「君のアイデア、1億円で事業化しないか?」──無名ルーキーから4番バッターと化したOKI新代表の森氏が導く、1.4万人超の大組織で挑む“非破壊型イノベーション”

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インタビュイー
森 孝廣

1964年生まれ。88年明治大学経営学部卒、OKI入社。2017年OKIデータ(現OKI)取締役、20年同社社長。22年OKI社長兼最高執行責任者、23年4月から現職。取締役でない執行役員がトップになるのは同社初。「傍流」とされるプリンター畑を長く歩んだ。神奈川県出身。

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「弊社はイノベーション創出に向けた取り組みに力を入れており〜」──。

しばしば見聞きする、この「イノベーション」という言葉。正直、「抽象的で何を意味するのかよくわからない」と感じている読者もいるはずだ。しかし、中にはイノベーション創出に向けて本気で挑む企業も存在する。ここでいう本気とは、経営者が自ら現場に出向き、イノベーション創出の種が生まれる仕組みを考え、組織に浸透させようと尽力していることを指す。

この本気の改革を、社員4,740名、グループ連結で14,452名(2023年3月現在)を擁する大組織において実践している経営者がいる。その主とは、OKIの代表取締役社長執行役員 兼 最高経営責任者 森 孝廣氏だ。

OKIといえば、老舗の通信機器メーカーのイメージが強いかもしれないが、実は最先端技術を用いた海洋事業や防衛事業を手がけ、日本のインフラを支える企業なのである。

OKIを率いる森氏は、「『イノベーション』という言葉がかえってアイデアを生み出すハードルを上げている」「少数の天才に破壊的イノベーションを求めるより、組織全員で改善型のイノベーションを実現する方が組織としては強い」と言ってのける。

事実、OKIでは年間で社員から300件以上のアイデアが生まれ、その中には1億円の投資を受け事業化に向けて着手している若手社員も存在する。

本記事を読めば、ボトムアップ型の組織改革や、若手主体のイノベーション創出に関心のある読者にとって、多くの学びを得ることができるはずだ。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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「企業理念」と「仕組み」を両輪で回し、全社員参加型のイノベーションを実現

2018年度から毎年開催されているOKIのビジネスアイデア実践コンテスト「Yume Proチャレンジ」。社員が経営層にアイデアを提案し、その中で優れたアイデアには事業化に向けて支援金が与えられる。

今回「Yume Proチャレンジ2022」で大賞に輝いたのは、「ブルーカーボン市場における、高精度高品質な藻場計測の実現」をテーマにしたプロジェクトです。このプロジェクトは、若手の女性社員が提案したもので、現在、我々は同プロジェクトに夢を具現化する資金として1億円を投資し、事業化に向けた実証実験を進めています。

提供:OKI

掲載資料からもわかる通り、OKIでは、他にも新規事業化に向けたプロジェクトが10数件ほど進行している。そのプロジェクトをリードしているメンバーとして同社の若手社員たちが多い。

そんなOKIの取り組みを表すフレーズは、「全員参加型のイノベーション」である。そう、OKIは入社年数や年齢問わず、誰もがイノベーションにチャレンジできる体制を築いているのだ。

全員参加型イノベーションを推進している理由は、ボトムアップの組織カルチャーを目指しているからです。

ご存知の通り、日本は少子高齢化に伴い、生産年齢人口も減少しています。そうした中、少数の限られた天才だけにイノベーションを期待するのは現実的とは言えません。

我々は、全社員が“事業家魂”を持って、昨日までのOKIよりも一歩進んだ、新たなアイデアを創出できる組織を目指しています。

当然、社員からの発案がすべて事業化できるとは限らない。また事業化に向けてうまくいかず失敗することもあるだろう。しかし、森氏は「組織として何度もチャレンジできる環境をつくることが大事だ」と述べる。そんな森氏が考える「イノベーション」とはどんなイメージなのだろう。

イノベーションというと、多くの人は世の中を一変させるような破壊的イノベーション*を想像するかもしれません。しかし、私は日々の小さな改善や持続的な変革もイノベーションだと考えています。

*破壊的イノベーションとは、既存の市場の常識にとらわれることなく、全く新しい発想で製品やサービスを創出する戦略。(ex:書籍業界に革命をもたらしたAmazon)

例えば60分の作業が55分でできるようになった。これは一見、些細な改善に見えるかもしれませんが、毎日積み重なると結果的に大きな効率化や生産性の向上につながります。私は日々の工夫や改善にも“破壊的イノベーション”と同等の価値があり、評価されるべきものだと思うんです。

一般的にはイノベーションと聞くと「具体的に何をすればいいのか」「何かすごい変革を興さなければならないのか」とハードルの高さを感じる人が多いでしょう。私は正直、この言葉がかえって挑戦へのハードルを上げていると思っています。しかし、私は「自分たちで考えた改善はすべてイノベーションだ」と定義し、それが積み重なることで、結果的に新たなアイデアや大きな進歩を生み出す第一歩になると考えているんです。

さらに、OKIは組織内でのイノベーションを促進する仕組みづくりにも注力している。多くの日本企業ではイノベーションの創出に課題がある中、OKIは国内企業では他社に先駆けて国際規格ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム/IMS)*を採用。また、社員に対してイノベーションを生み出すためのステップや考え方などの啓発活動にも力を入れているのだ。

*ISO 56002とは、組織が革新的な価値を創出し、持続可能な成功を達成するためのフレームワークを提供する国際標準で、イノベーションのプロセスと文化を形成、維持、改善する方法に焦点を当てている。

このことからも、同社が単に理念を掲げるだけでなく、先進的な仕組みも導入し、イノベーションの創出に向けて本気で実践している企業だということがうかがえるだろう。

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「事業ポートフォリオの見直し」による組織再編、縦割り組織を廃止し共同で価値創出

では、OKIが全員参加型のイノベーションやボトムアップの組織づくりを推進しているその背景は何か。取材陣の疑問に、森氏は2022年4月に社長に就任し、この1年間を振り返り、直面していた経営課題を語り始めた。

(社長に就任する以前)これまでOKIは、数百億円単位の事業がそれぞれ独立した状態で存在しており、事業ごとに縦割りの組織となっていました。つまり、各組織がタコ壺化しており、閉鎖的な状態となっていたのです。

そのため、事業部を跨いだ連携が図れず、お互いに協力したり、足りないところを補完し合ったり、また新しい事業を共に創発していくというカルチャーが組織に根付いていませんでした。

と言われても、OKIの事業概要を知らない読者からすると「?」が浮かぶはず。ここで、OKIの事業概要について簡単に触れておこう。1881年創業のOKIは、日本初の電話機メーカーとして電電公社(現在のNTTグループ)と共に日本に電話網を築いてきた歴史ある企業だ。

以降、同社はATMやプリンター、ETC、航空管制システム、防災関連、防衛関連他、幅広い事業を展開している。そんなOKIの事業を一言で言い表すことは難しい。だが、同社は長い歴史の中で、社会のインフラを支えてきた企業であることは間違いないだろう。

そして、同社が2023年5月に公表した「中期経営計画2025」では、「社会の大丈夫をつくっていく。」というキーメッセージを掲げ、止まることが許されないミッションクリティカルな商品の提供を通じて社会課題の解決に寄与する企業としての役割を、より強化していくことを表明しているのだ。

それでは、本題に戻ろう。先述の背景から、縦割りの組織に課題を感じていた森氏。不確実性の高い今の時代において、何兆円規模の企業と競合するためには、OKI全体(4,000億円規模)の統合が必要不可欠であると考えていた。

我々は1つの組織でありながら、事業が完全に分散しており、各事業ごとに売上や目標を追っていました。しかし、各事業は、それぞれ伸びしろがあるものの、これ以上単独で事業成長を図っていても大幅な成長は見込めず、売上が頭打ちしている状態。

そこで各事業セグメントの位置付けを明確にし、伸びる事業は強化し、統合すべき事業は統合していくことで、事業基盤を強化していく方針を立て、2023年4月に大幅な組織改正をおこないました。

具体的には、縦割りの組織構造を廃止し、社員が組織の枠を超えてより柔軟に、かつスピード感を持って事業を進められるシンプルな組織構造を確立したのです。

この新たな構造の下で、OKIでは全社員が組織の制約に縛られず、自発的にイノベーション活動に取り組める環境を提供しています。若手であっても、また40代、50代のベテランであっても失敗するリスクを考えずに思い切ってチャレンジをしてほしいと考えています。

OKIは、長い歴史を持つ企業でありながら、今の時代の変化に対応するために事業ポートフォリオの見直しの経営方針のもと、2023年4月に組織構造の再編成をおこなった。組織として一枚岩となるために、縦割りの組織を廃止したのだ。現在、同社は組織の枠を超えて価値を創造できる、新しい組織カルチャーへと変革を推し進めているのだ。

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若手が活躍できる人事制度の見直しで組織内の流動性を高める

OKIでは、イノベーション活動が活発化し、その結果、「Yume Proチャレンジ」への応募が増加。年間で300件を超えるアイデアが生まれるようになった。

ところがここで新たな課題が浮上する。社内からは優れたアイデアが次々と生まれ、中には実証段階まで進んでいるにも関わらず、その多くが事業化へとつながっていなかったのだ。

「このままでは、新たに生まれた変革の芽が萎んでしまうのではないか」「プロジェクトがやりっぱなしで、企業として得るものがあったのかどうかも分からず終わってしまうのではないか」。そんな状況に危機感を抱いた森氏は、(取材がおこなわれたつい数日前に)新規事業のプロジェクトリーダーたちを集め、一人ひとりの意見に耳を傾けることにした。

面談の結果、会社の支援体制に問題があることが明らかになりました。というのも、多くのプロジェクトリーダーたちが、事業化への進め方に戸惑いを感じており、また期待される責任に対して大きなプレッシャーを感じていたからです。

前述の通り、OKIでは入社年数に関係なくイノベーション活動に取り組むことができる。その結果、20代の若手社員がプロジェクトリーダーになるケースも珍しくはない。

しかし、プロジェクトリーダーともなれば、周りにいる40〜50代の役職ある社員たちを巻き込んでいかなければならず、若手社員たちはその連携を主導しながら事業を推進することに難しさを感じていたのだ。

もちろん若手であっても、周りの人たちを積極的に巻き込んで事業を進めていける人もいます。しかし、それを社員全員に求めるのは、OKIが目指す「全員参加型のイノベーション」の理念に反してしまう。つまり、会社側としては全員が事業化に向けて取り組める体制の強化が必要だと感じたのです。

具体的な施策としては、より柔軟で機動的な人事制度の運用を考えています。若手社員に権限や裁量を与えることも一つの考え方です。例えば、プロジェクトリーダーの待遇を「部長職」相当にすれば、若手社員でももっと裁量を持って動くことができるはずです。

そして、もしプロジェクトが成功すれば、そのまま昇進してもらい、逆にうまくいかなかった場合は、待遇を一時的に元に戻し、再びチャレンジしてもらうと。そのような人事制度の改善を通じて、組織の流動性を高めていきたいと思っています。

今まさに、経営戦略・事業戦略の転換に取り組んでいる中で、人事戦略も、それらと連動させようと考えています。

「チームの組成やリサーチのための予算に関する相談に乗ることで、プロジェクトリーダーたちが自らの意志でプロジェクトを進められる環境の実現を目指したい」──。

「会社がこうした人事施策に積極的に投資をしていかなければ、イノベーションが単なる形だけのものに終わってしまうのではないか」──。

森氏の一つ一つの発言や実行からは、本気で組織を変えようとしていることが、ひしひしと伝わってくる。OKIに新しい風をもたらし、これまでとは真逆とも言える組織カルチャーの変革を推し進める森氏。一体、どんな経歴や価値観を持った人物なのだろうか。

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上下関係や仕事の優劣なんてない。
誰もが声を上げられる組織へ

OKIの子会社で経験を積んできた私が、まさかOKI本社の社長として抜擢されるとは想像もしていませんでした。

取締役でもない役員が社長に抜擢されるということは、OKIにとって初となる異例の人事決定であった。国内だけでなく欧米やアジアにも多くの子会社を抱えるグローバルカンパニーにおいて、極めて異例の人事と言える。ではなぜ、森氏はOKIの社長として選ばれたのだろうか。

会社が本気で変革を求める中で、既存の体制や慣習のバイアスがかからない新しいリーダーシップを求めていたと理解しています。私はOKIグループ内の子会社に長くいましたので、OKIの本社とは少し距離のあるその立場での視点が期待されたのでしょう。

加えて、子会社のトップにいた経験や、私が言うのも変ですが、会社を変革していくためにはIQよりもEQ(感情的知能)を重視し、それで私を決めたという話は聞いております。

森氏の就任に対しては一部の投資家から懸念や不安の声があがったそうだが、今までの方針を続けていても会社は変わらない。会社の業績や市場のトレンドを踏まえ、従来の方針を抜本的に変える必要があったのだ。

私が社長になるということは、例えて言うならば、「全くの無名ルーキーを4番バッターに起用する」ような感じだったと思います。ですから、周りの人たちから「本当に大丈夫なのか?」と声が上がったのでしょう。

しかし、私があれこれと就任の経緯や背景を考えていても仕方がない。私は自分のキャラクターを全面に出し、最善を尽くして精一杯取り組むだけだと気持ちを切り替えました。

新卒でOKIに入社した森氏は、28歳で子会社へ移る。そして約28年ぶりに本社に戻ると、自分の味方となる部下が周りに誰一人いないという状況に直面した。

そのため、森氏は2022年4月に社長執行役員(兼)最高執行責任者に就任した当初は経営の根本問題を見極めることに注力。中期経営計画2025を策定し、根本問題の解決に向かって変革の方向性を示すことに取り組んだ。2023年4月には最高経営責任者に就任し、2年目は、経営チームのチームビルディング、OKIグループ社員一人ひとりとの対話集会を加速。そして新たな経営体制を本格的に始動させた。

そこで、さっそく森氏のリーダーシップが発揮されている事例を紹介しよう。なんと、2023年の上期だけで、すでに300人の若手社員との意見交換を行っている。その結果、多くの社員からは「こんなにオープンに社長と話せるとは思わなかった。今まで自分の中にあった社長像が一新された」といった声が寄せられた。

会社が変革を進めるためには、社員一人ひとりが会社の方向性に共感してもらわなければなりません。だからといって「自分(社長)の考えをわかってくれ」なんて、上から言っても無理ですよ。会社のことに関心を持ってもらうことは難しいんです。

まずは自分から社員に近づいていかなければ、彼、彼女らは心を開いてくれません。だから雑談でもいい。距離感を縮めていろんな話をしていると、社員から「実はこんなことで困っていて」といった話が出てくる。そうした声に耳を傾けながら、信頼関係を構築していくことが大切だと考えています。

森氏にとって、OKIの社長になることは当初予想外の出来事だった。それゆえか、「私は、OKIの社員として、たまたま社長という役目を果たしているだけ」と謙遜する。しかし、この言葉の背景には、同氏独自の経営スタイルやポリシーがあった。

私は、上下関係や仕事の優劣などは存在しないと考えています。日々の業務で、商品を販売している人、設計に従事している人、モノづくりをしている人、私も含め社員たちはそれぞれの立場で自分の役割を果たしています。だからどんな立場であれ、誰もが意見を自由に言うべきだと私は思っているんです。

そうした私の経営スタイルに対し、社員の皆さんがどう評価してくれるか今の時点ではまだわかりません。しかし、「中期経営計画2025」でも発表した通り、私はこの3年間、OKIの変革に向け、社長としての役割を精一杯やり切ること。今はそこに全力を注ぐことだけを考えています。

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天才型のスーパーマンではなく、努力型で成果を積み上げていける人こそマッチする

森氏のリーダーシップのもと、新体制で事業がスタートしたOKI。今後の柱となっていく事業について尋ねたところ、森氏は「海洋分野の事業」と「製造DX事業」の2つを挙げた。

海洋分野の事業は、長期的なビジョンとして位置づけています。この分野は、まだ市場が形成されていない、いわば未開の地。決定力を持った企業が確立されていないからこそ、我々がビジョンを描いていき、市場を形成するチャンスがあると考えています。

長年、我々は水中音響技術(音響センシング技術)を研究してきました。こうしたコア技術をベースに、パートナーシップを築きながら、海洋分野で新たなビジネスチャンスを追求していきたいと思っています。

とはいえ、海洋分野には課題が多い。例えばエネルギー資源の問題や利権問題、国際条約などに関しては、国際的な取り決めや規制が厳しいため厳格な対応が求められる。また、海洋関連のプロジェクトには多額な資金を要する。OKIのような大手企業の体制がなければまず立ち向かうことは難しい領域だ。では、そんなOKIが海洋分野で事業をおこなう際、何が強みとなるのだろうか。

我々の海洋事業は国家プロジェクトとして政府から出資を受けており、国と連携して先進的な研究を進めることができています。駿河湾にはOKIの実験施設があり、実際の海洋環境で実験ができることも大きな強みになるでしょう。

一般的に実験施設を設置する場合、地元との折り合いは難しいもの。OKIは長年にわたって地域と良好な繫がりを持っているため、地域からの協力が得られやすい点も、事業を進める上で優位に働きますよね。

そして、今後OKIで主力として進めている2つ目の事業が、中堅企業向けの製造DX事業である。OKIは日本のメーカーとして、受託生産から開発、モノづくり、販売、保守まで幅広く対応してきた。こうした経験を基に、同社は日本でDXが進まない中堅企業の課題を解決するためにソリューションを提供していく。

特に、円安や中国でのビジネスリスクを受けて、多くのメーカーが国内工場への回帰を進めている現状を考えれば、製造業の領域での需要は非常に高いと言えそうだ。

我々は、長年のモノづくりの経験を通じて、多くの失敗を重ねながら技術を磨いてきました。また、ミッションクリティカルな領域で高品質な製品を提供してきた実績もあります。

さらに、ソフトウェア技術や通信技術に加えて、AIのような新たなトレンド技術も積極的に取り入れている。我々はこれらの実績が競合優位性になると確信しています。

OKIにとって、海洋分野が夢のある成長領域とすれば、製造DX事業は近未来を見据えた成長領域だ。そして「この2つの間で、現在のOKIのインフラ関連の事業を強化していきながら、ハイブリッドな形で会社の成長を目指していきたい」と森氏は語る。そんな同社の飛躍に向けて、どのようなメンバーを求めているのだろうか。

我々は、スーパーマンを求めているわけではないんですよ。それよりも努力を続け、地道に成果を積み重ねていけるタイプを求めています。

多くの若い世代の人たちに話を聞くと、彼ら彼女らは短期的な視点よりも、自分の将来にとって価値のある場所や、より成長できる環境を求めていることがわかります。

現在、OKIでは、多くの学びや経験の機会を提供できる人事施策を取り入れている段階。他の企業より多様な経験が積める、早く海外で事業活動ができる、そういったニーズに応えていけるよう実績をつくっていきたい。そして我々は、組織の変革に一緒に挑戦する人を全力でサポートしたいと思っています。

今、まさに変革の時期を迎えているOKI。読者にとって、同社が老舗の企業という先入観はもうないだろう。OKIは、全員参加型イノベーションの実現によるボトムアップ組織を目指し、さらに社員一人ひとりが安心して新たなチャレンジができるよう、人事制度を見直して強力なバックアップ支援による環境づくりにも力を入れている。

大手企業でしか携われないようなインパクトのある社会課題やイノベーションを実現したいと考える者にとって、OKIは理想的な成長の舞台になるのではないだろうか。

こちらの記事は2023年11月21日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

写真

藤田 慎一郎

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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