「沈みゆくタイタニックから下船せよ」──Reapra Japan・SEPTA鼎談から見えた、アンラーンすべき組織づくりの常識
Sponsored「優秀な人材が採用できない…」「組織づくりに課題がある…」そんな悩みを抱える経営者やマネジメントレイヤーの声は後を絶たない。今回のテーマは、そんな読者の悩みに示唆を与える内容となるだろう。
現代は、未来予測が困難なVUCAの時代と言われている。疾病や災害、世界同時株安、テクノロジーの急激な進歩と、我々のライフスタイルや価値観を覆す社会変化が次々と起きているのだ。こうした時代背景のなか、明確に変貌を遂げているものの一つとして、キャリア観、組織のあり方といったものが挙げられる。
ある者は独立起業やフリーランスへ、またある者は副業や兼業を推進、そして組織側もリモートワークを導入するなど、読者の身近にも変化が起きている。総じて、“個”として生きていくムードが高まってきているのだ。事実、上に挙げたような変化を肌感覚で捉えている者は、既に組織に依存せず、個としての動きを取り始めている。
こうした時代の変化において、企業はどのような前提をもとに組織づくりを行っていくべきなのか──。本記事ではこの点を解き明かしていく。
お相手は、“ハイ・シナジーコミュニティ”なる次世代組織の創造をミッションに掲げる、SEPTA代表の山口氏。そして、同社に投資をしており、エス・エム・エス創業者の諸藤氏が率いるReapra Japanの山田 晃義氏、柳沢 美竣氏もゲストにお招きした。
組織づくりを行うものすべてに贈る、“シン・組織論”。しかと刮目せよ。
- TEXT BY MISATO HAYASAKA
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
組織と個の概念をアップデートし、“沈みゆくタイタニック”を下船せよ
まずは昨今の世の中において、組織のあり方がどのように移り変わってきたのか、時代背景を踏まえて整理していこう。Reapra Japanの柳沢氏は、近年、徐々に変化してきている組織と個の関係について口にした。
柳沢約20年前まで日本は、“1億総中流”や“ピラミッド型組織”といった言葉に示される通り、個人が組織に所属し、組織が個人の面倒を見るというスタイルが一般的でした。そしてその背景には、過去の高度経済成長やバブル経済があります。
誰しもが組織、具体的には民間企業に入ればどんどん稼いでいけるという時代があったんです。しかし、既にお分かりの通り、そんな時代はとっくに終わりを告げている…。今の日本の状況は、まるで“沈みゆくタイタニック”のようだと私は思っています。
柳沢昨今はVUCAの時代と称されるように、我々を取り巻く環境は加速度的に変化しています。皆さんもご存じ、新型コロナウイルス感染症を代表とする疫病や、国内外で頻発する災害、その他にもウクライナ・ロシアを発端とする国際紛争、世界的に加速するインフレーションなど......。こうした、たった一つでも経済を崩壊させかねない出来事が同時に発生し、世界的な経済の混乱を招いています。それに伴い、我が国日本では日銀の金融政策も相まって、24年ぶりの円安水準、一部ではスタグフレーションに陥るのでは、という懸念も示唆されていますよね。
このような状況下において、柔軟かつスピーディに対応できなかった日本経済および社会は、今後世界の中でその競争力を急速に失っていく可能性があります。
世界的に不安定な情勢が広まる中、その影響は人々の働き方にまでおよんでいる。今回のテーマである“組織のあり方”という観点で見れば、「“個人が企業に所属する”という概念すらもアップデートする必要がある」というのが柳沢氏の考えだ。
柳沢これは多くの方が認識されているかと思いますが、昨今の組織においては、もはやこれまでのように“人を採用して賃金を支払いさえすれば、いつまでも働き続けてくれる”といった状態ではなくなってきています。
特に、採用に従事されている方でしたらご理解いただいているかと思いますが、人を組織に所属・定着させることのハードルがどんどん高まっていますよね。なぜなら、転職や副業・兼業といった働く上での選択肢が増え、同時に、個々人のライフスタイルにおける価値観も多様化しているためです。
だからこそ、これからの時代は“組織のミッション”と“個人のWILL”をどのように重ね合わせていくかを考えなくてはならないんです。
これまでのようなスタイルでは人を組織に定着させることができなくなる。しかし、「人間には誰かと“繋がりたい”という根源的な欲求も存在している」と、Reapra Japanの山田氏が重ねた。
山田従来型の組織依存からの脱却。例えば、インターネット技術や資金調達環境の発展により、起業のハードル自体は年々下がっているように感じます。また、フリーランスという働き方が市民権を得るようになり、“組織に所属する必然性”は徐々に小さくなっています。
ただ、それでも「誰かと、何かと繋がってたい」という人間としての欲求は残り続けると考えています。あくまで、その手段が変わるという具合にです。ではその手段とは何か、それが“所属の在り方”です。つまり、“一人一箇所ずつ、固定的に組織に所属するといった従来のスタイル”から、今後は“各自の目的に応じて、所属する組織の数や所属期間などが流動的に変化するスタイル”に変わっていくと考えているんです。
20年前までの日本では経済成長に支えられ、“個人が組織に所属し、組織が個人の面倒を見る”というスタイルが通例であった。しかし、マクロ経済環境の変化、キャリアの多様化という二つの要因が、個人の所属のあり方を大きく変えたのだ。
結果、現代では“組織に所属する必然性”が小さくなり、企業と個人の結びつきが弱まった。今後は、より柔軟でフラットな在り方が重視されるようになったのだ。一方で、どこまで行っても“繋がり”を求める人間の欲求は変わらない。であれば、必然的に求められるのが新たなパラダイムであろう。
そしてここで今注目されている考え方こそ、SEPTAが掲げる“ハイ・シナジーコミュニティ”というわけだ。
まるでアメーバ!?
日本の生産性向上にも寄与する流動型組織
「“ハイ・シナジーコミュニティ”とは何だ?そんなもの聞いたことがない」というのが大半の読者の反応だろう。まずはその定義について触れていく。“ハイ・シナジー”という言葉自体は学術的に存在するのだが、その意味を字面だけで理解することはやや難しい。まずは聞き馴染みのある、“シナジー”の定義からおさらいしよう。
アメリカの文化人類学者・ルース・ベネディクトによれば、“シナジー”とは主に、“個人や組織の利己主義が他人や社会の利益に繋がり、また、他者を助けようとする利他主義が個人や組織に利益をもたらす状況”とされている。もう少し平易に言えば、“自分のために頑張っていれば、それが自然と他人のためになる。また、他人のために頑張っていれば、それが自然と自分のためにもなる状態”というわけだ。このシナジーの度合いが高ければ“ハイ・シナジー”、低ければ“ロー・シナジー”ということになる。
この概念に“コミュニティ”を付け加えたのがSEPTA代表・山口氏というわけだ。つまり、“ハイ・シナジーコミュニティ”とは、そうした営みの親和性がより高い状態の組織を指す。(詳細は前回の記事にて解説しているため、ぜひ一度ご参照願いたい。)
一方で、この概念を提唱する山口氏自身も「“ハイ・シナジーコミュニティ”という概念には、解釈としての幅や伸び代がある」とのこと。そう、まさに柔軟かつ動的な時代に即した言葉として、その捉え方にすら発展の余地があるのだ。そこで今回、Reapra Japanの山田氏と柳沢氏の両者にも、それぞれが考える“ハイ・シナジーコミュニティ”の解釈を聞いてみた。
山田僕は“ハイ・シナジーコミュニティ”とは、例えるなら“アメーバのようなもの”だと捉えています。つまり、くっついたり離れたりできる有機的なコミュニティを指します。一度入ったら固定的に所属するというわけではなく、柔軟に離れていくことも可能で、なおかつ同時に複数所属することもできる。さらに、それぞれのコミュニティ同士を繋ぎ、新しいコミュニティにアップデートすることもできる。そんな流動的なコミュニティをイメージしています。
柳沢個人・組織双方がハッピーになれるものですよね。組織が掲げるミッション実現に向けて、所属する個人が犠牲を払ってまで追求するという前近代的なものではありません。個人が人生において成し遂げたいことを追求していく時に、その営みが所属する組織を良くしていく。さらには、組織が成し遂げたいことを追求した時に、個人の人生をを良くしていく。まさしくシナジーの創出を核に据えた概念だと捉えています。
さらにその結果、個人・組織のみならず社会全体にとっても大きなメリットがあるというのが、“ハイ・シナジーコミュニティ”の真髄なのだという。
柳沢これまで“組織”の代表格であった“企業”はピラミッド型組織を採用していたため、「意思決定が遅く、かつその方向性も一定となり凝り固まってしまう」といった伸び代を抱えていました。対して、“ハイ・シナジーコミュニティ”ではその柔軟さを活かし、よりスピーディに、前例に囚われずに意思決定ができるようになります。
また、この概念を取り入れている組織であれば、組織と個人の目的達成がアラインしている状態のため、個人は自分の意思に沿って仕事に取り組むようになります。例えば、誰に言われるでもなく自らの能力研鑽に積極的になるなど。
つまり“ハイ・シナジーコミュニティ”が社会に普及すると、生産性の向上という、今日本が抱えている課題すらも解決し得るということなのです。
なるほど、各々その解釈に若干の幅はあれど、山田氏、柳沢氏両者の捉え方には総じて共通する箇所が存在している。それは、“目的に応じて柔軟に形を変えること”、“個人と組織の利得が同時に最大化されること”、そして“社会にとって良い影響を与えること”の三つだろう。
これらは興味深いことに、前回の記事にて山口氏が「“ハイ・シナジーコミュニティ”の実現に欠かせない三つの軸」として示した下記の要素とほとんどリンクしている。
- お互いにとってプラスになること
- 社会性が含まれること
- 流動性が高いこと
どうだろう。曖昧、いや聞いたことすらなかった“ハイ・シナジーコミュニティ”の輪郭が、徐々に確かなものとなってきたのではなかろうか。
こうも理想的なコミュニティであるならば、ぜひ早々に実現してほしい。そう取材陣が願った矢先、Reapra Japanの二人からは意外なコメントが発せられた。それは、"100年以上続く"ような持続可能な事業を創って欲しいという投資家としての願いから発せられた下記の言葉だ。
山田僕らはSEPTAおよび山口さんに対し、「“ハイ・シナジーコミュニティ”を一刻も早く世の中に普及させてください」とは全く思っていません。期待していることは「経営者としての器を広げながら、自分の内面に目を向けて成長しながら、着実にマーケットを構築していってほしい」ということ。
Reapra Japanは、社会を根底から変えるほどのインパクトが見込めて、かつ何十年と長期に渡って継続的に成長し続けることができるような領域に投資するポリシーを持っています。魅力的な起業家と共に学習し、その過程で僕らも成長していきたいんです。
柳沢そうですね。私たちは投資先に対し、「短期でIPOしてほしい」という意向は持っていないんです。むしろ、「起業家と共に我々も投資家として成長し、世代を跨いで仲間を増やしていきたい」、そう考えていますね。
Reapra Japanは自らを“ベンチャー・ビルダー”と称している。“研究と実践を通じて、産業を創出し、社会に貢献する”というミッションを掲げ、長期持続的に結実していくであろう事業に伴走していく。そんな中、SEPTAの事業は長期目線で、世代を超えて社会変革を起こすことができる事業である──。Reapra Japanの目にはそう映ったのだ。
“100年続く事業”とReapraが捉えた理由は、山口氏の生い立ちに
ではなぜReapra Japanは、SEPTAこそが“100年続く事業”を創出できる企業だという考えに至ったのか。まずは代表の山口氏と投資家二人の出会いから振り返っていく。山口氏がもともとSEPTA創業前に一度起業を経験しているのは前回の記事でも触れた通り。その時の共同創業メンバーにReapra Japanの元社員が名を連ねていたことから、今のSPETAとReapra Japanの縁が生まれた。
山田弊社の元社員が山口さんと繋がっていたということで、山口さんがSEPTAを創業する時に対話する機会を得たんです。その時が、“ハイ・シナジーコミュニティ”という概念に初めて触れた瞬間でした。
最初はこの概念と、それが生まれた背景にある経済環境や価値観の変化とを結びつけることができず、“ハイ・シナジーコミュニティ”とは完全に山口さん独自の価値観から生まれたものだと思っていたんです。なので、その発想に驚くと共に、「分からないからこそ、理解を深めたい」と思ったのが第一印象でした。
柳沢私も、山口さんがドキュメントに記したSEPTAの事業計画や“ハイ・シナジーコミュニティ”について目を通した時のことを今でもよく覚えています。そこには、自身の生い立ちと、どのような社会を創りたいのかが事細かに書かれていました。
彼のライフストーリーに紐づいて、「自分ならこのミッションを実現できる」とピュアに記されていたんです。それを読んで素直にワクワクしましたね。山口さんが言うような“ハイ・シナジーコミュニティ”が求められる時代が、本当に来るんだろうなと感じたんです。
山口氏は、幼少期から世の中に対し反骨心を抱いていた。学生時代の留年、一度目の起業など、試練や苦労も何度となく経験してきた。そんな山口氏の人生から紡ぎ出された問題意識が、“ハイ・シナジーコミュニティ”だったのだ。
柳沢“ハイ・シナジーコミュニティ”は、山口さんが「一発当てて儲けたい」といったエゴから創出されたものではありません。本当にそれを社会に広めたいということが、彼の生い立ちから十分に伝わってくるんです。
なぜ、ここまで“生い立ち”が話題になるかというと、Reapra Japanならではのカルチャーが関係している。というのも、Reapra Japanは出資検討先の起業家に対して、生い立ちや過去の体験を深掘りするプログラムを提供しているのである。その意図は、投資家として投資判断するに当たり、起業家のパーソナルな価値観や思考特性を見抜きたいというものだ。
山口これはReapra Japanさん“あるある”なのですが、自己紹介では二親等の範囲まで、つまり、おじいちゃんやおばあちゃん世代の紹介からスタートするんですよ。そんなこと、滅多にないですよね?(笑)。
このエピソードを聞いた取材陣は、先の山口氏の取材を思い出した。その取材では、冒頭に山口氏に対して自己紹介を依頼。すると彼の口から出た話は、幼稚園時代から始まり、家族構成、子ども時代に持っていた価値観まで、ライフストーリー全般というこれまた稀有な内容だったのだ。自身の生い立ちから生まれた価値観と、SEPTAが掲げるミッション。相互に強い結びつきがあることを山口氏本人も自覚していたからこその開示であろう。
そんな山口氏ならば、長期に渡って本気で社会を変えていける。なぜなら、その生い立ちからミッション実現に対する必然性を感じると共に、さらに時代の流れも味方につけているからだ。これらが、Reapra JapanがSEPTAに投資を決めた理由だった。
初手は企業とコンサルタントのマッチング。
ハイ・シナジーコミュニティ実現の第一歩
では、具体的に何をどうすれば“ハイ・シナジーコミュニティ”が社会全体に広まっていくのか?長期的に大きな変化を目指すということだが、まずは着実に一歩ずつアクションを積み重ねていかなければ、その未来はやってこない。
柳沢山口さんも理解している通り、“ハイ・シナジーコミュニティ”が広まっていくためには前提となる変数が多く、一朝一夕でつくられるものではありません。
例えば、取引する企業のカルチャーや人、社会情勢、法規制、バリューチェーンにおける一人ひとりの心理的状況さえも変数になり得ます。ミクロでもマクロでも、たくさんの変数があって、それを一つずつ変えていかないと新しい社会をつくるのは難しい。
確かに、SEPTAが目指すのは特定のターゲットに向けた課題解決ではない。社会全体を変えるチャレンジだと言ってもよいだろう。その上で、最初の一歩としてどのようなステップを思い描いているのだろうか。
柳沢最初は、企業を中心に組織の在り方から変えていくと思います。そこでいきなり大企業から変えていくことは容易ではないので、まずはスタートアップをはじめとしたイノベーターやアーリーアダプターと呼ばれる組織から徐々に変えていければと考えています。
柳沢イメージとしては、小さな成功事例の積み重ねが種火となり、徐々に世の中全体に広がっていくような具合です。そしていつしか、デジタル庁が積極的にスタートアップの人間の知見を借りたように。また、大企業の新規事業部がイノベーションの文脈で起業家からアドバイスを貰うように、公的機関や大企業とSEPTAとの連携を強めていく。そのように浸透させていきたいですね。
「大まかなストーリーは理解できたが、具体的にSEPTAは何をするんだ?」。そう感じる読者も多いだろう。SEPTAは、この“ハイ・シナジーコミュニティ”を世に広めるべく、『CoProJect』なる事業を展開している。この事業は、フリーランスのコンサルタントと、プロフェッショナル人材を求める企業のマッチングプラットフォームである。DXや基幹システム関連、M&A後の経営統合などのプロジェクトに対して、『CoProJect』に登録するプロフェッショナル人材がアサインされるというモデル。
足元の具体的な売上を見ると、創業初年度は約6,000万円、現在は3億円、来期は7億5千万円を狙える見込みだ。今期から来期に向けて約3倍近い伸びを見せる、急成長事業である。
そんなSEPTAは、“ハイ・シナジーコミュニティ”の社会普及を目指しているからこそ、『CoProJect』におけるクライアント選定は慎重に行っている。
山口“ハイ・シナジーコミュニティ”では組織と個のWILLが両方実現されることが大事だとお伝えしました。なのでこの事業には、フリーランス・コンサルタントの自己実現という文脈も強く織り交ぜられています。そのため、現在のクライアントは「自社のプロジェクトに参画いただくコンサルタントの成長にも寄与したい」とおっしゃってくださる方々が多いです。
相手を選ばず契約社数を増やせば事業の数字自体は伸びますが、SEPTAが掲げるミッションに共感いただけない場合はご一緒する意味がありません。「立ち上げ間もないスタートアップが取引相手を選んでいる場合ではない」との声も聞こえてきそうですが、我々にとっては既にここから“ハイ・シナジーコミュニティ”実現の第一歩が始まっているんです。
山口氏は笑みを浮かべながら、「今はまだ、目指すゴールに対して0.01%ほどの進捗」だと話す。何年後、何十年後に実現できるのかは、今のところ断言できない。これに対して読者は「途方もない」と感じただろうか。それとも、「壮大だ」とワクワクしただろうか。あなたが後者の人間であるならば、ぜひ最後にSEPTAの展望を聞いてもらいたい。
“青春”はつくれる。
キャリアの価値観・組織のあり方を再定義しよう
スタートアップは一般的に、スピーディにミッションを実現することが求められる。競合、ランウェイ、マーケットタイミング、投資家からのIPOの期待など、時間との闘いを強いられる場面が多いからである。それと比較すると、じっくりと時間をかけて社会変革を目指すSEPTAのミッションは、少々じれったく映るかもしれない。何十年単位と長期に渡って大きなミッションを追い続けることの妙味とは、一体何だろうか。
柳沢何より、10年〜20年に渡って“青春”を味わえることだと思います。一般的に多くのスタートアップは、もちろん全てではありませんが、“瞬間的な青春”を追い求める傾向があるように思います。ある領域において特定の課題を持ったターゲットに絞り、プロダクトを展開。その中で、資金調達も織り交ぜながら勢いよく駆け抜けるといった具合にです。
一方で、SEPTAはその青春の期間が長いところが特徴です。キャリアの価値観、組織のあり方を変えるという重厚長大なテーマは、まさしく社会を変えることと同義。そんなダイナミックなチャレンジができるところが、このミッションを追いかけることの魅力ではないでしょうか。
SEPTAは働く人々のパラダイムを根底から変えるチャレンジをしている。当たり前だが、そう簡単に成し遂げられるはずはない。そんな壮大なミッションに挑むからこそ、“青春”を味わえる期間が長いのだという。
しかし、長期間にわたるミッション実現への道のりとはいえ、何も「スローペースで進んでいこう」というつもりは毛頭ない。山口氏によると、二ヶ月に一回ほどのペースで組織形態や事業形態がアップデートされているとのこと。マクロで見れば長く時間を要する道のりであるものの、ミクロでみればその渦中はスピード感に溢れる環境が今のSEPTAにはあるそうだ。
また、長期戦だからこそ重要となるのが、起業家と投資家の相性。その点、SEPTAとReapra Japanはその出会いから縁があり、事業に向けるスタンスも抜群の相性を誇っている。
山口SEPTAのメンバーから言われたことがあるんですが、自分は“人参をぶら下げられた馬"みたいなところがありまして(笑)。どうしても目の前の出来事にフォーカスしてしまって、短期視点に陥ってしまう癖があります。そんな時にReapra Japanの方々からは、「それは今、SEPTAとして注力しなくて良いイシューなのでは?」と異なる視点からの意見をいただけるので、バランスの取れた経営ができており、助かっています。
短期視点でパワフルに動ける起業家と、長期視点のアドバイスを欠かさないVC。まさに阿吽の呼吸が取れる関係と言えよう。そんなSEPTAが今後ますますミッション実現を加速させていくには、どのような人材を仲間にしていく必要があるのだろう。
山田今回の話に何度も出てきている“柔軟”というキーワードは外せないでしょうね。「何か一つの技能を極めたい」「このポジションでキャリアを築きたい」という固定的なこだわりを持った方には合わないかもしれません。なぜならSEPTAはまだ人が十分に揃っているフェーズではないので、その時々の課題に応じて柔軟に役割を変え、そこに対して喜びを感じられる方がマッチすると思うからです。
柳沢現在は、『CoProJect』で地盤をつくりながら、事業・組織の拡大を目指しているところです。フリーランスという領域だけに注目しても、まだまだポテンシャルに満ち溢れています。“ハイ・シナジーコミュニティ”をミッションに据えると、その解釈の広さゆえに事業チャンスも青天井に広がっていくんです。それはつまり、参画する者にとっては事業を創るチャンスも豊富に得られるということですよね。ぜひ、SEPTAで共に面白い事業を創り、面白い社会を創っていきましょう。
あらためてお伝えしよう。SEPTAのミッションは、壮大だ。だからこそ、10年〜20年という長い期間“青春”を味わうことができる。数年スパンといった短期目線ではなく、人生を懸けて心を燃やしたいという方は、同社を次なる青春対象として捉えてみてはいかがだろうか。
今回の取材は、これから組織をつくる者、組織構築の壁に挑んでいる者、すべからくインプットしておきたい内容だったのではないだろうか。組織と個の繋がりは、より柔軟に。双方のWILLを重ね合わせて、最大限のエネルギーを生み出していく。それが、これからの時代のニュー・スタンダードになるはずだ。
今こそ、脳内のソフトウェアをアップデートして、“沈みゆくタイタニック”から抜け出そうじゃないか。
こちらの記事は2022年09月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
スタートアップ人事/広報を経て、フリーランスライターへ。ビジネス系のインタビュー記事や複数企業の採用広報業務に携わる。原稿に対する感想として多いのは、「文章があったかい」。インタビュイーの心の奥底にある情熱、やさしさを丁寧に表現することを心がけている。旅人の一面もあり、沖縄・タイ・スペインなど国内外を転々とする生活を送る。
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。
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