっている。もちろんそれは彼女だけでなく、他にも入社3年目で中国市場をゼロから開拓し、中国支社長になった者もいる。

2つ目は、不確実性の高い事業でリスクを伴う意思決定を経験できる環境であるかどうか。無論こちらも答えは「YES」。

鈴木氏は「フリークアウトが属するAdTechやマーケティング領域は、最も不確実性の高い事業領域の一つではないか」と述べる。

鈴木これらの領域は世の中の変化を最も早く体感、体現できる分野の一つであるため、未来予測をすることが極めて難しい領域だと思っています。

現在ではGAFAM(Google、Apple、Facebook⦅現在のMeta⦆、Microsoft)やByteDance(TikTokなどのアプリを運営する中国発のIT企業)といった巨大なプラットフォームが乱立しており、これら企業の一挙手一投足によって我々は大きな影響を受ける立場にある。そのため常に不安定な状況下で事業の意思決定をしていかねばなりません。

本田私から付け加えると、先ほど触れた海外の投資事業においても同様です。そもそも日本とは文化や慣習、政治経済などあらゆる前提が異なる海外で事業を成功させるのは不確実でしかありません。

アジアでの教訓を活かしてアメリカ市場では一定の成果を得られた。そしてそこで獲得した資金によって、UUUM買収にみられるようなより革新的な挑戦を狙っていく。

ちなみに直近ではアメリカでリテール×デジタルサイネージという新領域での事業にも着手しています。このようにフリークアウトは既存のAdTechやマーケティング企業とは一線を画しており、常に不確実性の高い領域で事業に挑戦できると言えるのではないでしょうか。

最後に3つ目、良質な失敗経験から学ぶ機会が与えられているかどうか。言うまでもないが「YES」でしかない。

何を隠そう、フリークアウトは「最高の失敗」というバリューを最上段に掲げており、失敗の経験そのものを推奨するカルチャーがある。

本田くり返しになりますが、事業家が失敗を避けていては大きな成功など望むべくもありません。

くどいようですが、世の中をざわつかせるほど大きなインパクトを与える事業家になりたいのなら、ハイリスク・ハイリターンな挑戦と失敗経験を積むこと以外にないんです。安全圏で勝負するといったマインドは今日を機に捨ててほしい。

そして、失敗に気づいたときに早期に手を打つことも忘れずに。失敗だとわかっていながら、発覚するのを恐れるあまり対処を先延ばしにしていては取り返しのつかない問題を招く恐れがありますから。

だからこそ、失敗が起きた際にはそれを個人の責任として終わらせるのではなく、組織全体でその失敗を称賛し、そこから学ぶカルチャーを根付かせることが大事なんです。

Our Values(提供:株式会社フリークアウト・ホールディングス)

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得意 / 不得意のバロメータが尖っている者こそ、才能を最適配置せよ

ここまでの話を踏まえると、事業家キャリアと言えどもそこにはグラデーションがあり、すべての事業家志望に当てはまる最適な環境など存在しないことがわかってきたかと思う。

もちろん、事業領域の確実・不確実を問わず、またそこで生じるリスクの大小を問わず、価値の創出に取り組む企業や事業家であればその挑戦はリスペクトされるべきである。

あらためてその前提を認識した上で、「やはり自分は、誰も思いつかないような革新的なサービスを生み出し、世の中をザワつかせたい」と思うなら、この先も読み進めてほしい。

ここからは、そうした不確実性の高い事業に挑む人材を後押しする、フリークアウトの組織環境についてフォーカスしていきたい。まず気になるのは、個性派揃いの印象を受ける同社において、どのような人物がマッチするか、ではないだろうか──。

鈴木例えるなら、オタク気質を持った人でしょうか。

つまり、好きなことに対して強い探求心を持って行動している人たちです。そのハマりっぷりは自分にしか気付けない課題を特定し、仮説検証を通じて市場に提案していくといった事業開発にピッタリの資質です。

というのも、不確実な事業というのは未知の領域を探索していかなければなりません。その際、自分の好きな分野について“深度10”まで深みがあることを実体験からわかっている人は、自分の知らない分野に対しても「今、自分が得ている情報は“深度3”程度なのではないか。もっと深みがあるはずでは」と自ずと探索していくことができる。これは未知なる事業開発を行う上で強力な武器となります。

事実、フリークアウトには音楽や都市伝説、ワイン、仏像、ラーメンなど世の中のトレンドとは関係なく、自らの興味関心がある分野に熱中して突き詰めている人たちが多く在籍し活躍しています。

一方で本田氏は「失敗できない完璧主義のタイプは、フリークアウトには合わない」と切り出す。

本田例えばですが、学生時代に成績オール5で過ごしてきたような人。学業の世界で100点を取ることが当たり前だった人は、その経験から失敗を避けたがるように感じています。

しかし、学業とビジネスはゲームのルールが全く違う。ここまで話してきたように、事業とは失敗の連続です。

一度も失敗せず成果を出すなどどんな天才にも不可能ですし、失敗なき成功など誰も求めていません。事業では「ノーミスで100点」よりも「失敗の先に10,000点」を取る方が賞賛されますし、フリークアウトでも後者を推奨しています。

したがって、その失敗さえ許容できるのであれば得意不得意があっても構いません。むしろ、自身の欠けているところを自覚できている人こそ自分や相手の失敗に対する寛容度も高いとすら感じます。

組織とはそうした人たちが集うことで互いの強みを補完しあえるのだと思います。何より、一長一短がある人は人間的にもチャーミングですから。

鈴木同感です。フリークアウトはかねてから規範にとらわれない人材を求めていますよね。私が10年前に経験した弊社のインターン選考においても、「過去にルールを破って成功した体験」を問うような課題がありました。

一方で、学生時代は完璧主義だったけれど、社会に出てゲームのルールが変わったと自覚して変化できる人もいます。過去にとらわれずに新たな価値観を素直に受け入れられる人は素晴らしいですよね。

これまで、突き抜けた事業家になるには「全てが完璧な人間でないと無理だ」と感じていた読者もいるかもしれない。が、そんなことは決してない。

社会の常識を覆し、誰にも真似できない変革をもたらすフリークアウトが提唱する人物とは、意外にも「オタク気質」であり、「得意 / 不得意が顕著」であることだった。

もしこの瞬間、「我こそは」と感じている者がいるとすれば、是非その才を異能集団・フリークアウトで発揮してみてはいかだろうか。

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「インディーズからメインストリームを乗っ取る」。
これぞフリークアウトの鉄の掟

事業家を志す20代の若者にとって、キャリアの入り口となる企業選びはその後の事業家人生を大きく左右する重要な意思決定だ。近年、多くの企業が「新規事業」や「事業開発」といったキーワードを掲げ自社の魅力を発信しているが、その言葉の定義は企業によって大きく異なる。

例えば、今回対象とした「社会をざわつかせるような規模感で革新的なサービスをつくりたい」と考える者たちにとって、本田氏や鈴木氏が述べたような確実性の高い事業領域で「新規事業」や「事業開発」に挑むことは果たして正しい選択と言えるのだろうか──。

答えは否。こうしたキーワードに右往左往するのではなく、あくまで実態をみるべきだろう。故に、「新規事業責任者のポジション確約」や「入社〇年目で子会社代表へ就任可能」といった謳い文句を鵜呑みにすることは避けたいと彼らは言う。

見るべきは、その企業がどれだけ不確実な領域に果敢に挑戦し、失敗を許容するカルチャーを敷いているかに尽きる。

そして、そうしたカルチャーは経営者自身を見ればよくわかるもの。フリークアウトでいえば、経営TOPに立つ本田氏自身が率先して不確実な環境に飛び込み、挑戦と失敗を楽しんでいた。だからこそ、メンバーの大胆な挑戦を許容するカルチャーが根付いているのだ。

本田私自身、フリークアウト・ホールディングスとして過去に2度ほどアメリカ市場へ参入しましたが、成功は掴めませんでした。シンプルに私自身の力不足が原因です。ただ、未だ諦めきれず3度目の正直でもう一度挑戦したいと考えています。

他にも、タクシーサイネージ広告において国内市場では業界TOPに立っていますが、海外市場では各国の事情の違いからうまく攻略することができませんでした。

今後はこれらの失敗経験を活かし、リテール分野でハードウェアを活用したデジタルサイネージ事業で勝負していく予定です。既に中国での生産体制も整えており、海外進出に向けて仕込んでいる最中です。

正直、今とてもワクワクしていますよ。

失敗を恐れず、失敗から学び挑戦を重ねていく本田氏に対し、鈴木氏は以下のようなコメントを寄せる。

鈴木本田からは心の中でふつふつと煮えたぎる“インディー感”が伝わってきます。

メインストリームに流されず、むしろインディーからメインストリームを駆け上がり飲み込んでいくような、ロックな反骨精神を持っています。私はそんな本田と働けることが面白くて、新卒から10年の間ここにいるという側面もあります。

また、そんな本田氏のスタイルこそがフリークアウトで事業家を目指すメンバーにとって最高の成長機会を生んでいると鈴木氏は言う。

鈴木本田は経営者でありながら投資家でもあります。なので、事業投資に際して投資先のビジョンや仮説にBETしたらその後のPMIやPMFの実行部分はどんどん僕らに任せてくれるんです。

このように、フリークアウトには分不相応かつ不確実な挑戦の実行者になれる機会が無数に転がっている。これが弊社で事業家キャリアを歩む上での魅力ですよね。

ではなぜ、本田氏はこうしたスタイルを貫くのか。そう尋ねると本田氏は今日一番の笑顔をのぞかせた。

本田常に面白いこと、不確実なことに挑戦したいから、ですかね。

フリークアウトも然りですが、特に上場企業となると事業や組織が成長するに連れステークホルダーが複雑化し、どうしてもリスクを抑えて保守的になりがちです。しかし、私はあえてその逆をいきたい。

事業のフェーズが進む中でより大きな資金を獲得し、それを武器に更なるハイリスク・ハイリターンな勝負に打って出たい。そう考えているんです。

それこそUUUMの買収もそうですよね。これもフリークアウトが単なるベンチャーではなく、上場して一定の信頼や資金があったからこそ実現できたこと。こうした武器が備わっている今だからこそ、より大きく資本を投下して思い切った挑戦ができるのだと考えています。

これからもどんなハイリスク・ハイリターンな事業を展開していこうかと、楽しみで仕方ありません。

世の中には無数の企業がある。その中には社会変革を志し、斬新なアイディアで急成長を遂げている企業も多く存在している。そのいずれもが高い使命感や秀逸な事業モデル、優秀な組織をつくって切磋琢磨していることだろう。

したがって、事業家を志す若者たちにとって「選択肢がない」という事態にはならないはずだ。むしろ、「どの選択肢が正解なんだ」と悩むことの方が多いはず。

そんな悩みに答えるべく今回の取材を行ったが、この記事で上記の若者すべてに当てはまる答えを示すことは難しい。

しかし、フリークアウトの二人の話を通じて、「ハイリスク・ハイリターンに挑戦しない者が、社会を変えるようなインパクトを生み出す事業家になどなれはしない」ということは揺るがない真実として掴めたのではないだろうか。

さて、この後の行動次第で君の事業家キャリアは大きく変わる。

あらためて、自分はどんな事業家になりたいのかを見つめ直し、適切な環境に身を置かれたし──。

こちらの記事は2024年09月06日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

写真

藤田 慎一郎

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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伊藤 豊
  • KMFG株式会社 代表取締役社長 
  • 株式会社エルテス 社外取締役 
  • 一般財団法人ルビ財団 代表理事 
公開日2021/10/29

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