ギリギリの難易度を攻める。
これぞ若手育成の鍵──ISIDのマネジャー・若手対談にみる、成長と働きやすさの実態
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成長も働きやすさも、その源泉は「自らの意志でやっている」という自己決定感にあり、両立し得るものである。
電通国際情報サービス(以下、ISID)の執行役員・中村 優一氏に取材した前回の記事は、“働きやすさと成長はトレードオフ"という通説を見事に打ち砕き、大きな反響を呼んだ。
「プロジェクトのアサインを受け入れるかどうかの時点から若手の意志を尊重する」という“任せる"カルチャーの徹底ぶり。メンバーが自律的に動く組織をつくる上で中村氏が意識しているポイントは、マネジメントや組織づくりに携わる読者にとってもおおいに参考になったことだろう。
若手がやりがいと成長を実感し、自律的に動いてくれれば、社員にとっても組織にとってもこれ以上のことはない。しかし、そう簡単にうまくいくものだろうか。何か語られていない“裏”があるのでは……?
疑念を捨てきれない編集部は、新卒入社3年目の相原氏と、彼のプロジェクトマネージャーを担当した岡氏に取材を依頼。若手とマネジャー、両者の視点を交えて、ISIDの成長環境の秘密に迫った。
- TEXT BY MARIKO FUJITA
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
「1人で北米出張へ行ってもらいます。
彼でないと推進できないので」
若手の成長や裁量権の大きさを売りにする会社は多い。
そのため、いくら「若手が活躍している」「裁量が大きい」と言ったところで、「実際はたいしたことないんじゃないの?」と思う読者もいるだろう。
そこでまずは、ISIDの若手の仕事ぶりを簡単に紹介してみたい。
「来年5月には1人で北米出張に行ってもらう予定です。彼以外にプロジェクトを進められる人がいないんで」。
そう紹介されたのは、新卒入社3年目の相原氏。大手電子機器メーカーの案件を担当し、現在3つのプロジェクトの開発リーダーを務めている。そのうちの1案件は海外支社で使用するワークフローシステムの開発であり、北米出張にはリリース後の初期サポートのために行くという。
相原要件定義から設計、開発テストまで、メイン担当として進めています。僕はそんなに英語が喋れないので、言語の壁がある中でどうやってクライアントと信頼関係を構築するか、試行錯誤の連続です。
岡相原さんのこの案件は、言語以外の面でも難しかったですよね。通常、ワークフローシステムは、権限管理や承認プロセスに関する詳細な仕様が決まっていないとつくれないんですが、最初はそういった情報が何もなくて。相手がどんなシステムを欲しているのか、ヒアリングして整理しながら進める必要がありました。
しかも、それを英語でやらなきゃいけない。翻訳ソフトを駆使して要件確認用の資料をつくったり、それでも足りないところは海外支社の日本人担当者の方に間に入ってもらったりと、地道なコミュニケーションを続けて、ようやく形になってきたところですよね。
補足しておくならば、相原氏は海外志向が強いために「出張に行かせてほしい」と頼んだわけではない。クライアントのために必要だから出張に行く。それが偶然海外だった、という順序だ。ISIDでは基本的に国内の案件が多いが、クライアントがグローバルに展開している会社の場合は、英語を使ったり、海外出張に行ったりすることもあるという。
ともあれ、入社3年目にはすでにプロジェクトをリード。必要に応じて1人で海外出張に行くこともあるという若手のレベル感は伝わったのではないかと思う。
次章からは、相原氏の就活時代まで遡り、入社してからの経緯、そしてここまでの成長を可能にしたISIDが持つ環境の秘密を紐解いていこう。
入社してから、「やってみたい」と思ったことにチャレンジさせてもらえた3年間
1975年、電通とGeneral Electric Company(GE)の合弁で設立され、電通グループの一角をなすISID。しっかりとしたバックボーンと歴史を持つ同社だが、SIerとしての組織規模は大きくはなく、就活生の中での知名度はそこまで高いとは言えないのかもしれない。
実際、相原氏がISIDのことを知ったのも、就活の終盤だった。友人からISIDの存在を聞き、採用ページにあった“少数精鋭”というキーワードに興味を惹かれたという。
相原既に大手SIerや食品メーカーから内定をいただいていたのですが、「大きな組織だと個として埋もれてしまうんじゃないか」という懸念がありました。そこからISIDの面接に行ってみたところ、他社とまったく違う対応に驚いたんです。
一般的には、就活生が一方的に面接官から質問され、評価されるような面接が多いかと思います。しかし、ISIDは就活生とフラットにコミュニケーションを取っており、自然なやりとりだったんです。
それまでのどの面接よりも「楽しかった」と感じましたし、自分がその中でのびのびと働いているイメージが湧きました。
ISIDから内定が出たあとも「他の会社も好きなだけ見てから入社の是非を決めたらいいよ」と言ってもらい、自分の意志が尊重されているなと感じました。最終的には、そんなISIDの人の雰囲気やカルチャーに魅力を感じて、入社を決めました。
「若手が上から押さえつけられず、のびのびと働ける環境」を期待して入社したISIDには、想像していた以上の自由と裁量があった。相原氏は、入社してからの3年間を「『やってみたい』と思ったことにチャレンジさせてもらえた」と振り返る。
相原早くクライアントと話してみたいと思っていた1年目。はじめて要件定義を行う時も、先輩に1、2回やり方を見せてもらって、「じゃ、早速やってみようか。なにかあればフォローするから」と見守られながら自らトライしてみるという感じでした。
自分なりに試行錯誤してやってみたものに対して、「ここは危なかったね」「ここはこうした方がよかったね」とフィードバックをもらい、ログとして資料に残し、次につなげる。そうした改善のサイクルを繰り返す中で、自分のやりたいことを試し、成長してきたように思います。
また、他社では「まずは議事録係としてある程度勉強をしてから実践へ」という会社も多い中、ISIDでは1年目からフロントに立ってクライアントと話す機会が多いと感じますね。社会人としてのコミュニケーション能力は、そこで格段に磨かれました。
難しすぎず、易しすぎず。
ギリギリの領域を見極めたマネジメント
できる人にはどんどん任せる──。
能力のある若手を最速で成長させるには、これが1番の近道。配属後の育成フェーズでは、まずは自分なりに考えてトライさせ、フィードバックを与えて軌道修正していくのだ。
一方で、若手の育成においてスピードを出すことは、リスクが伴う。経験の浅い若手が実力以上の役割を担うことで、大失敗をしてクライアントを怒らせてしまったり、プレッシャーの大きさに本人が耐えられない、ということもあるかもしれない。
なぜ、そうしたリスクを覚悟してでも、いち早く若手を成長させようとするのか。そして、これらのリスクにどのように対処しているのか。この問いに対しマネジャーの岡氏は、「常にギリギリの領域を攻める」と、マネジメントの妙を語る。
岡ISIDでは近年、長期経営ビジョンとして『Vision 2030』を制定しまして、これからどんどん事業領域を広げていきたいんです。そのためには、メンバー1人1人が持っている知見やノウハウのスコープも広げていかなければならないし、若手にも早く育って自立してもらう必要があります。
とはいえ顧客からのクレームはあってはならないことですので、常にギリギリの領域を攻めるようにはしています。提案資料の作成からクライアントへのプレゼンまで、一連の業務を早く、一人前に実施できるようになってもらいたい。ですが、つまづきそうな点は事前にアドバイスしますし、打ち合わせもプロジェクト開始当初は一緒に出てフォローしていますよ。
本人の能力に対して、難易度が高すぎれば業務に支障が生じ、逆に難易度が低すぎれば学びがない。ギリギリの領域を見極め、リスクを最小限にして若手の成長を最大化できるかどうかが、マネージャーの手腕にかかっているのだ。
前回記事では、執行役員の中村氏が「アサインこそがマネージャーの最も難しい仕事」だと表したが、その理由がここにある。
そして、成長を軸にアサインするからこそ、メンバーにも納得感が生まれるのだという。
岡アサイン時には、なるべく本人の希望に沿うようにはしています。自分のやりたいことの方が意欲的に取り組めますし、成果も出やすいですからね。
それでも仕事なので、100%本人の希望を叶えられるとは限りません。だからこそ、その案件にメンバーが乗り越えるべき“伸びしろ”がどれだけあるかを基準にアサインを考え、本人に伝えるようにしています。
このように、ISIDには、アサインの納得感を出すための丁寧なコミュニケーション設計がある。「この案件によって、こうした経験と成長が得られる」というきちんとしたストーリーがあれば、たいていは納得感をもって受け入れられるということなのだ。
“助けを求める”、これもISIDでは1つのスキルだ
能力的にできるかできないか、ギリギリの領域に挑戦し続けることで、おのずと成長は促されていく。
一方で岡氏は、「成長には、“修羅場”とも呼ぶべき困難を乗り越える経験が絶対に必要だ」と語る。
「結局はしんどい思いをしなければならないのか」と思われるかもしれないが、単にタフな体力や精神力を身につけるためではない。大きなプロジェクトを動かす上で最重要のスキル──“適切に助けを求める能力”を磨くためだ。
実際、相原氏も、最近1つの“修羅場”を乗り越える中で「冷静に状況を把握し、周囲に助けを求めるスキルが格段に上がった」と語る。
相原僕がメイン担当として開発し、リリースした会計系ワークフローシステムについて、「データの値がおかしい、承認が飛ばない」というクライアントからの問い合わせがきました。
最初は何が起きたのかを知りたくて、まず自分で原因を調べるというアクションを取ろうとしたんです。しかし、そうしている間にもクライアントの業務は止まっているし、クライアントは我々からの説明を待っている状況。
原因の調査やデバッグは僕以外のメンバーでもできますが、目の前のクライアント対応は僕にしかできません。そこに気づいて、調査やデバッグは他のメンバーに任せて、僕はクライアントへの謝罪と説明の対応に回りました。
相原プロジェクト推進の経験が浅いと、つい目の前の、手が出しやすいタスクから片付けようとしがちです。しかしこの経験から、プロジェクトを成功に導くためには、自分ができることから着手するのではなく、チームの中で自分の役割を冷静に捉え、自分が今やるべきことから着手するのが大事なんだと気づきました。
そしてそのためには、周囲のメンバーにどんどん頼っていくことが必要なんだということも同時に学ぶことができましたね。
岡1人で責任を持ってシステムを運用するって、言葉で言うほど簡単ではないんです。今回のようなバグが起きたら、原因を調査して、修正して、クライアントの関連部署にそれぞれ謝罪と説明をして、社内でもレポートを上げるということをしなければいけません。
当然1人ではそのすべてに対応しきることはできません。いろんな人に助けを求める必要があるでしょう。また、クライアントのニーズに応えるためにも、誰の力を借りればいいのか、わからないなら誰に聞けばわかるのか、適切に組み立ててコミュニケーションをとる力は非常に重要です。
1人で難なく完結できる仕事に成長はありません。“助けを求める”スキルを身につけてもらうために、いかにチームとして困難を乗り越えていく経験を積ませるか。言い換えれば、いかに“適切な修羅場”を与えられるかも、マネジャーの重要な役割だと考えています。
さらに、周囲に助けを求めるのには、それなりに勇気がいる。そのため、マネジャーの視点では“話しかけやすい雰囲気”をつくることが重要だと岡氏は語る。
岡上司が忙しそうな時や何かのトラブルでイライラしている時、周りの人は話しかけるのを躊躇しますよね。でも、これはあくまで仕事なので、感情を優先して不機嫌になるのはビジネスパーソンとしてダメだと思うんです。例えば、PCを操作しながら部下の話を聞くとかは、もってのほかです。
なので、僕の場合は、何かトラブルがあってもなるべくそれを引きづらないで切り替えるように心掛けています。そしてそれは僕だけでなく、他のマネジメントメンバーも同じです。ISIDには、“若手が話しかけやすい空気”をつくる工夫をしている人が多いと感じますね。
相原たしかに若手メンバーの中で「あの先輩は話しかけづらい」とか「人として苦手」みたいな話は、聞いたことがありません。岡さんの言うように、空気づくりを先輩方がしてくれているお陰だと思います。
普段から、堅い仕事の話だけでなく、雑談やプライベートな話ふくめて、カジュアルにコミュニケーションを取り合うカルチャーがISIDにはあるんですよね。
SIerっぽくない!?
創業から受け継がれるポジティブ・マインド
そもそも日本では、他者に頼ったり、助けを求めることが、“迷惑”・“未熟”と捉えられ、「物事はできるだけ他人に頼らず、自力で解決しなければならない…」と捉えがちな風潮があるように思う。
また、システム開発という職種においても、専門的知識を持った人が1人で黙々とやる仕事といったイメージを持っている人もいるだろう。しかし、ISIDでは開発スキルと同等、ないしそれ以上にコミュニケーション能力が重視されるのだ。
なぜなら、プロジェクトを進めるためには周囲を巻き込むことが不可欠であり、また、上下分け隔てなくフラットに連携できる組織の方が事業成長につながると考えるからだ。しかし、ここまでは他のSIerでも言えること。ISIDが他のSIerと異なり、開発力と等しくコミュニケーションを重視する決定的な要因は、企業としての生い立ちにみることができる。
その様を表す一例を挙げよう。ISIDは時として、社外から「SIerっぽくない」と称されることがあるというのだ。この点については、前回の取材において執行役員・中村氏も語っていたが、ISIDの創業事業は実は商社。その生い立ちを踏まえると、SIerとしては異彩を放つ同社のカルチャーにも納得できるのではないだろうか。
また、2019年に現場の社員発案で刷新されたISIDの行動指針である『AHEAD』。この中の『Humor』には、“人間魅力で超える”と記されている。まさに上に挙げた、人と人とのコミュニケーションにおける同社のスタンスが見て取れるだろう。
そんなISIDのカルチャーの一端を把握できたところで、最後は同社のカルチャーにフィットする人物像を聞いてみた。
岡一言で言えば、“ポジティブ”ということですかね。仕事でしんどいことがあっても、1人で抱え込まないで周囲を巻き込んだり、逆に困っているメンバーに対しては手を差し伸べたりできる人です。
そんな風に周囲と協力しながら物事を進められる人は、うちの会社にフィットすると思いますよ。あと、その場の雰囲気をポジティブにできる、ユーモアさを兼ね備えていることも重視します(笑)。
相原ユーモアさ、ISIDでは大事ですよね(笑)。僕からは、理系や文系に関わらず、コミュニケーションをしたり、誰かに寄り添って信頼を獲得していくことに楽しさを感じる人であればオススメだということを伝えたいです。
相原なので、例えば文系で営業職を目指している方でもISIDはフィットすると思います。「理系出身でシステム開発ができないとハマらないのでは…」と思う人ほど、ぜひ一度ISIDの雰囲気を知ってもらいたいですね。
そして、ISIDの組織規模は約1,700人程度と、大手SIerの数十万人規模と比べると決して大きくはない組織です。だからこそ、役員や部長たちとの距離が近く、「聞いたよ。このプロジェクトは君がやったんだって?」と頻繁に声を掛けてもらえるような風通しのよさがあります。
自分の活躍をしっかりと周囲に認めてもらいたいと思っている人には、ISIDはちょうどよい規模感なのではないでしょうか。
前回の記事と本記事を通じて見てきた、働きやすさと成長の関係性。ISIDを事例に紐解いてきたが、いかがだっただろうか。おそらく、記事を読む前の常識と、今のそれには多少なりとも変化が起きていることだろう。
であれば、この“働きやすさ”と“成長”、わがままに両獲りを狙ってみるのも面白いかもしれない。少なくとも、今回紹介してきたISIDには間違いなくその環境があるのだから。
「若手のうちから大きな案件を主導してガンガン成長したい(でも、自分の意志なくただただキツイ仕事を任されるのは嫌だ)」。「IT業界に興味はあるものの、どこも開発力ばかりにフォーカスが当たっている(自分はクライアント対応力を武器に磨いていきたいのに…)」。
そう感じている読者がいたら、ぜひISIDの門戸を叩いてみたい。そこには、唯一無二のカルチャーと、若手を最速で育てるダイナミックな成長環境が待っているのだから。
こちらの記事は2022年12月20日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
藤田マリ子
写真
藤田 慎一郎
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