新規事業こそ、最もPKSHAらしくあれ──非連続成長を生み続ける“共進化”の事業創出思考と実践法

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インタビュイー
小島 脩平
  • 株式会社PKSHA Communication Conversational AI統括本部 事業開発本部 プロダクト推進部長 プリンシパル 

新卒でワークスアプリケーションズに入社し、プロジェクトマネジャーとして新規プロダクトの立ち上げに奔走。その後PKSHA Workplaceへジョインし、PKSHA Voicebot(旧BEDORE)の立ち上げからBizとして携わる。現在は新規ビジネス開発部において、新たなSaaSプロダクトの開発も含めた事業開発を担当。

下沢 将啓
  • 株式会社PKSHA Communication Conversational AI統括本部 事業開発本部 リサーチ&ソリューション推進部長 プリンシパル 

シンクタンク2社で、コンサルタントやデータサイエンティスト、自然言語処理の研究開発といったさまざまな職種を経験した後、PKSHA Technologyへジョイン。AIソリューション事業のビジネスサイドで3年ほど勤め、PKSHA Communicationに異動。現在は事業開発本部のリサーチ&ソリューション推進部において、ソリューション事業との融合による新たなプロダクト開発を進めていく事業開発を担当。

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AIソリューション事業を中心に、飛躍的な成長を遂げていているPKSHA Technology(パークシャ・テクノロジー:以下、PKSHA)。実は今や、SaaS事業がその売上高の約半分を占める。東大発のR&Dと、そこから派生したソリューション事業のイメージが強いかもしれないが、それだけではないのだ。上場も経て、企業フェーズを着実に進め、より一層の事業成長を生み出し続けている。

「SaaSのほうが儲かるから」といった単純な話ではない。「AIの社会実装」という大きな目的に向けての、本命となる事業として位置づけている。なぜなら、R&Dやソリューション事業で培った価値創出法を、あまねく広げることができることこそが、SaaS型のプロダクトの強みだからだ。創業以来掲げてきた「未来のソフトウエア」のかたちが、ここにあるとも言えよう。

こうした動きを可能にしているのが、同社独自のカルチャー「共進化」である。そこで今回は、代表・上野山氏のインタビューで詳しく語られたその思想を、自然と実践し続けている事業開発本部の二人に話を聞く。曰く、「PKSHAの縮図としてPKSHAらしさを体現しながら働いている」。

そう、誤解を恐れずに表現すれば、既存事業よりもさらにPKSHAらしさを体現する事業を、新たに展開しようというわけなのだ。新規事業と言えば、新たな柱をつくる、すなわちそれまでとは全く異なる事業を行うような印象があるかもしれない。そうではない同社の新規事業戦略について、事業面・組織面から深掘りしていく。

  • TEXT BY AYA SAITO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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PKSHAの理念を強く体現する──
そうあってこそ、理想の新規事業チームだ

創業から売上の高成長を続け、東証マザーズ(現グロース)市場への上場後もなおその勢いが留まることを知らないPKSHA。代表上野山勝也氏の共進化構想に基づいて、R&Dからソリューション提供、そしてこの記事で詳細に追っていくAI SaaS事業に至るまで、AIアルゴリズムの社会実装を体現している企業だ。

そんな同社で、今勢いを持っているのが「AI SaaS事業」である。M&Aも含め2020年ごろから本格展開したこの事業が、2022年9月期にはすでに売上高の約半分を占めている。SaaSモデルとしてのARRは51億円を突破し、直近の年間成長率は22.7%と、他のSaaS企業と比較しても全く見劣りしない成果を残している。

2023年9月期第1四半期決算説明資料から

このように、ほんの数年の間で「急成長SaaS企業」としての姿も獲得する中で、さらなる非連続成長の種を見つけようとしているのが、今回登場する二人のチームだ。それも、単に「新しいSaaSをつくる」というのではない。同社が持つソリューション事業とプロダクト事業を、前例のないかたちで融合させながら真新しいサービスをつくりあげていくことを目指している。

二人の言葉を借りれば、“スモール PKSHA“となるのである。

下沢私たちは“スモール PKSHA”をやろうとしています。社として大きくなっても、PKSHAがPKSHAらしくあるためには「新しい動きを、小さく速く試して生み出し続けていく」というような動きが必要です。

これからも非連続的な成長をしていくために、既存組織の間でさらなる連携をしていきたいという想いを、皆が持っていました。ですが、一方でそれぞれが既存事業のグロースにどうしても工数を割きがちになる懸念もあったんです。

それで私たちのチームが、プロダクト事業の中に設置されました。そして議論を重ね、「PKSHAらしいこと」を進めるため、やや特殊な組織構成とメンバーアサインで、独自の動きができるように少しずつ整えているところです。

冒頭で紹介した上野山勝也氏のインタビューでも示唆された通り、同社の真髄は「共進化」という思想にある。個人と個人、組織と組織、人とソフトウェアという、それぞれの存在が垣根を超えて影響を与えあうことで、互いが連続的・非連続的に進化するという考え方のことだ。

あくまで、ソリューション事業での価値創出を基にして、SaaSプロダクト群は生まれてきた。そのためすでに十分な連携がなされているようにも思える。だが、さらに非連続な進化を遂げるには一層インタラクティブに結びついていく必要があるのだと強調する。事業の進化に、終わりなどないのだ。

下沢初めは、私がソリューション事業の中に身を置いたまま、新たに連携の進め方を模索する担当となりました。そうして見えてきたのが、「意外と、お互いのことをあまりわかっていないな」ということだったんです。

もちろん、「あのソリューション事業があって、このプロダクトが生まれた」というストーリーなら皆、知っています。ですが、「知ってるだけ」なのだとしたら、中長期的な進化のためには不十分なんです。

ソリューション事業がどんどん進化していく中で、その知見や技術をプロダクトに取り込もうという部分は、まだまだ伸びしろがある。そういう状態であることが明確に見えてきました。

小島プロダクト側にいた私から見ると、誤解を恐れずに言えば、すでに完成度が十分に高いので新たにソリューション事業の知見を一生懸命取り入れる必要性は感じにくかった面があったんです。言い換えるなら、わざわざこれ以上の融合を図らなくても、SaaS事業を伸ばしていくこともできたということですね。

下沢でも、それでは「PKSHAの強み」が活きていかない。なぜ、R&Dを起点に、ソリューション事業を展開し、さらにプロダクトにまで事業を広げているのか。その意味を体現したいという意欲が少しずつ芽生えてきたんです。

そうして立ち上がったのが、この二人が所属する事業開発本部だ。なお、他企業出身のこの二人に加え、ボストンコンサルティンググループ出身の執行役員大野紗和子氏が中心となり、部門の垣根を超え、次々に社内から新メンバーを組織してプロジェクトを推進していく。自由闊達な組織編成で、さまざまな化学反応を生み出し続けようとしている。

下沢この3人で、新たな連携を生み出すようなさまざまな動きを展開しているような感じです。ソリューション事業にいた私と、プロダクト事業にいた小島と、元々は経営企画という立場でどちらにも軸足がなかった大野で、前例のない取り組みをどんどん進めていこうとしています。

二人についてもここで簡単に紹介しよう。下沢氏は富士通総研や三菱総研でデータサイエンティストやコンサルタント、AI技術を活用した新規事業開発、自然言語処理の研究開発など幅広い役割を経験。PKSHAにジョインしてからはAIソリューション事業でビジネスサイドを担当し、その後に今の事業開発本部に抜擢された。

新卒入社先のワークスアプリケーションズで10年ほど勤め、ERPソフトウェアの立ち上げやプロジェクトマネジャーを経験したのちにジョインした小島氏は、AI SaaSプロダクトであるPKSHA Voicebot(旧BEDORE)の立ち上げに携わり、グロースフェーズまで最前線で推進。その後、新たなゼロイチ挑戦環境を求め、今のチームに至っている。

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「労働力の代替」では意味がない。
一人ひとりが進化していくSaaSを生み出せ

PKSHAグループのさらなる進化に向けて、アクセルを強く踏みこむ存在となるのが、この事業開発本部であることがなんとなく見えてきただろうか。

とはいえ、「理念を体現することが重要なのはわかっちゃいるが、実際はどうやっていけばいいのか?」と疑問を抱く読者も少なくないはずだ。それでは、下沢氏や小島氏の手掛ける事業現場を具体的に見てみよう。

下沢氏と小島氏が現在籍を置いているPKSHA Communicationは、音声認識、自然言語処理技術を用いたプロダクトを提供している。PKSHA Workplaceという、社内コミュニケーションの促進を目的としたプロダクトを手掛ける組織と並び、PKSHAグループの成長を牽引する存在である。

ここで強調したいのは、PKSHA Communicationのつくり上げるAI SaaSプロダクトが、労働力を代替するサービスにとどまらないということ。工数削減や売り上げ向上に貢献するだけではなく、クライアント企業に勤める「人」をも進化させるのである。先に示した「共進化」の話である。

導入事例ページを見れば、三菱商事や三井不動産、NTTドコモ、損害保険ジャパンといった名だたる大企業での活用がわかる。また、あいおいニッセイ同和損保が『PKSHA Voicebot』『PKSHA Chatbot』『PKSHA FAQ』という3つのSaaSプロダクトを一気に導入したのも象徴的な事例だ。複数プロダクトを同時に活かす設計で「共進化」を生み出すのも、PKSHAの強みだ。

実際の例を見てみよう。とある大手メーカーとの商談で「AIの音声認識を、コンタクトセンターに取り入れたい」という要望があった。シンプルに応えるのなら、『PKSHA Voicebot(旧BEDORE)』の導入を提案し、顧客からの入電削減にまずは効かせようとするかたちとなる。

だがこの話を、小島氏は下沢氏のもとへ持ち込んだ。

小島お客様のニーズがただ単に工数削減したいわけではないと感じ、下沢に相談しました。すると課題を深掘りした上で、真にお客様が求めている新しいソリューションを提案してくれたんです。

下沢PKSHAで実績のあるアルゴリズムを発展させれば、「オペレーターの評価や育成」といったソリューションを提供することができると考えていました。まさにそうした価値が喜ばれるお客さまだと思ったので、提案をつくったんです。

小島既存プロダクトをセールスする中だけではなかなか思い至ることのできない価値提供になったので、この座組みが活きた好事例と言えますね。

このように、既存プロダクトに新たなソリューションをAPIでつなげて提供したり、そのソリューションをプロダクト化して他企業さんに導入したり、といった展開を考えていくのがこの新規事業チームです。まさに、クライアントさんと一緒に新たな事業をつくり上げていくような感覚です。

プロダクトを提供し、それを改善し続けるだけではない。その先にあるクライアントの個別具体の課題を解くために、クライアントに合わせたソリューションを提供するところまでが、PKSHAのAI SaaS事業のあり方なのだ。

下沢「解くべき課題」がはっきりしていない場合のほうが、圧倒的に多いですね。なので、ソリューション事業の知見を活かし、課題を探索しながら、自社の技術やプロダクトをお客様に最適な形にカスタマイズしながら提供しています。

相互連携をさらに深めていくことで、より多くのクライアントの、より多くの課題に、AIを適切に当てることができる。これがまさに“社会実装”だ。

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“社会実装”を絵空事にしない。
プロダクトとしての強みを突き詰める

こうした例のように、クライアント企業における事業成長と、メンバー一人ひとりの成長を生み出すのが同社のAI SaaSの真髄だ。

そして、盤石で多様なプロダクト群を背景に、さらにクライアントと進化を遂げるきっかけをつくるのが、このチームのミッションである。なお、小島氏はソフトウエアプロダクト、下沢氏はソリューションというそれぞれのバックグラウンドがあるため、強みを補完し合い、良いシナジーが生まれている。

小島PKSHAの手掛けるプロダクトはいずれも、過去にこの社会には存在していなかったものなんです。

ほかのソフトウェアプロダクトはたいていの場合、既存の何かを代替するものですよね。たとえば、これまでアナログで存在していたサービスがデジタル化したものや、既存のサービスを別の分野に横展開したものなどが一般的ではないかと思います。

そういったものではなく、私達がやっているのは「今までにないものをつくる」という挑戦なんです。すでに存在するものがクラウド化することと、「世の中に何が必要なんだろう」とゼロベースで考えプロダクト化することは、似て非なるものです。クライアントは何を必要としているんだろう?と考える過程がPKSHAらしさだと思います。

具体的には、技術的なフィージビリティも踏まえてプロダクトの提供価値を構想し、お客様に仮説も含めて提案していくのがプロダクトの開発フェーズの商談イメージです。課題仮説が外れていれば修正してブラッシュアップしていく。しかし、商談の中で想定外の課題やテーマをお客様から共有いただくことも多くあります。その場合、下沢を巻き込んでソリューションとしての提供を見極めてもらいながら、次のプロダクト構想に繋げていくといった仕事の仕方をしています。

下沢先方が言語化できていない潜在的なものも含め、どのような課題を捉えるべきなのか、どのように解消するアルゴリズムを探るべきなのか、そしてどのような事業成長や工数削減に貢献すべきなのか。

こういったことを突き詰めて、クライアントとともに考えていくのが、一緒にプロジェクトを組むときに目指す価値提供です。

PKSHAがSaaSプロダクトとソリューションの二刀流だからこその強みが、まさにここに集積している。

加えて、下沢氏が強調するのが、「プロダクトである意味」だ。単に事業を大きくしていくというのではなく、「社会実装を進める」という強い意志が、ここで再確認できる。

下沢金融や通信といった業界の企業は、必ずそれなりの規模のコンタクトセンターを持っています。我々が長年磨き込んでいるCommunication Tech領域のソリューションとプロダクトで、まだまだ効率化させたり進化させたりする余地があるんです。

でも、この業界だけで価値を創出していけばいいのかと言えば、そうではないはず。あまねく社会の隅々にまでAIの恩恵を行き渡らせたいので、ほかの業界や産業もスコープに入れていく。そういう動きを、私たちはしていくべきなんです。

極端な例で言えば、すでに大きなコンタクトセンターを持っている企業ではなく、これからコンタクトセンターを立ち上げなければならない創業期のスタートアップでも使えるようなものにすることが、プロダクトというかたちをとればできるわけです。ここまで進んで初めて、“社会実装”ができたと言えるんだと思うんです。

さすがにまだ長い道のりになる話ですが、常にこのことを忘れず意識して取り組まなければなりません。

二つのサービスラインを融合させることで、“社会実装”を絵空事ではないものにする。そんな最前線に、この二人は立っているわけなのである。

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学び合い続け、強いカルチャーとマネジメントで共進化を図る

プロダクトとソリューションの掛け合わせが完全オリジナルなサービスをつくり、クライアントを進化させている──。二人の話から、徐々にそんな構造が浮かび上がってきた。まさにPKSHAの掲げる「共進化」という概念を、最も如実に体現しているといえよう。

ところで、こうした共進化は、クライアントの社内でだけ生み出していくようなものではない。事業開発本部の中でも目まぐるしく起こるメンバー同士の“化学反応”を、紐解いていきたい。

下沢グループ全体で400人を超える企業規模になって、創業時のコンセプトを全員が同じように体現するのは、なかなか難しくなってきていると思います。だからこそ、この“スモール PKSHA”のチームでは、実現したい世界観やコンテクストを力強く持ち続けたいと思っています。

PKSHAが掲げる「共進化」は、組織のカルチャーでもある。メンバーが他のメンバーから気づきを得て学び、スキルや思考の幅を広げていくことが、日常風景になっているのだ。

小島会社が成長するためにどうしたらいいかということを全員が考えている会社って、そう多くはないと思うんです。

PKSHAでは一人ひとりが、企業として取り組もうとしていることを自分なりに解釈して、前のめりに仕事に取り組む姿勢は、全体的にありますね。あとは、おもしろいと思ったことを追求する文化があります。いいと思ったら誰の目を気にせずともやればいいし、興味がなければ無理にやる必要もない。変な忖度や損得勘定がない。

上場を経つつも、スタートアップとして成長に貪欲な姿。それを、一人ひとりが自然と体現しているというのはまさに特筆すべき特徴だろう。そんな力の源泉にあるのがおそらく、「面白がる力」だ。二人が話し続ける。

小島「面白いからやりなよ」と意思決定できるのは面白いところ。これがなくならないようにしたいですね。

下沢とにかくPKSHAはピュアな人が多いですね。仕事の話を、ものすごく楽しそうに話し続けています。

小島毎週月曜にある朝会で、メンバーが持ち回りで話すワークがあるんです。今週はあるエンジニアが発表したのですが、その内容に対して上野山が即座に反応したんですよね。その場でエンジニアと上野山のフリーディスカッションになったんです。

「面白い内容だな」と感じていたら、別のメンバーたちが社内用のSlackで反応して盛り上がっていました。なんと「この話を聞けるのって、福利厚生ですね」とまで言っていたんです(笑)。それぐらい、好奇心が旺盛で、学習意欲の高い人が多いですね。

そして実はあまり知られていないのが、こうした自由闊達さを支える「マネージャー層の優秀さ」だ。上野山氏もFastGrowのイベント登壇時に「あまり知られていないのですが、経営者クラスが多くジョインしてくれているのがうちの強みなんです」と明かしていた。小島氏もこの点について語る。

小島メンバー同士が、本当に自由に議論できる組織ですね。あまりにも自由なので、もうちょっと線引きしたほうがいいんじゃない?と感じることさえあります。

敢えて例えるなら、メンバー間は、小学生がサッカーしているような感覚ですね。面白そうなテーマや課題があると、みんなで一気にワーッと群がってあれこれと話し始めるんです(笑)。

そうなると、広いフィールド上に空いたスペースができてしまうのですが、そこを敏腕マネジメントレイヤーが、ゴールキーパーやディフェンダーとしてしっかり守ってくれています。だからこそ、メンバーが自由に振る舞い、得意な領域で価値を創出していけるのだと思います。

小島氏が思い浮かべる「ゴールキーパー」の1人となっているのが、グループ執行役員である前出の大野氏である。東大からBCG、Googleを経てジョインした大野氏の力強さを語りだすと、なかなか止まらない。

下沢企業で働くと、通常は配属された部署の人から順に仲良くなっていくことが多いですよね。ですが大野さんがいると、そうはなりません。

新たなプロジェクトのメンバーアサインを決める時に、他の部署から予想もしないメンバーを抜擢するんです。そのプロジェクトに能力やスキルが一番合っているメンバーを見抜いて、連れてくるんですね。他の企業に勤めていたらあまりない経験ではないかと思っています(笑)。

小島チーム単位で言うと、大野さんは組織上上司ではありますが、「自分にはない専門スキルを持っているメンバーにはとことん任せる」というスタンスですね。そして自身も専門スキルを活かしてプレイヤーとして振る舞う仕事もあり、一緒に仕事をしていて凄く勉強になります。一人ひとりがプロフェッショナルとして良い成果を出すために力を合わせるカルチャーがある。本気で任せられてるからこそ、自分自身もコミットメント高く仕事をすることができていると思います。

メンバー同士が学び合う共進化は、ピュアさや好奇心だけでなく、メンバー同士の組み合わせやマネジメント方法によっても無限に増幅される。そうした組織の可能性を最大限に引き出すマネージャー陣が、PKSHAには揃っているのだ。

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本来持つポテンシャルを、これから解き放つフェーズに

AI SaaS事業を一気に加速させていくべく、メンバーの共進化を実現する組織体制を整えつつあるのが、PKSHAの現在地だ。採用も改めて加速し、レバレッジを強く効かせてさらなる事業成長を生み出そうとしている。

このフェーズにおいて、さらに熱中を極めるこの二人が、特にどのような点を魅力的に感じて日々働いているのだろうか。そんな背景を、最後に聞きたい。

2023年9月期第1四半期決算説明資料。プロダクト中心のPhase2.0へ移行(PKSHA提供)

小島SaaSプロダクトで重要なのは、きちんとお客様からいただいた価格以上の価値を提供しているか、そしてその提供価値をいかに大きくできるかだと思っています。

そういった意味で、この新規事業チームでは、ソリューションとの連携によって、全く新しい価値を生み出し続けられるので、ものすごく面白いですね。

下沢共通課題に対して汎用化され、クイックかつ効率的に解決するプロダクトと、個別の課題にカスタマイズして最適な解決策を導き出すソリューションは、それぞれ価値提供のアプローチ方法に違いがあります。お互いに強みがあるので、それらの良いところを組み合わせて今までにないものを作っていきたいですね。企業全体で持っているポテンシャルは、まだまだ大きくあると我々は考えています。

だから、ソリューションとプロダクトの連携を生み出す私たちの役割は、今後の事業成長に、最も貢献できる場なのではないか、と自分の中では思っています。

二人の根底にあるのも、やはり共進化の概念だ。違うものと違うものを掛け合わせて、新しい事業をつくる──。ここに、ビジネスにおける新規事業開発のエッセンスが詰まっている。

こうした取り組み方やマインドは、決して、いち企業に留まるものではない。新規事業開発に携わるあらゆるベンチャーパーソンの欲している普遍的な答えが、ここにはあるのではないだろうか。AI SaaS事業が今後どのような進化を遂げるか、目が離せない。

こちらの記事は2023年04月21日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

齊藤 彩

写真

藤田 慎一郎

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