【求む、1期生】企業内起業は「3つの断捨離」から始まる──プロ事業家・守屋実が次世代の「BizDev門下生」に告ぐ、事業創出の基本 〜BizDev BootCamp Vol.1 〜

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登壇者
守屋 実
  • 新規事業家 

新規事業家。ミスミを経てミスミ創業者田口弘氏と新規事業開発の専門会社エムアウトを創業。2010年守屋実事務所を設立。ラクスル、ケアプロの創業に副社長として参画。2018年ブティックス、ラクスル、2か月連続上場。博報堂、JAXAなどのアドバイザー、東京医科歯科大学客員教授、内閣府有識者委員、山东省人工智能高档顾问を歴任。近著に、新規事業を必ず生み出す経営、起業は意志が10割、DXスタートアップ革命など

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スタートアップの主力事業が一定の成功を収め、次なるステップに上がろうとするとき、必要とされるのが新たな事業を生み出す「BizDev」だ。いま、さらなる成長を求める企業の多くで、それをドライブする「BizDev」が求められている。

では、ビジネスを牽引する「BizDev」はどのように育成すればいいのか。

そんな課題意識を背景に、ラクスルが呼びかけて始まった日本を代表するスタートアップ企業群によるBizDev育成の取り組みがある。

freee、ランサーズ 、 マネーフォワード、ラクスル、ユーザーベースが5社合同で行う取り組みの名前は「BizDevBootCamp」

各社数名の選抜者が、各社選りすぐりの講師陣によってBizDevとしての成長に必要な要素を学んでいく。

FastGrowでも、若手BizDev人材の輩出を支援すべく、その勉強会の様子についてレポートする。

初回は、ミスミ、ラクスルなどで活躍された守屋氏の経験を振り返りながら、BizDevに必要な素養をあぶりだす。

  • TEXT BY MONTARO HANZO
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新規事業開発は「失敗のライン」をうまく引け

「聞きかじっただけの他人の成功話をそのまま真似ても、成功の確度は上がりません」

勉強会の冒頭、守屋実氏はこう語った。同氏は新卒で株式会社ミスミ(現・ミスミグループ本社)に入社し、2年目から新規事業の立ち上げに参画。なかでも27歳で取り組んだ動物病院向けのカタログ通販事業は順調に成長し、総勢6名のチームで20億円の年商を叩き出した。

その後、ミスミの創業者と設立した株式会社エムアウトでも新規事業を担当し、2010年に独立。「事業作りのプロフェッショナル」として、ラクスルやケアプロの創業に参画、その後、博報堂やJAXAなどの大企業の新規事業創出にも尽力している。これまで担当した新規事業は50にも上る。守屋氏は、50の新規事業創出体験を踏まえ、自身のキャリアを表現するとある「数式」を紹介した。

守屋「50=17+19+14」。これは、僕がいままで関わってきた事業の数を表しています。17は企業内の「事業開発室」のメンバーとして、事業を立ち上げた数。19は独立起業の数です。14はたまたま出会った人たちと副業で立ち上げた「週末起業」の数を表しています。今年で50歳になりますが、ちょうど年齢と同じ数ですね。

しかし、50の事業全てが成功に終わったわけではない。守屋氏の言葉には、新規事業の清濁に触れてきた経験が裏付ける含蓄があった。

守屋ミスミやエムアウト時代に手掛けた17の企業内起業の結果は「5勝7敗5分け」。うまくいった事業の方が少ないんです。

成功事例が少ない新規事業開発において、気をつけなければならないのが「失敗のラインを引く」こと。当時のエムアウトで引いたラインは、コンセプトの設定や事業開発まで2カ月、事業化の検証に6カ月、事業参入してから2年間。この期間内に、それぞれの期間内で目論んだ成果に届かなければ、事業の抜本的な見直しや撤退を行いました。

そもそも、新規事業は考えた通りには進まないもの。僕の経験談も、参考にはなるかもですが、逆に言えば、参考にしかならないものなんです。

僕自身、どうやったら成功するかなんて公式は分かっていなくて、八方手を尽くして頑張ると、ときどきうまくいくことがある、と言うのが正直なところです。50度の起業を繰り返して分かり始めたことは、事業を失敗に導いてしまう微かな違和感に気付けるようになってきた、と言うことくらいなのです。

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新規事業を成功に導くために必要な3つの「断捨離」

第1回となる今回では、大企業や社歴の長い中堅企業が新規事業を立ち上げる際に発生しやすい、社内での折衝の対処法についても語られた。守屋氏は3つの「断捨離」を挙げる。

守屋大企業や社歴の長い中堅企業の多くが、新規事業を既存事業と同じ評価軸で捉えてしまいがちです。新規事業は既存事業に比べて成果が出るまで時間がかかりますし、初動でブーストをかけるためには既存事業よりも素早い意思決定や、資本の投下も求められます。しかし、既存事業とおなじ評価軸で議論の俎上にあげてしまうと、そのどれもが鈍ってしまう。

だから、そう言った既存事業のしがらみを避けることの出来なかったBizDevは、新規事業を立ち上げる際には会社での「内戦」とも呼べる折衝を乗り越え、独立して動いていく土壌を整えていく必要があるのです。

特に留意すべきなのは、「お金」「意思決定」「評価」という3つを会社から引き離す「断捨離」。資本投下のタイミングや施策の意思決定など、状況が理解できていない上司に左右されるのではなく、自由に動けるように環境を整備することが求められます。

そのために、新規事業と既存事業は構造的に異なることを前もって認識しておく必要があるのです。社内のコンセンサスに捉われて身動きが取りづらくなる前に、できるだけ早く意識しておきましょう。

100%理想の環境で事業を立ち上げるのは難しいですが、不本意な対立を生み出すのではなく与えられた状況のなかで、最大限、新規事業のための環境を手にすることが、新規事業を成功させるための鍵となります。

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「新規」「既存」に関係なく、変化に耐えうる人材になれ

勉強会の終盤、守屋氏はこれまでの経験をシェアしつつ、次世代を切り拓くBizDev人材に向けたメッセージを贈った。

守屋僕自身のキャリアを振り返っても、自ら新規事業のキャリアを切り拓いたというよりは、たまたま配属先が新規事業であった、と言うのが始まりでした。なので、どちらかと言えば、受身姿勢のまま年月を重ねていっただけ、と言う感じだったのです。

それでも、長年量稽古を積み重ねたことで「新規事業創出」というといった1つの武器を身につけることが出来、複数のベンチャーで働く生き方を楽しむことが出来るようになりました。

これからの時代は、「既存事業」と呼ばれる事業でさえ、まったく新しい業態への変化を強いられることが考えられます。そのときに、勇気をもって前に勧める人が、次世代の「リーダー」になっているはずです。

なので、今回、参加していただいたみなさんには、自分の理想とする「BizDev」にチャレンジする中で多くの「決断」を経験してほしいと思ってます。BizDevとして繰り返した「決断」の数が、自分の基盤を作り上げてくれるはずだからです。

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【FastGrow独占・限定5名】BizDev勉強会、参加者募集

イノベーターの成長を支援することをミッションにするFastGrow限定で、勉強会の参加枠を5枠提供いただきました。

今後以下スケジュールで開催されるBizDev勉強会に興味がある方は、以下エントリーフォームよりご応募ください。

「ロジカルシンキング」
8/29 19:00‐21:00 @ランサーズ 新しい働き方LAB(渋谷)

ランサーズ株式会社 取締役 執行役員 グループ戦略担当 曽根秀晶

2007年よりマッキンゼー・アンド・カンパニーで、コンサルタントとして主に小売・ハイテク業界の大手クライアントの経営課題を解決するプロジェクトに従事。

2010年より楽天株式会社において、「楽天市場」の営業・事業戦略を担当後、海外デジタルコンテンツ事業のM&A・PMIを推進、グループ全体の経営戦略・経営企画をリード。

2015年2月、ランサーズ株式会社に参画し、2015年11月より取締役に就任。コーポレート部門の管掌とあわせて、経営戦略の立案や新規事業の推進を主に担当。

「OKRを使った事業開発マネジメント」
9/24(火)19:00〜21:00@freeeオフィス

freee株式会社 金融事業本部長 兼 freee finance lab株式会社 代表取締役 武地 健太

先祖代々会計一家の出身。公認会計士。あずさ監査法人・ボストンコンサルティンググループを経てfreeeにCFOとして参画。その後パートナー事業を経て、現在金融事業にて新規事業開発に携わる。

「FORCASの立ち上げのリアル」
10/21(月)18:30-20:30 @ランサーズ 新しい働き方LAB(渋谷)

株式会社FORCAS 代表取締役 佐久間衡

UBS証券投資銀行本部にて、テクノロジーセクター及び金融法人セクターを担当し、企業の財務戦略アドバイザリー業務に6年間従事。2011年3 月から 2012年4月にかけては、ロンドン本社にて日本企業の欧州企業買収案件を担当。国内の大型統合案件、海外企業買収案件、エクイティ・ファイナンス、デット・ファイナンス等、幅広い案件執行実績を有する。2013年、株式会社ユーザベースに参画。2017年より株式会社ジャパンベンチャーリサーチ、株式会社FORCASの代表取締役に就任。

「海外拠点を活用した事業開発」
11/19日(火) 19:00-21:00 @マネーフォワードオフィス

株式会社マネーフォワード 執行役員・株式会社クラビス代表取締役CEO 菅藤 達也

2001年ゲーム業界にてディレクター職に従事し、東南アジアでの開発拠点の立ち上げを担当した後、2006年から株式会社インフォプラントに転職し事業企画に従事。2008年には株式会社インタースコープとの経営統合を担当し、統合後の株式会社ヤフー・バリュー・インサイトの事業企画に従事。2010年 株式会社マクロミルとの経営統合を担当し、同社の事業企画に従事。主に事業開発、経営統合、JV設立、管理会計の導入などを担当。2012年 株式会社クラビスを創業し、同社の代表取締役CEOに就任。2017年11月より、当社のグループに参画。

「事業家の思考法」
12/16(月)19:00-21:00 @ラクスル目黒オフィス

ラクスル株式会社・代表取締役社長CEO 松本恭攝

1984年富山県生まれ。慶應義塾大学卒業後、A.T.カーニーに入社。コスト削減プロジェクトに従事する中で、6兆円の市場規模がある印刷業界に効率化が行われていないことに注目し、インターネットの力で印刷業界の仕組みを変えるべく2009年9月にラクスル株式会社を設立。印刷機の非稼働時間を活用した印刷のシェアリングプラットフォーム事業「ラクスル」を展開する。2015年12月からは物流のシェアリングプラットフォーム事業「ハコベル」も開始。2018年、Forbes JAPAN誌が選ぶ「日本の起業家ランキング」で1位獲得。

こちらの記事は2019年08月16日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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姓は半蔵、名は門太郎。1998年、長野県佐久市生まれ。千葉大学文学部在学中(専攻は哲学)。ビジネスからキャリア、テクノロジーまでバクバク食べる雑食系ライター。

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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