連載新生キャディ
経営陣の覚悟こそ、前例のないハイグロース企業をつくる核──新CHROが語る、事業統合の“ゆらぎ”を経た第二創業期の組織づくり
Sponsored「モノづくり産業のポテンシャル解放」を掲げ、グローバルで製造業のDXを推進するキャディは2024年10月、CHRO(最高人事責任者)のポジションを新たに設置し、創業メンバーの1人である幸松大喜氏が就任したことを発表した。
2017年の創業以来ずっと事業の最前線にいて、HRは全くの未経験だという幸松氏が、今このタイミングでCHROに就任した背景には、2024年7月に満を持して発表された「事業統合」がある。創業から提供してきた『CADDi Manufacturing』を『CADDi Drawer』に統合し、製造業AIデータプラットフォームとしてキャディの第二章を歩み始めるのだという。
事業統合に際しての一部事業終了は難しい意思決定だったと話しつつ、「ミッション実現への到達スピードは大きく向上した」と言い切る。その理由や、経営陣としての覚悟、そして新たな戦略を網羅的に聞かせてもらった。そして何よりCHROとして、「まだまだ未完成な第二創業期のキャディ」をどのように変えていくのか、という点にも着目してほしい。
先日公開した連載1記事目にて、この3つの謎を紹介した。
1.事業は伸びているのか?
2.組織はもう出来上がっている?
3.“成果が全て”なドライなカルチャー?
本記事では、1点目を起点としながら2点目に関して「組織の未完成度」の実態に迫っていく。
では、1万字を超える単独ロングインタビューで、キャディの実態をじっくりと確認しよう。
- TEXT BY YASUHIRO HATABE
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
どのスタートアップよりも面白い第二創業期がキャディで始まった
幸松氏に今のキャディの状況をたずねると、まずは率直にその感情を吐露してくれた。
幸松基本的には、大変です(笑)。世界最大規模の産業に向き合う中で、これまでにまったく存在しなかったAIプラットフォームをつくるという方向に全振りしたわけですからね。
2024年7月に発表した既存事業の統合。創業メンバーである幸松氏も「大変」と感じるほど、キャディ創業以来の激動の時期であるようだ。だが、難しい意思決定における自信と覚悟が、そこにはあった。
幸松私たちが攻め入っているのは、常に新しい領域。だから、人は常に足りないし、最強の武器(プロダクト)を最初から持ち揃えているわけでもない。なんなら「武器をつくりながら頑張る」という状態がずっと続いています。
そんなプレッシャーの強い環境で、メンバー一人ひとりが今もどんどん大きな挑戦をしてくれています。なぜなら、壮大なミッションに対する共感を等しく抱いてくれているからです。創業期からのこの雰囲気が、600人規模となった今でも変わらない点に、手前味噌ながら「やっぱり、数あるスタートアップの中でも、一番ぶっ飛んでいるスタートアップだな。面白いな」と感じています。
事業統合について、同社は「第二章」が始まったと表現。これまでも企業フェーズの変化は何度かあったが、その中で最も大きな変化になったと振り返る。
この「第二章」という言葉、さまざまな企業が使うが、キャディほど劇的な転換を果たしハイグロースの兆しを見せているスタートアップは、そういないだろう。
転換とは、連載1記事目で紹介した、祖業であるCADDi Manufacturing事業を、正式ローンチから2年のCADDi Drawer事業に統合し、製造業AIデータプラットフォームとしてリスタートしたことだ。
幸松Manufacturing事業はAIデータプラットフォームに統合されるかたちになります。ですが、決して事業が伸びていなかったわけではありません。成長していたし、むしろ今後も成長は見込めていました。
それでも、業界に大きな変化が起こせたとはまだまだ言えない。このままでは、自分たちが生きているうちにはミッションの実現ができないのでは、そう感じてしまったんです。
少しでも早く、AIデータプラットフォームにフォーカスし始めることが、ミッション達成に間違いなく早く近づく道だと判断した、という背景です。
事業統合によりManufacturing事業の知見を受け継ぐことになった『CADDi Drawer』という新たな“武器”。T2D3を超える速度で急成長し始めているという。
幸松Manufacturing事業では、リアルな「モノ」を提供するかたちでミッション実現に向かっていました。
これからは製造業AIデータプラットフォームとして、図面を含むモノづくりのあらゆるデータを資産化するという切り口で、ミッション実現に向かっていきます。これにより、開発・設計段階から、販売や経営まで非常に広い範囲で変革を推し進めることができます。
これからさまざまなアプリケーションを載せるイメージで、新しいサービスをアジャイルに開発していきます。同時に、他社にサードパーティーとしてサービス展開することも考えられる。非常に大きな成長可能性があると感じています。
製造業のタブーに触れても事業統合を選んだ「覚悟」
とはいえ、事業統合することでプラスとなる側面が大きいのだとしても、これまで多くの顧客が『CADDi Manufacturing』を利用していたはずだ。幸松氏も創業から関わる1人として葛藤はなかったのだろうか。
すると「もちろん」と口を開き、社外・社内の2つの方向性での不安を生々しく吐露した。
幸松Manufacturing事業をこれまで利用していただいてきたお客様へのサービス提供を止めることになりました。その責任はとてつもなく重い。なぜなら、製造業の流れを止めてしまうわけですから。ある意味タブーともいえる意思決定なんです。
事業統合を発表したことへの反響はさまざまでした。ただ、意外にも町工場の経営者の中には、「大胆に決めたね」とポジティブな意味合いで言ってくださる方もいらっしゃり、驚きました。
一方、経営レイヤーでは一定のご理解をいただけたとしても、実務レベルでは厳しいお叱りをいただくことも少なくありませんでした。
社外向けに事業統合を伝えていく中で、現場のメンバーたちが直面した、綺麗事では済まない部分。それだけキャディへの期待と信頼があったことの裏返しであり、それだけ重く「覚悟」の伴う意思決定だったことが分かる。
また、社内向けにもまた違った難しさを幸松氏ら経営メンバーは抱えていたという。
幸松統合の意思決定をしたとき、社内のメンバーに話したらどんな反応が起きるか。それは正直読めませんでした。
もしかしたら、スッと受け入れられるかもしれないし、逆に大論争が起きて大崩壊につながるかもしれない。五分五分かなという感覚でした。それほど衝撃的な、大きな意思決定でしたから。
急遽、全社員が集まる場を設け、直接経営陣からの説明を行った。その後も2日間、個別に話す時間をつくって各社員とも話したという。発表前は「なぜ急遽召集…?」と思っていたメンバーも多くいたが、この2日間を経て、不安が薄れていくのを感じたという。
幸松あるメンバーは、「今の成長率だとミッション達成には届かないかもしれないと感じ始めていた。どうしていくのがいいか、自分も改めて考えていた」と話してくれました。
また別のメンバーは、「自分もManufacturing事業をやってきたけれど、『CADDi Drawer』を使ってみると、これが進化した先には、Manufacturing事業が必要ないくらいすごい世界が開けそう」と言ってくれています。Manufacturingへの愛が強い人でも、そういう目線で話しているメンバーはいるんですよね。
改めて、「大きなことを成し遂げよう。大変なことはあるけれども、そのためにベンチャー企業に来たんだ」と奮い立つ集団となっていたことに気づきました。嬉しい気付きでしたし、今後に向けた何よりも強い底力だと思います。
反省はあるが、後悔は微塵もない。新たな「AIデータプラットフォーム構想」にはそれだけのポテンシャルを感じているということだ。
幸松創業以来、最も大きな意思決定だったと思いますし、日本のスタートアップの中でも稀に見る大きな決断をしたという自負があります。
意思決定のタイミングが正しかったのか、もっと早く気づけたんじゃないか、そうした反省がないわけではありません。
一方で、失敗を恐れて「難しい投資に踏み込まない」という意思決定になってしまっていたら、凡庸な会社に収まっていたかもしれない。
製造業の変革という、大きな夢に向かって始めたのがキャディです。常に、考え得る最大規模のリスクを取ってチャレンジしなければならない。失敗することだってありますし、失敗して初めて見えるものもあります。
今回の意思決定は、戦略的にも正しかったと思っていますし、何より、これからの必死の戦いによってより大きな正解にしていくことが重要だと思っています。
組織の在り方にオーナーシップを持てていなかった
幸松氏が語るエピソードから、視座の高いメンバーたちの存在がうかがえる。だが、CHRO就任という文脈では「組織をしっかり整えなければ」と神妙な面持ちを見せた。その背景から、HRの経験を持たない幸松氏が今このタイミングでCHROのポストを新設して就任した意味が見えてくる。
幸松前提として、「事業」と「組織」をきっぱりと分けられるものではないと、これまでもずっと思ってきました。第二創業期を迎えた今、事業だけでなく組織もフォーカスしていくことがこれまで以上に重要です。
ビジネスモデルの観点での構想や戦略はある程度固まってきました。とはいえ事業の難度が下がるわけでは決してありません。非連続的な成長をさらに続けていくために、事業をつくりつつ、組織も着実に大きくしていく必要性がある。
なのでここからは、より多様なメンバーを受け入れ、活躍してもらえるようにしなければ、と強く感じています。
既存メンバーの育成と同時に、外からも優秀な人を採用し続ける。この両輪がうまくかみ合って回っていくことで、ようやく我々の理想的なハイグロース企業になっていくと考えています。正直、今のままの制度設計やカルチャーの延長線上では、そこまでたどり着けない可能性が大きいと思うんです。
その理想に向け、何が必要か?そんな思考から、「自分以外にできる人はいないだろう」と考え、自ら手を挙げたのだった。この考えに至るまでには、「これまで組織課題へのコミットメントが薄かった」との気づきと反省がある。
幸松恥ずかしながら、事業の前線にいたときは、会社全体の組織の在り方にオーナーシップを持てていたわけではありませんでした。
組織にはHR部門があり、ゼネラルマネジャーのレイヤーも全員組織に関わっていたので、良くも悪くも責任や覚悟が分散していたのでしょう。今思えば、制度をつくるときにもっといろいろな意見が出て然るべきだし、評価の仕組みやカルチャーについても、もっとオーナーシップを持たなければいけなかった。採用もそうです。「いつまでに何人必要なので」と言うだけでなく、採用するためにはどうすべきかを、HR任せでなくもっと主体的に考え、動くべきでした。
CHROになると決めたときから、こうした意識ががらりと変わったと思います。
創業メンバーの1人であっても、事業側に注力していると組織の問題への感度が薄れてしまい、そのことに気づけない。急成長するスタートアップにはありがちなことかもしれないが、その反省があるからこそ、CHROとなった幸松氏の組織に対する「覚悟」は強固なものとなった。
そうしてHRに関わるようになり、幸松氏が見いだした最も大きなポイントは、「自分が創業メンバーであることの価値」だった。
幸松創業時、Manufacturing事業にどういう意図や想いを込めていたのか。事実上サービスを閉じるときにどういう葛藤があり、どれほどの覚悟を持って『CADDi Drawer』に統合したのか。私だから話せることがたくさんあります。
また、これからの企業カルチャーを議論する上で、もともとカルチャーをつくってきた自分だから言えることがある。そういう話ができることが組織づくりにおいてどれほど重要か。私にしか出せない組織的なバリューがあるということを、このフェーズだからこそ強く認識しました。
多様な専門性を持つ人材が活躍できる組織への変革
幸松氏の就任と同時に、組織構造として、これまでコーポレート本部に属していたHR組織が、HR本部として独立したのだそう。社としてHR機能を強めていく方針が見える。そんな中、幸松氏がCHROに就任して気づいたことは他にもある。
幸松HRの立場になってみて、社員や入社前の採用候補者の方たちの「人生を背負う」という感覚が強くなりました。
ミッションに掲げている「ポテンシャルの解放」という言葉は、「モノづくりに携わるすべての人が、本来持っている力を最大限に発揮できる社会を実現する」という意味を込めています。だから、もちろん製造業界の方々を対象としつつ、キャディのメンバーのポテンシャルも解放したいという思いもあって。
活躍ポテンシャルを感じ採用しても、残念なことに入社後どうしても活躍しきれずに辞めていくメンバーも過去には見てきました。どの会社でもあることだとは思いますが、とてもつらいことですよね。
それを「ミッションとしてポテンシャル解放を掲げているのに、解放に至ることができなかった」と捉え、創業メンバーとして深く反省しました。
そして就任後すぐに、組織づくりの生命線とも言える評価報酬制度の改訂が行われた。
幸松早速、評価報酬体系の大きな改定が2024年10月にありました。これからさらにハイグロースを続ける上で多様な人材がより求められる中、期待する役割や成果の出し方の異なる人材を適切に評価し報いることを目指しています。
従来のキャディの評価制度は課題解決力などGeneralな能力を重視したものでしたが、例えばお客様のペインをよく知る製造業の知見を持つ社員や、「突破力の高い」セールス、「安定したサービスを提供し続ける」オペレーションチームなど、多様な価値発揮をきちんと認識し評価することが、組織を強くするために必要不可欠と考え、アップデートに至りました。
一方でマネジメントについても、数値目標の評価軸だけでなく、キャディとして「どのようなマネジメントを高く評価するのか」をクリアにすべきだと考えました。
マネジャー職は、成果にコミットし続けることはもちろん、それをチームとして成す必要があります。したがって、メンバーの育成やケア、評価を適切に行わなければなりません。組織から与えられたチームにこだわらず、ときには自らチームをつくりに行く。人材採用も含めて「チームをつくり、成果を出せる」マネジャーが評価されるのだということを、はっきりメッセージとして打ち出そうとしています。
その具体的なメッセージ、つまり「どのようなマネジメントがキャディとしてスタンダードであるべきなのか」という点は、さらにブラッシュアップし、MVVとは別にプリンシプルとして明文化していく考えだ。
さらに幸松氏は、「これはまだ構想の段階ですが」と断った上で、特に新しいメンバーの心理面も考慮したサポートにも力を入れていきたいと話す。
幸松新しく入った人は、慣れない組織の中で多かれ少なかれ不安や孤独を感じるものです。特に職位が上の層であればあるほど、周りから「お手並み拝見」というような冷ややかな目で見られると思いますし、入社者本人もそれを感じ取ると思います。
そんなときに、「ここが分からないので教えてほしい」とか、「ここがおかしいと思う」と素直に訊いたり、指摘したりできない人もいます。それが積み重なると、どんどんものが言えなくなって、自信も失っていく。キャディ特有の話ではないと思いますが、こういう課題は馬鹿にできません。だから、そうならないようサポートしていきたいですね。
幸松氏が意識しているのはここでも同じこと。「ポテンシャルを解放する」というミッションを、CHROとして、社内メンバーを対象に実現しようということだ。
グローバルな規模で製造業を変革していくという大きな目標の達成には、全メンバーが一丸となって全力を出し切る必要がある。ジュニアメンバーの育成はもちろんのこと、経験豊富なハイレイヤーのメンバーに対しても確実に後押しをすることで、大きな力を発揮してもらいたいわけだ。
幸松人数が少なかった頃であれば、個々のケアで何とかなった部分もあると思います。でも、今はグローバルで600人という規模になり、経営陣と直接話す機会があまりない人も多くいます。組織が大きくなると、どうしても一人ひとりのオーナーシップは薄れてしまいがち。でもキャディのようなハイグロースを維持する環境では、自責で課題に向き合い続けることが必要です。とはいえそれを、現場の自発性だけに頼りきるべきではなく、組織として取り組むフェーズになった、ということだと思います。
オーナーシップの高い組織の力で、ハイグロースにレバレッジを
『CADDi Drawer』への統合は、キャディの夢の実現を目指すために、これまで急角度だった成長を、さらに加速することにある。
幸松超巨大市場で、普通の速度ではない急成長を遂げていかなければならない。そうなると、やらなくてはいけないことが無限にあります。
例えば、顧客層をエンタープライズとSMBに分けて組織を考えるという戦略をよく聞きますが、「キャディの場合はそれで良いのか?」「他にもっと最適なアプローチがあるのでは?」という議論が常に生まれるべきです。
あるいはアプローチ方法も、BizDev的な入り方をする、アライアンスを組む、新規事業を立ち上げるなどあると思いますが、その検討に妥協があってはいけない。あの手この手で、さまざまな手段を検討したうえで最良の判断を続けていかなければ、我々の掲げる目標の達成など到底できません。
ですので、600人を超えた今も人が全然足りていません。まして組織が大きくなるとどうしてもマネジャーが不足しますし、経営陣の目も行き届かなくなります。
つまりCHROとなった幸松氏の最大のミッションは「これまでになく強いレバレッジがかかっていく組織をつくり上げ、他に類を見ないハイグロースを実現していく」ということになる。
幸松先ほども言いましたが、私自身、事業の最前線で動いていた時、組織づくりに対するオーナーシップを持てていなかったという反省があるんです。創業メンバーである自分ですら、全然足りていなかった。
採用や育成を担うHRと、事業部の間で、組織づくりに対する考えには大きなギャップがあるのかもしれない。だから今、このギャップを埋めていくことで、これまでにないハイグロースを改めて実現していこうと考えています。
これは単にハイレイヤー人材を採用していくだけでうまくいくものではないですよね。既存メンバーと新規メンバーの力が掛け合わさり、皆が成長し合って、新たな価値を生み出せるようになっていく、そんなサイクルがまわっていくように組織を設計していくのが重要なテーマです。
なので、「○○な事業を牽引してきました」という経験はもちろん重要なうえで、「自分、これやります」と自律的に動いてくれるような人、屋台骨として組織をつくっていける人が、これからもまだまだ必要なんです。
キャディだからこそできる「ネジの外れた」難しいチャレンジ
幸松氏は、キャディのカルチャーは「ネジが外れている」とも言えるという。社内で頻繁に登場する「ムーンショット」という単語。つまり「ネジの外れた」目標の高さと「ネジの外れた」スピード感のある組織、というわけだが、その中でどのような人が活躍できるのか。
幸松1つは「ラーニングアビリティ」のある人。例えば営業職なら、製造業の業界知識も必要だし、プロダクトについても理解しなくてはいけない。売るのは前例のない新しいプロダクトだから、前職で優秀な成績を上げていたとしても同じことをして売れるわけではないんです。
そんなときは、過去にどういうスキルを身につけてきたかよりも、これからどれだけ学んでいけるかの方が重要です。人から聞いたこと、自分で感じたこと、失敗したことからどれだけ多くを吸収し、成長していけるかが重要。その意味で、ゼロからの挑戦をやり切れる「覚悟」は必要です。
経営陣が「覚悟」を持ち、メンバーにも「覚悟」が求められる会社であることが、インタビューを通して伝わってきた。人によっては尻込みしてしまうかもしれない。しかし現在のキャディには、他のスタートアップのCxO経験者が続々とジョインしているのだという。彼らがキャディを選んだ理由もまた、「今までに味わったことがないような、難しい課題に挑みたい」という想いからだ。
幸松プロダクトマネジャー(PdM)を例に挙げると、企業成長から逆算すれば、重要なのは「プロダクトのビジョンをつくる仕事」という部分ですよね。
エンジニアがプロダクトを開発する上で最も必要とするのは、「このプロダクトで実現するのはこういう世界だ」という明確なビジョン。それさえ打ち出せれば自ずと要件が決まってくるので、PdMはこの部分をいかに視座高く練り上げていけるかが問われます。
新規性の高いプロダクトを、難度の高い業界のお客様に提案していく。これってとてつもなく面白い仕事だと思うんですよ。似たようなプロダクトがないわけですから、差別化などという狭いところで考えなくていいし、お客様が真に求めていることに真正面から向き合って、ゼロから構築していけます。
しかもバーティカルなプロダクトなので、個別のお客様の具体的な悩みがどんどん出てきます。そこに入り込んで、小手先でなく根本から課題を解決するようなプロダクトをつくれる経験は刺激的ですし、他では得がたいものだと思います。
PdMを例に挙げたが、これはセールスやカスタマーサクセスなど他職種も同様だ。顧客や業界課題と徹底的に向き合い、ゼロベースで事業をつくり上げることができることが、今でもキャディの魅力である。
また、「数百名もの規模になれば、やりがいの強いポジションはもう埋まっている」あるいは「すでにレイターフェーズで、カオスな事業現場に携わることが少なそうだ」などと考えてしまうFastGrowの読者も少なくない。この観点にも幸松氏は明確にNOを突きつける。
幸松向き合うのは、世界最大規模の産業です。世界中にも、日本の中にも、まだまだデータ活用が進んでいない企業がたくさんいます。そうした製造業のお客様に対して、新しいプロダクトをどんどん提供していくんです。
新プロダクトを生み出すのが簡単そうな表現に見えるかもしれませんが、一つひとつが事業として成り立つレベルです。なので、これまで以上に難しい挑戦を全メンバーが始めているということは強調したいです。
今の体制でもポジションがまだ空いていますし、これからは他のスタートアップでも見たことのないスピードで新たなポジションが生み出されていくでしょう。だから、「もう良いポジションや立場がなさそう」だなんて思わず、キャディの実態を今こそ覗いてみてほしいですね。
『CADDi Drawer』も『CADDi Quote』も当然ながらまだまだアーリーフェーズのプロダクトと言えよう。前回の記事でも伝えたように、SaaS企業としてはアーリーフェーズなのである。そして製造業AIデータプラットフォームという事業構想から考えると、まだまだ始まったばかりである。
そもそも製造業をグローバルに見渡してみれば、その変革余地は果てしなく大きいということは想像できる。DXどころか、業務のデジタル化や自動化もまだ不十分な現場が少なくない。「製造業の変革」という市場はまだまだ黎明期なのだ。
だからこそ今も、いや、これまで以上に、「難題に対峙したい、解決したい」という好奇心・挑戦心にあふれた人こそ、チャレンジしがいのある会社がキャディなのではないか。
こうした魅力に惹かれて集まったビジネスサイドのメンバー3名の鼎談記事を、ぜひこの次にお読みいただきたい。語られるのは、前回記事や本記事冒頭で紹介した3つの謎のうち、3点目。
3名の言葉で聞かれたのは、「入ってみると、意外なほどに熱く、背中を預け合う組織」という率直な感覚だ。いったいどのようなエピソードが語られていくのか?乞うご期待。
会社紹介ウェビナーの開催決定、申込受付中
採用拡大中、情報はこちらから
こちらの記事は2024年12月04日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
畑邊 康浩
写真
藤田 慎一郎
連載新生キャディ
2記事 | 最終更新 2024.12.04おすすめの関連記事
100年続く“構造的暴力”を変革。マッキンゼー出身者が立ち上げたキャディは、「マッチングシステム」で180兆円市場に挑む
- キャディ株式会社 代表取締役社長
オペレーション創りは、事業創り──ラクスル、キャディが語る、オペレーションで事業を加速させる方法
- ラクスル株式会社 ストラテジックアドバイザー
「よそ者×スタートアップ」が、業界変革を起こす──増え始めた“産業BizDev”を、ラクスル福島・キャディ・日本農業と共に考察【イベントレポート】
- ラクスル株式会社 ストラテジックアドバイザー
組織の“多様性”を結束力に変える3つの秘策──Nstock・Asobica・FinTのCEOが実証する、新時代のスタートアップ経営論
- 株式会社Asobica 代表取締役 CEO
スタートアップ、“国家プロジェクト”を背負う──被災地でも活躍、世界最小級のドローン企業・Liberawareが創る社会インフラ
- 株式会社Liberaware 取締役CFO
政府が託す、52億円の技術イノベーション──Liberawareエンジニアが牽引する、国家主導の鉄道インフラDX
- 株式会社Liberaware 取締役 技術開発部長
あのRAKSULで「セールス」の存在感が急騰!──既存の顧客セグメントから拡張し、数兆円規模の法人市場の攻略へ
”渇き”こそ、スケールアップの原動力だ──X Mile渡邉×SmartHR芹澤による、急拡大企業の組織マネジメント論
- X Mile株式会社 Co-Founder COO