ミッションは「不動産の民主化」。
シリーズAで総額10億円の資金調達
──株式会社ヤモリ
重要なのは、調達額の大きさ?バリュエーション?ラウンド?いやいや、スタートアップの資金調達とは、もっと奥深く、緻密で複雑なものである。
FastGrow編集部では、調達リリースを見るたび、その裏側について思いを巡らせ、その後のビジョンについて予測や仮説立てをしてきた。
そのために知りたい情報を、ぜひ外部向けにも記事としてまとめてみよう──そんな想いで始まったこの連載。
今回は、2024年2月に資金調達を発表したヤモリについて、その「横顔」をまとめる。
FastGrow編集部が注目するポイント
注目ポイント1
不動産領域に特化した米国最大のVC、Metapropが出資
注目ポイント2
三菱UFJ信託銀行と協業して、日本初の空き家賃貸ファンド組成を目指す
注目ポイント3
2年目から黒字化達成、継続して成長している
代表を始めとした、同社のメンバーについて
(1)共同創業者 代表取締役 藤澤 正太郎 氏
FastGrowからの紹介フレーズ
米不動産テックユニコーン「Knotel」出身起業家
調達に際してFastGrow読者へのコメント
ヤモリで実現したい社会は「中古物件の価値を引き出し、質の高い住環境を提供すること」です。
そのためには、知識を持った不動産オーナーを増やす必要があり、始めたのが「ヤモリの学校」と「ヤモリの家庭教師」。物件購入から運営まで寄り添い、それぞれの目標に合った不動産賃貸業をサポートしています。
第一章ではヒトが育ち実績ができ、熱量の高い若年層の個人投資家が集まるコミュニティを形成することができました。
第二章では、今回の資金調達と金融機関からの借入を通して地方中古不動産市場にカネが回る仕組みを作ります。
会員生徒様向けに無担保最大15年間のヤモリローンの提供を開始。また、三菱UFJ信託銀行と協業して日本初となる空き家賃貸ファンド組成へ動き出し、会員生徒様が融資が伸びない等の理由で手放す物件を、ヤモリが積極的に購入を検討できるようになりました。
一方、モノである物件情報は、地図と連動したポータル機能を開発して地場の不動産会社から物件情報を集め、賃貸需要調査のデータベースを構築。修繕・リフォームのTipsやノウハウなども蓄積しています。
このようにヤモリは、これまで手付かずであった「中古不動産X地方」において、ヒト・モノ・カネが揃う仕組みを作って新しい市場を創ることを目指します。
インタビュー記事
プロフィール
2011年に三菱商事株式会社に入社。インフラ事業の海外案件とアセットマネジメントに従事。南米チリに4年間駐在。
その後、NY本社の不動産ユニコーン企業であるKnotel IncのJapan GMを務める。 東京大学のスタートアップ支援プログラムFoundXと東大IPC 1st Roundに採択。
(2)共同創業者 取締役 廣瀬 涼哉 氏
FastGrowからの紹介フレーズ
自身も不動産オーナーとして約150室を保有する共同創業者
プロフィール
2009年に三菱商事株式会社入社。
決算システムの開発・運用業務に従事。上海に2年間駐在。データセンター、ネットワークセキュリティ、AIやITの推進業務を経験。
帰国後、戦略コンサルティングファームに出向し、M&A、成長戦略策定、BPR等を担当。現在は不動産オーナーとして約150室を保有し、その経験をヤモリサービス開発に注ぐ。
調達の概要
プレスリリース |
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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000080742.html |
調達額 |
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10億円 |
ラウンド |
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シリーズA |
主な使途 |
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新規事業立ち上げ |
投資家からの評価 |
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リードとなったDNX Venturesはシードラウンドに続く出資。経営陣のリーダーシップと熱いパーパスを高く評価し、「不動産の民主化」を牽引してくれることを期待する。 加えて、今回から不動産領域に特化した米国最大のVC Metapropなどが参画。Co-Founder and General PartnerのZach Aarons氏は日本の不動産テックにはまだまだ成長余地があるとし、ヤモリの発展に期待を寄せる。 |
関連ポスト
「不動産の民主化」を目指すヤモリのシリーズAをリードさせて頂きました。
— DNX Ventures [Japan] (@dnx_jp) February 28, 2024
空き家問題に対して不動産による資産形成支援サービスを展開、手付かずの中古賃貸市場活性化と住環境向上を実現してきました。三菱UFJ信託銀行と協業し日本初の空き家賃貸ファンド組成を目指します。https://t.co/KUialEfKQx
主なサービス・プロダクト
『大家のヤモリ』
不動産経営を円滑にするクラウドプラットフォーム。不動産購入前の収支シミュレーション、ヤモリがセレクトした物件情報一覧、銀行融資のための提出資料作成、物件購入後の収支・空室管理など、不動産経営に必要な管理を無料で簡単に行うことができる。2024年2月現在、利用者数4,000人以上、登録物件価値は約870億円。
FastGrow編集部注目ポイント
ホワイトスペースとなっていた「中古不動産X地方」の領域で、新たな市場を創出する中心的サービス。
Googleレビューで高評価を獲得するなど、ユーザーの満足度が高い設計が特徴である。また、SNSを通して着実にユーザー数が増えており、『大家のヤモリ』のプラットフォーム上では熱量の高い若年層の投資家がコミュニティを形成している。
採用関連情報
こちらの記事は2024年03月08日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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