定石を覆すSMBの攻略術「一社に深く入り込み、オンボーディングせよ?」──重厚長大、60兆円のマーケット。牙城を崩す一手を、クラフトバンクの若き事業家に聞く
Sponsored人は、誰もが建設業の恩恵を受けている。あなたが歩く道も、住む家も、名もなき職人が造ってくれたものだ。
そんな建設業界だが、働く場所として考えたときいわゆる3Kの仕事として、魅力的な職場ではないと思う人も少なくないかもしれない。
確かに、日本の建設業界には課題が山積みだ。IT化は驚くほど進んでおらず、未だに紙と電話とFAXが連絡手段の重要な地位を占める。また、多重請負構造による賃金格差など、現場で働く職人が正当な対価を得にくい、日本特有の課題もある。一方で、日本の職人の技術は世界トップレベルに高いのだ。
そんな建設業界に変化を起こそうとしているスタートアップがある。職人が正当に評価され、憧れの職業になることを目指すその会社こそ、今回紹介するクラフトバンク株式会社だ。
およそ58.4兆円の市場規模がありながら、あまりにも複雑な業界構造ゆえ、未だに最後のフロンティアともいわれる建設業界。その牙城に挑むクラフトバンクは一体どんな企業なのか、2回に分けて紐解いていく。
- TEXT BY HANAKO IKEDA
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
実は、レガシー産業の中でも最大の市場規模?
建設領域の知られざるポテンシャルとは
建設業界の日本国内での市場規模は、令和3年度の試算でなんと約58.4兆円。これは全業界の中でも自動車産業に次ぐ2位の市場規模を誇り、同じく“レガシー産業”として想起される「不動産」や「物流」、「医療」などと比べても大きい。市場規模の大きさは、そのままDXが介入できるビジネスポテンシャルの大きさと捉えることもできる。
そんなマーケットポテンシャルの大きさを誇る建設業界であるが、いまだにうまくDXが進んでいない理由が「業界のブラックボックス化が進みすぎている」ためであるという。
その実態を解き明かすべく、クラフトバンクにて若干27歳でCPOを務める武田 源生氏に、建設業界が抱える課題を聞いてみた。
武田まず、「多重請負構造」という大きな課題があります。発注元のゼネコンや建築事務所から実際に施工する工事会社までの間に、驚くほど多くの中間業者がいる。中間業者が介入することにより“中抜き”が発生するので、最終的に工事を行う職人さんの賃金水準は世界的に見ても低水準です。
でも、日本の職人技術は、実は世界的にもトップクラスなんです。良い仕事をしている職人さんが正当な対価を得られず、「都内一人親方の1/3は生活保護受給者以下の給与水準である」というデータまであるのが現状です。
建築業界の実情は、想像よりも遥かに厳しそうだ。しかし、そもそもなぜ多重請負構造ができてしまうのだろうか?
武田もちろん理由はいくつもありますが、一つは「会社の評価がデータベース化されていない」というのが大きいですね。
日本国内に約47万社あると言われている建設会社の多くが中小企業です。昔からある業界なので、伝統的なつながりで仕事を行う会社がほとんど。企業HPも作っていない、帝国データバンクにも載っていないことが多いです。
つまり、「きちんとした工事ができる職人か」を定量的に評価すること自体が難しく、また「発注会社も工事会社も知らない会社と出会う術がない」という状況が生まれています。
結果的に、「納期内に求めるレベルの工事をしてくれる会社」を探すためだけに膨大な手間がかかることになり、工事会社や発注元を紹介することなどで手数料を得る、ブローカーのような業者がどんどん増えていきます。信頼に対して多額のコストを支払わなければいけない状態です。
では、会社の評価をデータベース化すれば良いかというと、そんなに単純な話ではないという。そもそも「工事の早さと正確さ」を定量的に評価するのは困難を極めるためだ。
武田一つの工事を行うためには、多岐にわたる専門的な技術が必要なプロセスが多いため一般化がとても難しいという課題があります。例えば、「電気工事における防犯カメラの設置のうまさ」をどう定義するか?といった具合にです。
また、工事の完了までには、天候や地盤などケースバイケースで様々な要因が影響します。「掘ってみたらたまたま地盤が弱く、結果的に期間も費用も膨らんだ」みたいなことは日常茶飯事と言えます。
「この職人を手配したとき、その職人がちゃんと工事できるか」は、実に様々な要因に左右されてしまう。大量に分岐がある中で、どうやって客観的な評価に落とし込むのか?は非常に難しいです。
加えて、大手ゼネコン出身で現在はカスタマーサクセスを担当する前田 紘人氏は、“業界標準のルール”がないという課題も挙げる。
前田日本には大手ゼネコンと呼ばれる大手企業は数社存在しているものの、実は“明確なトップ企業”が不在なんです。それゆえ、「業界統一のルール」というものが存在しません。そのため、現場の業務やデータ管理が非効率なままになってしまっています。
例えば、元請け企業が変わると、現場ごとにルール、業務プロセス、情報管理の仕方などが全部変わってしまいます。元請け企業はいいかもしれませんが、下請けにいくほど各元請けのルールや管理を覚えて対応しなければなりません。
そのため「工事を完了してお金をもらう」ためにも膨大な事務作業が発生します。とりあえずその場その場で納品・請求という形になっており、どんな工事をどの会社に依頼したか、その月の売上と支払いがいくらなのか、社長ですら把握できていない、月末の銀行残高を見てなんとかお金の増減がわかる、というケースも多いんです。
しかも、建設現場で働く人のITリテラシーは決して高いとは言えません。IT業界であればSaaSに合わせて業務フローを変えていくことができますが、建設業界は高齢化によるITリテラシーの問題、現場ごとのルールの違いなど、複数の課題が組み合わさって現在に至っているので、デジタルによるアプローチも一筋縄ではいきません。
結果的に、広報や営業がうまい工事会社だけが成功する、よりレベルの高い工事を求めて愚直に技術を伸ばし、誠実に働いている職人さんが日の目を見ない状況ができてしまいます。
誠実に仕事をしている職人が報われてほしいと感じる一方、マクロ的な視点では、競争力のない下請け業者は淘汰されるべきという意見もあるのではないか?という、意見も聞こえてきそうなところ。これに対して、前田氏は率直な気持ちを取材陣の前で披露してくれた。
前田このままだと、もちろん淘汰される企業や職人も増えていくでしょう。でも、どれだけデジタル化が進んでも、住むところや道路は必要とされ続けます。建設業の市場自体は残り続けるんです。
それなら、いい仕事をしているのに営業力や経営力が足りないという理由で淘汰されてしまう会社が増える前に、クラフトバンクが間に入ってできることはまだまだあると考えています。
職人さんって、「会社を大きくしたい」とか「売上を上げたい」より、より丁寧な良い仕事をすることにこだわっている人が多いんです。僕はそれがすごくかっこいいと思うし、そういう職人さんのおかげで質の高い建造物や家ができるのは素晴らしいこと。営業力がなくても、職人力があればいい。そういう世界を目指していきたいです。
武田氏、前田氏ともにまだ20代でありながら、“重厚長大”なイメージのつきまとう建設業界の課題に対して、自身の洞察も加えつつ熱弁するその様に、取材陣はある種の勇ましさを覚えた。
散見する課題に対して、彼らが属するクラフトバンクという企業は一体どのようなアプローチで切り込んでいるのだろうか。
SMBでも一社に深く入り込んでオンボーディングする。
独自のプロダクト開発思想を武器に
建設業界の課題に挑む
建設業界の課題に、SaaSプロダクトで切り込むスタートアップといえば、クラウド型の建築・建設プロジェクト管理サービスを提供するANDPADや、現場の報告や記録作業を効率化するアプリを提供するSPIDERPLUSがすぐに想起されることだろう。
一方、クラフトバンクは主力事業であるSaaSプロダクトの他にも発注会社と工事会社のマッチング事業や、建設会社のDXコンサル事業なども展開。中でもSaaS事業に関しては、他の建設系SaaSプロダクトと比較しても開発思想という観点でユニークなスタンスをとっている。いよいよ、事業内容とその狙いについて深堀りしていこう。
武田クラフトバンクでは、現在は大きく3つの事業を展開しています。
1.建設会社の業務を効率化するSaaS事業
2.建設会社のDXコンサル事業
3.発注会社と工事会社のマッチング事業
主力事業であるSaaS事業では、ITツールの活用に不慣れな工事会社の方がデジタルアレルギーを起こさないようにすることに徹底的にこだわっており、その工夫をプロダクトの各機能に散りばめています。
建設現場では、職人さんが紙や電話、LINEで事務員さんに情報を伝え、事務員さんがその情報をデータ化し…というIT企業からするとかなり非効率なスタイルが一般的です。現場によってルールが違うために、とりあえず紙に書いて渡すのが一番楽になってしまうんですね。これを解消するために、ITリテラシーの高くない人でも使いやすいUI・UXにしています。これには技術的な難しさもあって、競技プログラミング的な知識も必要になります。
実は、当初「業界の統一ルールを作る」というアプローチも試みましたが、当時の時点では我々が建設領域で発揮できる存在感にも限界がありましたので、まずは「現場の職人さんにとって一番使いやすいツールを開発していこう」と方向転換した形です。
事業としてはBtoBのSaaSではありますが、上述した理由から「いかに職人さんが使いこなしてくれるか」という部分に主眼をおいているため、開発の感覚的にはBtoCサービスに近いものがあります。
SaaS事業にてカスタマーサクセス(以下、CS)として日々現場の職人と接する前田氏も、クラフトバンクの独自のアプローチについて語る。
前田建設現場では、未だに「どれだけ職人が現場に出たか」を日報(紙)で書いて、月末に社長がExcelに打ち込んで集計していることが常態化しています。また、職人さん、事務員さんは業務連絡をLINEでやり取りしたりしています。
こんな状況において、「ツールを入れただけ」では本質的な課題の解決はできない。職人さんにとって、なるべくよくわからないツールは使いたくないものですからね。
そもそも「SaaSプロダクトの導入」の前段階に、このプロセスをデジタル化するのが第一歩。これまで長い年月、“業界では当たり前”と思われていた慣習を変えていくのはとてもハードです。しかし、クラフトバンクでは、CSがコンサルティングに近いレベルで伴走することで、うまくツールを使いこなせるレベルまでオンボーディングができているのは特徴だと思います。
「SMBでも一社に深く入り込んでオンボーディングする」。昨今のSaaSプロダクトの傾向とは逆行するアプローチも、建設業界ならではのもの。いや、それなくしては、建設業界に蔓延る非効率を本質的に解決することができないのだ。
そして、そのためには複雑な建設業界の慣習を深く理解し、建設現場で働く職人、事務員の信頼を勝ち取らなければならない。クラフトバンクはどのようにして、業界に深く切り込むことに成功したのだろうか。その秘密を次章では明らかにしていく。
“インサイダー”だからこそ、内部事情に深く、密に入り込める。クラフトバンク躍進の謎に迫る
建設業界の複雑かつ、根の深い課題に対して、ユニークなSaaS事業を軸にアプローチしているクラフトバンク。しかし、創業3期目のスタートアップがここまで解像度高くレガシー産業のDXに切り込めている理由とは一体。その秘密は、クラフトバンクの創業背景にある。
武田実は、クラフトバンクは元々はユニオンテックという内装工事の会社の中の一部門だったんです。その中で「建設業の職人が誇りと自信を持ち、安定して働ける世界を作りたい」というビジョンの元で、職人と施工主を直接マッチングするプラットフォームを2016年にスタートしたのが祖業です。その後、2021年にMBOを経て、現在のSaaS事業の形までたどり着いたという形です。
始まりが内装業の会社なので、建設業界の複雑な事情も、工事の知見も“インサイダー”として理解しています。また、前身のプラットフォーム事業で蓄積した約2万社分の工事会社のデータを既に持っていることも大きなアドバンテージです。
プロダクト単体では、競合に模倣される可能性も0ではない。しかし、内装工事会社時代の積み上げと、CSチームの高い専門性によって、競合との差別化を実現しているという。
前田クラフトバンクのCSは建設業界出身者も多く、業界特有の事情を理解した上での高度なサポート体制があります。また、先ほども申し上げた通り、CSがお客さんがツールを使いこなせるところまでかなり深いレベルで伴走するのも特徴。工事会社は地方に多いのですが、CSが全国のお客さんに頻繁に会いに行き、紙の日報を見せてもらい、雑談もしながら仲を深めてオンボーディングを進めていきます。一見非効率に見えますが、だからこそ他社には真似できない、クラフトバンクならではのスタイルとなっていますね。
また、CSはお客さんの所からデータを取ってきて、レポート作成やSQLを書くところまでやります。一般的なサポート機能としてのCSとはサービス内容のレベルや難度が全く異なるので、僕自身キャリア的にもチャレンジングな経験ができていると感じます。
前身となる企業が“インサイダー”であるが故、業界特有の課題への深い造詣を有している。また、そうであるからこそ、CSは高い専門性と職人から信頼を獲得するコミュニケーションの要所を抑えることができる。
加えて、これまでに蓄積した2万社以上の工事会社のデータを活用して、プロダクトをアップデート。培った建設会社のコネクションも活かし、爆速でSaaSの拡販を進める。これこそクラフトバンクが、業界の複雑性が高い故に攻略の難しいとされる建設領域で他の追随を許さない成長を遂げる所以というわけだ。
全国高専プロコン優勝の凄腕プログラマーがなぜ建設テックに?
建設会社であるユニオンテックからスピンアウトしてできた、クラフトバンク。会社としては3年目であるものの、事業としては既に6年目を迎えている。このような特殊な事情ゆえに、「6年目の落ち着き」と「3年目のスタートアップらしさ」、もう少し具体化すれば、武田氏、前田氏のような優秀な若手と、韓氏をはじめとしたベテランメンバーがうまく混在するバランスの良いスタートアップと言える。
その独特なカルチャーに惹かれてか、多種多様な人物が続々とジョインを決めているという。コンサル、PEファンド、VC、経営者(元起業家が7人も在籍)、アナウンサー、などなど、そのキャリアのポートフォリオは実に豊かである。
加えて入社後の活躍も目覚ましい。ビジネスサイドの統括は29歳、そしてプロダクトサイドの統括は今回のゲストである武田氏でまだ27歳という若さだ。
しかし、建設領域に対してはどうしても「既得権益がある」「変化が遅い」といったイメージも強い。高齢化も進んでおり、若い世代にとっての心理的ハードルは高い気もする。武田氏、前田氏は二人とも前職では有名大手企業に在籍していたなか、なぜあえて建設業界、ひいてはクラフトバンクに入社を決めたのだろうか。
武田新卒でDeNAに入社し、2社目ではスタートアップでtoC向けのサービスを開発していました。ただ、マーケットが大きくないと、ビジネスを拡大していくのは難しいことを痛感したんですね。より大きく、IT化も進んでいなくて勝ち筋のある業界を考えたとき、建設業界だと思いました。
いくつか他のスタートアップとも話したのですが、どうも市場の捉え方や戦略の解像度が粗くて、将来ツールだけが乱立するな、と感じまして。もっと本質的で業界の構造に差し込むような切り口がないか?と模索していました。
そんな時に、代表の韓と出会ったんです。リクルート時代にグローバル経営を経験した後、内装会社の経営をしながら業界のデジタル化を推し進めていて、これだ!と。
リアルに工事に関われることで芯を喰ったプロダクトが作れて、中長期的にも自分の成長にキャップをせず思いっきりプロダクト開発に携われる。幅広いバックグラウンドの人が揃っていてバランスも良かったのが決め手になって、入社を決めました。
入社1年足らずの時点でSaaS開発の裁量を全部預けてもらって、ここまで権限委譲してもらえるのかということにも驚きましたね。
ビジネスとしての可能性の大きさと、クラフトバンクのカルチャーに惹かれたという武田氏。実は、全国高専プロコンにて優勝した経歴を持つなど、プログラマーとしての実績は折り紙付きだ。それに加えて、DeNA、ITスタートアップで実践経験を培った武田氏ほどの実力があれば、“キャリアのリスク”という観点でも、創業間も無いクラフトバンクに飛び込むことに抵抗は少ないであろう。
一方で前田氏は、就活時代に憧れであったスーパーゼネコンを新卒わずか1年目で飛び出し、クラフトバンクに飛び込んだという。なぜあえて当時従業員数30名強のスタートアップを選んだのだろうか?
前田僕は昔からものづくりに興味がありまして。大学では工学系に進んで、土木分野の研究をしました。学生時代にミャンマーで道路を整備するNPOに参加した経験もあり、緻密な技術を積み重ねて規模の大きな土木工事を行う技術者への憧れがあり、新卒では大成建設に入社したんです。
入社後はトンネル工事の現場に配属。大きな重機で1日4メートルを掘り進め、数年かけて十数kmのトンネルを掘る仕事でした。文字通り「地図に残る仕事」は魅力的でしたが、日々の仕事は本当に地道な積み重ね。でも、最後の開通の瞬間には本当に大きな達成感があるんですよね。
とはいえ、大きい会社ではひとつの仕事に関わる人数も多いので、自分が発揮した価値は見えにくい。形式的なルールやその付帯作業も多く、大企業のフィールドでは楽しみきれないなという気持ちが徐々に大きくなりました。
学生時代にミャンマーで道を作った時のように、より顧客に近いアプローチで社会貢献をしたい。大きな裁量で、自由に楽しく仕事がしたい。そんな思いもあって、よりイキイキ働ける職場を求め、転職を考え始めました。
規模が大きな会社ならではの葛藤を抱えて、クラフトバンクと出会った前田氏。社内の人材の多様さと、若手が活躍できる環境も大きな魅力だという。
前田クラフトバンクに入社したきっかけは、代表の韓からスカウトをもらって面談したこと。事業自体も魅力的でしたし、職人のすごいところや、建設業の魅力を発信していこう!という発想に共感しました。
集まっているメンバーも、建設業界からIT業界まで多種多様。地方を飛び回り出張をこなす人もいれば、フルリモートで限られた時間内で働く人もいます。
代表の韓を始め、経営陣は経験豊富で優秀な人ばかりなので、若いメンバーが多少無茶をしても許される環境でもあると感じます。若手が活躍できるのは、こういうカルチャーからも来ているのかなとは感じますね。
両者とも同社代表の韓氏との出会いが入社の決め手であったと語る。思い返せば、FastGrowの過去取材にて、韓氏のユニークな経歴と、独自のキャリア観が話題を読んだことは記憶に新しい。
東京大学大学院を卒業後、リクルートにて後の同社社長となる峰岸真澄氏のもとで鍛えられ、グローバル事業立ち上げのメンバーに抜擢。最終的にはベルリンで買収企業の経営に携わった経歴を持つ韓氏。しかし、そんな“バキバキな経歴“を持つ韓氏が、なんとクラフトバンクにおいては大胆な権限委譲で、事業サイドのグロースにはほぼ干渉せず、代表だからこそできる仕事にコミットしているのだという。(その経緯についてはぜひ上記の記事をご参照いただきたい)
韓氏に端を発するクラフトバンクの独特なDNAに魅了され、各領域で抜群の成果を挙げた優秀な若手が続々とジョインを決めているのだろう。
「一年で、20都道府県を回る」。
バイタリティと成長意欲ある人の知的好奇心を満たす環境
クラフトバンクは、決して業務改善SaaSやマッチングプラットフォームを運営する会社ではない。世界一、魅力的な業界をつくることを目指して、今後もあらゆる側面から日本の建設業界の課題に立ち向かっていく。
そんなスタートアップで活躍できるのは、いったいどんな人物なのだろうか?やはり、建設業界のバックグラウンドが必要なのだろうという取材陣の予想をいい意味で裏切る回答が返ってきた。
武田ポジションによっても異なりますが、「目的のために、手段は手段として割り切れる人」は向いていると思います。バックグラウンドは正直そこまで関係なくて、地方の工事会社の社長さん、事務員さんと深いコミュニケーションが取れるかどうかが大切です。
建設業界は驚くほど人情で仕事をしている方が多いので、理屈でなく、どれだけ会いに行って信頼を構築できるかが一番大事なんです。実際、僕も去年だけで20都道府県くらいを回りました(笑)。
繰り返しになりますが、建設業界は60兆円近くある巨大なマーケットで、人々の生活に絶対欠かせないものです。この市場をDXして、現場で働く職人さんの待遇や働き方を改善できれば、世の中に対してとても大きなインパクトになります。
これまでの経験業種などは関係なく、「建設業界を変える」という大きな目標のため、真摯に現場の方と向き合える人にぜひジョインしてほしいですね。もちろん、いま現在建設業界にいて、現場で課題を感じている方も大歓迎です。職人さんへのリスペクトがあり、この業界を変えたいと思っている人と一緒に働きたいと思っています。
前田建設業界って本当に複雑かつ多様で、例えば「電気工事系のことはわかるようになったけど、土木とか別の建設カテゴリに行くとまったく分からない」みたいなことがよく起こるんです。
常に新しく取り組むべきことが出てくるので、個人的にはゲーム的な面白さがあって好きですね。頭の回転が早くて優秀な人も、飽きずに楽しめる環境だと思います。建設業界の中で課題を感じている人はもちろん、業務の性質上コンサルティングファーム出身の方なども相性がいいと思います。
近年注目の集まるバーティカルSaaS領域。物流、介護、医療、不動産など、レガシー産業のDXに挑むスタートアップは多い。しかし、その中で一番市場規模が大きく、業界構造が複雑、かつ課題の根深い建設業界は特にそのポテンシャルに光るものがある。「せっかくだったら、一番大きく、難しいことにチャレンジしたい」。そんな意欲溢れるビジネスパーソンはぜひ、建設領域に足を踏み入れてはいかがだろうか。
建設領域にて、ユニークなプロダクトとCS体制で着実に事業を拡大しつつあるクラフトバンク。その成長の裏に、年齢や経験は関係なく活躍できる文化や仕組みの存在が見え隠れした。
今回の記事では、“若手の活躍機会”のみにスポットライトが当てられたが、実態は実に多種多様な人物が自身の個性を活かして活躍している。先ほども「6年目の落ち着き」と「3年目のスタートアップらしさ」がうまく混在するバランスの良いスタートアップと述べた通り、若手の活躍の裏にはベテランメンバーの存在を無視することはできない。そこで、次回は、クラフトバンクにてCHROを担う岩本 光博氏に取材を敢行。
岩本氏は19歳でアパレルで起業、不動産事業を展開し27才で事業譲渡。その後リクルートにて、凄腕のセールスパーソンとして活躍していたところを、韓氏が熱烈なアプローチで口説いた人物だ。なぜ、韓氏や岩本氏のような事業経験豊富なベテランメンバーが事業グロースに携わるのではなく、採用、組織・カルチャー作りに専念するのか。クラフトバンクのもう一つの側面である「多種多様な人材にとっての活躍機会」、そして同社に根付く「独自のDNA」についてさらに深掘りしていく。
こちらの記事は2023年04月06日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
池田 華子
写真
藤田 慎一郎
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