不況?チャンス?そんなことより、SaaSもイチロー流で、コツコツだ──ALL STAR SAAS FUND前田ヒロとMicoworksCTO久森達郎が達した結論
Sponsored景気が不安定な折、SaaS業界は今後どうなっていくのだろう。どうすべきなのだろう。SaaS情勢とSaaSの未来について調査すべく、国内スタートアップを代表するCTO人材である久森達郎氏。そして、SaaSスタートアップに関して幅広い知見を持つ前田ヒロ氏をお呼びし、持論を戦わせてもらった。
意外にも、SaaSが取り組むべきことはたったひとつであるとの共通認識にたどり着いた。それは、「小さな成果を確実に積み重ねること」だ。
いかにしてこのシンプルな認識に至ったのか。FastGrowを読むスタートアップパーソンには、ぜひ、この軌跡をたどり、自身の心に焼き付けてほしい。そしてこれからを愚直に歩んでいってほしい──。
- TEXT BY REI ICHINOSE
米国のインフレにより勢いが陰ってしまった海外SaaS。一方、強い追い風が吹くとも言える国内SaaS
まずはSaaS業界の現状から聞いた。
前田インフレが進んだことでFRBが金利を引き上げ、SaaS企業への市場の評価は下がっています。これはSaaS株だけの話ではなくて、MetaやAmazonなどTech株全体で同様の傾向があります。
久森おっしゃるとおりですね。金利が上がったことで、株安が進んでいます。米国のTech株で株価が大きく下がっていない銘柄を探すほうが難しい状況ではないでしょうか。
前田そうですね。金利が高くなれば高くなるほど、短期的にフリーキャッシュフローが期待できる企業が注目されます。サブスクリプション型のように安定してキャッシュを生むビジネスモデルを採るSaaSはむしろ評価されるはず。SalesforceやZoomはフリーキャッシュフローを20%以上出しています。
久森SaaS企業側の立場としては、「比較的長いランウェイを確保できそうなキャッシュの状況になっている」のであれば、市況の変化に左右される必要があまりないと言えます。逆に、ランウェイが短くなりそうなら、マーケティングなどへの投資を減らして、フリーキャッシュフローを増やすことに注力すべきなのかもしれません。
前田そのとおりですね。
ビジネスモデルによって明暗が別れることとなった海外のSaaS業界。アメリカの高金利を受けたシビアな現状はいつまで続くのだろうか──。
前田全体的に評価が下がっているものの、あくまでも2021年後半のピーク時に比べて評価が落ちているというだけとも言えます。SaaS創生期の10~20年前よりは適正値に近いと私は考えていて、現状より少し回復したところに落ち着く気がしています。
また、2023年3月くらいには金融緩和があるはずという楽観的な見方もあれば、2023年内に金融緩和が起こることはないという悲観的な見方もあります。先行きが見えない状況なので、最悪なシナリオを想定して動くことが求められますね。
続いて、国内のSaaS情勢について、こう話す。
前田正直、日本国内では海外と比べて変化がありません。直近1年の売上や営業効率も変化がない。むしろ加速しているところもあります。
ただコロナ禍において、飲食業界は打撃を受け、医療業界は進捗するなど、業種業界によって感染拡大が与える影響の大きさに差がありました。今後も経済のパラダイムが変化したときに、SaaS企業はリアルタイムでその変化を把握する必要があります。時代の潮流に合わせて、営業戦略やプロダクト戦略は当然変えていかなければなりません。
久森そうですね。昨今の不況は新型コロナウイルスの感染拡大時とは異なる要因ですが、コロナ禍で得たパラダイム変容時の教訓は忘れてはいけませんね。
コロナ禍におけるSaaS情勢のトピックといえば、半ば強制的に進んだDXではないでしょうか。リモート商談がマストになったため、SaaSの導入に補助金が出るようにもなりました。最近でこそ少しずつオフラインに戻る流れが見られるようになりましたが、だからと言ってZoomを全面的にやめようという人がいるわけでもありません。SaaSにとってプラスの面もあったと感じています。
前田まさに仰るとおりですね。ここ数年は国内SaaSにとって追い風が強いままです。コロナ禍はオンラインで完結させることがマストになりました。そして今、オンラインとオフラインのハイブリッドが求められています。ニーズが複雑になりました。
これを受けて、SaaSはまた、在り方を変えなければなりません。ただ、Micoworksはこのハイブリッドな社会で生じる課題に対して直接的な解決策を持っていますよね。Micoworksの追い風は一層強くなっていると感じています。
また投資という観点でお話すると、ここ数年追加投資が積極的になってきました。これまで弊社は売上1億未満の会社への投資がほとんどなのですが、ARRが3億円を超えたタイミングや10億円を超えたタイミングでの増資が増えました。
これは国内SaaSへの自信の現れです。私たち自身も成長し、より大きな資金を投資できるようになりました。上場するSaaSも増え、SaaSのビジネスモデルの強さが認知されています。先程お話に出たコロナ禍の追い風もあり、SaaS導入のハードルが下がったように感じています。
市況がどうあれ、良いプロダクトを作るのみ。
「SaaSは人」
ここで、あらためてお二人を紹介する。まずはおなじみ前田ヒロ氏。BtoB SaaSに特化したVC、ALL STAR SAAS FUNDを設立する。言わずもがなSaaSについて日本国内では特に幅広い知見の持ち主だ。
そしてMicoworksのCTO久森達郎氏。ディー・エヌ・エー(DeNA)、フリークアウト、日本マイクロソフト等で開発、経営に参画した経験を持つ。開発からスケールしきるところまで数多くの経験から満を持してMicoworksのCTOに就任した。急成長中のSaaSスタートアップで、プロダクト開発組織をスケールさせていく責任を一手に担うことになったのだ。
SaaS情勢の現状と未来に関して、2人に聞かずして誰に聞くべきだろうか。議論はまだまだ続いた。
久森先程最悪のシナリオを想定して動くとおっしゃいましたがそのとおりだと思っています。SaaSのビジネスモデルは、基本的にMRRの伸びをウォッチし、ARRで評価されます。これは、SaaSの価値は株主ではなくユーザーに評価される、とも言い換えられます。ですからMicoworksが重視すべきことは市況に振り回されず、ユーザーにとってより良いプロダクトであり続けることです。
そしてCTOの立場でフリーキャッシュフローを増やそうと思った場合に、まずやるべきことは「コストの最適化」。でもそれは、市況に関わらず普段から行うべきことなんです。市況の悪化を受けてコスト削減を訴えはじめると、メンバーに不安を与えてしまう。できるだけ日々コストカットを訴えることが重要だと考えています。
前田素晴らしいですね。市況が変わってもやるべきことは変わらない。良いプロダクトを作って売上が定着できれば、しっかり成長し続けられます。できる限り成長してレバレッジできるものを増やしていくことが戦略的にも1番正しいです。もちろん利益率は大切ですね。
久森大切なことはレバレッジポイントを見失わないことですよね。SaaSはプロダクトでレバレッジをかけるからこそ意味があると思っています。
市況が変わってもやるべきことは変わらない。いつでもお客様のことを考えるべきだと両者は強く言い切った。
以前、ALL STAR SAAS FUNDを設立した経緯を伺った際、前田氏はSaaSの魅力を次のように述べた。
SaaSは、矛盾がなく美しいビジネスモデルである点が魅力的でした。売り切り型と違い、毎月の支払いを積み重ねていく形なので、お客さまの導入ハードルも低いですし、要らなくなったら手軽に解約できる。逆に提供側は、長く使ってほしいインセンティブが働くので、全力で高品質なサービスを提供せざるを得ません。この矛盾のなさが自分にとってカッチリとはまったんです。(2019年の前田ヒロ氏単独インタビューから引用)
両者ともこの「SaaSの美しさ」を確信し、心から疑っていない。国内に勢いよくSaaSが根付く昨今、ALL STAR SAAS FUNDが描くビジョンについても話した。
前田プロダクトを作るのも、サービスを提供するのも人です。なので、今1番強化しているのは「人に関わる 」支援ですね。優秀な人材を紹介したり、支援先のマネージャークラス以上のコーチングや組織づくりに関して経営陣へインプットの機会提供を実施します。部署ごとにマネージャー層向けのワークショップや1対1の面談を実施することもありますね。
久森実際にALL STAR SAAS FUNDさんがいてくださる強さを感じています。Micoworksを担当する方のハンズオンの熱量の高さを日々感じますね。業界を取り巻く事象を元にした様々な観点から情報やベストプラクティスをいただけるのでありがたいですね。
マネジメント層一同、そう感じていると思います。四半期ごとに行ってくださる組織サーベイも、分析内容を踏まえたフィードバックに繋げることができ、組織として健全であると感じられますね。
前田ありがとうございます。
久森先程おっしゃった「SaaSは人」というお話のとおり、ALL STAR SAAS FUNDさんがいる、いないに関わらず、各社健全性の追求に励むべきだと思いますね。しっかりとした支援をありがとうございます。
前田それだけMicoworksが好きなので(笑)。
私たちはSaaSにとって一番のパートナーでありたいと考えています。その上で、VCである以上資金はもちろんですが、組織力を高めることへのサポートは欠かせません。
話はMicoworksのプロダクト、『MicoCloud』へ移った。
前田広告を出稿やお客様へリーチなどが目的のSaaSは多数存在しています。この点、MicoCloudはリーチはもちろん、エンゲージメントやコンバージョンしたお客様のニーズも捉えることができます。言い換えると、どんなお客様がコンバージョンしてくれるのかというデータが豊富に蓄積されている、ということですね。
このデータはプロダクトや事業、経営における貴重な判断材料ですよね。
このようなマーケティングツールには、認知だけ、行動だけ、のように一部のファネルのみを対象にしたプロダクトが多いんです。『MicoCloud』はファネルの上から下までを捉えられる点も魅力だと考えています。
久森ありがとうございます。データに関してお話すると、実際、アーンドメディアが重要と思っていてもどのように活用してよいかわからない状態のお客様が多くいらっしゃいます。なのでその解決策にMicoCloudがあり、解決策の拡充にチャレンジしています。
公式サイトで、MicoCloudは「LINE公式アカウントを起点にCRMを構築しパーソナライズされたコミュニケーションでファン化を促進、企業の売上増加に貢献する」プロダクトだと紹介されている。
エンドユーザーの行動に合った情報配信機能やチャットボット機能、個別メッセージ機能があり、そのデータも残る。それだけでなく、各種カート等MAツールとの連携により社内のデータとも紐付けられる。見込み客以前のユーザーから購買に至ったユーザーまで含んだデータが一括して管理でき、それをLINEを使ってアウトプットできるのが『MicoCloud』の今の姿というわけだ。
Micoworksが担う守備範囲にどれほどの人員が割かれてきたことか。どれほどのユーザーがMicoCloudを待ち望んでいたことか。FastGrowの読者ならこのニーズの大きさにきっと共感いただけるだろう。
奇跡的な進化を受けて至ったエクステンションラウンド
Micoworksは2022年2月9日にはシリーズAで約12億円を調達し、同年9月30日のエクステンションラウンドでは約6億円を追加調達した。合計約18億円の調達だ。好調であることが十分に理解できる金額だ。
一般的に、エクステンションラウンドはより短い期間のうちに起きることが多い。これは「企業価値の抜本的な再評価が発生しないうちに」というような理由からだ。だが、Micoworksは期待以上の成長を実現することで、新展開をつくり出した。
前田あまりに成長が順調で、次のラウンドを前倒ししようかという話になっていたんです。でもそれなら、早めに追加で出資することも検討したいと考えていたところ、Micoworksとニーズが合いました。そのため半年ほど空きましたが、エクステンションラウンドという形で追加投資を行いました。
久森次のラウンドを早めに、というかたちでも良かったと聞いていますが、そうなるとしっかりと準備を進める必要があります。そこに割くパワーがあるなら会社の成長に集中したいという会社の意向もあり、ALL STAR SAAS FUNDさん・エイトローズベンチャーズさんとのタイミングも合い、エクステンションラウンドに至ったようですね。
前田営業やセールスなど、大幅に進捗していましたよね。私たちの支援先のなかでもトップクラスに入るような成長曲線を描いていると感じています。しかも、ただ数値が良いだけではありません。Micoworksは会社の進化率が素晴らしいと感じています。
事業成長だけでも十分に投資の理由になるはずだが、前田氏が敢えて指摘した「会社の進化率」。社内にいる久森氏も同調する。
前田久森さんがジョインされたのは初回の投資発表後ですよね?
久森そうです、2022年3月に入社しました。
前田そうですよね。2月の出資後、久森さんのようなご経験豊富な方が続々と採用されていったんです。目標の進捗はもちろんですが、プロダクトと人がどんどん進化して、未来が広がるさまも魅力的でした。会社としてのポテンシャルの高さを感じ、続けてサポートしたい気持ちにさせてもらいましたね。
エクステンションラウンドを実施するにあたって、お客様へのヒアリングやマーケットの調査などを行ったんですが、その結果も当然良くって。組織の進化率に惹かれました。久森さんも日々変化を感じていらっしゃるのではありませんか?
久森そうですね。CxOレイヤーを続々と採用できていることに、私もポテンシャルの高さを感じましたね。CTOほしいな、COOほしいな、と思っても通常の会社だと採用するまで長いと2〜3年はかかると思うんです。半年でこんなに揃えられた採用力には驚きます(CxO体制についてのプレスリリースはこちら)。
短期間でCxOレイヤーの採用・就任を続々と決めたMicoworks。これほどわかりやすい組織強化は、そうそうない。取材陣が驚いていると、プロダクト関連の組織文化においても進化があると久森氏が補足してくれた。
久森入社した際、「Micoworksは組織的な面でビハインドしている」という印象がありました。これは大きな課題であるものの、今の状態より未来の在り方が大切です。CTOとして、採用を強化するだけではなく、プロダクトの開発と一体で「組織文化を醸成する」ためのアクションを取っています。
組織文化って、今日取り組んだから明日効果がでるものではありません。徹底して頑張って頑張って頑張り抜いたら3年後くらいになんとなく形が見えるのが組織文化。組織文化を醸成するために投資をして採用活動をして、マネジメントを考えて、一つひとつコマを進めているところです。
前田そのとおりですね。
久森私はこれまでいろいろな開発を自ら担ってきたせいか、「仕事はできそうだけど、個人のパワープレイで解決する」ような、いわゆるブリリアントジャークだと思われてしまうような仕事の仕方をしたこともありました。なので、Micoworksでは組織文化を醸成するためにサポーティブな働きをするよう努めています。これまでのキャリアを踏まえた大企業の正義、のようなものは持ち込まず、「Micoworksにおける組織文化の醸成とは何か」から考えて動くよう意識していますね。
たとえば、朝CxOレイヤーが会社のバリューについて話す時間があるんですが、そこで過去の振る舞いや仕事の進め方で起こった失敗を踏まえて、組織文化を重視したいと思ったという話をしました。いつか社内で「カルチャーおじさん」と言われるまで頑張ります(笑)。
現状を踏まえて理想を見たときに生じるギャップをどうやって埋めていくのか。そのためのブレイクダウンはまだまだ行うべきだと思っています。理想を社内に押し付けるより、メンバーの理想を引き出して、メンバー自身の影響の大きさを感じてもらいたい。こんな組織文化を今から作れたら、300人、400人と人が増えてもコミュニケーションを大切にしやすいですよね。
前田さすがですね。入社時に組織面にビハインドを感じたとのことでしたが、当時から十分キャッチアップできる状態でしたよね。お互い助け合うことがイヤだとか、営業がエライだとか、そんな組織文化は根付いてなかった。むしろ助け合って物事を進めようという文化はもとから存在していた点も強みだと感じていました。
先程からSaaSは人だと話に出ていますが、本当に組織文化がそのままプロダクトや営業の仕方、CSの対応に出ると思っています。これがSaaSの面白いところですよね。正直、投資を検討する際、かなり組織文化を見ています。
Micoworks公式noteのなかで、久森氏はこう記している。
他にもオファーを頂いていた会社はありましたし、引き続き独立して仕事を続ける選択もあったのですが「本気で獲得したいと考えていることが伝わってくるオファーレター(文字通りの手紙)」を頂いたこともあり、Micoworksで仕事をすることに決めました。(こちらのnoteから引用)
Micoworksの組織文化の真髄はこの文章に詰まっているのではないだろうか。やはり、SaaSは「人」だ。
高いクオリティーにする為の近道は無い。
— 前田ヒロ ALL STAR SAAS FUND (@djtokyo) October 5, 2022
そしてクオリティー上げるには「人」のクオリティーから必ず始まる。
理想のCTOは「組織の成果を最大化するために動ける人」である
久森氏の言葉を借りるなら、一般的なCTOのイメージは「技術おじさん」といえるだろう。せっかくなので、理想のCTO像についても語り合ってもらった。
前田CTOの役割って、一つに絞られるものではないと思っているんですよね。カルチャーおじさんタイプもいれば、技術を極めたエバンジェリストタイプもいれば、オペレーション周りが強いタイプもいます。CTOだけど、経営状況を見極めて柔軟に働く必要があります。あとは経営者目線を持って、CTO自身に足りないところを補完してチーム全体で強くなる意識があることも欠かせません。
当たり前ですが、CTOの性格や強みはそれぞれ違います。どうすればアウトプットが最大化されるか、チームとして最高の状態になれるかを考える力がCTOにとって一番重要だと思います。
久森そうですね。私はCTOってその人のキャリアの掛け合わせだと思っているんです。
たとえば、創業メンバーのCTOだとプロダクトを隅々まで把握しているので、その後もプロダクトを作ったほうが良い。この場合はCTOなのにマネジメントは他の方が担当することになると思います。また、テクノロジーが弱いチームのCTOだと足りない点を補う必要があります。
CTO自身のタイプも、求められるCTO像も事業内容やフェーズによるところです。実際、Micoworksに入社する前にはいくつかの会社から「うちのCTOに」、とお声掛けいただきましたが、各社求めているものは違いました。
ヒロさんがおっしゃるように、組織全体を考えたときにどこがレバレッジポイントなのかを探ることがCTOには求められるのではないでしょうか。なので、私は他のメンバーが余計なことを気にせず、自身の能力を発揮することに注力できるようサポートしたいと思っています。
両者とも、「組織の成果を最大化するために動ける人」が理想だという。これを踏まえ、VCである前田氏がCTOである久森氏に期待することを聞いた。
前田従業員が増えていますが、今のうちから横の連携がしっかり取れるコミュニケーション文化を築いていっていただきたいです。よく言われる“300人の壁”を無事突破したいです。
とはいうものの、久森さんがジョインされて以降、組織の変化を実感しています。久森さん以外もレベルの高い方が続々と参画されている影響にも期待していますね。
SaaSが勝つためにはお客様のためにどれだけ早く高品質のものを作れるか、がカギです。プロダクトが悪いと、セールスが難しくなったり、CSの負担が増えたり、マーケティングの手法が変わったり。とにかくプロダクトが重要なんです。そのプロダクトを作るのは人です。引き続き、良い組織を作ってプロダクトを有意義なものにしていただけると嬉しいです。
久森恐れ入ります。
前田例えば久森さんがご経験されてきた中でDeNAやFreakOutって、エンジニア組織をスケールさせきった企業だと思います。久森さんはそれに伴ってプロダクトも売上もスケールさせて、組織もスケールさせていくところを経験された方です。
その良いところと悪いところを踏まえて、Micoworksに反映していただけると嬉しいです。久森さんしか見えていない世界をどんどんMicoworksに取り入れていただき、久森さんがご経験されてきた会社を超えるような会社を目指していきたいですね。
そんな期待高まる久森氏に今後の意気込みを聞くと、プロダクトの特性や魅力に関連付けた新たなチャレンジについて詳細に語ってくれた。前田氏も、合わせてさらなる期待を述べる。
久森お客様企業のマーケティング予算にはいろんな使い方があります。
久森紙媒体の広告やテレビCMなどペイドメディアへの出稿だったり、ブランドサイトやECサイトなどのオウンドメディアでの発信だったり。
最近ではアーンドメディアといわれるSNSを中心としたメディアの活用が盛り上がってきています。実際にアーンドメディアを活用した場合としなかった場合、前者のほうがCVRやLTVが伸びるという結果が出てきているためです。
なのでMicoworksはアーンドメディア領域でお客様に最大の成果をお返しすることを最優先に考え、お客様のLINE公式でのアウトプットに特化したプロダクトを選択して動いてきました。
これを踏まえ、今後はこれまで得たノウハウをInstagramやその他SNSへと展開します。世の中のメッセージツールに横展開するなかで、機能を付帯させます。それによってプロダクト自体を縦にも成長させる狙いです。
久森カバレージが上がっていくことで提案できる内容・業種が増える。それに伴ってカスタマーサクセスやセールスも伸長させていくことができます。
このためにまずは組織の基盤を作り、どんどんチャレンジしていくフェーズにいます。すべきこと、やりたいことはまだまだたくさんありますね。そして日本No.1、ひいてはアジアNo.1になるビジョンを持っています。
前田Micoworksは、愚直にプロダクトや組織を磨き、多様化するお客様のニーズに応えるパワーを蓄えています。もちろん、日本No.1になるために、新しい機能やプロダクトをどんどん生み出せる組織になる必要はあると思いますが、日本No.1に向けて着実に進んでいると感じますし、近い将来の達成を信じています。
そして、ぜひアジアNo.1になってほしい。そのためにはアジアの優秀な人材をどれだけ巻き込めるかがカギです。アジア向けにプロダクトのラインを変える必要が出てくるかもしれませんね。
となると、プロダクトだけでなく事業がどんどん複雑になります。この複雜性に対応できる組織を作ることができれば、アジアNo.1が見えてくると考えます。
久森イチローさんの言葉をお借りするなら、「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」。ご期待も大きいと思いますし、現状、私たちはチャンスに恵まれています。
アジアNo.1という大きい夢もありつつ、足元の現実にひとつひとつ向き合っていく。愚直に、ひたむきに日々組織文化を作っていく。これに尽きると思っています。
前田素晴らしいですね。ぜひ、日本から飛び出してほしいです。海外にチャレンジする国内のスタートアップはまだまだ少ない。応援しています。
「良いプロダクトを作るだけ」「日々のコストカット」「小さなことを積み重ねる」──。久森氏の発言は、一貫して慎ましいものだった。今のMicoworksをイチローさんの経歴になぞらえるなら、首位打者やゴールデングラブ賞など数々の賞を総なめにした入団3年目あたりだろうか。小さなことを積み重ねたMicoworksがメジャーで活躍する姿が目に浮かぶ。
こちらの記事は2022年11月29日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
いちのせ れい
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