その経営者の「鶴の一声」に、顧客ベネフィットはあるか?──急成長マーケティング企業のセブンデックス中村・ナイル高橋と紐解く、事業の盛衰をわかつマーケの鉄則

登壇者
中村 伸啓
  • 株式会社セブンデックス 代表取締役 

株式会社セブンデックス代表取締役。学生時代からベンチャーで業務経験を積み、大学卒業後に広告営業としてマイナビに入社。24歳で同社事業部最年少でマネージャーを務める。その後メディア開発、アプリの企画開発を経験し、2018年にセブンデックスを設立。

高橋 飛翔

1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中に「マーケティングドリブン事業開発カンパニー」としてナイルを設立し、代表取締役に就任。企業のインターネット集客課題を解決するデジタルマーケティング事業を展開し、ナイルを業界を代表する存在へと成長させる。2012年には、アプリ情報メディア「Appliv」を主軸としたスマートフォンメディア事業を立ち上げ、現在は全社の経営戦略・事業戦略を担当する。

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企業が急成長を遂げるためには、マーケティングが不可欠である。一般的にマーケティングと言えば、広告や販促活動が即座に思い浮かぶものであろう。しかし、その範囲は実際にはさらに広い。

急成長企業は、事業活動そのものをマーケティングと位置づけ、その方針に基づき成長を遂げている。本稿では、セブンデックスの代表取締役・中村 伸啓氏と、ナイルの代表取締役社長・髙橋 飛翔氏が共に語る「急成長企業が実践すべきマーケティングの鉄則」に関するセッションの詳細を紹介する。

彼らの語る、過去の失敗や成功に基づいた事業成長のノウハウは、読者が自社のマーケティング戦略を考える上で重要なヒントになるだろう。

  • TEXT BY WAKANA UOKA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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「デザイン×マーケティング」のセブンデックスと、「産業DX」のナイル

──まずはセブンデックスの中村さん、自己紹介をお願いします。

中村私は2018年10月にセブンデックスを創業し、代表取締役を務めています。「デザインと戦略とデータをつなぎ、日本のマーケティングの負を打破する」ことをミッションに、日々、事業活動を行っています。

具体的には、企業のマーケティング戦略はもちろん、サービスデザイン、プロダクトデザイン、コミュニケーション、そしてグロースから組織の開発まで、幅広くクライアントを支援するビジネスモデルで事業を展開しています。

中村このミッションを実現するために、主にデザインとマーケティングを基盤に、5つの領域で顧客の事業支援を行っています。

具体的には、「新規事業開発に関わるビジネスデザイン」「ブランド戦略の構築に必要なブランドデザイン」「プロダクトのユーザー体験(UX)及びユーザーインターフェース(UI)を設計するUI/UXデザイン」「達成目標(KPI)の策定やデータ分析、改善策の設計を行うマーケティンググロース」、そして「事業オペレーションを効率化するDXソリューション」の5つです。

中村このように、私たちの支援領域はビジネスの川上から川下まで広がっています。市場調査やビジネス戦略の立案から始まり、データ分析と改善、さらには組織開発や組織構築まで、一気通貫でのサポートが特徴として挙げられます。

実績としては、ブランド戦略やブランディング、プロダクトリニューアル、コーポレートブランディングの推進、採用ブランディング、さらにはECサイトの成長促進など、多岐にわたる領域での事例が挙げられます。今日は、そんなセブンデックスが考える、事業成長に活きるマーケティングについてお話できればと思います。

──続いて、ナイルの高橋さんも自己紹介をお願いします。

高橋ナイルは私が大学在学中に創業した会社で、そこから16年間、経営を続けています。会社の主なテーマはDX(デジタルトランスフォーメーション)。使い古された感もあるこの言葉ですが、特に我々は「産業DX」に焦点を当てて事業を進めています。

高橋具体的には、「ホリゾンタルなDX支援」とバーティカルなDX事業の2軸で事業を展開しています。ホリゾンタルなDX支援でさまざまな産業を横断し、事業者の課題を特定。解決策を発見し、顧客に提供していきます。例えば、企業のデジタル化に関する課題解決を中心に、マーケティングソリューションやDX化ソリューションを提供しています。

そしてその中で見つけた特定の産業課題に対し、デジタル化を進めることでより大きな付加価値を生み出すのが、「バーティカルなDX事業」になります。具体的には、自動車産業のDXに注力しており、自動車のオンライン販売を行っています。手間のかかるマイカーの購入プロセスを簡易化し、ローンやリース審査に通らない可能性のある方々も含め、簡単に自動車金融商品が利用できるプラットフォームを運営しています。

このように、単一ソリューションを提供するスタートアップが多いなか、弊社は幅広いソリューションを組み合わせてサービスを提供している点が特徴です。

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マーケティングとは、あらゆる企業活動に通底する

──1つ目のセッションのテーマは、「数々の失敗から振り返る、マーケティングの重要性」です。お二人がマーケティングをどう捉えているのかというお話も頂きつつ、どのような失敗や経験からマーケティングの重要性を理解できるようになったのか教えていただけますでしょうか?

中村私は広告業界でキャリアをスタートさせ、その後セブンデックスの前身の会社で数々のサービスをつくってきました。事業を続けていくためには、お金が必要であり、そのためにはお金を頂けるだけの価値や満足度のあるサービスと、そのサービスを提供できるだけのオペレーション、そしてそのオペレーションを回せるだけの組織、人員が必要で、これらは連鎖的に繋がっています。私はこれらの事業経営そのものがマーケティング活動であると捉えていて、その重要性は言うまでもありません。

そしてこの結論に行き着くまでには、多くの失敗経験がありました。例えば、SNSアプリを手掛けていたとき、当初ユーザーの反応はよかったのですが、収益の挙げ方がわからず、原資もないためそこからグロースさせる方法が分からず撤退するといったことがありました。他にも、女性向けサービスをやっていた際、女性ユーザーのインサイトに辿り着けないままオペレーションをしていて、結果ユーザー満足度が向上せずにサービスを閉鎖したこともあります。

ビジネスモデルや顧客心理、その他サービストレンドなども含め、事業における数々のドライバーをうまく引いていかないと、事業は成り立たない。こうした失敗経験から、マーケティングの重要性に気付きました。

高橋中村さんのおっしゃる通りですね。私からも失敗エピソードを一つ挙げさせていただくと、学生時代に起業して最初に立ち上げたのが家庭教師の紹介事業でして、いろんな高校の前で宣伝チラシを配って依頼を受けていたんです。

振り返るのが恥ずかしいくらいですが、当時の私は全身ストライプのスーツを着て営業に出向くような怪しい風貌だったんです(笑)。そんな格好をした人物が高校前でビラを配っていると、当然ながら即座にやめるよう警告が入ります。今思えばこれは完全にマーケティングの失敗だなと。TPOに沿った行動をとるというのも、目的を達成するために必要なマーケティング思考だと思っています。

次に、教育系のDX事業を手がけまして、今でいう『スタディサプリ』のような、大学生が講義を行い、それを月額定額制でオンライン動画配信するといったサービスを始めました。しかし、当時はスマホが普及していない時代だったので、パソコンしかネットに繋げる手段がありません。そしてユーザーである高校生はそもそもパソコンを持っていませんし、持っている高校生は裕福な家庭である傾向がある。結果、そうした裕福な高校生は予備校に行くんですよね。

この時も、顧客となるユーザーの選定であったり、そのユーザーたちがどういうライフスタイルなのかを深く理解せず、「こんなサービスがあれば広まるよね」といった願望にも近い感覚でサービスを提供していたんです。

先ほど中村さんもおっしゃったように、マーケティングは広告宣伝にとどまらず、あらゆる企業活動に通底すると思っています。営業もファイナンスも採用も組織づくりも、すべてにおいてマーケティング的な思考が求められる。そしてそれは一言で言うと、「相手の立場になって考える」ということだと感じています。

自分が相手に「こういう行動をしてほしい、してください」というのはマーケティングではなく押し売り。そうではなく、「自分がどういうアクションを取れば、相手は◯◯な行動を取りたくなるのか」を考えるのがマーケティングではないでしょうか。

たとえば組織づくりであれば、「どうしたらみんなが挑戦心を持って事業に取り組みたくなるのか」という観点で設計したほうがいいですよね。こうしたマーケティングのフィルターを、事業におけるすべての行動に落とし込んでいくことが重要です。やみくもに行動するのではなく、最短ルートで目的地に向かえるよう、効率性を高めていける。このようなことから、マーケティングは事業において極めて重要なものであると思っています。

中村アイスブレイク的にキャッチーな事例を挙げていただきましたが、高橋さんのお話は本質的だなと感じます。起業して間もない頃の私は、多くの失敗経験を得るまで、「マーケティングとはグロースハックである」と捉えていました。しかし、今ではマーケティングとはそうした飛び道具的なものではなく、もっと事業全体にかかるものであり、地道な取り組みの積み上げだと思っています。

以前は、マーケティングと言えばグロースハックとして、事業成果に向けた過程をショートカットして楽に進めるような、エッジの利いた裏技があるんじゃないかと思っていましたが、実際はそうではない。事業成長を得るには目の前のやるべきことを地道にやることが必要不可欠で、それが結局のところ成果に向けた最短ルートであると感じています。

──「マーケティング=広告宣伝」が主たる手段と捉えている企業や人も少なくないと思いますが、お二人の話を聞いて、あらためてマーケティングとはあらゆる企業活動に関わってくるものだなと認識しました。

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顧客のベネフィットなき“鶴の一声”は、身を挺して防ぐべし

──第2セッションは、「吉と出る or 凶と出る?経営者の“鶴の一声”の意義」です。お二人がマーケティング支援を通じて感じている「成功パターン」や「失敗パターン」について、具体的な事例を基に教えていただければと思います。

高橋さきほど中村さんがおっしゃったグロースハックの件、要は、ある手段をとれば一発ドカンと事業を伸ばせるんじゃないか?起死回生できるんじゃないか?といった「銀の弾丸」に対する願望。これは経営者であれば誰もが抱いたことのある思いではないでしょうか。

例えば、10億円の資金調達をした会社が、有名芸能人を起用してテレビCMに大半の資金を突っ込んでしまうといった話です。これは完全に「銀の弾丸」的な施策だと思いますが、こうした運の要素が強い施策を打ったとしても、事業が伸びていく可能性は決して高くありません。こうした確率論やリスク・リターンを精緻に捉えず運頼みになってしまう経営は非常に危険で、周囲にSTOPを掛けられる人がいないと致命傷を負ってしまいます。

中村私は、経営者が事業の意思決定をするときには、現場に対する解像度の高さこそが重要だと思っています。

以前、起業家の先輩から「日々、週刊誌にはよく目を通して、世の中のトレンドを掴んでおくことが大事」とアドバイスを受けたことがあります。どういうことかと言うと、経営者の身近にいる人は、基本的に同じ経営者仲間であることが多いですよね。そうした仲間内で「社会をどう変えるべきか」「今後こういう事業やサービスが台頭してくるだろう」といった話をしている時は、極めて大衆的な目線とは離れていると認識せねばならないということです。

これは事業における意思決定時にも同じことが言えます。その判断は、現場の客観的な事実情報から導き出したものなのか、それとも高橋さんが挙げたような「銀の弾丸」的なものなのか。後者によって発せられた「鶴の一声」は得てして事業成長には貢献しないケースが多いと感じています。

高橋確かに、スタートアップは村社会というか、世の中の少数派が集まって「自分たちが世界を変える」と掲げて挑戦している集団ですよね。それ自体に良い悪いはありませんが、一般大衆とはかけ離れた環境にいることはメタ認知しておかないといけません。

自分たちの顧客がなぜその商品、サービスを使ってくれているのか、直に情報を取りに行くことは極めて大事ですが、実践できている経営者はごく稀。いざ顧客の生の声を聞いてみると、「このサービスのこんな点を評価してくれていたんだ」といった発見は往々にしてあるので、その声を聞かずに「うちの顧客たちはこのサービスの◯◯なところが気に入ってくれているはずだ」「この特徴を評価してくれているんだよね」と思い込むのは危険です。

なので、経営者は何かの施策を打つ時は必ず事前に顧客インタビューをして、自社のサービスの何が受け入れられているのかを掴んだ上で意思決定すべきですよね。

中村具体的に言えば、セールスやCSの現場に出ている経営者やメンバーの方々から出る「鶴の一声」は、経営にレバレッジをかけるための方向性が解像度高く見えているケースが多いので、有効打になる可能性が高いと思っています。

反対に、先ほど高橋さんが挙げた「『悪い鶴の一声』は周囲が止めるべき」という話でいくと、意思決定が特定の人物の主観に寄らないよう、組織として意思決定の仕組みを構築していくことも重要です。

高橋そうですよね。中村さんの場合、過去にどんな突拍子も無い「鶴の一声」がありました?

中村 「Webサイト上に、ユーザーの目を引く動的なキャラクターコンテンツを実装してほしい」といったことがありましたね…。顧客企業は、自社のサービスを何かしらキャッチーにしたい、ユーザーに対してひきの強いものをつくりたいといった思いがあるのですが、果たしてそれがユーザーにとって必要なサービスなのかというと、話は別です。もちろん、なかにはユーザー体験が向上し、「楽しい」と感じてもらえる施策もあるでしょうが、多くの場合、自己満足で終わってしまいがちです。

──そうした、本質的ではない意見を経営者やキーマンが出し始めた時、周囲はどのように制止していけば良いのでしょうか?

中村「なぜその施策を実行することが良いと思っているのか」、逆に、「なぜ良くないと思っているのか」を根拠ありきで議論し、組織で進むべき方向性を決めていけるのがベストだとは思うんですが、これは理想論ですよね。上長が相手だと、その相手は自分にとっての評価者でもあるので、立場上の忖度もあるでしょうし。

とはいえ、大前提として経営層やマネジメントレイヤーの方々は、「自分の意見を主張したい」というよりは、「事業が伸びるなら手段は問わない」という考えを持つ方が多いかと思います。なので、メンバーレイヤーの立場として提言する方は、そうした認識を持った上で臨んでみるとよいでしょう。

その他、別軸でいくと、第三者としての外部機関を使うこともアリです。客観的な立場だからこそ核心を突いた指摘をすることもできますので、私たちも顧客組織のなかで矢面に立つことがしばしばあります。

高橋私の場合は、「その考えは顧客のベネフィットに繋がるものですか?」という問いを投げかけるようにしています。例えば、ダイエット支援のサプリを提供している企業であれば、ユーザーにとっての価値は「体重を減らすこと」になりますよね。決して、商品Webサイトを豪華にしてページを回遊してもらうことではありません。

ですので、商品Webサイトの見栄えにリソースを投じるよりも、ベネフィットをきちんと理解していただくコミュニケーションにフォーカスすべき。そのためには、ユーザーに対してどういうキャッチコピーで訴求すべきかの議論の方が大事だと思います。

経営者の方々というのは、ROIを意識されるものです。ですので、顧客のベネフィットが何で、そのためのコミュニケーションがどうあるべきかという点に立ち返ると、「確かにその方が効率がいいよね」と感じていただけます。このように、迷ったら常にマーケティングの原点に立ち返って話をするようにしていますね。

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異常なこだわりを持って、平凡なことを徹底せよ

──最終セッションでは、視聴者の皆さんも活用できる、事業を伸ばす上で必要なマーケティングの極意についてお聞きします。

中村私が考える事業成長の極意とは、「凡事徹底」にあると考えています。先ほどもお話しましたが、ラクして事業成長できるような裏道はありません。凡庸なことを非凡にやる、徹底して繰り返すということ、そのためのオペレーションとオーガナイゼーションを揃えることが大事なのかなと思います。

もちろん、「SNSやイベントをフックにうまくバズらないかな…」といったことも想像してみたりするんですが、それはあまりに不確実性が高い。なので、確度高く事業を成長させていく上で、マーケティング施策の中心に据えるのは違うなと。こうした手段は、凡事を徹底した上でオプションとして扱うべきですね。

──高橋さんからはいかがでしょうか。先ほどの「現場の重要性」にも触れていただきながら、お話いただければと思います。

高橋まず、経営者はKPIの数字ばかり追いかけることはやめた方がいいと思います。昨今のスタートアップ経営には、アメリカ流の考え方や仕組みが相当に入ってきていると思っていまして、KPIの数字を起点にした経営をしている会社が多いと感じています。

しかし、KPI「だけ」を見ていると本質を見失うことがよくあります。それこそ、顧客心理や従業員心理というものは、KPIだけでは計測できませんから。数字で測れないものを「存在しないもの」と捉え始めた瞬間、事業経営におけるあらゆるものが瓦解していくと思っています。

ですので、一見すると測れないものを感覚的・直感的に理解しようと努めながら、KPIの追求も同時に実現させていく。これによって、より立体的に、リアリティを持って事業を経営していくことができるのではないでしょうか。

世の中には、「ロジカル=優秀」と捉えている人が多いと思いますが、それは違います。いずれ生成AIに取って代わられる時代がそこまで来ているので、これからは直感力ですね。論理的にわからないものを直感的に理解する力の方が、今後は重要になってくるでしょう。

中村高橋さんのお話を聞いてアップデートすることができたんですが、凡事徹底に加え、非効率を受け入れることも大切なのかなと感じました。

物事を論理的に突き詰めていくと、誰もが似通った答えに辿り着くと思っています。つまり、論理性はコモディティ化する。そのため、今の時代は非効率なこと、「別にやらなくてもいいんだけど…」ということにも手を伸ばさないと差別化できないことってあるんじゃないかと思っていて。競合との差別化を考えると、非効率側にこそヒントがあるのではないかと思っています。

高橋褒め言葉ですが、スタートアップの経営者って「異常者」が多いと思うんです。他者には理解できない異常なこだわりを持ち、非効率とされるようなことでも徹底的にやり抜く。そうすると、もはや誰も追い付けなくなりますよね。

──すると、お二人も周囲から「おかしい」と言われることがありますか?

中村暑苦しいかと思いますが、私は仕事においていちいち週刊少年ジャンプ的な考え方をするので、細かいタスクにも夢を持ち込もうとするところがあります(笑)。

弊社のバリューに「Exciteful」というものがありますが、「トイレ掃除ひとつとっても、会社の環境が改善されて働きやすさが高まり、モチベーションが向上した結果、事業にも好影響をもらたすかもしれないんだから、本気でやろうよ」みたいなことを語っちゃうイメージです。

高橋私の場合、とある事業に1年ぐらいコミットしてきたなか、何の躊躇もなくクローズさせ、また次の事業に全速力で取り組めるといったことがあり、その点に対して異常だと言われたことがあります(笑)。

「この事業に賭けてやってきた人がいるんですよ…?」と言われることもありますが、あくまでも目的はナイルのミッション実現です。なので、皆の想いはわかるけど、今はこちらが最短ルートだからこちらの道を走らせてくれと、話をひっくり返すことも時にはあります。

──お二人の人柄が伺えて、会社のカルチャーも見えた気がしますね。

中村そうだと嬉しいですね。

高橋「ここは絶対にこうしたいんだ」という代表のこだわりを喜んで許容してくれる人を集めることも、組織の長としての役割だと思っています。「あなたの代表としての言動は異常だ」と組織のカラーを無理やり変えようとする人が出てくるなら、それは代表の採用責任だと思います。

自分の価値観や振る舞いを組織のメンバーたちは理解してくれるのか、理解してもらうためにはどんなメッセージを伝えるべきなのか、そして採用はどういった基準であるべきかなどを定めていくべきでしょう。

──ありがとうございます。それでは最後に、視聴者の方々が明日から使えるマーケティングTipsがあれば、ぜひお聞かせいただきたいです。

中村KPIを追って仕事をしている方が多いと思うので、そのKPIが置かれている理由をきちんと説明できるようにすることが重要かと思っています。

自身のKPIの項目が何かはわかっている人が多いと思いますが、追いかけている理由について「なぜ今、そのKPIを追うのか」まで説明できる人は少ないのではないでしょうか。その背景や目的まで理解した上で日々の業務に臨める人は強いと思います。

高橋私は、上場している、または上場する競合や、あるいは競合ではないがビジネスモデルが近い会社の決算説明書を読むことをおすすめします。この意味は、各社のCPA、CAC、LTVがどうなっているのか推察することが大事だということです。これをやると市場への理解が進むのでぜひトライしてみてください。

──ありがとうございました。それでは最後に、視聴者のみなさんに一言ずつお願いいたします。

中村終盤で「異常」「狂っている」というワードが飛び交いましたが、事業に熱狂するマーケターが増えることで、際立つサービスが生まれ、日本がより良くなっていくと思います。共感いただける方がいましたらぜひ一緒にセブンデックスでマーケティングを突き詰めていけたらいいなと思っています。

高橋私からは、「鶴の一声」について。経営者がその一言を発していくことは大きな意味を持ちます。その中で、ぜひ経営者のみなさんは「悪い鶴」ではなく「良い鶴」になっていきましょうとお伝えしたいです。

経営者こそ現場に出ていってお客様の声を聴き、経営者だからこそできる異常なコミットメントで良い「鶴の一声」を発する。そうした経営の仕方ができると事業は良い方向に変わっていくと思うので、ぜひお互い切磋琢磨しあいながら努力していきましょう。

こちらの記事は2023年10月11日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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