事業開発ラッシュ。もはや待ったなし──40兆円市場の“命の現場”へ挑むヘルスケア・マネジメントカンパニー、CUCで創れる新規事業とは
Sponsored65歳以上の高齢者の割合が“人口の21%”を超えた社会を“超高齢社会”と呼ぶが、我々の住む日本は2007年からこの状態。医療のニーズは高まる一方だ。そんな世相を表すように、医療系ベンチャー、スタートアップ企業も増加の兆しが見られる。しかし、その大半は特定の業務領域に特化した「点」で攻める企業が多いのではないだろうか。
そうした状況において、今回話を伺った株式会社シーユーシー(以下、CUC)は、“点”ではなく“面”で医療業界の課題解決に取り組む会社なのだという。業界全体を事業の対象として見ているという特徴や強みは、幅が広いがゆえに「何をやっているかわかりづらい」とも言い換えられそうだが、果たして──。
CUCはどこを見据え、何に向き合っている企業なのか。同社の事業開発室 室長・広田 幸生氏の話から探っていく。
- TEXT BY WAKANA UOKA
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
Techに強い企業はあれど、臨床現場に強い企業はない
CUCとは、一体どんな事業を展開している企業なのか。この問いに、広田氏は「医療課題を解決する“モデル”をつくる会社」だという見解を示す。
広田氏例えば、現在の在宅医療において患者様の24時間対応が難しいのであれば、対応できる仕組みをつくるのも我々の役割のひとつです。実際に、在宅医療の普及は遅れており、ご自宅での診療や看護を受けられる環境が整っていない地域が日本にはまだたくさんあります。CUCでは在宅クリニックの開業や運営のご支援をしています。
広田氏医療業界には個々の医療機関や外部の医療コンサルタントでは解決し得ないことが山積しています。業界の慣習やしがらみから、誰もが諦めるような課題もありますが、それが解決できれば医療や社会が大きく変わっていく、そんな壮大なテーマに対し果敢にチャレンジしていくのがCUCらしさだと思っています。
医療業界が抱える課題に対して、CUC以外にも多くの企業が向き合っている。しかし、その大半は特定の領域における課題解決に特化しがちだと広田氏は言う。例えば、医療機関に向けた業務効率化のSaaS、アナログな作業をデジタルに変換するDX、医療従事者に特化した人材紹介などが挙げられる。一方、CUCが見据えるのは医療業界の課題“すべて”だ。
広田氏あくまでも“点”ではなく“面”で業界を捉えているのが我々の特徴であり、圧倒的な強みです。また、もう一つの強みは「臨床現場を変えていく」という想いを、リアリティを持って抱けていることでしょう。
どういうことかと言うと、ヘルステック企業は数多くあれど、臨床現場を経験している、分かっているメンバーがいる組織は滅多にないんです。これはあくまでテクノロジー企業としての色合いが強いということですね。
そして、臨床現場に明るい組織でないとどうなるかというと、事業を推進するなかで医学的エビデンスが必要となっても、何をどうすればいいのか分からないという事態に陥ります。対して、我々の場合は明日にでも医師や看護師とのアポイントを取って話を聞く連携体制がとれていますし、臨床現場向けのトライアルサービスなどもすぐにお試しいただける体制が整っているんです。
このように、医療における臨床現場のリアリティを持っているからこそ、絵に描いた餅にならない改革ができるのだと認識しています。また、診療報酬制度こそ違いがあるものの、臨床の知見そのものは海外でも通用します。昨今、世界的に見ても医療業界の市場は拡大、成長していますので、国境を超えたサービスも提供できる土壌にあるんです。
CUCは、他のヘルステック企業と異なり提携する医療機関が無数に存在する。そして、それら医療のプロを巻き込み迅速にプロジェクトを興せることが同社の強みなのだ。さらに、自社内だけでみても、これまで医療現場のコンサルティングや運営支援を経験してきたメンバーがこぞって新規事業に参画するため、結果的に多くの臨床現場のプロたちが事業開発に携わる構図となっているのだ。
そんなCUCの組織概要や強みを掴んだところで、次は広田氏が述べた“臨床現場のリアリティ”についてもう少し具体的に掘り下げていこう。
“臨床現場のリアリティ”とは、
医療従事者と同じ目線にたてること
広田氏当たり前のことではありますが、どのような医療サービスも、医療現場の人たちが明日からスグに使えなければ意味がありません。医療従事者の方々が迷わずカンタンに使えるものなのか、どの診療報酬なら使えるのか、または使えないのか。理屈だけでなく感情面においても現場の人たちは導入に納得するのかなど、臨床現場で実際に使える医療サービスを成立させるためには、クリアすべき問題が山ほどあるんです。
CUCでは臨床現場を知っている、分かっているメンバーが殆どだということで、これらを網羅できると考えています。
医療の現場──。そう言われてみても、いまいちピンとこない読者もいるだろう。そこで、広田氏はCUCが手掛けた『チャレンジコロナ』プロジェクトの例を出し、次のように説明する。
広田氏『チャレンジコロナ』の取り組みとして、2020年の春にPCR検査場の立ち上げを支援しました。当時の日本では、自治体や地域の医療機関の枠組みだけではPCR検査場がスピーディーに立ち上げられないという課題がありました。
というのも、看護師や検査技師をどう集めてくるのか、検査機器をどう買うのかなど、PCR検査場を立ち上げるにはやるべきことが無数にあり、それらを国が定める法令を守りながら進めていかなければならないためです。
かつ、医療では失敗が許されません。万一、医療事故があった時には医療職を守らなければならない。こうした細かなことをすべて理解できているからこそ、CUCでは1ヵ月という異例のスピードでPCR検査場の立ち上げを支援することができたんです。
広田氏は、こうした職種を“ヘルスケアマネジメントと呼ぶ。世界的に医療の需要が増すなかで、今後このヘルスケアマネジメントに対するニーズは高騰していくと言われている。「CUCは、まさにこのヘルスケアマネジメントを日本国内で最も力をいれて取り組んでいる企業だといえるでしょう」と広田氏は語る。
広田氏医学的エビデンスに問題がないか、本当に現場で使えるのかを医療機関と連携してすぐにチェックできる体制があることと、この医療現場のリアリティがCUCのメンバー個々に備わっているからこそ、事業開発がスピーディに推進できるんです。
ちなみに、我々が持つこの臨床現場のリアリティは、医療業界の経験者に絞って組織を構築しているから、ということでは決してありません。むしろ、業界未経験者でもどんどん現場に入って「臨床の現場とはどういうところなのか」「どんなステークホルダーで成り立っているところなのか」を肌で感じてきているからこそ打ち出せる強みなんです。
例えば弊社の新卒でいうと、本社勤務の企画スタッフやコーポレートスタッフも含めて、半数以上は医療現場からキャリアをスタートします。具体的には1~2週間ほど病院での実務研修を行ってもらい、自身の業務上の仮説と実態のズレを埋めていきます。その後も、メンバーによっては足繁く現場に通い、常にアンテナ高く臨床の現場感をインプットし続けていますよね。
臨床への現場感を強く持ち、それ故に医療機関との連携も強固。そして、それらをもとに常に業界の最重要課題から取り組んでいくのが CUCの特徴だ。繰り返すが、この業界は直近のコロナに限らず、高齢化や社会保障費など課題だらけの領域。つまり、ある種必然的に新規事業を打ち出していかなければならない環境にある。それも、非連続的にだ。
そんな環境に魅せられつつも、使命感を持って事業開発に取り組むのがこの広田氏であるが、同氏はもともと医療とは無縁のキャリア。一体、なぜこの業界に飛び込んだのだろうか?
課題の規模がケタ違い、かつ市場も拡大中。
これぞ新規事業のメインステージ
広田氏のキャリアを紐解くと、彼はもともと外資系コンサルティングファーム出身。その後、リクルートに転職している。転職理由は、「事業の立ち上げを経験したかったから」とのこと。その後は念願通り、国内外での事業立ち上げを多く手掛けてきた。そこから2015年にCUCに行き着いた経緯について、広田氏は次のように語る。
広田氏リクルートで事業開発の経験を積ませてもらった後、社会に影響力のある事業や市場を検討し、医療に行き着いたんです。その中で偶然出会ったのが、今のCUCでした。
当時からCUCは、「日本の医療課題を解決していくために生まれた会社だ」と掲げていて、医療現場の中から医療を変えていける事業に魅力を感じていました。ここまで臨床現場に向き合う“事業会社”は今でも珍しいのではないかと思っています。
また、当然ながら医療は高齢化が進むにつれて伸びていく市場です。課題の規模や数が大きく、かつ市場自体が伸びていく業界というのは、新規事業立ち上げを経験してきた身からすると魅力的なんです。なので、“医療”は未経験の身ではありましたが、興味を持って飛び込んだという感じですね。
2015年の当時、広田氏が面接を受けていたときのCUCは社員数わずか4名。前職のリクルートと比べるとかなりの差があるが、そのギャップに不安を感じることはなかったのだろうか。
広田氏当然ありましたよ。ただ、確実に市場が見えていたので、絶対に事業を生み出せるだろうとは思っていましたね。市場の拡大に伴い、事業や組織も成長していけると。ヘルスケア領域において、製薬や治験のマーケットはすでに成熟の域に達していますが、医療機関の運営支援は未知の世界じゃないですか。
病院やクリニックなど、規制に守られた世界でプラットフォームをつくっていく仕事にはユニークさを感じましたし、その中で仕事をすることで自分の市場価値と会社の価値を同時に高めていけるだろうと思いました。
広田氏また当時、代表の濵口 慶太氏との話で印象的だったのは、創業事業である在宅医療支援についてです。
在宅医療の担い手不足に対してプラットフォームをつくる必要があること。夜間でも安心して医師がサービスを提供できるようにしなければならないこと。しかし、その担い手である医師が圧倒的に不足しているということ。こうした課題が山積している中で、それらを解決するプラットフォームをつくりたいという熱意にやられました。また自身の能力の観点からも、CUCでならコンサルティングファームやリクルートで経験してきたことが活かせそうだなと感じたんです。なかでも医療の現場に入りこんで事業開発するという意味では、リクルート時代に経験したM&AやPMIといった経営支援と似ており、勘所があるとは感じていましたね。
前職での事業立ち上げや経営支援の経験がまさに活きているという広田氏。具体的に入社後はどのような仕事に当たってきたのだろうか。
広田氏1年目は在宅事業に入り、在宅クリニックを紹介するWebサービスや、『夜間待機番』という、医師による緊急コール及び往診支援を行うシェアードサービスの立ち上げに携わりました。この『夜間の待機番』は当時メディアにも取り上げられたもので、患者さんから深夜や休日に掛かってくる緊急依頼に対し、往診体制を持つ医療機関同士が連携して対応するプラットフォームを実現しました。東京エリアでスタートした直後から全国から問い合わせがあり、課題の大きさを実感しました。
2年目からは病院に常駐し、後継者のいない病院の経営支援に従事。医療現場に立つのは人生で初めてだったものですから、たくさんの失敗もしながら取り組みました。まず、事業支援の過程で病院経営はもちろんのこと、医療プロフェッショナルの考え方、病院組織の動かし方を学ぶことができました。一方で、医療現場の理解を得られず、合理的に描いた計画が全く達成できないという挫折の連続。社会人人生で一番成長したと思います。その後、徐々に支援先の病院の経営再建が進み、全国に支援先が広がってきたので、病院事業部の責任者を担当。3年ほど事業をリードさせてもらいました。そして5年目からは、先ほどお話した『チャレンジコロナプロジェクト』を含む新規事業の立ち上げに携わっています。
コンサルやリクルートで培った事業創造、経営再建のスキルを余す事なく発揮できる CUCという舞台。事業開発に取り組みたいビジネスパーソンにはうってつけの環境であると共に、この“医療”という業界がいま如何に、そうしたスキルを持った人材を欲しているのかがお分かりいただけたのではないだろうか。
そしてここからは、より「CUC独自の事業開発とは何か?」「軸となる戦略はどこにあるのか?」といった観点で話を伺っていく。広田氏によると、「オポチュニティ」なるキーワードが挙げられるとのことだ。
国内外ふくめた“オポチュニティ”のサイズが新規事業の是非を決める
医療の現場において次々と新規事業を起こしているCUC。課題解決の対象が“医療業界のすべて”となると、いまいちどういった軸で事業開発を行っているのかイメージしづらいという読者もいるだろう。「CUCならではの事業開発とは何なのか?」。その点について尋ねると、広田氏は次のように答えた。
広田氏我々は、国内、海外ともに“オポチュニティ”がどれだけあるのかを重要視しています。ここで挙げた“オポチュニティ”とは事業が儲かるかどうかではなく、どの程度の負や課題があり、それを解決することで喜ぶ人がどれだけいるのかということに尽きます。喜ぶ人の総量が大きければインパクトも大きく、医療という希望を創るミッションに近づくことができるので、どの課題に取り組むのかの選択こそが重要ですね。
その上で、“CUCによる実現性の有無”も合わせる。要は、課題があり市場も大きいが、実現性に乏しければ事業として取り組む優先順位は下がるわけです。これらの要件を照らし合わせ、推進すべき領域を決めています。
広田氏例えば、海外には医療が足りていない地域が多いのですが、そこに医療環境をつくり、広げていくのも一つの新規事業と言えるでしょう。また、今後はデジタル活用したソリューションづくりにも積極的に取り組んでいきます。
正直、日本は診療報酬の縛りがあるため、デジタル活用を進めるには限界があります。その点、ヘルステックやデジタルヘルスと呼ばれる領域は海外の方が圧倒的に進んでいるんです。現地の人たちと協働してチャレンジできるのであれば、日本に拘らず海外で事業開発すればよいと思っています。制度は国によって違っても医療技術やサービス提供の形は世界共通なので、日本の臨床現場を知っているCUCなら取り組むことができるのです。
海外での取り組み事例として、広田氏はインドネシアでの新事業を挙げる。今、CUCが本格的に検討を進めているプロジェクトのひとつだ。
広田氏これはCUCが日本でホームヘルスや高齢者向けのリハビリを得意としていることを聞きつけ、インドネシアからヒアリングの依頼を受けた事から始まったプロジェクトです。先ほどお伝えした通り、世界にはまだまだ医療環境が整っていない国が数多く存在します。
多くのアジア諸国で共通していることですが、インドネシアには医療需要があっても担い手が少なく、患者が医療にアクセスできていない領域が多くあります。例えば、日本なら適切なリハビリを受けて社会復帰できる人たちが、インドネシアではリハビリを提供できる医療者が不足しているといった具合です。
他方、海外では医療者の派遣やオンラインでの提供に対する規制は日本ほど厳しくなく、株式会社が経営しているケースが多いので、スケールも成長スピードも早い。海外の方が医療提供のイノベーションを起こしやすいと言えるんです。
また、リハビリ事業を海外で検討する場合、CUCは支援先の医療機関に理学療法士(Physical Therapist、以下、PT)が多く在籍しているので、疾患別のリハビリのアウトカムとPTの生産性を深く理解できているんです。そこに加えて我々のノウハウとデジタルを組み合わせることもできる。つまり、臨床現場の“リアリティ”と“デジタル”を組み合わせて事業開発していけるのが、CUCで事業を創る魅力と言えるでしょうね。
単にデジタルの力で非効率を最適化するだけなら、わざわざ医療業界を選ぶ必要はない。しかし、 CUCにおいては業界の専門スキルを持つメンバーと共に、アナログなスキルとデジタルが持つ力を双方絡めての事業づくりが味わえる。この点に他の領域では得られないやりがいがあるのだろう。それも、グローバル規模において──。
そんな CUCならではの事業開発の妙味を披瀝する広田氏。話はそれだけにとどまらず、更に日本にいては想像もつかない世界の医療事情について、そのリアルを教えてくれた。
広田氏まだ事業化すると決めているわけではないですが、医療ツーリズムも課題が大きいオポチュニティの例です。日本人はピンとこないかもしれませんが、実は非常に大きな市場で、例えば中国の方が日本に癌などの治療に来たりするんですよ。驚きますよね?しかしこうした動きはまだまだインフラレベルにはなっておらず、質の懸念があるんです。
今は治療を希望する人が高額な費用を払って個人コーディネーターに斡旋してもらい、日本の医療に繋ぐ形になっている。そうなると、医療のクオリティが担保されているかわからなかったり、すでに治る見込みがないのにビジネス目的で医師に紹介されていたりと、さまざまな問題が起こっています。このような状況を改善し、海外からの患者が安心して日本クオリティの医療を利用できる世界をつくることができたら、事業開発パーソンとしては燃えるなーと思います。
こうした新規事業の立ち上げについて聞いていると、経験豊富なBizDev人材でないと務まらないようにも思える。その点について問うと広田氏は、「経験や年齢問わず事業開発に携われるのがCUCの特徴」だという。
事実、CUCには“Dream”と呼ばれる社内異動の制度があり、そこに手を挙げ、求められる実績やマインド、意志を伝えることができれば誰しも事業開発に携われる。そんなチャンスがここCUCにはあるのだ。
広田氏部署の応募にはもちろん全社員に手を挙げる権利があります。必要な面接に通ったあとは、上司が何と言おうと(笑)、その部署に異動できるのが“Dream”の仕組みです。
なかでも一番大切なのは、本人の意志でしょうね。会社に言われたからやるのではなく、本当に自分がやりたいと思うことをやっていこうというのは、CUCが非常に大切にしている考え方です。
広田氏事業領域の選定に関しても、経営陣が行う場合もあれば、メンバーの声が挙がったことによって始まったものもあります。例えば、“小児科施設の減少”と“ヘルスケアが必要な子どもの増加”に伴う小児科課題を解決すべく、CUCが高齢者医療領域で培った経営支援ノウハウを提供するプロジェクトなどは、まさにメンバーからの起案で始まった事業です。そのあたりは非常にフラットな組織ですし、社員の問題意識が高いからこそ実現できているものです。
起案から実行までの期間は、平均して半年。R&Dをして、この領域でやるべきかどうかを調査し、事業としてやれそうだと結論が出た段階で、参入できる事業モデルを考える。そこからトライアルサービスをつくり、実際に使う現場の人に提供してみるというのが事業立ち上げの流れです。ダメなら途中で断念し、半年サイクルで開発テーマを見直しています。様々なテーマに若手もどんどんアサインしているといった具合ですね。
なるほど、これは事業家が育つわけだ。新卒でも若手でも、手を挙げれば経営陣に新規事業を提案することができるということは、CUCのメンバーになれば、事業のプロたる経営陣に壁打ちをしてもらいたい放題ということに他ならない。
そして、「次々に上がってくる新規事業のアイディアのうち、事業化できるのはおよそ10分の1だ」と広田氏は続ける。もちろん事業として追い風が吹いているタイミングを見極めることも重要なので、ワクチン接種事業のようにすぐさま取り掛かる事業もあれば、敢えて機が熟すまで待つ事業もある。その波を乗りこなしたい、若くして自ら事業を立ち上げたいという人材には魅力的な環境と言えよう。
CUCと書いて、“40兆円市場を狙う、
事業創造ベンチャー”と読む
医療業界を面で捉え、幅広い仕事ができるCUC。同社で取り組める事業開発のスケールやチャンスを理解したところで、最後に今後の CUCが描く展望、及びそれに伴い求める人材像について、質問を投げかけた。
広田氏直近で取り組むのはデジタルを使ったヘルスケアサービス事業ですね。他のレガシー産業と同様、まだまだ医療の現場はデジタル化の余地が多い。そのためテック系に強い人材を求めています。それこそゲーム業界など、医療とは全く関係のない業界でデジタルソリューションに携わっていた人に、どんどんこの世界に入ってきて知見を活かしてもらいたいなと思います。
また、事業開発の観点ではコンサルティングファームや商社で新規事業を担っていた方。僕自身がそうであったように、M&AやPMIの経験者も大いに知見を活かせるでしょう。その他、リクルート時代に経験した多くのパートナーとのリレーションづくりも非常に役立っているので、複数のステークホルダーを巻き込みながら事業を推進してきた方も活躍できると思います。
既に業界経験は不問という発言もあったが、それでも医療という業界に対して専門的なハードルを感じている読者も多いはず。聞き方を変えると、「専門知識はなくとも、これだけは持っていてほしい」という素養やマインドについてはどうだろう。
広田氏既存メンバーもバックグラウンドが医療業界ではない人がほとんどですから、そこの心配はご無用。それよりも、先程申し上げたように今の強みを活かしていただきたいですね。
そして何よりも、「事業づくりを学びたい」、「事業づくりのプロフェッショナルになりたい」という想いがある人にとってこそ、CUCは面白い舞台となるはず。言わば、重要なのはそこだけです。いずれ医療以外の産業で事業をつくりたいというのもありでしょう。ただし、“医療で人々の希望を創ること”に使命感を持っていることは大事ですね。その想いがなければ、現場の方々がついてきませんから。
最後にあらためて広田氏は、「40兆円市場のなかの一部の切り出しでなく、本当の意味でこの市場全体を対象に事業をしているのは、我々CUCだけだ」と胸を張る。現在は毎年2つの新規事業を生み出し続けており、今後は海外にも広げていく。そんな広田氏に、あらためて「CUCにとっての新規事業とは」と尋ねてみた。
広田氏我々にとっての新規事業とは、“ミッションを実現するチャンスを増やしていく”役割ですね。医療を通じて、人々の希望を創らなければならない領域はまだまだたくさんあるので、常に新しい事業に取り組んでいかなければおよそ到達できるものではないんですよ。
今は、方向は見えているけれど、走っても走っても近づけないといったところです。国によっても抱えている課題は異なり、本当にありとあらゆる課題が山積している。そこで次々とチャレンジするステージを広げていけるのがCUCでの新規事業が担う役割だと感じています。
対象領域や挑戦の幅が広く、成功したときに医療業界・社会に与えられるインパクトはとてつもない…CUCが秘める可能性の一端に触れられる、そんな取材だった。
そしてこれを読み、 CUCは“医療系ベンチャー”だけでなく、“事業創造ベンチャー”だという認知に変わったならば、FastGrowとしても本望。広田氏に続き、医療を通じて世の中に変革をもたらしていこう。集え、事業家人材たちよ。
こちらの記事は2022年03月22日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
卯岡 若菜
写真
藤田 慎一郎
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。
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