「究極のUX」がここにある。SaaSのインパクトは、介護業界でこそ特に大きくなる3つの理由を、Rehab for JAPANに聞く
SponsoredUXという言葉に触れる機会が増えている。DXとは異なり、「単なるバズワード」と切って捨てるようでは、事業家として失格の烙印を押されるかもしれない。UXとはすなわち、事業であると言えるだろう。ITプロダクトによる事業であれば、なおさらだ。
そんな「UX」を特に極めることのできる事業環境は、一体どこにあるのだろうか、気になる若手ビジネスパーソンも多いはず。FastGrowはついに、それを見つけることができたのかもしれない。「介護業界」だ。
「高齢者の、あるべき生活をデザインする」のが、Rehab for JAPAN(以下、Rehab)というSaaSスタートアップの目指す世界観。これを同社取締役副社長COOの池上晋介氏は「究極のUXデザイン」と表現する。では実際に、どういった部分が究極なのだろうか。
それを知る鍵が、メンバークラスの働き方に隠されている。PdM、マーケター、セールスの現場で躍動するメンバーに話を聞き、介護業界で究極のUXデザインに取り組むことができる理由を学びたい。
- TEXT BY TAKASHI OKUBO
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
「現場レベルの課題が難しすぎる」から、プロダクトづくりが面白い
今吉介護の世界は、プロダクトマネジャー(PdM)として見て、「こんなに面白い経験ができる業界はないな」と思う環境です。
「良いプロダクトをつくり続けたい」という想いをかたちにしていくためには、一次情報にできるだけ多く触れることが重要です。さらに、その触れる情報が複雑であればあるほど、課題解決の難易度が上がります。
介護業界がまさに上記に当てはまるので、プロダクトづくりの現場として、どこよりもやりがいが大きいところだと感じるんです。
プロダクトマネージャーとしてこんなにも面白い環境はないと語る、PdMの今吉亮輔氏。リクルートやPayPayで、PdMとしてさまざまなプロダクトの立ち上げやグロースを担ってきた、経験豊富な人物だ。
その今吉氏をして、「どこよりもやりがいが大きい」と言わしめる介護業界。だが、そんなイメージを持つ読者はほとんどいないだろう。だからこそ伝えたい、「今、介護業界の課題をSaaSプロダクトで解消することの面白さ」を、じっくりと。
Rehabの目指す世界は、「たくさんの高齢者を元気にすること」。そのために今の介護業界に必要なのがエビデンス、すなわちデータだ。
代表取締役社長CEO 大久保亮氏:他の領域と同様に、介護においてもエビデンスが求められるようになってきています。(中略)今の介護業界には、これが圧倒的に足りないんです。
まさに、ITプロダクト、特にクラウドサービスがその真価を発揮すべき環境だと言えそうだ。
今吉氏のリクルート時代の先輩にあたる2氏が経営陣に名を連ね、その人生をかけようとしている点も、その魅力を理解する材料になる。
取締役副社長COO 池上晋介氏:社会インフラやITの導入が不十分すぎる状況で、高齢者の生活には選択肢が少ない。(中略)UXデザインの分野が強みである自分にとって、高齢者の生活をデザインすることは、いわば「究極のUXデザイン」に挑戦することのように思えて、情熱が宿ってきました(笑)。
執行役員CPO 若林一寿氏:介護に対するイメージが「介護する側は大変そう」だけだったところから、もっと先にある「高齢者の豊かな老後を創り出す」ことなんだと気づいた瞬間に、介護というテーマが一気に自分事になりました。
このような環境と人材が揃ったRehabだ。さて、改めて、今吉氏の言葉に戻ろう。
PdMというキャリアがかなり一般化し、目指す若者も増えてきた。多くのITスタートアップが重要なポジションとしてPdM職を置き、求人も増えてきている。その中で、どういった環境であれば、良い経験を積むことができるのだろうか。そんな疑問を持つ読者もきっと多い、そう伝えると、介護業界特有のプロダクトに関わる上での面白さを具体的に語ってくれた。
今吉UXを追求するデザイナーやPdMのようなポジションにとっては、ものすごく面白い環境だと思うんです。プロダクト仕様・デザイン・開発設計を決めるために多くの観点が必要になるからです。
一般的に介護と言えば、介護士の方をイメージされるかと思いますが、この領域では、専門職の方はもちろんのこと、利用者の家族・利用者・看護師・マネージャー・専門職以外のスタッフ・本社管理など、多岐にわたる役割の人たちが関わり合っているんです。だから、プロダクトのUXを最適化させるのが本当に難しい。これだけ多様な人たちが迷わず使える、そんなプロダクトを目指す必要があるわけです。
例えば請求書を作る際、一次記録を看護師が入力し、マネージャーがチェックを入れ、さらに運営本社で複数人のチェックが入ります。1通の請求書を作るだけなのに、7~8人が関わっているんです。
さらに、作っている書類の数も信じられないくらい多い。1カ月に3万文字以上を手書きしたり、20種類以上の書類を事業所ごとに作成したりしています。作成すべき順番が外部要因で入れ替わることなんかもあって、とにかく複雑です。膨大な業務フローをいかにシンプルで使っていて違和感が無い機能に落とし込むか、この部分が僕がやりがいを感じる部分ですね。
ここまで読むだけでも、COO池上氏の「究極のUXデザイン」という表現に、納得感を覚えることができるかもしれない。それくらいに、複雑であり、だからこそやりがいが大きいのである。
介護業界で「究極のUXデザイン」に取り組むことができる理由の一つ目は、「業務に関わるステークホルダーが、現場レベルで非常に多いこと」だと言える。
もちろん、PdMだけが奮闘すればよいわけではない。今回は、セールスの長芝聖也氏とマーケターの樋山貴也氏も招いた。「究極のUXデザイン」をチームで実現していく様子から、業界DXの秘訣を学びたい。
業務効率化で、業界全体を「前向き」にできるやりがい
セールスを担う長芝氏はそもそも、介護福祉士としてデイサービスの現場で働いていた。実は介護現場出身者がメンバーの3割ほどを占めるRehab。SaaSプロダクトのUXを極めていく中で、どのような役割を担っているのだろうか。同氏のジョインの背景から探っていきたい。
長芝元々、私はデイサービスや介護老人福祉施設(老健)などで介護士をしており、その中で得たスキルをもっと業界全体を良くするために多方面で活かせないかと思っていました。日々の現場で特に感じていた課題は、書類作成業務が本来時間をかけるべき高齢者のケアの妨げになっているということです。そういった課題を解決できる会社はないかと探していて、Rehabを知りました。 CEOの大久保の話を聞いて、世界観の大きさにわくわくしたのを覚えています。Rehab が目指しているのは、介護現場の職員一人ひとりが、高齢者が、介護に関わるすべての人が前向きに過ごせる未来を創ること。 私は、高齢者の人生の選択肢を減らさず、有意義な時間をもっと増やせるように、という点に重みをおいていました。Rehabはそれを本当の意味で叶えられる先駆者であると感じましたし、今も心からそう思っています。現場の書類業務の負担を軽減するだけでなく、リハビリを効果的に進めるエビデンスを回収したり、それをデータとして蓄積して活用したりを繰り返して介護業界全体を良くしていく。 自分のやりたいことを先回りして全部やろうとしている(笑)。ここでチャレンジしなければ、と感じたんです。
介護業界に対しては、「大変」や「きつい」といったマイナスの固定観念を持つ読者も多いだろう。実際に働いていた長芝氏も、そう感じることがあったという。そして、感じることがあったからこそRehabが関わる意義があると話す。
長芝確かに介護業界には「ただでさえ大変な仕事なのに、労働時間も長い」などマイナスなイメージがあります。
確かにそういう現場も中にはあります。そうした状況では、限られた勤務時間の中で「どれだけ高齢者の可能性を広げられるのか」を本気で考えられる人は少ない印象があります。そうなると、業界全体を良くしたいという志を持つ人も増えず、人材は育たず、業界に対してマイナスなイメージを抱える人が増えるという悪循環に陥ってしまいます。
Rehabのサービスをどんどん広めることで、業界自体を前向きに変えていける。この点に、大きな意義があると感じています。同じような考えを持って、介護の現場からジョインしてくれたメンバーが何人もいます。業界全体のDX実現を見据え、私たちが持つバックグラウンドを最大限に生かすチームワークを考えていくことは重要ですし、強いやりがいを感じますよね。
さて、もう1人、マーケティングの責任者である樋山氏は、介護に関わった経験がない。ただ、前職も同じレガシー産業であったことから、デジタル化による成長余地を実感として強く感じており、やるからには業界に対してインパクトを残せる仕事をしたいと考えた時に、Rehabを選んだ。
これまでの経験から、デジタル化されきっていない業界こそ、自分の力を発揮する場所だと考えていると話す。
樋山前職は、ライフエンディング領域のITベンチャーで、主に葬儀ビジネスのマーケターをしていました。オウンドメディア立ち上げや広告運用など、1人でいくつもの施策を回し、集客の経験を積んでいきました。若いうちからジェネラリストとして色々な経験をしながら、スペシャリストとしての軸足を見つけられたのは、良い経験でしたね。
転職を意識した時に、レガシー産業でデジタルマーケティングを駆使して開拓を進めることが、自分の強みだと感じたので、同じような雰囲気の残る業界であれば、より貢献できると思っていました。
いろいろな業界や企業を見る中で、Rehabの「大きな課題への向き合い方」に魅力を感じました。業務効率化や電子化に取り組む企業は多くても、「高齢者の生活」にフォーカスしてプロダクトを開発している企業はほとんどない。まさに「替えのきかないサービスを提供している」と感じたんです。
だからこそ、私がマーケターとして携わる価値も大きいと思いました。
先駆けてデータを蓄積し、唯一無二の介護プラットフォーマーに
PdMの今吉氏にも改めて、Rehabにジョインした経緯を聞いてみたい。リクルートにPayPayという有名企業からこのスタートアップに移ったのは、どのような理由からなのだろうか。
今吉新卒入社したリクルートで『海外版AirREGI』というITプロダクトに関われたのが、PdMキャリアの中で特に印象深い経験ですね。
海外で業務支援サービスを立ち上げる場合は、日本とは慣習や文化が違うことを踏まえたプロダクトづくりが必要となります。
例えばイギリスでは階級社会の名残によって、入口やBarエリアが複数ある店舗もあるので、そうしたことを広く想定したレジ・予約受付システムを作る必要があります。また、治安の悪いエリアで展開する店舗では、店員が不正をしないように食材単位での在庫監視・管理できるものでなければなりません。シンプルで使いやすいものであることを担保しつつ、それとは相反する複雑な管理機能・情報連携が求められる難しいプロダクトだったわけです。
月の半分はイギリスやドイツなどでユーザ調査を行い、飛行機の中で要件定義を行い、日本に戻ってプロダクトをつくり上げる、そんな日々でした。
残念ながら、コロナの影響もあって海外サービスは終了します。そこで、同じようにわからないことが多い中でも、スピーディーな開発が求められる環境に身を置きたいと考えPayPayに転職。PdMだけでなく事業開発も経験した後、Rehabを知り、「なんて面白そうなプロダクトなんだ!」と惹かれたんです。
自身が家族の介護を実際に経験していたこともあり、業界に対して距離の遠さは感じていなかったという。
今吉介護というとまだまだ暗いイメージを持たれている方も多いと思いますが、私は父親の介護経験があるので身近に感じています。事業所を訪問した時の印象も「ホスピタリティにあふれている人がいつも元気を振りまいている」というイメージで明るい印象を持っています。
だからこそ、自分がその役に立てるかもしれない、と知ると、ここで経験を活かしてプロダクト開発をやってみたくなったわけです。
介護という仕事は、誰が誰にどのような訓練をするのかによってその結果が大きく変わります。多種多様な要因と結果が積み重なるため、一つの事業所だけでデータをとったところで、活用できるレベルには到達しにくい。そこで、プラットフォームとして多数の事業所に導入を進める、それがRehabのチャレンジです。
他のどこの企業もやれていない事業です。介護の実務に関する圧倒的なデータ量がたまっていくんです。今後、新規事業を立ち上げていく展開だって非常に面白くなるでしょうし、今あるサービスを育てていくのも市場をリードできるので面白い、そう感じています。
介護業界で「究極のUXデザイン」に取り組むことができる理由の二つ目は、「分析可能な状態のリハビリデータを集められているリーディングカンパニーが、まだ存在しないこと」だ。事業の伸びしろもまだまだ大きくある、と言い換えることもできるだろう。
先駆けてチャレンジを進めるRehabは、介護プラットフォーマーとして、大きな業界変革を成し遂げるビジョンを追う。その皮切りとなるプロダクトだから面白味も強い、と今吉氏は繰り返し主張する。
未来の事業の芽が、そこらじゅうに存在する
Rehabに入社を決めた動機は三者三様だが、「Rehabなら、他の介護関連事業者ではできない先駆的な仕事ができる」という理解は共通している。一方で、やりがいが大きいということは、課題解決の難易度もそれだけ高いということの証左でもある。
「介護業界では、SaaSを広めやすくはない」という指摘も、もちろん間違ってはいない。だからこそ彼らが直面している課題と、それをチームでどのように乗り越えているのか、聞いてみたい。
PdMの今吉氏は「目先の改善を着実に進めながら、中長期の芽を摘まないこと」を目指していると、力を込める。
今吉プロダクトをつくる上で大事にしているのは「中長期的な視点で、さらなる成長を遂げていくための芽を摘まないこと」ですね。とにかく速い意思決定と、改善のスピードは自然と意識できます。でも、それと同時に中長期目線を見失わないというのは、そう簡単なことではありません。
例えば短期的な視点に立てば、リハビリで行った訓練を記録し、作成する書類に必要なデータが自動転記されれば十分かもしれません。ですが、将来的に目指している「エビデンスに基づいた介護」のためには、もっと突き詰めて考えていくべき。目先では役に立たないデータも、将来的に必要になるものがあります。
だから当然、UIという1つの接点だけ見て、使いやすいものをつくろうと考えるわけにはいきません。その裏側で「どうやってデータを溜めないといけないのか」や「法改正があった時に変わってしまうのはどこか」など長いスパンのことも意識する。なおかつ同時並行で、今、最高に使いやすいUIもつくる。
スピードを担保しつつ、未来の事業の種も意識的に残す。PdMの意思決定として非常に難しいですが、これらに取り組んでいくことが面白いんです。
まだSaaSプロダクトが未開拓な市場だからこそ、データを蓄積していくことで、新たな事業のタネが多く生まれる余地がある、そんな指摘だとも言える。全てが良い種になる可能性もあれば、逆にどこに良い種があるのかわからないという見方もできる。そんな環境では確かに、意思決定が難しく、その分やりがいも大きそうだ。
営業の長芝氏も同様に、視線を未来に向ける点に苦慮する。だがその中で、意外にも「自身の介護士時代の経験が活きる」と話す。
長芝新規営業では「サービスをとにかく使ってもらいたい」ということを考えがちになりますよね。私もそうだったのですが、もっと大事なことがあると、最近は感じます。
それは、長い目線で見て、お客様の悩みは本当にこのシステムで解決できるのか、そしてどのように解決していけるのか、という点です。お客様が目指したい未来を一番に叶えられるのが『リハプラン』だと思った時にしか、導入のご提案をしていません。
悩みを抱えた介護事業所は、まだまだたくさんあります。一方で私たちも、まだ50名弱の従業員でやっているスタートアップですから、供給力には一定の限界があります。今は、本当に必要とされるところに、的確にRehabのサービスを届けていきたい。その上でしっかりデータを蓄積し、SaaSとして改善を繰り返し、より多くのお客さまにご提案できるプロダクトにしていきます。
私が本当に実現したいのは、デイサービスに通う高齢者が、職員も含め他人と接する有意義な時間をできるだけ増やしていきたいということ。そのために、セールスという立場であっても、目先の受注や売上に固執するのではなく、的確なサービス供給を長期的な目線で進めたいんです。
この点で、介護現場出身の仲間と、ITベンチャー出身の仲間とチームで知見や情報を交換しながら意識を高められるこの環境は、非常に貴重な場だと感じます。SaaSセールスの在り方を、介護現場をないがしろにすることなく、根本的に考えることができています。
SaaS企業では、どうしてもITベンチャー出身者が多くなる。一方で、現場経験者の知見も当然、事業開発観点では重要なはずだ。長芝氏のようなメンバーが、SaaSビジネスの知見を柔軟に吸収し、現場経験とかけ合わせ、事業開発観点を養っていっているという事実自体が、Rehabの事業成長を期待させる。
マーケターの樋山氏は、如何にプロダクトの価値を伝えるか、という点に主眼を置き、活動している。
樋山マーケティングも同様ですね。SaaSなので、主にリード獲得を考えるのですが、その中で重要なのは何と言っても長期的な視点です。
今は事業所さんのすべての業務を『リハプラン』が補うことはできませんが、たとえ補うことができたとしても、誰にとっても完璧なプロダクトは存在しないと思います。特にこういったICTの利活用に慣れていない介護業界では、正しく価値を伝えるのが難しい。
そんな中でも我々を選び続けてもられるかどうかは、ユーザーさんに「このサービスが好き」とか「この会社が好き」と思ってもらうことにかかっているのではと考えています。
例えば、ユーザーさんたちを集めた勉強会を開くみたいな、そのサービスを取り巻くコミュニティが目立っている例ってありますよね。Rehabも、そういった存在を目指すべきかなと思うんです。すぐに効果が実感できなかったり、使い勝手に不満をもつこともあるかもしれませんが、共に利用者さんの自立支援を行っていく仲間だからこそ、共に課題を乗り越える関係になっていけるはずだと。
誰も挑戦してこなかった分野ですし、Rehabが目指すビジョンは壮大だからこそ、こうしたリード獲得に限らないマーケティング観点でのプロダクト開発を進めていく必要があると、私自身も気を引き締めています。
バーティカルSaaSであれば、限られた産業・業界内でのプロダクト活用になるため、コミュニティの影響力は大きくなると言えるだろう。特に介護施設同士で、高齢者に効果があるリハビリの知見やノウハウを『リハプラン』の利用者コミュニティ内で共有し合うという関係性が構築されていくのは、Rehabの描く世界観とも合致する。
ビジネスサイドのメンバー一人ひとりが、自身の強みを最大限に活かし、プロダクトの成長だけでなく、介護業界のあるべき姿に向き合う。そんな姿が自然に生まれる環境のようだ。大きな業界課題が横たわる現場で、メンバーそれぞれが意識を高く持っていることそれ自体が、バーティカルSaaSでDXを進めていく一番の強みになるのかもしれない。
「人生を延長させられる仕事」だから、やりがいは随一
長芝介護士をしていた頃、「あなたと話すこの10分のために、1週間生きてきた」と言われたことがあります。
高齢で仕事に就かず、生活保護を受け、わずか数人の知人とのつながりだけで生きている方でした。介護を通して触れ合える10分が、とても貴重な時間だと仰っていただいたのが今でも記憶に残っています。
ビジネスやプロダクトの話が長くなる中でふと、思い出したように長芝氏が紹介した、介護士時代の話。「他人の人生に、大きく影響を与えられる事業をしたい」と語る若者も増えてきた中で、こうしたエピソードは特に響くのではないか。
長芝実際には、介護士一人ひとりが日常業務に追われ、その人と話す暇もないことだってよくあります。私自身にもありました。1週間楽しみにしてきたその人の10分を潰してしまうことに、納得がいかず、悔しく感じていました。
「利用者のために、業務時間を使いたい」という当たり前のような考え方を、ちゃんと実践できるようにしたいんです。
その時間をつくれるのは今、Rehabだけだと思っています。この悩みに共感してくれる仲間を集め、現場の人達に早く届けたいと思っています。
介護業界で「究極のUXデザイン」に取り組むことができる理由の三つ目は、「エンドユーザーの、人生の楽しみをつくり出せること」だ。この10分を積み重ねて、その先で「高齢者一人ひとりの元気」を実現できれば、健康寿命も延びていく。それがRehabの目指す道でもある。
新しい人生の時間を数年分、提供することまで可能になる。業界特化のバーティカルSaaSで、社会に対してここまで大きなインパクトを持つ事業領域はそうそうないだろう。
そんなRehabが、チームとして抱える課題にどういったものがあるのか。それを最後に聞いてみると、口を揃えて「仲間集め」と答えた。
樋山やはり仲間がまだまだ足りないですね。どうしても自分ごと化しにくい業界だとは思います。ただ、業界に精通しているとか、原体験があるとかは関係ないと思います。それよりも、自分が関わるプロダクトを愛せるかどうか、あるいはマーケターとしてのスペシャリティを高めるために行動できるかどうか、などが大事です。
プロダクトを好きになれる人にはマーケティングができる。Rehabは介護のことを知らないという人でも、きっと面白いと感じるサービスです。「他の企業にはない特異なプロダクトをつくって、事業だけでなく日本を良くしたい、誰かに誇れる仕事がしたい」と考えている人と一緒に働きたいですね。
今吉Rehabには既に介護の専門的な人がいるので、業界の知識はなくてもいいんです。なので、素直な人は大きな伸びしろを感じる環境です。業界についてキャッチアップを進める中で、たくさんある情報を個人の主観で選り好みせず、しっかりと受け止めきって判断する人は、強いやりがいを感じ続けて働けると思います。
「ここまででいいや」と見切りをつけるのではなく、全部吸収して考えきった上で意思を持って判断できる粘り気のある人が一緒に働いてくれると嬉しいです。
長芝「営業といえば提案力」という見方もありますが、なによりお客様の話を聞くことが大事です。人の話を相手の立場になって聞ける人。その上で、物事を試行錯誤し好奇心も持っている人はかなりRehabに向いていると思います。
加えて、Rehab のプロダクトは実際に介護に関わっていた自分から見ても、数段深いニーズに対応できている。提案する中でお客様からマイナスな反応が返ってくることは非常に少ないんです。これ自体、珍しいことだと思います(笑)。
お客様の課題に対して提案できる素材はある。とにかくお客様の話を聞いて、寄り添えるような方が加わってくれると心強いです。
そして今吉氏から再度、プロダクト面での面白みと、今後の挑戦が語られた。
今吉ステークホルダーの数が多い介護領域で、目先の改善と中長期の目線の両輪でプロダクトが成長していく道筋を考え抜く、こんな挑戦ができる環境はなかなかないと思うんです。業界課題が多い、すなわち、考える材料がかなり多くあるので、大事なことを取りこぼさないように、地道に推進していく必要があります。
今後は、シンプルに良いプロダクトをもっと早くつくって出していくことが重要です。そのためにも、複雑な要件定義を考え抜く仲間たちを増やし、圧倒的なプロダクトをつくっていきたいですね。
先の記事(CEO大久保氏、COO池上氏・CPO若林氏)で、Rehabの強みは経営陣にある、と紹介した。だが、もちろん、現場にもその力強さは伝播し、大きくなっている。むしろ、現場を預かるメンバーの熱量と地力こそが、介護という難しい業界において真にDXを成し遂げていく原動力になっていくはずだ。
そして最後に、「成長環境」を求める若者にもぜひ伝えたいことがある。CEOの大久保氏が自信を持ってこの組織を評するには、「『社会的な価値を創る能力』と『資本的な価値を創る能力』、その両輪で能力を伸ばしたい人にとって最高の環境」とのこと。やはり唯一無二のSaaS事業開発環境が、ここにはある。
こちらの記事は2022年01月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
次の記事
執筆
大久保 崇
写真
藤田 慎一郎
連載高齢者の生活をリデザインー介護DXで社会的インパクトを狙う、Rehab for JAPANの挑戦
8記事 | 最終更新 2023.06.20おすすめの関連記事
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