「コミュニケーション&ネットワーキング」を制し、一歩前へ──成長にレバレッジを効かせる「良質なネットワークの5つの条件」とは
Sponsored人生100年時代と言われるようになって久しい。しかし、「100年時代には、およそ60年間も働く」という事実について、真剣に考えたことのある読者はそう多くないだろう。
“20代は体力の許す限り必死に働けば、成長できているという感覚はあったが、最近はなんとなく行き詰まりを感じている。”
“社内に閉じず、社外から刺激を受けたほうがよいと思っているけど、忙しいから、人付き合いが好きじゃないから、といった理由で、何もできていない。”
こうした行き場のない不安や焦りを感じている若手ビジネスパーソンは多いのではないだろうか。
そこで今回、社会人教育の最前線に携わるグロービス経営大学院経営研究科(MBAプログラム)の研究科長である田久保善彦氏と、同大学院の2012年度卒業生で、さまざまな軸足を持って活躍されている森脇章太氏に、「若手ビジネスパーソンが成長するために押さえておきたいポイント」についてお話を伺った。
- TEXT BY NAOKI MORIKAWA
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
まずはビジネスのルールと、ネットワークの価値を知ろう
田久保転職、フリーランスとしての独立、副業など、キャリアや働き方の選択肢が多様化している今、すべてのビジネスパーソンは「今の自分に労働市場で買ってもらえるスキルはありますか?それは買い続けてもらえるスキルですか?」という問いに直面せざるを得ない状況です。
そのような時代の変化を踏まえて、私たちが社会人教育の場において一貫して大切にしてきたことは3つです。
1つは“能力”を開発するための場として高品質を保つこと。2つめは自分が何をしたいかの“志”を高めていく場であること。そして3つめが良質な人的“ネットワーク”を育む場として機能することです。
人生100年時代には約60年もの間、働くことになる。個人と企業のパワーバランスは逆転しつつあり、転職や副業、時短勤務、リモートワークなど働き方を変えることがもはや当たり前になった。
またテクノロジーの進化による社会環境の大きな変化にともない、さまざまなビジネスが生まれる一方で、消えていく仕事も増えてきた。こうした変化にともなって、スキルアップの重要性がさまざまな場で叫ばれている。
しかし、田久保氏は、「流行りのスキル」の習得や「目先の年収アップ、昇進」にとらわれがちな若手ビジネスパーソンを見かけると、いつも「まずはビジネス全体の基本的なルールをしっかり理解したほうがよい」と諭すと語気を強めた。
田久保「私の専門は●●です」と豪語する前に、「ビジネスの仕組みやルールをちゃんと知ろうよ」ということです。
「俺ピッチャーだからバッティングに関するルールは知らない」「俺キーパーだからオフェンスのときのルールは知らない」というスポーツ選手なんていませんよね?
でも、ビジネスだと「私は営業だから会計はわかりません」という冗談のような話が起きる。
よく「MBAは修了までに2年間もかかる、時間の無駄じゃないか」というような意見も聞きますが、私はいつも60年のうちのたった2年だと言うんです。
これからビジネスパーソンとして「買い続けてもらう」ための専門性を、ビジネスという競技のルールに従って60年かけて磨いていくのですから、たった2年間で土台となるルールを学べるのなら、ほんの短い時間だと考えるべきではないでしょうか。
一方で田久保氏は、「とはいえ、どれだけ土台となるスキルを鍛えても、すべての問題を自分ひとりだけの力では解決できない、ということも若いうちに知っておくべきだ」と続ける。
田久保どれだけ必死で学び続けたとしても、直面するすべての問題を解決できるようなスーパーマンにはなれません。
学ぶべき内容は常にアップデートされますし、社会はますます複雑化する一方ですから、個人の能力だけで対応するには限界があります。
でも、能力を高めながら、「志」も磨いている者同士が仲間になれば解決の可能性は間違いなく高まります。
ですから、“志ある仲間が集まれば、個人では生み出せないものが生まれる”素晴らしさを若いうちに体験できる環境に身を置いたほうがよい。
環境変化がこれだけ激しい時代は、多様な人々とのネットワークの分厚さが、成果を出し続けるカギになるでしょう。
グロービスでは過去の偉人、先人の「志」を学ぶ科目もあるとのことだが、ここまで田久保氏が強調している「志」とはつまり、「自分はこう生きていきたい」「これを達成するために努力したい」といったものの総称である。「手にした能力を社会に対し、どの方向でどう発揮していくか」を決定づけるために不可欠な要素だ。
田久保プロフェッショナリティを身に着け、次世代のリーダーとなっていく方々に知っておいていただきたいことは、間違った「志」を持ったプロフェッショナルが暴走すれば、社会にとって大きな負となってしまうということ。
例えばですが、弁護士がウソをついたら、法の目をかいくぐることさえ、できてしまいますからね。
もちろん、いくら「志ある者が集うネットワークが重要だ」と言っても、個としての能力を高めていくことが重要であることに変わりはない。
しかし、これだけ複雑性が増し、先行きが不透明な時代には、さまざまな情報やスキルを自分の力だけでキャッチアップするのは難しい。だからこそ、志を持つ良質なネットワークを得ておくことが重要だということだろう。
田久保私の高校時代の先生は、生徒にしばしばこう言っていたんですよ。
「おそらくキミたちの多くは大学へ進み、やがて社会に出て行く。ところが社会には東大をトップクラスで卒業したような、飛び抜けて優秀な人間がごろごろいる。1対1の個人戦になった時、彼らの力が1だとすると、キミたちはせいぜい0.6ぐらい。勝てない」と。
15〜16歳の子ども相手に、なんてシビアなことを言うんだろうと思って聞いていたら、ちゃんと続きがありました(笑)。
「ただし、もしもキミたちに頼れる同志がいて、少なくともキミたちと同等の力を持つ人間を即座に2人連れてこられたら結果は変わる」。そう言われて、大いに納得しました。
個人戦では敗色濃厚だったとしても、同志と呼べる強い絆で結ばれたネットワークを持っているならチームで戦い、逆転勝利の可能性が高まるのだ。
ネットワークの出会いがきっかけとなり、文部科学省の技術参与就任へ
良質なネットワークはどのようにキャリアに役立つのか。この問いについて、大学院修了後、大手総合化学メーカーの研究開発職に就き、その後グロービス経営大学院に入学した森脇氏に聞いてみた。
森脇大学でも大学院でも、自分の好きな化学領域を学びました。就職後も典型的な研究職スタイルで働いていました。
もちろん成長願望はありましたし、一つひとつの仕事と懸命に向き合っていたのですが、あるとき携わっていた開発プロジェクトがお客様である企業の経営事情が理由で、頓挫してしまいました。
研究結果には自信があっただけに、世の中の理不尽さに対して悔しい気持ちも湧いたのですが、すぐに「いや、ちょっと待てよ」という気持ちも湧いてきたんです。
「事前にお客様側の業界の動向だとか、将来像などを自分なりに調べていれば、どれぐらいのリスクがあるのかわかったはずじゃないか。なぜ自分はそういう視点を持たずに、目の前の研究ばかりに目を向けていたのだ」と。
これぞまさに田久保氏が述べた「キーパーだからオフェンスのルールは知らない」に通ずる体験だ。「自分の仕事とは何なのか。実はこんなにも幅と奥行きがあるのに、触れようとしてこなかったのではないか」という思いが徐々に膨らんでいく中で、「足りない部分を埋めるためにまずはビジネスのお作法を知るために学ぶ」という選択肢が見えたと森脇氏は続けた。
グロービス経営大学院には、修士課程に正式に入学する前に1科目(3カ月)から学ぶことができる「単科生制度」というものがある。まずは、ビジネスの基礎的な部分から学ぼうと、森脇氏は2010年の7月に単科生して受講を開始した。
田久保入学生の多くの方々は、森脇さんと同じように、「なんとなく気になったから」という理由で単科生として受講を始められるのですが残念なことに、OB・OGネットワークの価値に気づくのは、卒業直前であることが多いんですよ(笑)。
森脇たしかに私もその1人です。本音を言うと、グロービスで学んでよかったなと思えたのは卒業してからです。
卒業後に、今いる化学業界で新規事業の機会を探索していた時期がありました。グロービスには卒業生データベースを使って検索して、会いたいと思った人に連絡を取れる仕組みがあります。
これを使って、同じ業界で働く10人弱にヒアリングしました。その結果、皆同じように、「うちも新規事業の創出に苦戦している。どうアクションすればよいだろうか」「共通言語のある同業種間で議論する場が欲しい」といったことを感じていることに気づいたのです。
「グロービスの卒業生」というつながりがなければ、同業他社の人に「うちも困っている」なんて言えませんよね。同じ志を持った人たちと一緒に考えていくうちに、会社を飛び越え議論できるコミュニティが自然と出来上がっていました。
化学業界で働く卒業生コミュニティは、卒業後の2013年、業務に関する悩みについて社外の人間と話し合える場を求めて、森脇氏自身が同業界卒業生に働きかけて創設へと動いたものだ。
また、グロービスではすべての科目をケース(企業事例)に沿ったディスカッション形式で行う。一方で、卒業後はリアルなケースと接し、自ら考えて動くことで気づきを得ていく必要がある。森脇氏は卒業と同時期に、同期生がアフリカで日本古来の置き薬の仕組みを普及させるNPO「AfriMedico」(アフリメディコ)を立ち上げるという話を聞き、理事として参画した。組織の立ち上げから現地での置き薬事業のローンチ等の実務経験を積んだ。
森脇AfriMedicoでの事業立ち上げ経験は、掴みに行ったというよりも「与えてもらった」という印象です。自分の長所って実は、自分より周りの人の方がわかっていることが多いんですよね。
ネットワークの中で得意分野を知られていれば、他の人から思いもよらないチャンスが巡ってくるんだということを実感しました。
チャンスは続いた。グロービスとは別のイノベーター育成プログラムに参加したことをきっかけに、大阪にあるナレッジオフィス「大阪イノベーションハブ」での社内起業家育成プログラムから声がかかり、2018年から同プログラムのメンターに就任。
さらに前述の化学業界の集まりが出会いのきっかけとなり、2019年には兼業として文部科学省の技術参与にも就任し、「日本の素材産業がどう生き残っていくべきかについて、会社の枠を出て議論している」とのことだ。
結果として、「自分は化学・素材産業における新規事業企画に取り組みたい」と明確に言えるようになった。
自らの「志」の種を見つけたら、積極的に発信する。それによって生まれた人との出会いや、それをきっかけに生じたチャンスをテコにして行動を重ねるうちに「志」そのものが大きくなり、よりクリアになっていく。
「そうしたサイクルをキャリア開発に活かすことは、グロービスでの学びがなければ、自分のものにできなかった」と森脇氏は言い切る。
オンラインサロンでは得られない、理想的なコミュニティが持つ5つの条件
前述の通り、森脇氏が「グロービスに入学して良かった」と感じたのは卒業後だった。そんな彼に、価値あるコミュニティやネットワークとはどんなものか。また、そこに身を置くために、意識して行動すべきことは何かを聞いた。
森脇「目的意識」と「当事者意識」を持つことが重要だと私は考えています。そして、その価値の大きさに気づくことができたのは、グロービスで学んだからこそだと強く感じています。
田久保もう1つ付け加えるとすると「貢献意識」があるのではないでしょうか。
結局、森脇さんもそうであるように、卒業生の多くはグロービスで手に入れたネットワークを最大限活用しているし、同時に社会にいる様々な人を結びつける中心的存在にもなっています。
しかも、カリスマ性をもったスターのような存在としてではなく、まさに森脇さんが体現してくれているような、縁の下の力持ち的な「貢献意識」によって、気づいたらコミュニティの「ど真ん中」にいるような人が多いんです。
森脇同業界の卒業生コミュニティを作ったといっても、私は単に調べて見つけて連絡しただけですし、皆を引っ張っているというよりも一緒に楽しませてもらっている感覚です。
田久保それを人は「ど真ん中」と呼ぶんですよ(笑)。
私が考える理想的なコミュニティというのは、絶対的な発言力とリーダーシップを持つスターを中心に人々が放射状につながっている一方通行のネットワークではありません。
個々のメンバー間が複雑多様に相互に情報や意見を交換し、継続的にコミュニケーションを繰り返していくネットワーク。それを創り出せるのは、森脇さんがおっしゃった通りの「目的意識」と「当事者意識」、そして「貢献意識」のある人たちだけ。
グロービスでの学びから、森脇さんのような人が次々と生まれているのだと思うと、私は嬉しくなるんです。
「ネットワーク」と言えば、最近では、オンラインサロンへ参加する人も増えている。田久保氏はその潮流について、「眺めているだけの人が多く、コミュニティとしての価値は薄い のでは 」という受け止め方をしているという。
田久保いろいろなパターンがあるとは思いますが、多くの参加者にとってオンラインサロンはまさに、課金制のドラマ視聴サイトのようになっているのではないかと思っています。会員になることによって、「スター」の動向がわかる権利を買っているようなもの。
でも、本来のコミュニティって、他人を眺める場ではありません。オンラインサロンであれば、真ん中にいて、主催者と一緒に運営に関わっている人たちにとっては素晴らしい経験だろうと思います。
しかし、「スター」を中心にしたコミュニティであるがゆえに、フラットさが欠けてしまい、参加者同士の多様なつながりが生まれづらいという欠点を内包しているように思います。
森脇たしかに言われてみれば、つながりが生まれやすいコミュニティの条件として「多様性」と「フラット」という2つは重要ですね。
創設に関わった同業界のコミュニティでも、AfriMedicoでも、特定の1人が飛び抜けた熱量を発散しているというよりも、参加している一人ひとりの情熱を合わせた総量が上がっていく感じです。
それが本当に楽しいから、いつの間にか進んで縁の下の力持ち役をやっている、という面は否めません。
田久保まさにその2つは、グロービスが体現しているものです。グロービスにはビジネスパーソン以外に、プロのサッカー選手や、医師や弁護士が在籍しており、皆フラットな「学生」という立場で授業に参加している。
あるケース(企業事例)の課題をサッカーのメタファーで語ってくれたり、ビジネスの一般常識では考えられないような発言をしてくれたりして、周囲が驚くこともあります。
でも、教員も学生も皆、その発言に興味津々なんです。グロービス経営大学院はあくまで学校ですから、「正解ではない」ことを言っても、会社の査定のように「バツ」はつかない。
むしろ、「それは新鮮な視点ですね!もうちょっと詳しく教えてくれない?」と、ディスカッションの場においては重宝される存在なんです。
森脇なるほど。別の視点ですが、グロービスの特徴のひとつは、教室での授業とオンラインの授業という2つの形態があることだと思います。
これは半ば強制的に、多様で異質な方々との「弱いつながり」も作ることができます。
田久保その通りです。オフラインとオンラインの両方の機能をもつからこそ、深いだけでなく、弱いネットワークも生み出せる。
スタンフォード大学社会学部の教授であるマーク・グラノヴェッター氏が提唱した「弱い紐帯の強み」説は皆さんもご存知ではないでしょうか。「弱いつながりの人から聞いた情報をもとに転職している人が多かった」という研究成果ですね。
「よく知っている人」同士は、同一の情報を共有することが多く、そこから新しい情報や気付きが得られる可能性は少ない。けれども、「あまり知らない人」、つまり「つながりが弱い人」は、自分の知らない新情報をもたらしてくれる可能性が高いと、その研究成果は解釈されています。
ですからグロービスでは、意図的にこの「弱いつながり」を生むような場の設計をしています。
最初こそ居心地が悪く、家族や親友といるときのような「安心感」を持てないかもしれませんが、そのようなコミュニティこそ、新しい視点が獲得でき、個人の成長につながるものであるはずなんです。
グローバルリーダーを目指す若者にこそ、「志」をもってほしい
ここまで、「多様でフラットなコミュニティの価値」「弱いつながりの価値」について二人に語ってもらったが、読者の中には「人付き合いやコミュニケーションは苦手」「コミュニティなんて好きじゃない」と思っている人もいるだろう。
そんな読者の気持ちを知ってか知らずか、田久保氏は取材の最後に、「ビジネスパーソンとして成長したいのであれば」と前置きした上で、「対面のコミュニケーションが苦手だなと思う人にもぜひグロービスを活用してほしい。グローバルリーダーを目指すなら、そんなことを言っている場合ではない」と、読者に活を入れてくれた。
田久保人口動態を見ても明らかな通り、Z世代の若者は同級生も、兄弟の数も減り、対面でコミュニケーションを取る機会が減っていることは明白です。ですから、「コミュニケーションが苦手」「人付き合いが苦手」という若者の気持ちもわからなくはありません。
しかし、皆さんにはぜひ世界に目を向けてほしい。中国やインドをはじめとして、世界中にいるあふれんばかりの人波の中で、対面コミュニケーションの力を駆使して、ネットワークを築き、新しい価値を作っていくのが、これからビジネスの世界でリーダーとして生きていく、「志」ある人間の使命です。
経営やリーダーシップ、テクノロジーについての専門知識やスキルは必要ですが、これまでもこれからも、人間がビジネスの中枢を担っている以上、それらだけで社会を変えうるリーダーにはなれません。
私は何も「あらゆる人と強固なつながりを築け」と言っているわけではありません。ウィークタイズ(weak ties)、つまり弱いつながりで構わないから、ネットワークを築いていってほしい。
そのきっかけとして、フラットでオープンな関係性を築け、志を持つものが集まるグロービスという「学校」をうまく使ってほしいと思っているんです。
「志とか青臭くて嫌いだ」という斜に構えている人だって、大歓迎ですよ(笑)。
ちなみに、起業家ってカッコいいと思いませんか。
私の定義によると、世界で一番青臭いことを平気な顔で言ってのけるのが起業家という人種です。ですから、今はまだ「志なんて…」と思っていても結構。
大きなことを成し遂げたい、社会に貢献できるビジネスパーソンになりたいと本気で思っている方であれば、卒業する頃には、「真っ直ぐに発信した方が得だ」「夢を語れば皆が応援してくれる」という「志」の価値に気がついてもらえると信じていますから。
成長にレバレッジを効かせるネットワークが手に入る。グロービスが選ばれる理由を見る
こちらの記事は2020年03月25日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
森川 直樹
写真
藤田 慎一郎
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