「君は今、勝負しているか?」──若手コンサル必見!“外コン”出身の若手経営者らにみる、社会変革をもたらす熱き挑戦

企業の経営戦略に深く関わるコンサルタント達。

複数の支援先のブレーンとなり、その会社の命運を背負って戦略を練る様は、いわば何社もの経営を経験した強者達といえよう。

そんなコンサルタント達がネクストキャリアとして経営者・起業家を目指すのは、ある意味自然な流れとも思える。支援した企業の分だけ世の中の課題と向き合い、そのために成すべきことを策定し実行してきたからこそ、誰も手をつけていない、もしくはつけられない難易度の課題を見つけられるようになるのだろう。

そこでFastGrow編集部では、“外資系コンサルティングファームを卒業した猛者”に注目し、いわゆる元「外コン」のベンチャー/スタートアップ経営者達をピックアップしてみた。

コンサルキャリアを経て、今は急成長ベンチャー/スタートアップの経営者として活躍する者たち。こうした面々は、世の中のどのような問題をイシューと捉え、どのような戦略を立て、事業に落とし込んでいるのだろうか。

その足跡を辿ることで、特に現在コンサルタントとして活躍している読者にとって、キャリアの参考になる出会いがあるかもしれない。それではいこう。

  • TEXT BY TAKASHI OKUBO
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PwC(FAS)出身──SEPTA代表・山口 貴士氏

ハイ・シナジーコミュニティ──。

それは自分と他者のミッションが相乗効果を発揮し、人も企業も社会も、関わるものたちの夢や目標を実現させるコミュニティのことだ。

既存の概念である“win-win”や“三方よし”とは違う、現代社会に即した新しい概念である。こうした概念を打ち出し、フリーのコンサルタント向けマッチングサービス『CoProJect』を展開しているのが山口氏率いるSEPTAだ。

『CoProJect』の特徴は、コンサルタント視点でのサービス設計がなされている点だろう。案件数は国内最大級、案件の質もコンサルタントにとっては積極的に受けたくなるものが豊富だという。売上だけが単純に利用者の評価を表現しているとは言わないが、サービス開始からおよそ2年、売上高は3億円を超え、今期は4億円がほぼ確実とのこと。ここまで急成長している実績が物語るは、「世の中が求めていたサービスだった」といっても過言ではないはず。

代表取締役を務める山口氏は、外資系コンサルティングファーム・PwCのFASメンバーとして活躍し、SEPTAを含め2社の起業を果たした人材だ。SEPTAの根幹たるハイ・シナジーコミュニティの思想は、山口氏が自分が実現したいものが何かを内省し、哲学書を読み漁っていた頃に、ルース・ベネディクトという人類学者が提唱する“ハイ・シナジー”という概念に目が留まったことから始まった。

「自分のやりたいことが他者に還元され、他者がやりたいことが自分に還元される、そんな組織やコミュニティをつくりたい」という自分の理想とハイ・シナジーの概念は、まるで出会うべくして出会ったかのようにぴったりとはまった。こうした概念と、自身の外資系コンサルティングファームの経験を存分に活かせることを組み合わせた結果、フリーコンサルタントのマッチングサービスが生まれた。

ハイ・シナジーコミュニティの実現を目指し、まず通過点として捉えているのは「雇用や経営体制のあり方を変える」ことだという。今はまだコンサルタントの領域の一部でしか実現していないが、この概念が社会の至る所で生まれることによって、株式会社という我々が当たり前に考えている組織形態自体を変えうると、山口氏は考えている。

「個人のWILLが他の誰にも邪魔されない、そんな自由な世界の実現」山口氏が目指す世界を知りたいならば、まずはこちらの記事から読み進めてほしい。

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マッキンゼー出身──Gakken LEAP代表・細谷 仁詩氏

あの学研グループに、「デジタル」×「教育」をテーマにスタートアップ的な事業推進を行う企業が存在していることはご存じだろうか。そう、Gakken LEAPだ。

Gakken LEAPは「非連続的成長モデルの創出」を主なミッションとし、教育と医療福祉関連市場に一石を投じる。学研ホールディングスが培ってきた知見にデジタルの力を加え、国内だけでなくグローバルな教育業界に貢献する企業だ。事業を通じて、日本からグローバルリーダーとなる人材を輩出することを目指している。学研グループ内における新進気鋭の精鋭部隊として重要な役割を担っていると言えるだろう。

そんな同社の代表を務める細谷氏は、マッキンゼー・アンド・カンパニー出身で、30歳前半にしてパートナーにまで上り詰めた逸材だ。なぜ細谷氏がポストコンサルキャリアとして学研という場所を選んだのか。きっかけは学研ホールディングス代表取締役社長の宮原氏との会食で、200ページに及ぶ“学研を1兆円にするプラン”を提示したことだ。

当時、コンサルタントとして関わっていた細谷氏が提示したプランを見て宮原氏は「この取り組みを細谷さんの次のキャリアにしたら面白いのでは」と言われたという。それから毎月、学研の役員と会う機会が設けられ経営陣全員と話した。どの経営陣も“子どものため”、“顧客のため”、“日本の未来のため”という視点を持って物事を意思決定する姿勢に共感し、学研グループにジョインすることを決意した。

彼の鋭い業界洞察やそこから見出す勝ち筋については過去の取材記事を参照してもらえればと思うが、相方を務める元日経で現在はGakken LEAPのCTOを担う山内氏も、「細谷は机上の空論を展開するコンサルタントとはワケが違い、実際に100社の会社を経営した経営者のよう。1兆円規模の経営戦略の立案から実行まで経験している。だから小さい視点で物事を捉えないし、会社の価値を俯瞰して見ていると感じます」と信頼を寄せる。

そんな細谷氏率いるGakken LEAPが描く教育の未来とは?詳しくはコチラの記事を参照してほしい。

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マッキンゼー出身──エレファンテック代表・清水 信哉氏

5G、IoT、自動運転、ロボティクス技術など、多くの人々の生活に欠かせない存在になりつつある各テクノロジー。

こうしたテクノロジーを扱うためのデバイスは、プリント基板をはじめとしたエレクトロニクス製品の集合体でできている。最新技術の発展は人々の生活を豊かにするが、一方、製品の生産過程において環境負荷をかけていることも事実である。こうした問題に取り組み、日本の技術を世界に届けるために活動しているのが、清水氏が率いるエレファンテックだ。

エレファンテックは、独自の製法によってプリント基板を製造しているディープテック・スタートアップ。同社がつくるプリント基板は、従来の方法と比較して二酸化炭素77%、水消費95%カットできるため、持続可能な製造業のモデルとして各方面から注目を集めている。

代表の清水氏は、日本経済への危機感を強く抱き、グローバルな環境で日本が存在感を示すために、安定的な立場を捨て起業することを決めた。そして環境負荷の少ないプリント基板製造の道を選び、2014年にエレファンテックの前身となるAgICを立ち上げる。

だが、立ち上げた時は失敗する確率は9割くらいあると思っていたいう。「環境負荷を軽減する技術」という点に絶対の自信をもっていたものの、設立当初は環境負荷を軽減するという価値がビジネス上の価値に直結するか読めなかったからだ。

それでも、「いつか自分達の技術が製造業界のデファクトスタンダードになる」と信じ、事業を継続していった。そしてSDGs採択、2050年までのカーボンニュートラル達成の宣言など、徐々に環境課題への取り組みが企業にも求められるようになり、流れが変わっていったのだ。

2022年10月には21.5億円という大型の資金調達を実施したエレファンテック。累計調達金額は約70億円にのぼり、本格的な量産体制も整えて世界にその技術を広めていく構えだ。スタートアップと聞くとSaaS系企業が何かと目立ちがちだが、同社のようなディープテックスタートアップの領域は十分にグローバルに戦える力をもっているといえよう。数年後、エレファンテックが今よりもさらに高みに至っていることは間違いないはずだ。

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BCG出身──コミューン代表・高田 優哉氏

toB、toC問わず、カスタマーサクセスが事業継続に欠かせない存在であることは間違いないだろう。

効果を期待されて導入した自社のサービスが、顧客に価値をもたらすことができるか否かは、カスタマーサクセスにかかっているといっても過言ではない。さらにかみ砕いていうと、それはつまりサービス提供者と顧客、またその先にいるエンドユーザーとのコミュニケーションが重要だということ。

ただし、そのコミュニケーション全てをエンドユーザーごとに個別最適化することは現実的に難しい。事業をスケールさせるためには効率化をする必要があり、「効率」と「効果」が常にトレードオフの関係にある。そのことを「カスタマーサクセスの解けないパズル」と表現し、その課題を解決するカスタマーサクセスプラットフォーム『commune』を展開するのがコミューンだ。

『commune』は個別最適化されたコミュニケーションを維持しながら、その環境をスケールさせることができるプラットフォームである。自社とエンドユーザーとのコミュニケーションを『commune』に統合することで、蓄積されたコミュニケーションデータの分析を行う。その結果、最適なアクションを導き出し、自動でエンドユーザーへのコミュニケーションが最適化されていくようになる。

コミューンの代表を務めるのはBCG出身の高田 優哉氏。東大出身でBCG入社、その後2018年5月にコミューンを創業。約2年後の2020年9月に4.5億円の資金調達、更に1年後の2021年9月には19.3億円の資金調達を行い、盤石の体制を固めている。

そんな話を聞くと、「順調以外の何者でもない」と感じるかもしれないが、実際に話を聞くと挫折の連続だったという。しかし、そんな挫折があったからこそ、今のコミューンと高田氏があるのは間違いない。特にBCGで体験した“挫折と這い上がり”が、同氏の屈強な精神をつくったのだと想像できることだろう。

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そんな高田氏が率いるコミューンは、直近、更新された会社説明資料によると、給与の平均値、中央値ともに上昇しており、順調に成長を続けているという。勢いにのる同社から、今後も目が離せない。

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BCG出身──Wonder Camel代表・和田 淳史氏

2022年3月に、フリーコンサルタントのマッチングプラットフォーム『quickflow』をローンチしたWonder Camel

このサービスは、高単価・複数年継続になりやすいと言われるSAPコンサルの案件に特化することで、同年の11月にはすでに流通総額は5億円に達するなど、先述のSEPTAの『CoProject』と同様に、フリーコンサルタントの大事な活動の場として定着し始めている。またこの状況から、ポストコンサルキャリアとしてフリーランスの道も注目され始めていることがうかがえるだろう。

しかし、同社は『quickflow』の運営をしているだけではなく、コンサルティング事業、ヘルスケアベンチャー支援事業、D2Cブランド支援事業などを幅広く展開。代表取締役社長の和田氏の想いでもある「人々が挑戦しやすい社会をつくる」というミッションに向かって走り続けている。

和田氏は新卒でコンサルティングファームに入社し、そこでSAPについて学び、メキシコやアメリカなど海外プロジェクトにも携わる。その後、全社的な戦略に関わる仕事がしたいと考え、ボストンコンサルティンググループ(以下、BCG)に転職する。

そんな同氏はなぜ起業することになったのか。その理由は、「自分発信で社会に爪痕を残し、その経験を仲間達と分かち合いたい」という気持ちが高まったからだ。BCGに所属しながら、週末は知人のベンチャー企業の支援をしていた和田氏。その取り組みの中で、起業への想いが強くなったという。

和田氏の根幹には学生の頃からずっと変わらない“芯”がある。それは「情熱をもって進む誰かをサポートすること」だ。学生時代、コンサル時代、そして起業した今においても変わらず。この“芯”こそが、Wonder Camelの事業推進において大事な羅針盤となっている。『quickflow』、ヘルスケアベンチャー支援事業、D2Cブランド支援事業、特定の事業に絞らず、情熱をもって社会課題に挑む人々にとって必要な事業を生み出し支援するのが、Wonder Camelの強みなのだ。

そんな和田氏の想いは社内に対しても変わらない。「Wonder Camelをいい意味で利用してほしい」と同氏は語る。情熱をもって進む誰かをサポートすること、その言葉の意味することは、当然、ともに働く社内メンバーに対しても抱いているからだ。

Wonder Camelは創業1期目で6,500万円、2期目で5億1,000万円の年間売上を達成している。自分の理想を事業に落とし込み、そして実績もつくる。少しでも気になったのであれば、ぜひこちらの記事を読んでほしい。

こちらの記事は2023年05月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大久保 崇

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