連載一人ひとりが紡ぐ、永遠ベンチャーの姿──株式会社ネクストビート

「変化を厭わないカルチャー」が、セールスイネーブルメント価値を最大化する──“なんでもやる”が画餅にならない理由を、ネクストビート野田氏・橘氏に聞く

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インタビュイー
野田 千有里
  • 株式会社ネクストビート 執行役員COO 

大阪大学卒。2020年新卒(大学在学中に通年入社制度を利用し、2019年5月に前倒し入社)。子育て情報メディアセールス、人事、基幹事業のソリューションセールス、マネージャーを経て、入社から3年で新規事業である宿泊業界専門の転職支援サービス「おもてなしHR」の事業責任者に抜擢。事業を昨対200%成長へと導く。2024年4月にCOO就任。

橘 興平
  • 株式会社ネクストビート セールスイネーブルメント ゼネラルマネージャー 

早稲田大学政治経済学部卒業後、2019年4月に株式会社富士通総研へ新卒入社。2020年4月にRidgelinez株式会社へ出向、転籍。2023年1月にネクストビートへ入社し、経営企画を経験後、10月から営業企画マネージャーに。現在は営業組織のセールスイネーブルメントのゼネラルマネージャーを務める。

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「セールスイネーブルメントは、業績最大化のためにセールスを通じて何でもやる人なんです」

ネクストビートCOO野田千有里氏の力強い言葉が響く。隣に座るセールスイネーブルメントのゼネラルマネージャー橘興平氏が頷く。「私たちは、どんな営業メンバーでも成果を出すことができる仕組みの構築に挑戦しています」。

セールスイネーブルメント。この言葉を聞いてピンとくるビジネスパーソンは、日本にまだ少ない。しかし、ネクストビートではこの概念が、驚くべき成果を生み出し始めている。なぜこれほどまでに、セールスイネーブルメントにこだわるのか。そして、どのようにしてその真価を引き出しているのか。

本記事では、ネクストビートの独自の環境がいかにセールスイネーブルメントの効用を最大限に引き出そうとしているか、に迫る。200人規模の多様な営業体制と、一人ひとりが変化を恐れない文化。この稀有な組み合わせが生み出す、野心的な挑戦の全貌を探ろう。

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「営業改革」必要なのは間違いないが、まずどうすれば?

セールスイネーブルメント。この言葉を耳にしても、日本ではその意味や重要性を理解している人は少ない。単なる営業企画や営業支援と捉えられ、誤解されることも多いこの概念。しかし、その本質は「業績の継続向上に直結するような、営業組織と営業メンバーそれぞれの生産性を劇的に向上させる施策を打ち続けること」にある。

ネクストビート最年少CxOとしてセールスイネーブルメントを牽引する野田氏はまさに、この考え方を突き詰めようと取り組んでいる。

野田氏

野田セールスイネーブルメントとは、営業組織全体の生産性を最大化するための包括的なアプローチです。単なるトレーニングや支援ツールの提供にとどまらず、営業プロセス全体を最適化し、営業担当者一人ひとりが最大限の成果を出せる環境を作り出すことが目的です。

残念ながら、日本企業の多くではセールスイネーブルメントの概念自体がまだあまり浸透していません。営業改革の必要性は認識されていても、具体的にどうアプローチすべきか分からない、というのが現状だと思います。

この状況下で、ネクストビートは先駆者としてセールスイネーブルメントに注力することを決めた。もちろん、マーケティングや開発と同様に、外注することなくオールインハウスの体制で、だ。その背景には、同社特有の環境がある。

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「200名規模の営業体制×挑戦文化」が、セールスイネーブルメントの成果期待に

ネクストビート。「人口減少社会において必要とされるインターネット事業を創造し、ニッポンを元気にする」というミッションを掲げるこの企業には、セールスイネーブルメントが真価を発揮する稀有な環境がある。

野田私たちの会社には、二つの重要な要素があります。一つは、12事業にまたがる約200名の大規模な営業体制。もう一つは、「永遠ベンチャー」といった言葉で表される、変化を恐れず常に挑戦し続ける文化です。この二つの要素が、セールスイネーブルメントを効果的に機能させる土台になっていると感じます。

大規模な営業体制があることで、セールスイネーブルメントの効果を定量的に測定し、迅速に改善サイクルを回すことができます。そして、チャレンジを恐れない文化があるからこそ、新しい取り組みを躊躇なく導入できるんです。

橘氏

もちろん、この特殊な環境は一朝一夕に築かれたものではない。

野田私たちの「永遠ベンチャー」精神は、2013年の創業時からじっくりと培ってきたものです。

その代表的な考え方が、「他社が10年かかることを1年で実現するために思考し、行動する」ということ。この姿勢が、不可能を可能に変えるんです。チャレンジに伴う失敗をよしとする文化があることで、我々は常に進化を続けています。

私自身も、セールスイネーブルメントが立ち上がる前から、プレイヤーとして成果を出すにあたって「手段が目的化し形骸化したKPI」「ネクストアクションに落ちないまま放置されている改善策」「改善ポイントが不明瞭なロープレや1on1」など営業組織において起きがちな課題を仕組みと思想で解消しようとしてきました。自分のチーム内など小さな組織の範囲内では、部分的な改善を行ってきました。

野田さんのご経験は、まさに社内でセールスイネーブルメントに取り組み始めた起点ともいえるかもしれませんね。

野田そうですね、せっかくなのでもう少し具体的にお伝えしたいです。

たとえば「営業戦略構築のための顧客情報の入力」において、「ただSalesforce上に記録するために“0”と入れるカラム」と化してしまう部分がいくつもありました。そうなると、データとして有効活用ができなくなり、意味がない。そこで、自動入力や固定の入力時間の設定、そして入力をモニタリングする担当の設定を行うように変えました。

また、いわゆるロープレは、「実際には存在しない優しいお客さんとの雑談」と化してしまいがちでスキルアップに一向に繋がらないと感じたことがあり、商談で押さえるべきポイントをリスト化し点数を付け、満点まで再試が行われる設計をつくることまでしてみました。

こうした経験を通じて、「課題の明確化」「理想状態の定義」「理想状態を実現するための打ち手」「運用上のリスクとリスクヘッジ」が揃って初めて、継続的な組織改善がワークするものだと感じています。

この環境下で、セールスイネーブルメントはどのように機能しているのか。橘氏は具体例を挙げる。

例えば、新しい営業手法を考案した際、すぐに小規模なチームで試験運用し、その結果を分析。効果が確認できれば、迅速に全体に展開します。この速度と柔軟性が、私たちの強みです。

現在、実際の活動の多くは、業務の効率化、自動化、オペレーションのプロセス改善を地道に進める部分です。現場で顧客への価値を最大化するため、とにかく地道に課題を捉え、一つずつ改善を図っています。

もちろん私たちだけでうまく進められるわけではありません。セールス現場の皆さんと一緒に、日々いろいろな事象に対して向き合い、新たに取り組むべきことを考え、壁打ちし合い、仮説検証や改善までスピーディーに進めています。ここで営業経験を積むことで得られることも多くあると思います。

見据える目標はあくまで、全体としての高い生産性です。セールスイネーブルメントの成果が高い売上成長率や高い営業利益率という数字にまで表れ、営業メンバー一人ひとりのやりがいも高まっていくよう、俯瞰した視座で取り組みを定義し、これからも急速に拡大させていきます。

このように、ネクストビートの特殊な環境は、セールスイネーブルメントの効果を最大化する理想的な土壌となっている。では、実際に最近、どのような成果をもたらしているのだろうか。

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成果指標が売上成長や利益率であるべき理由と、リーダー育成という価値

野田生産性・効率性の追求に終わりはありませんが、社内では2030年を一つの重要なタイミングとして、売上や営業利益率の定量目標値を設定しています。具体的な数値は明かせませんが、簡単には達成できないような高い値としています。

そして先ほども触れたとおり、セールスイネーブルメントの成果は、売上や営業利益率として現れてくるべきだと考えています。なお「売上や利益だけを追求していく」と誤解されてはいけないので少し補足します。現場の営業メンバーによる“顧客のために奔走し続ける時間”の質と量をいずれも高め続けることで、結果として売上や利益につなげるのが、セールスイネーブルメントの役割だということです。

この観点から、「セールスイネーブルメントが全社を牽引するんだ」という意気込みで取り組んでいるんです。

この目標に向けて、ネクストビートのセールスイネーブルメント組織は、独自のアプローチを展開している。二人がその核心を語る。

私たちの言葉で「超・Synergy」と呼ぶ、部門間の密接な連携を重視しています。セールスイネーブルメントチームが中心となり、営業、マーケティング、プロダクト開発、カスタマーサポートなど、様々な部門の知恵を結集させることで、今までにない革新的な施策が生まれるんです。

野田例えば、営業とマーケティング部門が協力して新規顧客獲得戦略を立案し、それをプロダクト部門と連携して具体的な商品開発につなげる。さらに、セールスフォースエンジニアと協力して、営業活動のデータ分析と可視化を進め、人事部門と連携して効果的な人材育成プログラムを構築する。この部門横断的なアプローチが、私たちの「超・Synergy」の核心なんです。

こうして取り組むセールスイネーブルメントの真価は、単なる目先の売上向上にとどまらない。

セールスイネーブルメントチームのメンバーには、多様なプロジェクトでリーダーシップを発揮する機会を積極的に提供しています。例えば、新しい施策の企画から実行までを一貫して担当させたり、他部門との連携プロジェクトのリーダーを任せたりしています。これにより、経営的視点を養いながら、実践的なスキルを身につけることができるんです。

特に人材育成、あるいはリーダー人材輩出も、セールスイネーブルメントの大事な効用と言えよう。次のセクションで具体的に探っていきたい。

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継続的価値創出に向け、採用・育成の優先度は高い

すでに指摘したように、日本社会を見渡しても前例が少ないセールスイネーブルメント。ネクストビートにおいては、継続的な取り組みとするため、すでに採用から育成につなげる整理も進めているという。

野田活躍し始められるまでの育成プランについても、まず必要なインプット材料の整理と構造化は完了し、運用を開始しているところです。

ですが、運用上のクオリティについてはまだまだ改善の余地があることに加え、体系的なフォローアップについてもしっかり設計しなければなりませんね。

野田活躍までのスピードを加速するための、「模擬実践→内省→現場実践→内省……」といった営業プロセスごとのサイクル構築と運用も早急に設計する必要がありそうです。

こうして育成を進める中で意識しているのが「経営的視点」。この視点を習得していけば、自ずと得られていくのが「社会課題解決までのつながり」だ。

私たちのセールスイネーブルメント活動を通じて、社会課題の解決に直接的に貢献できていることをより強く感じられるようになると思います。この点でも、非常に大きなやりがいを覚えますね。社員一人ひとりのモチベーション向上にもつながっていると感じています。

野田そもそも私たちネクストビートの事業は、単に自社の利益を追求しているわけではありません。例えば、保育分野での取り組みは、保育士の就業支援を通じて待機児童問題の解決に貢献しています。また、地方創生事業では、地域の魅力を効果的に発信することで、地方の活性化にも寄与しています。

こうした取り組みを妥協せず進めていくためにも、セールスイネーブルメントは重要な意味を持つと感じます。

このように、ネクストビートのセールスイネーブルメント組織は、技術と人間性のバランスを取りながら、具体的な成果を上げている。しかし、その道のりは決して平坦ではない。次のセクションでは、彼らが直面する課題と、それに対する取り組みを見ていく。

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「不可能を可能に」を、セールスイネーブルメントが牽引していく

ネクストビートのセールスイネーブルメント組織が成果を上げる一方で、様々な課題にも直面している。橘氏は、現在の主要な課題を指摘する。

意思疎通のスムーズさや、組織内リソース配分を機動的に変更できるのは今の規模故の強みです。が、その分特定のテーマにどっぷり腰を据えてとにかくそこだけ見続ける、みたいなリソースの張り方は現状難しいのは課題です。

野田現状、実行したいと考えている戦略・戦術の10%も出来ていない状況で、圧倒的にリソースが不足しているのは否めない事実です。また、実行段階に進んでいるのが上段の戦略策定やオペレーション設計などばかりであり、これは橘が持つスキルセットに偏ってしまっているとも言えるのが今の課題です。

こうした課題を認識しつつ、「優先度高く進めるべきこと」にフォーカスし、独自のアプローチをまずは構築しようとしている。

野田セールスイネーブルメントに従事している人はまだ少なく、今は兼務含めたった3.5人です。ですが、現場からボトムアップで上がってきた施策をその社員と一緒に施策化し、営業全部署に展開するようプロジェクトアサインすることで、リソースの分散とイネーブラーの育成を両立しようとしています。

こうして現場の声を取り入れながら取り組むことは重要ですが、その一方で、長期的な戦略との整合性をしっかり保つことも必要です。時に、短期的な成果を求める現場の要望と、長期的な戦略とのバランスを取ることに苦心することがあります。

また、セールスイネーブルメントという概念自体がまだ新しいことも、やはり組織が直面する課題の一つだ。

セールスイネーブルメントという言葉自体、社内にもまだ浸透していない面があります。「単なる営業支援では?」と思われてしまい、コミュニケーション上の齟齬が生じることもあり、その価値や重要性を理解してもらうのに時間がかかることがあります。

このように課題は山積している。しかし、野田氏はこの状況をむしろチャンスと捉えていると語り、笑顔を見せる。

野田確かに認知度の低さは課題です。ただ、それは同時にチャンスでもあります。私たちが先陣を切ってセールスイネーブルメントの価値を示すことで、自社にとどまらず業界全体を牽引していけるとも考えています。

そのために、スピード感を失わず、かつノウハウや知見をしっかり蓄積していく意識も重要です。採用・育成も絡めてセールスイネーブルメントチームをしっかり拡大し、創出価値を高めて続けていきます。

今後の展望について、野田氏は力強く語る。

野田他社が10年かかることを1年で実現するために思考し、行動する。「NEXTBEAT IDENTITY」にも掲げるこの姿勢が、不可能を可能に変えるんです。チャレンジに伴う失敗をよしとする文化があることで、我々は常に進化し続けています。

失敗を恐れずにチャレンジし続けることで、セールスイネーブルメントの新たな可能性を切り開いていけると確信しています。

ネクストビートのセールスイネーブルメント組織は、直面する様々な課題を革新的なアプローチと強い企業文化で乗り越え、常に進化を続けている。その姿勢こそが、ビジネスの未来を切り開く原動力となっているのだ。

セールスの経験を持ちつつ、より大きな挑戦に身を投じてみたいと感じるあなたにこそマッチする仕事が、ここにあるかもしれない。さらに詳細が気になればぜひ、積極的に情報をつかみに動いてみてほしい。

こちらの記事は2024年08月19日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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