病気の自動発見やタンザニア向け簡易救急車など。
MIT学生起業家によるヘルスケアスタートアップ5選

これまで医師の経験によって行われていた病状発見や診断が、短時間で正確にできるようになるかもしれない。

MIT(マサチューセッツ工科大学)で2018年9月、学生起業家によるスタートアップのデモデイが開催された。主催した「MIT delta ν」は、MITの学生起業家が持続可能なスタートアップを構築するためのアクセラレータープログラムだ。このプログラムでは、スタートアップが成長するためのノウハウを学ぶことができる。

今回参加した計27チームのうち、最も多かった分野がヘルスケアで7チーム。次いでFinTechとソーシャルがそれぞれ4チーム。また、AIやIoT領域のスタートアップも多かった。

今回は、最も多かったヘルスケア分野から、5社紹介していきたい。

  • TEXT BY MAKI YOSHIDA
  • EDIT BY TOMOAKI SHOJI
SECTION
/

ピルの服薬時間を自動的に記録するサービス

Aavia

専用のスマートデバイスとアプリを活用して、経口避妊薬(ピル)の服薬時間を自動的に記録し、ピルの飲み忘れを気にせずに生活することを目的としたサービス。

特許申請中のカード型のスマートデバイスには、ピルの数と位置を認識するセンサーが内蔵されており、Bluetooth経由で服薬時間のリマインダーをスマートフォンのアプリに送信する。これにより、ピルの服薬時間を自動的に記録し、飲み忘れを防げる。

アプリはピルの服薬時間を記録するだけでなく、時間の調整や飲み忘れを防ぐためのヒント、服薬に合わせた生活習慣の提案などをするといった機能があるという。

SECTION
/

ユーザー参加型の病状予測AI学習サービス

Centaur Labs

ユーザーが医師から説明を受けた内容をアプリに投稿し、蓄積したデータをAIで分析することで、精度の高い病状発見を可能にするサービス。

アプリに投稿する内容は、X線検査や病気にかかった際に撮影した画像、医師に説明を受けたときの映像などが想定されている。これらの情報を投稿することで、何らかのポイントが貯まり、ゲーム感覚で他のユーザーと順位などを競えるという。

蓄積したデータをAIに学習させ、より精度の高い病状発見につなげていくのが狙いだ。

SECTION
/

歯の病状を自動発見するサービス

DentistAI

歯科画像を解析し、患者の病状を自動的に検出する。それにより、歯科医の見逃しを防ぎ、治療の必要性を患者へ効果的に伝達できるサービス。

同社によると、歯科医はX線写真で病状の最大50%を見逃しているという。治療の遅延や非治療は心血管系の病気につながり、重大な健康リスクをもたらす可能性がある。

DentistAIが開発しているサービスを活用することにより、患者の健康リスクを軽減でき、歯科医の売上も増えるとしている。

SECTION
/

大腸がんの進行を自動発見するサービス

Iterative Scopes

最先端のコンピュータビジョンとAIの機械学習を利用したリアルタイムのがん診断ツール。

同社によると、毎年1,500万人のアメリカ人が大腸内視鏡検査でがんを発見される。しかし、現在の技術では潜在的にがんの25%が見逃されているという。詳細はまだ不明だが、このツールを活用することより、自動的に病変を検出して大腸がんを予防できるとしている。

SECTION
/

タンザニア向け簡易救急車サービス

The Okoa Project

タンザニアに手頃な価格の簡易救急車を提供するサービス。

タンザニアの農村部では、緊急輸送時に徒歩や自転車、オートバイのタクシーなど、いくつかの選択肢がある。しかし、どれも治療の必要がある人にとっては痛みを伴うものだ。

この救急車は、自動二輪に牽引して取り付けられる。取り外し可能なストレッチャー、同伴者のための部屋のほか、患者の安全を最大化するための機能が含まれているという。

今回紹介したヘルスケア分野のうち、ほとんどがAIやIoT領域の技術を活用したものだった。「ウェルビーイング」が注目される昨今、この分野のスタートアップはますます増えていくだろう。病気や症状の発見が早まり、より早く的確な治療を受けられるようになることで、これまで以上に健康的で幸福な生活が送れる未来がやってくるかもしれない。

こちらの記事は2019年01月18日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

記事を共有する
記事をいいねする

執筆

よしだ まき

編集

庄司 智昭

ライター・編集者。東京にこだわらない働き方を支援するシビレと、編集デザインファームのinquireに所属。2015年アイティメディアに入社し、2年間製造業関連のWebメディアで編集記者を務めた。ローカルやテクノロジー関連の取材に関心があります。

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

おすすめの関連記事

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。

新規会員登録/ログイン