経営リーダーを目指すなら、“大企業vsベンチャー”の二項対立から脱せよ。
グローバル企業のミスミには、なぜ多様なキャリアを持つ人材が集まるのか?

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インタビュイー
坂口 啓介
  • 株式会社ミスミグループ本社 VONA事業革新本部 VONAデジタル・G基盤革新室 VONEグローバルオペレーションチーム リーダー 

2006年、日本航空株式会社(JAL)入社。運行管理業務に携わりながら、IT 化による業務改善を経験。2010年、IT/人材ベンチャーのレバレジーズ株式会社入社し、支店立ち上げや営業推進部署の設立、マネジメントを経て、2014 年に事業部長に就任し、年商20 億円から

年商200 億円と会社の急成長を牽引。2017年、株式会社ミスミに入社し、グローバルオペレーション構築・展開に携わり、2019年よりディレクター代行として基幹システム刷新PJにも従事。

大司 貴之
  • 株式会社ミスミグループ本社 FA企業体 日本汎用加工品事業部 角物・板金事業チーム チーフディレクター 

2011年、大学院工学部を卒業後、株式会社ミスミに新卒入社。研修を経てFA企業体の事業チームへ配属。2014年に営業へ異動となり、その後中国FA事業部へ異動(中国赴任)2018年に日本へ帰任し、現在に至る。

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経営リーダーを目指す学生は、いかなるファーストキャリアを歩むべきだろうか。

体系的に経営を学べるコンサルティングファーム、早くから裁量権を持てるベンチャー企業、充実した育成環境でビジネスに取り組める大企業…それぞれに良さがある。

よく話題にのぼるのは「大企業か、ベンチャーか」という二項対立だろう。新卒でベンチャーへ入社するケースも珍しくなくなってきた。しかし、「大企業か、ベンチャーか」という問題設定が不適当だとしたら? 本記事で取り上げるミスミは、まさにその疑問に応えてくれる企業だ。

グローバル規模で大手のシェアを持ちながらも、ベンチャー精神にも溢れている。機械加工部品を製造・販売する同社は、中途採用マーケットから「経営リーダー育成企業」としての呼び声も高い。

FastGrowでは、これまでも「グローバル製造業の裏方」たるミスミの影響力を同社の事業責任者に聞いたり、最新のAI技術を用いた新規事業の立ち上げ責任者に「経営リーダー育成企業」としての様相を明かしてもらったりしてきた。

本記事では、レバレジーズで事業部長として急成長に貢献したのちにミスミへと転職した坂口啓介氏と、新卒入社後に20代より中国での現地メンバーマネジメントを経験した大司貴之氏に話を伺う。大企業とベンチャーの“良いとこ取り”で経営リーダーを育成する、ミスミならではの成長環境とは?

  • TEXT BY MASAKI KOIKE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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「我流でのビジネスに限界を感じた」JAL、レバレジーズを経て、経営を学ぶためミスミへ

FA用部品(工場の自動化を支える自動機の部品)や金型用部品(自動車や電子・電気機器の製造装置に使われる部品)の製造・販売を主力事業とするミスミ。

国内企業のみならず、世界トップクラスの製造メーカーとも多数の取引をしている。創業から56年かけて築き上げてきた製品とサービスは、海外の顧客から「インダストリアル・スタンダード」と評されるほどに質が高い。

そのグローバル企業で挑戦を続けるのが、坂口氏と大司氏だ。

坂口氏は、2006年に新卒で日本航空へ入社。運行管理やIT化による業務改善に従事したのち、スピード感を持って挑戦できる成長環境を求め、2010年にIT / 人材事業を展開するベンチャー企業のレバレジーズへと転職した。

教育や評価の制度も整備されていなかった環境で、がむしゃらに働き、成果を残す。支店の立ち上げから事業部長までを経験し、2017年まで、年商20億円から200億円への事業拡大に貢献した。

模範的とすら言える「大企業→ベンチャー」のキャリアパスを歩んできたが、次の進路に選んだのがミスミだったのはユニークだ。言わば大手企業へと“舞い戻った”のはなぜか。

株式会社ミスミ VONA事業革新本部 VONAデジタル・G基盤革新室
VONAグローバルオペレーションチーム リーダー・坂口啓介氏

坂口我流で事業や組織を成長させることに、頭打ち感を覚えていたんです。自分の経験や書籍などから学ぶ努力は怠っていませんでしたが、限界を感じていた。体系的に経営を学べる環境を探しているときに、経営リーダーの育成を掲げているミスミと出会いました。

社員に話を伺うと、ちゃんと自分で手を動かし、考え続けなければいけない会社だとも知りました。コンサルティングファームにも興味があったのですが、理論と実践の両面から経営を学べそうなミスミに惹かれ、ジョインを決めたんです。

坂口氏は入社後、グローバルの物流や問い合わせ対応のオペレーション構築に携わり、2019年より全社の基幹システムを刷新するプロジェクトに従事している。IoTの普及や産業構造の変革に対応すべく、「創業から積み上げられてきた慣習を抜本的に否定するチャレンジに取り組んでいる」と話す。

当然、社内からの反発も起きるが、改革の必要性を定量的な根拠に基づいて説明することで、丁寧に推進しているという。

坂口数多くの事業部を横串で動かすためには、戦略性とストーリー、熱いパッションが必要です。そうして人を動かす能力は、座学やアドバイスだけでは学べません。手を動かしながら、経営の要諦を身につけられています。

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マネジメント未経験で、中国の現地メンバーを束ねる。“高地トレーニング”で身につけたリーダー力

一方の大司氏は、2011年にミスミへ新卒入社。大手自動車メーカーと迷ったが、スピーディな意思決定に基づいて小さくチャレンジを繰り返せる環境を求めていたため、ミスミの経営思想「スモール・イズ・ビューティフル」に共感した。ミスミが掲げる、「部門ごとの規模をできるだけ小さくし、それぞれに開発から販売までの機能をワンセットで担わせる」考えを指す。

入社後には、社員の熱量に圧倒されたという。

株式会社ミスミ FA企業体 日本汎用加工品事業部
角物・板金事業チーム チーフディレクター・大司貴之氏

大司ミスミは一つひとつの商品が小粒だからこそ、それぞれに対して少人数が責任を持っている。ある商品の顧客対応をすべて一人で担当することも少なくないので、大人数で大規模プロジェクトに携わる一般的な大企業より、一人ひとりの熱量も高まります。

入社4年目には中国へ赴任。マネジメントは未経験だったが、現地メンバーを束ねるポジションに抜擢された。不慣れな業務に加え、忖度なしのダイレクトなコミュニケーションを好む現地メンバーとのカルチャーギャップもあり、「すごく難しくて悩みました」と大司氏は振り返る。

大司もがき続けるなかで、メンバーが色々な考えを持っていること、すなわち多様性を受け入れられるようになりました。

まずは、相手の意見を受け入れてあげて、プラスアルファで自分の意向を伝える。そう意識するようになってからは、信頼関係が築けるようになった感覚があります。

4年間の中国勤務を経て、2018年に帰国。中国での成果が認められ、日本では角物(四角い形状の素材を加工して作られる機械部品)・板金という商品群を統括するチーフディレクターに就任した。

「ロジカルに答えが出せない問いでも、自分の責任で意思決定しなければいけない点が難しい」というが、中国での経験が大いに役立っている。

大司初めてのマネジメント経験でしたが、過酷な環境に身を置けただけに、短期間でより多くの経験を得られたと思います。

文化的バックグラウンドすら異なる現地メンバーをマネジメントしてきたおかげで、それぞれ違った考え方を持っているメンバーたちを動かし、大きなことを成し遂げていく能力が身につきました。

ロジカルな戦略立案が難しいトピックでも、まずはメンバーの考えを受け入れたうえで、できるだけ客観的な根拠を見せながら合意形成していく。あらゆるビジネスを推進するために必要な能力だと思います。

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大企業だけど、ベンチャー的。「スモール・イズ・ビューティフル」の成長環境

ミスミの組織体を、大司氏は「個人事業主の集合体」とたとえる。「スモール・イズ・ビューティフル」の思想に基づいて細分化された組織で、各商品の担当者が、既存の売上を維持しつつも、さらなる収益アップを狙っていかなければいけない。

開発戦略、製造戦略、販売戦略を、すべて一手に担うことになる。大企業さながらのインパクトが出せる環境でありながら、ベンチャー的なスピード感や事業感覚も兼ね備えているのだ。

大司経営者さながらの視点で、自分の事業に向き合わなくてはなりません。だから、経営者になりたい人には、もってこいの環境だと思いますね。

担当する商材が細分化されているからこそ、その商品に100%の熱量を注ぎ、「この商品については、世界で一番詳しいよ」と断言できるレベルでコミットする必要がある。

坂口ベンチャー出身の僕から見ても、それぞれの商品担当者に任せられている範囲は大きいと感じます。同時に、チームごとのサイズ感は一定規模のベンチャー企業より小さい。

小さくチャレンジできるからこそ、事業や組織の戦略が変わっていくスピードも早いので、安定志向ではいられません。

一方で、大企業ならではの魅力もある。大司氏のように、若手の段階から海外で責任あるポジションを任せてもらえるのは、グローバル大企業であるミスミならではだろう。

坂口グローバル視点を持っていても、実際に海外でチャレンジできる環境を兼ね備えている会社は多くありません。ベンチャーだと「いつかは海外進出したいけれど、今はまだしていない」ケースも多いですしね。その点、ミスミはすでに大きくグローバル展開しているため、挑戦できる機会が多い。

大司若い方のなかには、海外へ行くことが目的化してしまっている人も多い印象があります。ひとくちに「海外勤務」と言っても、通訳や単純作業しか結局任せてもらえず、人材として現地で埋もれてしまうケースも聞きます。

ミスミは海外事業もまだまだ発展途上だからこそ、成長環境がたくさんある。しっかりと意思を示せば、拠点の成長に大きなインパクトを及ぼす業務を、若いうちから任せてもらえます。

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“ものづくりの裏方”として、プライドを持って泥臭い仕事にコミット

ミスミが主力とするBtoBビジネスならではの面白さもある。ユーザーによってニーズが多様なBtoCビジネスに比べて、収益アップを目指している企業を顧客としているぶん、課題が明確だ。だからこそ、「買い手と売り手」以上の深い関係を切り結べる。

大司上下ではなく横に立って、お客様が抱える課題解決のために一緒に良い商品をつくり上げていく楽しさが味わえます。

坂口ミスミのビジネスを伸ばせば、連動してお客様のビジネスも伸びていくので、社会に与えられる影響も大きいです。世界中のものづくり産業のプレイヤーたちを、ミスミは下支えしているんです。

顧客と一体になって価値を生み出すからこそ、ミスミには「泥臭い仕事も多い」と両氏は口を揃える。ものづくり産業のインフラ企業として、全社的に「確実短納期」を謳っているだけあり、細かな調整が必要になるシーンも多い。根本的に「ものづくりを裏方として支える」コンセプトに共感できていなければ、同社の環境にはマッチしない。

大司いざというときの泥臭い仕事にも、心からの熱意を持って取り組めないといけません。たとえば、自然災害などが起きると、ミスミが取引している工場でも、稼働できなくなってしまうところがたくさんあります。

でも、だからといって、ミスミが最重要に掲げる「納期」を諦めるわけにはいかない。「つくれなくなった素材を、どこで代わりにつくるか?」を考え、ミスミが求める品質やスピードを担保できるメーカーを地道に探していきました。

坂口納期遅れに対してはシビアですよね。1件でも遅れが発生したら、人力もいとわずみんなでリカバリーを図る。プライドを持って、泥臭い仕事をしている人ばかりです。

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企業名や企業規模ではなく、ビジネスモデルで企業を選ぶ

あらゆる産業にDXの波が押し寄せる昨今、ミスミも変革期に置かれている。以前FastGrowでも取り上げた、最新のAI技術を用いた新規事業『meviy(メヴィー)』をはじめ、新たなチャレンジを仕掛けている。そうした状況下で、ふたりはこれから何を目指すのか。

坂口ミスミを、メーカー業と流通業を両輪で回し、なおかつグローバルに展開している世界初の企業にしたい。特に流通は、優れたビジネスモデルを構築していかないと、AmazonをはじめとしたグローバルEC企業に勝てない。危機感を持って、グローバルカンパニーとしてスピーディーに成長させていきたいです。

自分のキャリアに関しては、「人生100年時代」ともいわれる昨今、どんな業界や事業モデルであっても価値を発揮できる人材にならなければ生き残れないと思っています。

さまざまな業界を支えられるような戦略性やフレームワーク、そして熱いパッションに裏打ちされたリーダーシップを身につけていきたいです。

大司誤解を恐れずに言えば、いまのミスミは、過去に築き上げたビジネスモデルに依存して生き残れている面もある。ミスミの受発注は現在もカタログをベースとしているんです。とはいえ、いまや3DCADも進化していますし、デジタルシフトの流れはどんどん押し寄せています。

中国で最先端の環境を見てきた自分のような人材が、ミスミのさらなるDXとイノベーションを推進していかなければいけないと、使命感を覚えていますね。

そうしてミスミの成長にコミットしていくなかで、再び海外でチャレンジしたり、経営レイヤーに携わったりしていきたいと思っています。

最後に、これからファーストキャリアを考える学生に向けて、経営リーダーとしての実績と能力を積み重ねている両氏にアドバイスをもらった。

坂口企業名や企業規模ではなく、ビジネスモデルを見て企業を選んでいくのも一つの手ですね。グローバルで利益をつくり出せる事業は、ビジネスモデルが優れていることが多いからです。

模倣されづらく、利益を生みやすいビジネスモデルを構築している企業を見極める。その点、ミスミは「標準規格化」に基づいて確実かつ迅速な納品を実現する「時間戦略」によって、圧倒的な競合優位性が築けています。

あとは、常にチャレンジして動き続けている企業かどうかも見た方がいい。変化の激しいこの時代、現状維持は衰退に結びつきやすいですから。ビジネスモデルとチャレンジへの姿勢にさえ共感できれば、大企業でもベンチャーでも関係ありません。

大司同意です。大企業かベンチャーか、海外に行けるかどうかではなく、シンプルに事業や組織の中身を見た方がいい。ビジネスモデルや組織カルチャーを見たうえで、最後は「この会社での仕事に熱くなれそうか?」を考えて会社を選ぶのがいいと思います。

僕は、直感的に共感したことにも後押しされてミスミに入りましたが、一度も後悔したことはありません。

こちらの記事は2020年03月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

小池 真幸

編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。

写真

藤田 慎一郎

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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