20代ベンチャーパーソン必読。
キャリアに焦ったら読みたい、起業家・経営者の至言7選
「事業は人なり」経営の神様とも称される松下幸之助の言葉だ。事業を創るのも、会社を大きくするのも、そこには「人」がいる。そんな「人」に焦点を当て、次代を担う若きイノベーターたちをピックアップ。成長のエッセンスをお届けする。
今回のトピックは、ずばりキャリアだ。用意されたレールのない、自らの選択を「正解」に変えていくベンチャーパーソンにとって、目指すべきロールモデルが少ないケースも多い。暗中模索状態で突き進んでいると言っても過言ではないだろう。本稿では、そんな読者の「光」となるような記事をFastGrowが厳選した。
「もう一歩突き抜けたい」「起業すべきか迷っている」「今後のキャリアに一抹の不安がある」そんな読者の道標となるような、先輩ベンチャーパーソンたちの言葉と記事を贈る。
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キャリアに正解などない。自らターニングポイントをつくれるか?
キャリアの意思決定は難しい。特にスタートアップ・ベンチャーに身を置く方にとっては、その意思決定は「人生」のそれと同義とも言えるだろう。
本当にこのままでいいのかといった漠然とした不安、もっと成果を出せるのではないかといった現状への焦り、起業や転職にチャレンジすべきかという決断への迷い。原体験から生まれた人生のビジョンが明確であれば、逆算し最短距離を選べば良いが、そうでない者にとっては悩ましい問題だ。
本稿では、そんなベンチャーパーソンに「新しい視点」や「意思決定の材料」となり得る記事を7つご紹介する。本題に入る前に、意思決定について考えるとき、note株式会社CXO深津 貴之氏の言葉が参考になるかもしれない。
でも、実は意思決定で悩むケースは、この世にはほとんど無いんじゃないかなと思う。
物事の選択は「ポリシーの問題」「セオリー」「不変の法則」の3レイヤーに分類できるとし、大抵のことは自ら考えるまでもなく決められるという内容だ。意思決定で悩んでいる方は、一度読んでみてはいかがだろうか。
それでも悩みが解消されないという方には、「計画的偶発性理論」を紹介しよう。キャリアの80%は偶発的な要素によって決まるという、心理学者のJ・D・クランボルツ氏らによるキャリア理論。つまりは、「運」というわけだ。そしてその「運」を活かす方法を記した本書は、きっと参考になるだろう。
ようやく本題に入るが、本稿で紹介する7つの記事以外にも、FastGrowではキャリアにおける意思決定の参考になる記事を定期的に配信している。ぜひ「キャリア戦略」のタグをフォローしてチェックしてほしい。
「俺の全盛期は今この瞬間なんだ。あなたの旬はいつですか?」
須藤 憲司(株式会社Kaizen Platform 代表取締役)
自分のキャリアにおける全盛期(ピーク)はいつなのか?そんなことを考えたことがある読者は、どのくらいいるだろうか。まず1人目にご紹介するのは、Kaizen Platform代表 須藤 憲司氏。
元リクルート最年少執行役員、「リクルートマフィア」の一人だ。「10年目の先輩を1年で追い抜こうと思っていた」「仕事量を同期の3倍にした」と自身で語るなど、当時の猛烈な働きぶりは間違いなく成果に繋がっている。
なぜ須藤氏はそこまで「がむしゃら」に仕事に打ち込めるのだろうか?その背景、そして同氏のキャリア感が本記事にまとまっている。Amazon創業者ジェフ・ベゾスによる後悔しない人生を歩むためのフレームワーク「Regret Minimization Framework」や、スティーブ・ジョブスのスピーチを引用しながら綴る、同氏の仕事への向き合い方は必見だ。
メガベンチャーで最年少執行役員、誰もが羨む環境を手放したのは「その仕事をするのはもっと年齢を重ねてからでもいい」と思ったから。意思決定の背景に、「この領域における自分の『旬』は35歳くらいかな」という考えがあったことも明かしている
あなたの旬を逃さないように、今できることを最大限もがいてみる
というのが、後悔を最小化するための一つの方法論なんじゃないかと思います。
「あなたの旬はいつなのか?」この記事を通して、見つめ直すのも良いかもしれない。
おすすめの1記事、須藤氏のマスターピース
- 「俺の全盛期は今この瞬間なんだ」スラムダンク桜木花道のような想いが、走り続ける原動力となる
- 後悔しない人生を生きるために。ジェフ・ベゾスやスティーブ・ジョブスから学びを得る
- 自分のキャリアにおける「旬」を理解すれば、意思決定は簡単だ
「キミは会社を背負っているか?それとも1人のメンバーか」
元LITALICO中俣氏、ミラティブ赤川氏、元じげん海野氏、クラウドワークス成田氏
「もう一歩突き抜けたい」と考えているベンチャーパーソンには、「新卒でベンチャーに就職し、経営に関わる方法」と題されたイベントのレポートである本記事をおすすめしたい。今となっては著名な4名のベンチャー経営者が、キャリアの変遷と当時の心境を語っている。
圧倒的なスピードで経営層まで上り詰めた登壇者たち。ぜひ成長のエッセンスを盗み取るために全文を読んでほしいが、中でもじげんで取締役を務めた海野 慧氏のエピソードは参考になるだろう。
「自分がこの会社やってる」という感覚があるのに、名刺はそうは言ってくれないみたいな。「こういう会社やってるんです」って言いたいけど、別に俺会社やってないみたいな。すごい、そこのギャップのジレンマがあって。「所詮いちマネージャーだしな」みたいな感覚がすごいあって
社員数10名程度のフェーズで入社。会社を自分ごとのように捉え事業を伸ばしてきた海野氏は、ある時「歯がゆさ」を感じ、そこから役員志望を「直談判」したという。ここで重要なのは肩書きを求めることではなく、自分の「コミットメント」を表明することだ。そんな姿を、上司や経営層は忘れない。
おすすめの1記事、マスターピース
- 現役ベンチャー経営者たちが本音で語る。スピード昇進の背景にある思考と行動
- 「活躍する1人の社員」と「経営層」の違いは、会社を自分ごととして捉えられるかどうか
- 豊臣秀吉は「草履持ってこい」と言われ、そっと温めるという1アクションを加えた。小さな付加価値が、大きな成果に繋がる
「不確実な未来を、どうコントロールするか?」
松本 勇気(合同会社DMM.com CTO兼 テクノロジー/プラットフォーム事業本部長 兼 合同会社EXNOA CTO)
「やりたいことが見つからない」という読者には、松本 勇気氏の本記事をおすすめしたい。
創業期のグノシーにジョインし、CTOとして創業から3年足らずでIPOまで駆け上った組織体制を急ピッチで整備。弱冠29歳で合同会社DMM.com CTOに着任し、現在は総勢450人のDMMエンジニアを率いるCTOとして、同社のテックカンパニー化を牽引している。
そんな松本氏がメンバー1人1人のキャリアと向き合ってきた経験値は、ベンチャー界隈でも目立つ。実際に「キャリアについて話してほしい」といった依頼が多かったことを理由に記事化したのが、「不確実性と道標としてのコンセプト」である。
自分がキャリアや目標を立てる際はこの3要素(資産・スコープ・環境要素)を意識し、自分が見ているスコープ内でどのようなコンセプトを打ち立てるかという工程を意識しています。
多くの経営者がこの記事から学びを得ているようで、 GMOペパボ取締役CTO栗林氏も絶賛している。
カッツモデルに基づくコンセプチュアルスキルについて、エンジニアリング組織や事業、キャリア全てを扱う、非常に素晴らしい記事。
— Kentaro Kuribayashi (@kentaro) March 2, 2019
不確実性と道標としてのコンセプト – y_matsuwitter – Medium https://t.co/scu1tZ0GKW
グノシー時代に苦楽を共にした、LayerX福島氏が「日本一のCTO」と評するDMM松本氏。そんな彼のキャリア観を、ぜひ参考にしてみてはいかがだろうか。
おすすめの1記事、松本氏のマスターピース
- キャリアや目標を立てる際は、「資産」「スコープ」「環境要素」の3つを意識せよ
- あなたが今持っている「資産」は何か?現状の立ち位置を把握しなければ、適切な目標は設定できない
- 自分ではコントロールできない不確実な未来との向き合い方を論理的に解説
「日本人よ、”蛮勇さ”を持て」
徳重 徹(テラドローン株式会社 代表取締役)
松本氏の記事と合わせて読みたいのが、世界で活躍する起業家・テラドローン徳重 徹氏の記事だ。まずは以下の引用を読んでもらいたい。
もう一つ重要な要素を言うと、不確実性に対する耐久性です。未確定な状況下で意思決定をし、様々なトラブルが起こる中で自分自身のスピリットをキープしながら最終的に結果を出すということ
海外で通用する人材、新規事業を創れる人材の定義を問われた徳重氏の回答だ。当然、ベンチャーで活躍する多くの人材に共通する要素と言えるだろう。
そんな同氏が率いるEV(電気自動車)事業の「テラモーターズ」はインド市場でシェアNo.1。ドローン事業の「テラドローン」は世界業界ランキングで昨年2位にランクイン。いずれも上場を視野に入れる実績を挙げている。素晴らしい実績だが、本人から言わせてみれば「イーロン・マスクに比べれば、まだまだひよっこ」だと言う。
非常に視座が高く、とても常人には真似できないキャリアのようにも思える。彼を突き動かしている「信念」も、普通に生きていたら持ち合わせる機会は少ない。ただ「そんな崇高な信念持ち合わせてないよ」と諦めるのは時期尚早だ。
いきなり信念を持てとか無理だと思いますけど、自分の方向軸を持って、現場で戦いながら、ずっと考えていたら何かイベントが起こった時に、ふとそう思えてくる時がくることもある
DMM松本氏の言う「とりあえずまずは見えている範囲で目標を置いてみよう」を実践し、目の前の壁をがむしゃらに乗り越えていくことが重要なのかもしれない。
おすすめの1記事、徳重氏のマスターピース
- 「ノウハウ本より、古典」「失敗は”エネルギー蓄積期間”と捉えよ」日本発グローバルベンチャーをつくる徳重氏が贈るメッセージ
- 大事なのは信念。ただ、信念はもともと持ち合わせている必要はない
- とにかくまずはやってみる。30%OKならば、GOだ
「どんな仕事も選り好みしない。20代の苦闘が一流への道をつくる」
金子 英樹(シンプレクス株式会社 代表取締役社長 )
本記事を読む20代ベンチャーパーソンの中には、「本当にこのままで良いのか、自分の強みを生かした仕事ができているのか」と漠然とした焦りを感じる者もいるだろう。しかし、そんな悩める若者に「待った」をかけるのが、シンプレクス金子 英樹氏だ。
「私は金融のことだけ追いかけたい」とか「ITしかやりたくない」という人もいる。そういった気持ちを汲んであげる優しい会社もあるでしょうけれど、少なくともシンプレクスではどんな好みや強みを主張していても、まずは「優れたビジネスパーソンに育ってもらう」ことを最優先にして、「君が好きか嫌いかなんて関係ない。一流のビジネスパーソンになるべく、黙ってこれをやれ」という指示を20代のうちはするんです。
一流と二流を隔てる「成長の踊り場」を突破するためには、選り好みせずどんな仕事にも挑むこと。そんな20代の苦闘を通して、初めて「本当の強み」を見出せる、というのが金子氏の考えだ。
シンプレクスは金融フロント領域の国内No.1、さらに「東大生が選ぶ就職注目企業ランキング」ではマッキンゼーやゴールドマン・サックスなどと並び、ベンチャー企業で唯一トップ10にランクイン。そんな同社の”カリスマ”創業社長である金子氏からは、まさに「一流の金言」が絶えず放たれる。六本木で黒服をやっていたという学生時代のエピソードから、金子氏の感性と思考が見えるこちらの記事も必見だ。
おすすめの1記事、金子氏のマスターピース
- 20代の社員に「やりたいこと」など聞かない。ビジネスパーソンとしての土台があるものだけが「稼げる30代人材」という称号を手に入れる
- 一攫千金を狙う起業家ではなく、事業家たれ。再現性高くイノベーションを生み続けよ
- 輝く40代のビジネスパーソンは20%しかいない。”消化試合をこなす”40代を送らないためにも、今理不尽に遭遇せよ
「冷静に考えてスタートアップを始めたほうが得」
馬田 隆明(東京大学 FOUND X ディレクター)
精神論ではなく、合理的な理由でスタートアップを始めることを勧めるのが馬田 隆明氏。
日本マイクロソフトでプロダクトマネジャーやテクニカルエバンジェリストなどを務めた後、東京大学にてスタートアップ支援活動に従事。現在は、東京大学の運営するスタートアップ支援プログラム「FoundX」のディレクターを務めている。孫泰蔵氏が「やばい本」と推薦する著書「逆説のスタートアップ思考」は、まだ読んだことがなければぜひ手にとってみてほしい。
キャリア上の投資、リスクヘッジ、金銭的リターン…あらゆる側面からみても起業はメリットが大きいと伝えている本記事は、少しでも迷いがある方にこそ読んでほしい。
誰にでもそうしたチャンスがあって、成功の確度は自分の努力次第である程度何とかなる(つまり宝くじとは違う)、という業界はあまり他にはないように思います
他にも、「起業家はリスクを極力取らない」「『自ら環境を創り出し、環境によって自らを変えよ』―― 成功する起業家は居場所を選ぶ」など、起業家必読のエッセンスをMediumで綴っている。次のキャリアを「起業」と考えている方は、一度馬田氏のMediumを読んでみることをおすすめする。
おすすめの1記事、馬田氏のマスターピース
- あなたは何タイプ?スタートアップを始める合理的な6つの理由を解説
- 合理性だけでは成功しない。KAIZEN須藤氏も参考にしたジェフ・ベゾス流「後悔最小化フレームワーク」
「君たちはどう生きるか」
孫 正義(ソフトバンク株式会社 代表取締役会長 兼 社長)
最後に紹介するのは、孫 正義氏の記事だ。彼については説明も不要だろう。数々の伝説を残してきた、日本が世界に誇る名・経営者の1人。そんな孫氏が2時間に渡ってスピーチした内容を記した本記事は、まるで自伝のような中身の濃さになっている。
私も学生の時、卒業をしたら自分がどういう人生を過ごすのか、ずいぶん悩みました。悩んで悩んで悩み抜いた挙げ句に決めました
そんな言葉から始まったスピーチは、運命的な「写真」との出会い、ソフトバンク創業、死への恐怖、さらに後編では1.8兆円の買収劇からスティーブ・ジョブスとの秘話まで明かされている。
当時思ったのは、自分の脳細胞の価値や範囲には限界があるんだと
今日のソフトバンクグループを築き上げた軌跡と、その過程での「思考」が垣間見える。キャリア、そして人生を見つめ直す際に良い刺激となるかもしれない。
おすすめの1記事、孫氏のマスターピース
- 即行動。アメリカでマイクロチップの写真に感動し、電子辞書を発明。さらには通っていた大学の教授や助教授を勧誘
- 死と向き合ったからこそ見えた、「絶望」の乗り越えかた
- 株価99%下落、1.8兆円の買収、積み重なる赤字。孫 正義は何を思っていたのか
いかがだっただろうか?イノベーション・エコシステム発展のため、そしてベンチャーパーソンである皆さまに少しでも多く新しい学びをお届けするため、今後も「ベンチャーのプロフェッショナルから学ぶ」ことにフォーカスした情報を発信していく予定だ。
本稿で紹介した7つの記事以外にも、FastGrowではキャリアにおける意思決定の参考になる記事を定期的に配信しているので、ぜひチェックしてみてほしい。
こちらの記事は2020年09月09日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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