巨大産業・製造業界の根幹を支える「サプライチェーン」をデータでアップデートする。シリーズAで総額6.2億円の資金調達──株式会社Resilire
重要なのは、調達額の大きさ?バリュエーション?ラウンド?いやいや、スタートアップの資金調達とは、もっと奥深く、緻密で複雑なものである。
FastGrow編集部では、調達リリースを見るたび、その裏側について思いを巡らせ、その後のビジョンについて予測や仮説立てをしてきた。そのために知りたい情報を、ぜひ外部向けにも記事としてまとめてみよう──そんな想いで始まったこの連載。
今回は、2024年4月に資金調達を発表したResilire(レジリア)について、その「横顔」をまとめる。
FastGrow編集部が注目するポイント
注目ポイント1
ウェルスナビ 執行役員 CTO、LegalOn Technologies 執行役員 営業本部長、Cygames 執行役員 海外事業部責任者、アンドパッド テックリードの経験者が集結
注目ポイント2
2023年のARRが前年比5倍成長、解約率0%。プロダクト上でデータ基盤を構築する事業モデルで急成長
注目ポイント3
ファーストプロダクトであるリスク管理SaaSから得られたデータを軸に、サプライチェーンの課題を抜本的に解決するデータ連携インフラを目指す
代表を始めとした、同社のメンバーについて
(1)代表取締役 津田 裕大 氏
調達に際してのコメント
Resilireはサプライチェーンリスク管理SaaSとして、産業を代表する名だたる製造企業に導入を進めてきました。
一方、顧客はリスク管理だけを求めておらず、そこから得られたサプライチェーン構造データを軸にサプライチェーンの最適化が実現されていく未来に期待していただいています。事業戦略上も、リスク管理はサプライチェーン領域にエントリーする為のスタートラインと位置付けています。つまり、ここから如何にファーストプロダクトから得たデータを軸に解決の幅を拡大できるかが経営上最も重要な取り組みとなります。
Resilireの強みは、サプライチェーンデータを社内外でシームレスに連携させることができることです。今回の資金調達で、この強みを活かし、機能拡充や組織体制強化を加速させることで、世界中の企業が直面するサプライチェーンの課題を抜本的に解決するサプライチェーンデータ連携インフラへと成長していきます。
これらを実現するために多くの強力な仲間が必要です。800兆円の巨大な製造産業全体を支えるサプライチェーンを変革したい方、モノづくりの未来を一緒につくりましょう。
ResilireでシリーズAの資金調達を実施いたしました!
— Yudai Tsuda / Resilire CEO (@yudaitsuda0301) April 18, 2024
さらに大きな期待を頂き大変嬉しいです
モノづくり産業全体に大きなインパクトを出せるよう取り組みを加速させてまいります!
「データでサプライチェーンをアップデートする」Resilire、総額約6.2億円の資金調達を実施 https://t.co/l3b7q4JJPG
プロフィール
1996年、兵庫県西宮市生まれ。Webコンサルティング会社でのUI/UXデザイン、営業代行会社での営業・セールスチームのマネジメント業務、法人向けWebコンサルティング企業の起業・経営等を経験。
その後、2018年9月、Tech Design(現 Resilire)を創業。世界を変える30歳未満が選ばれる「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022」及び「Forbes Asia 30 UNDER 30 2023」に選出。
(2)CS 中瀬 良樹 氏
FastGrowからの紹介フレーズ
顧客価値にこだわった事業作りに惹かれて参画した、スタートアップCSマネージャー経験者
プロフィール
大学院でMBA取得後、新卒で武田薬品工業にMRとして入社。その後、山田コンサルティング、デロイトトーマツコンサルティングを経て、2019年よりカスタマーサクセスの立ち上げ責任者としてLegalOn Technologies(旧社名 LegalForce)に参画。大企業〜零細企業まで担当し、組織構築も経験。
その後、営業・マーケティング戦略部の責任者も務め、売上計画策定やKPI開発、プライシング策定、営業組織やプロセスの再編、採用計画策定から採用面接の実施など幅広く経験。米国公認会計士。2023年1月にResilireに入社。
調達の概要
プレスリリース |
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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000044535.html |
調達額 |
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6.2億円 |
ラウンド |
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シリーズA |
主な使途 |
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サービス・プロダクトの機能強化 |
採用強化 |
投資家からの評価 |
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2回のシード投資を経て、今回リード投資家となったDNX Venturesは、自然災害や地政学リスク、輸出入規制などサプライチェーンの寸断リスクの高い日本発だからこそ、「グローバルに革新をもたらすプロダクトへと発展するポテンシャルを持っていると確信しています」としている。 また、同じく今回投資したArchetype Venturesも「しっかりトップラインを作りつつ、より根源的なサプライチェーン課題に対応できる基盤へのプロダクトの進化、頼れるチームの構築を着実に成し遂げてきた」と評価するなど、期待が集まっている。 |
関連ポスト
サプライチェーンリスク管理SaaSを提供するResilierのシリーズAをリードさせて頂きました!
— 倉林陽(Akira Kurabayashi, Ph.D) (@kurabayashi_vc) April 19, 2024
製造業も多く、災害も多い日本から世界をリードするプロダクトが登場すべき領域だと思っています! https://t.co/YoMZThywVs
Way to go!! Resilire!! https://t.co/vFTC3vEdxs
— Shumpei Fukui / Archetype Ventures (@shumpeif) April 18, 2024
主なサービス・プロダクト
『Resilire』
サプライチェーンの可視化、国内外のリスク検知、有事の際の影響調査の機能を搭載したサプライチェーンリスク管理SaaS。
サプライチェーンのつながりをツリー状に図式化し、直接の取引先だけではなく、二次取引先以降のサプライヤーも可視化。有事の際は速やかに影響エリアや影響度を可視化できるため、迅速なリスク検知と対応策検討を可能にする。
導入先の大手製造企業からは「サプライチェーン構造が見える化されたことで、供給リスクを加味した購買戦略の立案と計画策定ができるようになった」「リスク発生時の影響把握期間が1/3に短縮できた」といった声が上がっている。
FastGrow編集部の注目ポイント
- 製造産業全体を支えるサプライチェーンの変革を促すプロダクトで、ブルーオーシャンな市場を攻めている
- ネットワーク効果でエンタープライズによる導入が加速している
- 業務課題ではなく、経営課題に向き合うサービス
採用関連情報
こちらの記事は2024年04月19日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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