「TAM」について、結局事業立ち上げ時には何を考え、どのくらい先まで計算しておく必要があるのでしょうか?
Twitterで「TAM」の議論を多く見ますが、結局事業立ち上げ時には何を考え、どのくらい先まで計算しておく必要があるのでしょうか?
5件の回答
事業立ち上げ時にはTAMの計算に時間をかける必要はないかと思います。そもそもTAMがそれなりの精度で計算できることは少ないですし、TAMの計算が正確だった/間違っていたから、事業が成功/失敗することはないと思います。
ただ、TAMを構成する要素として、どれくらいのユーザーがいて(=誰がユーザーになって)、その人たちのペインポイントはどれだけ深いのか(=「お金の払いやすさ(Willingness to pay)」はどの程度あるのか)、は考えるべきかなと思います。ただこれはそもそもPMFがありえるかどうか、と同じ思考だと思います。
(そんな感じのことをこちらのnoteに書いてますので良ければお読みください!)
コインチェック和田さんのこの記事が好きです。
https://note.com/wadako/n/n5c7cc1bd9e57
一方で和田さんも触れていますが、記事における「事業の拡張性」が低い事業にトライしてしまったが故に起業家自身の描くサイズの事業規模にならず苦しんでいるケースも散見されるので、当然に一つのファクターとして考慮はするべきだと考えています。
シード期においては、TAMや中長期の構想は考えなくて良いです。なぜなら、まずは戦うドメインと顧客の課題を特定することが何よりも大事だから。そもそもTAMや市場規模などは、ドメインが決まってしまえば勝手に決まりますし、数字周りは投資家が詳しいので、シード段階では起業家がそこに時間を使う必要性はあまり感じません。
TAMもそうですが、マーケットというのはビジネスニーズがあった上で、そのソリューションに対してお金を払う人たちで成り立っています。つまり、課題が深ければ深いほど、ビジネスとして成立する可能性が高まるので、シード期においては何よりも課題の深さと、その課題に対する解像度の高さを追い求めることが重要だと思います。中長期の構想も同じですが、まずはビジネスの歯車が回り始めないことにはスタートラインにも立てないので、最初の弾み車となる一押しに集中する方が良いと思います。
マーケットサイズに関する数字の議論を起業家や投資家が細かくするのは、あまり意味がないと思っています。具体的な市場規模や成長率は、コンサルティングファームをはじめ大手の研究機関がレポートを出しているので、複数レポート目を通して参考にすれば良いです。
ただ、それらの数字は「そのスタートアップが存在していない世界」での予測数値。重要なのは、自分たちがつくるプロダクト・サービスで、どれだけその予測数値を伸ばすことができるかということだと思います。
僕の場合は、その時点のTAMで1,000億円あるかどうかを見ていますが、これは他の投資家の方からするとすごく小さいかもしれません。でも現時点で小さいのは問題ではなくて、大事にしているのはその後の成長率です。マーケット自体が成長するのかという点と、自分たちが存在していることでどれだけ底上げできるのかという点は、立ち上げ時から考えていると良いかなと思います。
今までに無い価値を創造しようとしているので、市場データが無いのは当然です。 しかし、だからといって市場性について考えなくていいかというと、そうではないと思います。
- 自分たちが解決しようとしている課題を、同様に課題として感じている人はどの程度存在するのか
- 今までその課題が解決されずにいる理由はなにか
- 対象とするユーザーやクライアントは、現状何にお金を使っているのか(取るべき財布はどこか)
- 対象とする市場と類似の構造の近接領域、市場はどこか
- 熱狂して使ってくれているユーザーは何に熱狂しているのか
等々を考えておいてくださると議論をしやすいかと思います。