FastGrow厳選5社・若手事業家人材を生み出すベンチャー / スタートアップ特集

人材輩出企業と呼ばれる企業は数多いが、それは時代と共に移り変わっていくもの。

なぜなら、企業には複数の成長フェーズがあり、同じ企業においてもどのフェーズを経験するかで得られる経験が異なるためだ。

そこで、FastGrowは「これから」間違いなく人材輩出企業となるであろうベンチャー / スタートアップを紹介したい。「今、既に」人材輩出企業とされる環境での挑戦と、「これから」人材輩出企業となっていく環境での挑戦。読者諸君はどちらを選ぶだろうか?

  • TEXT BY TAKUYA OHAMA
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立場や経験によらず、自らの手で急成長の要素を創り出す──UPSIDER

急成長スタートアップとして注目度が高まるUPSIDER。

経営陣の経歴や事業内容、そしてミッションに掲げる「世界的な金融プラットフォーム」からのイメージなどにより、経験豊富なメンバーが揃っている印象が強いかもしれない。

だが一方で、実はベテラン層に負けず劣らず、20代前半の若手メンバーも重要なポジションで躍動していることはご存知か。つまり、年齢や年次に関係なく、成果を出す者、あるいはそのための覚悟を持って動き続ける者たちが、同社の急成長を担っているのだ。

ここで一つ事例を挙げてみる。

近藤 セールスとして成果を出すための大きな予算を、どのような目的でどのように使うかを決めて実行するというような裁量があります。その中での一つの意思決定として最近、アウトバウンドによるリード獲得施策を新たに始めました。あらかじめ戦略が立てられたような経営レイヤーからのトップダウン施策ではありません。現場メンバーと議論を重ね、現場主導でスピーディーにスモールスタートさせたものです。

──FastGrow『「挑戦者を支援する」とは、ここまでやることだ!──UPSIDERは「カードの会社」ではない?急成長を支える業務実態やカルチャーを3人の視点で徹底解剖』から引用

このエピソードはまさに20代前半の若手メンバーによるもの。UPSIDERでは、事業成長に直結する意思決定が、メンバーの日常業務に組み込まれていることがわかるだろう。

ちなみに、同社が掲げるカルチャーの一つに「Be UPSIDER」というフレーズがある。その説明は「お客様も私達も新たな価値・変化を創るチャレンジャー」と続く。この「新たな価値・変化を創る」ようなチャレンジにおいては、経験やスキルだけが重要なわけではない。それ以上に、ユーザーへの強い想いと卓越した実行力こそが求められている。

なぜなら、事業成長も組織成長も、「ユーザーのための活動」の結果でしかなく、さらに言えば、ミッション実現の手段でしかないからだ。このような徹底した顧客志向の先にどのような自己成長があるのか。ぜひ、自身の目で確かめてみてほしい。

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DAY1から全員が事業家として価値にコミット──ソルブレイン

FastGrowではもはやお馴染み、「グロースマーケティング」が代名詞のソルブレイン。

同社は事業推進においてプロジェクトチーム制を敷いており、案件ごとにセールス・エンジニア・CSなどの各ポジションメンバーが選出され、各自がもれなくオーナーシップを発揮している。

「何も特別なことはないのでは?」と感じるかもしれないが、これを新卒や20代の若手メンバーもみな一様に行っている組織は多くない。かつ、ソルブレインの事業成果は「顧客に価値(売上 / 利益)をもたらしたのか否か」を軸に顧客から判断されるため、若手〜ベテランを問わず高いプロフェッショナリズムが求められる。言うなれば、経験の有無を問わず、DAY1からチーム全員が事業家として顧客にコミットしていくようなものだ。

こうした挑戦しがいのある経験を積めるソルブレインは、以下の記事にみられる通り、これから事業や組織が急拡大するフェーズにあり、より多くの優秀な若手人材を求めている。

そんなタイミングで同社にジョインすることは、間違いなく事業家キャリアを積む上で大きな成長が見込めるはずだ。その実態を詳しく知りたい者は、この記事を一読することをオススメする。

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「一人で起業するより、優秀な仲間と事業創出に向き合いたい」──LayerX

CTO経験者が7名在籍。そんなスタートアップが存在することをご存じだろうか。いや、FastGrow読者ならピンと来る人も少なくないだろう。そう、LayerXだ。この2023年3月、「CTO経験者7人が語る、学生時代にやっておけばよかったこと[26卒エンジニア向け]」と題したイベントが開かれるとの告知がSNSで広がり、話題を呼んだ。

同社の中途採用状況を、羨望のまなざしで見ている経営者は多い。CTO以外のCxOや執行役員クラスを他社で務めた人材が定期的にジョインしている様子を、SNSで見て取れる。良い人材が良い人材を呼び、また新たに良い人材を呼ぶ、というスパイラルが生まれているのだ。まさに理想の組織創りと言えよう。

もちろん、事業面でも大きな魅力がある。それを物語るキーワードが「コンパウンドスタートアップ」だ。これから先、いくつもの事業を新たに生み出し、それらをかけ合わせて複合的な拡大を狙っていく。「一人で起業するよりも、LayerXの優秀な仲間と主に新規事業の創出に向き合いたい」と考えるようになるわけだ。

かと言って、同社が優秀な人材を囲い込もうとしているわけでもない。ここで、スタートアップエコシステムそして日本経済への貢献が見える。代表取締役CTOの松本勇気氏がFastGrowの取材で語った内容を引用しよう。

そういう人たちが集まっている場所だからこそ学べることがたくさんあると思います。これは私の勝手な想像ですが、ゆくゆくは「LayerXマフィア(*)」ができるでしょう。意図して創ろうとはしていませんが、今LayerXに集っているメンバーの言動をみていると、そういった流れになりそうです。

そんな未来を描いたとき、今、私にできることは、強い経営メンバーを集めること。高い熱量や力強い言動を間近に見られることは将来の糧になります。だから、意志と能力の両方ある人をLayerXやMDMにもっと増やしていきたいですね。

*……「暴力組織」といったニュアンスではなく、「同窓生」という意味合い。アメリカでITスタートアップを数多く創出しているイーロン・マスク氏ら元PayPalメンバーらが「PayPalマフィア」と呼ばれるようになったのが由来。日本でも「ある企業を卒業した後に新たなビジネスの挑戦をしている人たち」を指して使われている

──FastGrow『3大トレンド「AI・SaaS・Fintech」に今、ディープダイブせよ【LayerX×三井物産:後編】』から引用

なお、松本氏が言うのは、すでに多くの経験をしたうえでLayerXにジョインしたメンバーたちの今後への期待だけではない。同社には20代ながら執行役員を務めたり事業責任を背負ったりするメンバーも多くいる。さらには、学生インターンながら部門責任に近い責務にコミットするメンバーもいるのだ。こうしたメンバーの行く末こそを、松本氏は楽しみにしているのだろう。

昨今、エス・エム・エスマフィアやメルカリマフィアと呼ばれる面々が新たなスタートアップを立ち上げて急成長させているように、遠くない将来、LayerXマフィアがさまざまな産業で変革を起こしていくかもしれない。そんな未来に期待しつつ、まずはLayerXにおいて誰がどのような変革を生みだしていくのか、注目したい。

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「投資対効果」を日常的に問うカルチャーが、事業家センスを育む──ACROVE

Eコマース市場22.7兆円、うち「物販系分野」において約14兆円の規模を持つ舞台で、ACROVEは急成長を遂げている。

この巨大市場でBtoBとBtoCの両軸でサービスを展開しているACROVEは、平均年齢27.9歳(2023年11月時点)の若手が活躍する、次世代のスタートアップである。

同社を率いる代表取締役の荒井氏は学生時代に事業を興し、短期間で急激な成長を遂げてきた。その実績を生み出しているのは、プロフェッショナルなCxO陣と、20代前半の若手メンバーらのエネルギーによるもの。彼ら彼女らは「社会の果樹園を創造する」というミッションに共感し、ACROVEに引き寄せられている。そんな同社が手掛ける、若手事業家人材の育成とは──。

ACROVEでは、未経験からでも業界トップクラスの事業家に成長できるよう、「素直・愛嬌・地頭・ハードワーク」という4つの資質を重視している。社内には、業務に必要な知見やノウハウが蓄積され、全員がアクセスできる環境を整えている。そして何より、事業活動に対する「投資対効果」を日常的に問うカルチャーが、若手の事業家としてのセンスを磨きあげる。

「その施策、回収期間は?」と、事業において“何となく”は徹底的に排除する。まさにACROVEの人材育成における特徴を捉えた一言であろう。

その他、新人や未経験者にも事業の全体像を見せ、大きな裁量を任せることで、実戦での成長を促している。このように、早期から事業への深い理解と実践機会を提供することで、若手がそのポテンシャルを最大限に発揮できる環境を提供しているのだ。

ACROVEのこうした環境は、「急成長する事業において、ビジネス戦闘力を高めたい」と願う若手にとっては最適な場であり、ACROVEの事業成長と競争力の源泉にもなっているのだ。

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入社2~3年目でグループ企業のM&AやPMIを担う──ユナイテッド

ユナイテッドでは、新卒入社2〜3年目の若手社員が自社グループ企業のM&AやPMIを担当し、事業責任者を務めるなど、目覚ましい育成成果を上げている。

しかも、それは選ばれた一握りの才能ある人材に限定されるのではなく、入社した若手全員が対象だ。文字通り「平等」に挑戦の機会を得られる環境が整っていることが特徴である。

ユナイテッドのM&A戦略は、単なる吸収合併ではなく、連結子会社化を通じてある程度の独立性を保ちつつグループ化する方式を取っており、その背景には「若手の成長を促す」という明確な意志が込められている。

独立性を担保することで、新たに組み込まれたグループ企業の事業運営に対して「自分の会社」という当事者意識を持たせ、実質的な責任感とプレッシャーのもとで成長を促す環境を作り出しているのだ。

事実、経験豊富な先輩事業家たちがサポートを提供しながら、若手はM&Aの実施、事業計画の策定、社内決議の推進などに主体的に取り組んでいる。そしてその裏で、代表取締役の金子氏をはじめとする経営経験者たちは、「若手の成長のためにはリスクを取る」という姿勢を持ち、若手たちが失敗を恐れずに挑戦する文化を育んでいる。

このように、若手に大きな仕事を任せ、事業ポートフォリオの拡充を目指す戦略は、ユナイテッドが目指す「若手の事業リーダーを増やしていく」を前提としたビジネスモデルの核心を成すと言えよう。

こうしたユナイテッドの取り組みは、若手にとって貴重な学びと成長の場となっていることは想像に難くない。全員が平等に手にすることのできる「チャンス」として、真の事業家としての能力を磨く機会を得ることができる。なんとも希少かつ羨ましい環境である。

こちらの記事は2024年03月12日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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