「同期で1番なんて目指してもしょうがない」
ガイアックスカルチャーで育った20代が語る、Hard Thingsのすゝめ
若くして、会社の中で「突き抜ける」人材に共通することは意外とシンプルだ。裁量が小さく、目立つ機会の少ない若手時代でも自分のミッションと向き合い、泥臭く成果にコミットする──。1つの「機会」を全力で打ち返し、プロアクティブに取り組む姿勢が新たな機会を呼び込み、活躍へと繋がるモメンタムが生み出されるのだ。
活躍を志す若手人材にヒントを与えるイベントが、「起業家輩出企業」として知られる株式会社ガイアックスの主催で開催された。『Hard Thingsを乗り越えろ!新規事業・支社立ち上げ、M&Aを最速で経験した2名が明かす事業家の真価』と題されたこのイベントには、就職活動を控える学生が集まった。
登壇者はガイアックスカルチャーのなかで急成長してきた二人の若手──アディッシュ株式会社で経営管理部・部長を務める松田光希氏と、ガイアックス管理本部・採用マネージャーの流拓巳氏だ。
松田氏は自身のキャリアを振り返り、成長をもたらした要因として「アホな勘違いが成長角度を変えた」と語った。20代で早くも実績を上げてきた二人は、どうやって困難を乗り越え現在に至る思考を身につけていったのか。当日のイベントの様子を、ダイジェストでお送りする。
- TEXT BY HAYATE KAWAJIRI
- EDIT BY MONTARO HANZO
トップ社会人の「基礎」が学べる場所、ガイアックス
松田氏は、新卒でガイアックスに入社し、1年目から経営管理部のM&A担当に就任。M&Aの知識がほぼゼロの状態からひたすら議事録を取り続け、業務外では毎日のように専門書を読み漁っていたと語る。
そんな日々を乗り越え、入社5ヶ月目にはソーシングからPMIまで関わり、M&Aを成立させるまでの実力を身につけた。現在では活動の場をガイアックス投資先であり、カスタマーサポートやソーシャルメディアモニタリング事業を行うアディッシュへと移し、経営管理業務の統括を担当している。
松田僕はもともと起業家志望でしたが、お金もスキルもないなか、なかなか一歩目を踏み出せずにいました。そのため、そこで、まずは「事業を回す」経験を積もうと考え、新卒から新規事業の責任者になれる可能性のある会社を探していたんです。そこで見つけたのが、ガイアックスでした。
流氏は、大学4年次の内定者インターンからガイアックスにジョイン。数百万円の広告運用や新規事業の関西拠点責任者など、学生ながらも異例の裁量権を任されていた。
現在は同社でHR部門のマネージャーを務め、一貫して事業にコミットしてきた。彼の至上命題は、プロジェクトを立ち上げる力をつけ、可能性を広げていくことだという。
流学生時代、人材紹介会社のヘッドハンティング業務を担っていたこともあり、多くの人びとの転職や副業を眺めていました。そこで学んだことは、「転職は業界や会社に関係なくできる」ということ。物流業界で経理を担っていた人が人材業界で経営企画職に就くように、飛び越える人びとを多く見てきました。
その経験を積むにつれて、自分には実現したい2つのビジョンがあることを知りました。1つが「世の中から他人事をなくす」こと。2つ目が「成功体験を積まず勇気がない人にきっかけを与える」でした。自分のキャリアを選ぶ上で、全方位的にスキルを身につけられるガイアックスで経験を積むのが最適解なのではないかと思ったんです。
「人生経験をスプレッドシートにまとめている」。後悔のない若手時代を過ごすために、何ができるか
ガイアックスで育ち、徹底的に成果を追求するなかで、20代という若さにもかかわらず部長やマネジャーといった責任ある役職を任されるようになった二人。イベントでは「なぜ困難な道を選んでいるか」や「Hard Thingsを超えるためのマインドセット」について語られていった。
流僕自身、内定インターン時代に上司から言われた「君は何ができるの?」という言葉が転機となったと実感しています。それまで20年近く全力で生きてきて、就職活動では何度も自己PRをしてきたにも関わらず、新規事業に入ってもできることが何もなかった。プログラミングもできない、統計もできない、できないこと尽くめななか、2年目の先輩(松田氏)は子会社の立ち上げをしている。自分の無力さを感じました。
流氏は定期的に自身の行動を棚卸し、「自分の理想像に近づけているか」を定期的に振り返ることが、行動力の源泉になっているという。
流人生で起きた経験をすべてスプレッドシートにまとめています。僕の人生設計において必要な項目を満たすためには、普通に生きていても無理だろうと。だから中途半端に生きていても意味がないと思い、常に「すべての要件を満たすにはどうすればいいのか?」を意識しているんです。
そうして二人は学生に向けて「Hard Thingsを乗り越える大切さ」を説いていく。
松田バッティングセンターで速い球を打てるみたいに、プロジェクトを成功させるたびに、打ち返せる仕事のレベルが上がっていき、楽しみが増えていくんです。
私の場合は、M&Aを任された4ヶ月後に投資系の子会社とファンドをつくることになったんです。もちろん最初はまったくの素人なので、専門書を3冊ほど読み込んだ上でプロフェッショナルと呼ばれる人々にお話を伺うことになる。そういった無茶を繰り返すなかで、この仕事に対する肌感覚が身についていきました。
流僕にとってHard Thingsとは、身の丈に合わない仕事のこと。そして、Hard Thingsを乗り越えるなかで、さらなるHard Things、もっとすごいHard Things…とより高い壁に挑戦する機会を得ることが、人生を最も楽しむ方法だと感じるようになっていきました。なぜなら、できる仕事の幅を広げられ、困っている人に頼られる力や、自分よりも立場が上の人から声をかけてもらえるチャンスをもらえるかもしれないからです。
「同期で1番」を目指してはいけない。入社からスタートダッシュを切るための心得
イベントの終盤、話題は「学生に向けたアドバイス」に切り替わった。タフな環境である一方、代え難い達成感を味わえるスタートアップ。20代のうちに圧倒的な成果を出してきた二人だからこそ見えてきた、「新入社員が意識すべきこと」や「ファーストキャリアの選び方」について語られた。
松田新入社員がよくする間違いは、「同期のなかで1番になる」のを目指すこと。同期が数十人と入る会社に入ると、周りとの差が気になってしょうがないと思うんです。もちろん同期のなかでトップを目指すのも誤りではないですが、組織のなかで戦っているわけではなくて、マーケットのなかで1番を目指す姿勢が大切です。
流漫画『ワンピース』のなかで、ウソップが懸賞金1億ベリーを超える方法は、麦わらの一味にいるしかないと思うんですよ。10人ほどの組織に属して、狙撃の責任者として活躍することで、個人としての実力以上のバリューを社会に発揮している。僕も、ウソップと同じことをやっているんです。
だからこそ、起業家志望の学生にも「優秀な人が集まる組織でHard Thingsを乗り越える」選択肢を考えてもらえればと思っています。
松田学生時代におすすめなことが「自分の手で1円以上稼いでみる」こと。家にあるものをメルカリで売ってみたり、イベントを開いてみたり、アルバイトで雇われずに自分一人だけで何かをやってみるのが大事で。起業も結局、そうやって誰かに価値を提供してその対価をもらうことの延長でしかないと思うんです。だから、小さくても何か自分だけの手で「収益」を生む活動をしてみて、ビジネスやお金の流れを掴むことが最も手っ取り早い方法であるはずです。
トークセッション後、交流会が開催された。就職活動に対する日々の悩みから、以前掲載された流氏の記事に関するガイアックス式“Hard Things”の裏話まで、進路選択の手がかりを掴む機会となった。
苦しい道のりを選びながらも着実と自分の理念に向けて歩み続ける二人の姿からは、“普通の就活イベント”では得られない熱量や、成果を出すためのマインドを学べたに違いない。
「Hard Thingsを乗り越える」ことは決して簡単なことではない。だが、ビジネスマンとして成果に悩んだときに振り返りたくなる。そんなイベントだったのではないだろうか。
こちらの記事は2019年09月10日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
川尻 疾風
ライター・編集者(モメンタム・ホース所属)。在学中に、メルマガ・生放送配信やプロデュース・マネジメント支援を経験。オウンドメディアやSNS運用などに携わったのち、現職へ。起業家やクリエイターといった同世代の才能と伴走する存在を目指す。
姓は半蔵、名は門太郎。1998年、長野県佐久市生まれ。千葉大学文学部在学中(専攻は哲学)。ビジネスからキャリア、テクノロジーまでバクバク食べる雑食系ライター。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
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