顧客のニーズを正しく掴め──LegalOn Technologies浦山氏、Ubie久保氏に訊く、急成長スタートアップの顧客獲得法
起業家とベンチャーキャピタル(以下、VC)の間に生じる情報の非対称性を解消し、イノベーターの成長を促進する──。このミッションを基に誕生したのが、スマートラウンド運営のスタートアップ・コミュニティ『Smartround Academia』だ。
当コミュニティでは、主にIPOを遂げたスタートアップに着目。創業からの資本政策の歩みを、当事者であるスタートアップのCxOやVCらの経験談と共に紐解いてきた。そして今回、『Smartround Academia 2022 Fall』では、4つのセッションが開催された。
第1部は、Sozo Ventures中村氏とスマートラウンド砂川氏。第2部はLegalOn Technologies(旧社名 LegalForce)浦山氏、Ubieの久保氏、Yazawa Ventures矢澤氏。第3部は前回に引き続きKnot, Inc.小林氏、Off Topic宮武氏、シニフィアン朝倉氏が登壇。その後、第4部では毎開催ごとに白熱する、投資家との壁打ちイベントも開催された。
本記事では、2022年10月4日(火)に開催された本イベントの第2部を、イベントレポートという形で読者にお伝えする。
- TEXT BY WAKANA UOKA
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
LegalOn TechnologiesとUbie。
共に2017年に事業をスタートし、爆伸び中
第2部のテーマは、“爆伸びスタートアップに聞く!顧客獲得のリアル”。登壇者はLegalOn Technologies(旧社名 LegalForce)執行役員 営業・マーケティング本部長の浦山 博史氏、Ubie代表取締役の久保 恒太氏。モデレーターはYazasa Ventures代表パートナーの矢澤 麻里子氏が務めた。
セッションでは、偶然にも創業時期が1ヶ月違いという2社の共通点や相違点を探っていく。まずは、2社の基本情報について整理しておこう。
浦山LegalOn Technologiesは2017年4月に創業、私は2019年5月に入社しました。現在、営業組織は200人を超えるぐらいの規模感です。“すべての契約リスクを制御可能にする”というミッションのもと、3つのサービスを提供しています。
まずは『LegalForce』という契約書のチェックサービス。2つ目は『LegalForceキャビネ』という、契約締結後の契約書の管理サービス。3つ目は『LegalForceキャビネScan Plus』という紙の契約書をPDF化するサービスです。
浦山2019年8月ごろまでの営業メンバーは2〜3人。その人数でなんとか導入社数100社まで数字を積み上げました。そこから2020年4月に300社を突破したのですが、直前の3月には緊急事態宣言が発令されました。当時は営業の人数が、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスと、合わせて10名程度。それほどの人数がいたわけではありませんでした。
コロナ禍を契機に自社の採用は一旦中断し、既存メンバーで乗り切る時期を経て、2020年10月ごろに採用再開となりました。そこからは、それまで導入社数を100社にするのに半年〜1年かかっていたところ、月に100社ペースで増加できるようになりました。そして2022年3月に2,000社、9月末で2,500社の導入に至った次第です。
営業組織の立ち上げから、営業メンバーが属人化しないスタイル、再現性のある形でスケールさせていく方法を挙げた浦山氏。続いて、久保氏が自社の紹介を行った。
久保私のバックグラウンドはエンジニアで、もともと病気予測をするAIをつくっていました。前職は、エムスリーというデジタルヘルス系の会社のエンジニアです。
Ubieは共同創業者の医師と共に立ち上げた会社で、LegalOn Technologiesさんと同じく2017年に創業しました。現在の社員数は200人ほどで、東京・シンガポールでグローバルにビジネスを展開しています。なお、Ubieは変わった組織構造をしていまして、事業フェーズごとに組織を分化させてきた点が特徴です。
サービスは主に2つ。1つは一般生活者向けの症状検索エンジン『ユビー』で、現在月間700万人ほどに使われているサービスです。AIを通じてユーザーの症状をヒアリングし、何の病気との関連性が高いか、どの医療機関にかかるとよいかを教えてくれるものです。ユーザーはAIから得たその回答を一部の医療機関に送れ、スムーズに医療機関を受診できるようになります。実際に送信可能な医療機関数はおよそ15,000件ほどに上ります。
久保もう1つは医療機関向けのサービス『ユビーAI問診』です。こちらはAIが患者さんに質問をし、電子カルテを自動的につくるサービスです。医師の業務効率化につなげられ、診察時間が半分や3分の1になったという医療機関もあります。現在1,100件以上の医療機関に導入されているサービスです。
LegalOn Technologiesは累計調達額がおよそ179億円、UbieはシリーズCで総額62.6億円の調達を実現している、“爆伸び”と呼ぶに相応しいスタートアップだ。次の章からは、早速2社の成功理由を探っていこう。
スムーズに初期の顧客獲得に成功したLegalOn Technologiesと、苦戦を強いられたUbie
セッションの最初のテーマは“成長の裏側”。スライドには“最初の1社”、“PMFまで”、“スケールフェーズ”、“属人的な営業からの脱却”という文言が並ぶ。事業を軌道に乗せるために重要な初期の顧客獲得。2社はどのように獲得していったのだろうか。
浦山2019年1月に無料トライアルを行い、4月に正式版となる有料サービスをリリースしました。この時に無料版から有料版に移行してくださったお客様が最初のメイン顧客となります。
通常、SaaSのPMFは大変だと言われる。しかし、『LegalForce』は恵まれたプロダクトであり、割とスムーズにPMFすることができたと浦山氏は振り返る。その理由はどこにあるのか。
浦山もともとニーズがかなり顕在化していたんですよね。法務担当者は契約書を見て、問題の有無を探す役目を担っています。そのため、契約審査をする方々には、AIやデジタルで契約内容の問題となる箇所を事前にスクリーニングしてほしいというニーズがもともとあったんです。実際、無料版を導入してくださった約100社のうち、半数程が正式契約へと移行してくれましたね。
有料版からスタートせず、先に無料版を出したのはなぜなのか。その背景には、顧客の認知獲得という狙いがあったという。
浦山無料版のリリース時、リーガルテック業界で、かつAIを使ったプロダクトであること、そしてそれが無料で使えるという要素が話題になったのではないかと思います。無料トライアルを営業する中で、「このプロダクトはイケる」と自信を得られたことで有料に切り替えました。無料トライアルの実施時期は私の入社前ですが、プレスリリースを打ったり新聞に取り上げられたりしたこともあり、100社に導入いただくことができたと聞いています。
矢澤『LegalForce』は弁護士事務所などにも導入されていますが、一般企業の法務との導入割合はいかがですか。
浦山法律事務所の導入は全体の約2割です。当初、弁護士事務所に関しては顧客として想定はしていませんでした。契約書のチェックに関してサポートを必要としているのは、資格を持っている弁護士の方よりも、一般企業の法務部ビギナーの方だと想定していたんです。
ただ、リリース後、機能が整ってきた2020年4月ごろに弁護士の先生方に提案をしてみたところ、かなり刺さりまして。202年の7月ごろは全体の約3割程度が法律事務所からの導入でした。人がやらなくてもいい部分をAIにサポートしてもらいたいニーズは、弁護士事務所も企業も変わらなかったということでしょう。
初期の顧客獲得がスムーズに進んだと語る浦山氏に対し、苦労したと答えたのが久保氏だ。
久保我々の事業構想は、「一般の方が症状をチェックするために使うAIをつくろう」というBtoCサービスから始まり、そのサービスを医療機関向けにも提供しようと考えていました。しかし、創業した2017年ごろは、我々の広報不足もあり、AIに対する医療従事者の理解がなかなか得られませんでした。
さまざまな医療機関の院長先生方のアドバイスを得て行き着いたのが、電子カルテの自動作成サービスです。厚生労働省の調査によると、医師の長時間労働の主要因のひとつが、電子カルテ作成などの事務作業だとされており、「医療現場の働き方改革を進めよう」という国としての方針も強くありました。結果、それらのニーズに合致してようやく動き出した、回り出したという感じでした。
久保当初の想定はBtoCをやって、SMB*をやって、エンタープライズをやってというイメージでしたね。ただ、その中で、SMBであるクリニックはサービス利用が継続しない、解約率が高いという課題がありました。KPIとして重要視している問診数が、どんどん減っていっていたんです。その原因はUI/UXにありました。特に「問診時に患者に聞いてほしい質問を適切に出してくれない」というフィードバックが多く、その改善に時間を要してしまったのです。
矢澤その状況で、SMBへのヒアリングを深く行ったのでしょうか。
久保そうですね。ヒアリング可能な関係性だったクリニックと連携し、毎日訪問させていただき、診察室でデプロイしながらプロダクトをつくりこんでいきました。
矢澤本当に顧客の目の前でつくっていく感じだったんですね……。あと気になったのが、サービスの継続率が伸びなかった一方で、導入時点ではすんなり理解を得られていたということなんですよね?
久保そうですね。当時の医療現場において、新しいテクノロジーを試してみたいと仰る院長先生は結構いらっしゃった印象があります。
Ubieの特徴の1つは、創業者の1人が医師であることだ。医療機関向けのサービスを提供するにあたり、この特徴は初期の顧客獲得につながったのだろうか。
久保営業活動にはそこまで大きく関係しなかったように思います。最初は医療機関に直接DMを送ることから始めました。共同代表に医師がいる強みは、創業初期に関して言うと、営業よりもプロダクトにあると思います。現場のペインがどこにあるのか、医師だからこその勘所がわかりますから。
もう少し事業のフェーズが進んで、公共セクター等との関係構築が必要な段階になってくると、プロダクト面以外にも医師であることが活きてくるのではないかとも思っています。
矢澤なるほど。業界をよりよくするためには、多方面のステークホルダーからの協力や理解が必要であり、医師であることが効いてくるということなんですかね。SMBへの導入後にエンタープライズへの導入が進んだのは、プロダクトがSMBの段階でしっかりできていたことも関係しているのでしょうか。
久保そうですね。そこで一定の信頼をつくれたことと、初期ユーザーである医療機関の先生方から紹介を得られたことも関係していたのだと思います。
すでに顕在化していたニーズに対応できるプロダクトだったため、初期の顧客獲得がスムーズだった『LegalForce』。BtoBからBtoC向けのプロダクトにするにあたり、現場のニーズを理解する必要があった『ユビー』。いずれのケースでも、初期の顧客獲得には導入側のニーズをズレなく把握しておく必要があることがわかるエピソードだと言えるだろう。
急成長による初期メンバーの離脱や、新旧メンバー間での軋轢は“少ない”
続いてのテーマは営業の仕組みづくり、組織づくり。これらについて両社はどのように考えているのだろうか。
浦山まず、営業の基盤として、顧客管理ツールは『Salesforce』を活用させていただいております。あと、人事的なところでは『HRBrain』を使っていますね。最近のベンチャー企業はいろいろなSaaSを使っていると言われますが、弊社も同様で、おそらく数十個のサービスを入れているかと思います。
矢澤なるほど。組織面の変化についてはいかがですか。昔のフェーズから今の400人ほどの規模になるにあたり、トップダウン形式など、特徴的な変化があったりするのでしょうか。
浦山ベンチャー企業ではよくある話なんじゃないかと思いますが、最初の10~50人ぐらいの時期と、組織が拡大して300人を超えてからの時期とでは、後者の種類が多いような気がします。
初期は誰からの干渉も受けることなく、やりたいことをまずやってみるというタイプが多かったのですが、300人を超えてきたころから、勉強したい、成長したいという方が増えてきましたね。
昔は成長したいという方は少なく、まだ売上がさほど立っていない会社を、俺が救ってやるといったタイプが多かったんですよね。今は大企業からも転職してくる方も増えてきました。“やりたいことをやりたいようにやりたいだけやる”という文化、カルチャーをしっかりと守っていくのはなかなか難しくなってきているフェーズかなと思っているところではあります。
急成長するベンチャー企業がぶち当たる組織の壁。初期メンバーの退職が増えたり、古参メンバーと新メンバーが揉めて組織崩壊が起きたりといったことはなかったのか。
浦山弊社は急成長しているベンチャーの中ではおそらく退職者がかなり少ないほうだと思います。営業の初期メンバーで1人2人辞めたくらいで、あとはほぼ残っています。
組織づくりでは同じ方向を向くことが重要だと思っています。私から発するメッセージには節々に組織としての目標やビジョンを含めるよう、この1年、特にここ半年は意識して行ってきました。
弊社では、成果に応じて正当に評価され、役職に就いていけるという点を重視しているので、昔からいる人より上のポジションに、新しく入った人が就くといったことがこの1年間で見られる変化ですね。
その際に重視しているのは、目標に対する個々のメンバーの腹落ち感。その手段としてOKRを使うこともありますが、どちらかというと1on1で個別のコミュニケ―ションを取り、しっかりと目標について話をして納得感を得てもらうことを重視しています。
現在いる約400人のうち、およそ半数が営業だというLegalOn Technologies。これはオンボーディングやカスタマーサクセスも入れての数だという。
矢澤CSがしっかり動いてくれている、または顧客からのニーズが顕著だからこそ、プロダクト導入後はそこまでオンボーディングを意識しなくても良いなどの、何か傾向はあるのでしょうか。
浦山どちらかというと後者に近いですね。プロダクトの良さは1度触ってもらえれば理解してもらえます。そのため、前工程であるインサイドセールスのほうにリソースを割いている状況ですね。
組織崩壊を起こすことなく、成長を続けているLegalOn Technologies。その秘訣は、社員が同じ方向を向き続けられるような工夫にあることがわかった。では、Ubieはどうだろう。その秘訣を次章で紐解いていこう。
異なる価値観のメンバーが共存できるよう、あえて組織を分化
LegalOn Technologiesと同じく、まずはUbieが活用している顧客管理ツールについて聞いていこう。
久保LegalOn Technologiesさんと同様、Ubieでも『Salesforce』を導入しています。『Notion』など他のツールも使っていますが、特段変わったものは入れていません。
Ubieの特徴は、デジタルツールではなく、アナログツールの活用にあると思っています。メイン顧客である医療機関に合ったアプローチのスタイルがアナログであるため、顧客獲得数を伸ばしていた初期フェーズにおいても、効果をもたらしていたのは手紙をお送りすることでした。
続いて矢澤氏が尋ねたのは、Ubieの組織についてだ。
矢澤会社紹介の際、いくつかの組織に分けて運営されているというお話がありましたが、横断管理はどのようにやられているのでしょうか。
久保一般的な企業でいうコーポレート部門だと考えていただけるとわかりやすいと思います。全社アクセラレーター組織、製薬事業スケール組織、医療機関事業スケール組織、プロダクト・事業開発組織という今の体制になったのは2022年の7〜8月です。今はまだまだ動き始めの段階。組織の横断管理をどうしていくかはこれからですね。
矢澤御社のビジネスモデルはBtoB、BtoCの2パターンに分かれますが、営業とユーザー獲得の担当も分けていらっしゃるんですか。
久保完全に分かれています。BtoBは医療機関向けバーティカルSaaS、BtoCは完全デジタルの世界観と、きっぱりカルチャーも分けているのが特徴ですね。
矢澤分かれているのではなく、あえて分けているのでしょうか?
久保その通りです。先ほど浦山さんもおっしゃられていましたが、Ubieも人数が50人くらいになってきた際に、既存の人たちと新しく入ってきた人たちとでカルチャーが異なってきたタイミングがあったんですね。
初期は「何か人と違うことをやるんだ」、「自分が世の中を変えていくんだ」という考えの人が多くいた一方、営業がそこまで強くありませんでした。『Salesforce』に必要事項を入力し、フェーズを進めて細かく管理、運用までできる人が少なかったんです。
そこで営業やCSに関して豊富な経験のある人を採用しようとしたのですが、既存メンバーとはカルチャーや大切にしている価値観が異なるため、スキルだけで見れば既存メンバーより高いのに、カルチャーフィットの観点で不採用になるという課題が出てきました。その課題を解決するために、同じ組織であるものの、部門によってまったく違うカルチャーの組織をつくりました。そこからですね、採用が進み始めたのは。
今はカスタマーサイエンスの機能が医療機関事業スケール組織の中にあります。 その組織全体で営業人数は50人ほどです。
矢澤医療機関が相手ですと、オンボーディングには難しさがあるのでしょうか。
久保おっしゃる通りです。オンボーディングは導入後の利用率を上げるのに1番重要です。これまで紙で問診を行っていたところからスマホやタブレットでの問診に代わるので、サービス利用の説明会を聞いていただかないと現場でのスムーズな活用は難しい。ですので、医療機関の規模や状況に応じてオンライン、オフラインでのオンボーディングを徹底しています。
組織のフェーズにより、既存メンバーとは異なる価値観を持つ人が増えたのは両社の共通点だ。その変化に対し、できるだけ社員が同じ方向を向けるよう発信内に工夫をしてきたLegalOn Technologiesに対し、あえて分けることで対応したUbie。急拡大する組織が崩れないようにする方法は1つだけではないことがわかる。
スリリングな資金調達を乗り越えたUbie。
LegalOn Technologiesは調達ニュースを販促へと活かす
続いてのテーマは、資金調達と事業成長だ。先に紹介したように、LegalOn Technologiesは累計調達額およそ178.5億円、UbieはシリーズCで総額62.6億円の調達を実現している。こうした多額の資金調達の実現の裏には、どのような苦労があったのだろうか。
久保Ubieが大変だったのはシリーズBとCです。いずれも、資金調達環境が極めて悪い状態からのスタートだったというのが、苦労した要因ですね。
シリーズBの資金調達を開始したのは2020年5月で、1回目の緊急事態宣言が解除されたばかりのいわゆるコロナ禍の初期段階という中で、何とか進めていかなければなりませんでした。
シリーズCの資金調達を始めたのは2021年の年末で、こちらは市況がちょうど崩れ始めたタイミングだったんです。いずれも、期待していたバリエーションとのギャップで苦戦しました。
しかし、「こうした外部要因だけが苦労した理由ではない」と久保氏は続ける。投資ラウンドが上がれば上がるほど、資金調達を成功させるには投資家に示す数字が重要になる。
UbieがシリーズCの資金調達を始めた時期は、新たに始めた製薬企業向けのビジネスの数字がそこまで挙がっていないタイミングと合致していた。そのため、投資家が見る数字にも影響が及んでいたのだ。
矢澤なるほど。Ubieのような会社ですと、資金繰りが厳しくなってから資金調達するのではなく、余裕を持って資金調達の準備をされたのではないかと勝手に想定しているんですが、そのあたりはいかがでしたか。
久保我々の現在のメイン顧客のひとつは外資系製薬企業でして、彼らが来期の予算を立てるのが12月ごろなんですね。ですから、「そのタイミングで上がった数字のまま資金調達をしたい」という思いがあって進めていたんですが、マーケット的には非常にタイミングが悪かったです。予想していたより資金調達には時間がかかりましたし、スリリングでした。
矢澤浦山さんの場合、資金調達はマーケティング要素も大きいとは思いますが、ご自身の観点から資金調達を見ていて、どのようにお感じになられているのでしょうか。
浦山資金調達をするとニュースになることが多く、それによる広告効果は割と大きかったと感じています。
弊社は昨年度に3回ほどCMを打ちましたが、多くのリード獲得や受注につながりました。CMにより導入先の決裁者からの認知が取れ、商談が進めやすくなるという流れが昨年度は上手くできたと感じています。
それぞれ生々しくも興味深いエピソードを披瀝してくれる中、あっという間に1時間が経つ。最後に本セッションの締めくくりとして、久保氏、浦山氏、矢澤氏から参加者へメッセージが寄せられた。
久保現在、我々は医療機関向けSaaS事業とは別に、製薬企業向けの組織も拡大中です。そちらにはコンサルティングファーム出身の方を中心に、課題設定力・問題解決力を持つ方が多くいます。そうした経験を活かして事業や組織を創っていきたいという方は、ぜひお問い合わせをいただけると嬉しいです。
浦山LegalOn Technologiessは資金調達をして今後さらに成長していくスタートアップです。こうした環境でチャレンジしたい方、これから勉強していきたい方に報いる体制を整えています。挑戦したい方はぜひお越しいただければと思っております。
矢澤私がYazawa Venturesという自分のVCをスタートしたのはほんの1年半ぐらい前で、まだまだスタート地点に立ったばかりです。今回、視聴していただいた起業家の皆さんと良い未来をつくっていきたいと思っていますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
今回登壇したUbie、LegalOn Technologiesのような急成長を遂げられるスタートアップは珍しい存在かもしれない。久保氏、浦山氏が話した内容を、ぜひ自身の事業・組織運営に活かしてほしい。
『Smartround Academia』は今後も実施を予定している。参加希望の起業家は、ぜひ次回開催の情報もこまめにチェックしておこう。
こちらの記事は2022年12月22日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
卯岡 若菜
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。
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