“読書を習う”という新しい文化を創り、「日本中の子どもたちへ、豊かな読書体験を届ける」。プレシリーズAで総額1.3億円の資金調達──株式会社Yondemy
重要なのは、調達額の大きさ?バリュエーション?ラウンド?いやいや、スタートアップの資金調達とは、もっと奥深く、緻密で複雑なものである。
FastGrow編集部では、調達リリースを見るたび、その裏側について思いを巡らせ、その後のビジョンについて予測や仮説立てをしてきた。そのために知りたい情報を、ぜひ外部向けにも記事としてまとめてみよう──そんな想いで始まったこの連載。
今回は、2024年3月に資金調達を発表したYondemyについて、その「横顔」をまとめる。
FastGrow編集部が注目するポイント
注目ポイント1
宮本邦久氏、笠原健治氏、吉村英毅氏、大冨智弘氏らを含む個人投資家11名から資金調達。toC事業を成功させてきた投資家から、プロダクトのエンゲージメント・顧客満足度の高さについて高い評価を受けている
注目ポイント2
プロダクトのフルリニューアル以降、売り上げが半年で倍増。ヘビーユーザーとなる投資家もいるなど、PMFが着実に進んでいる
注目ポイント3
役員・社員3名、学生インターン29名という組織構成だが、そのうち約7割が東大生であり、ポテンシャルの高いメンバーが揃っている。「本のおかげで今の自分がある」という原体験を持っているメンバーも多く、強いコミットメントと濃いカルチャーが醸成されている
代表を始めとした、同社のメンバーについて
(1)代表取締役 笹沼 颯太 氏
調達に際してのコメント
今回の資金調達は、「ヨンデミー」のグロースをより加速するべく、マーケティング投資の拡大に加え、アライアンスの強化やユーザー体験の向上を目指した投資を拡大するために実施しました。
Yondemyはこれまでスモールな組織体制で、子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を運営してきました。今回、VC3社に加え、著名エンジェル含む個人投資家11名からの調達となり、経験豊富な応援団が形成できたこと、そして並行でアクセラレータープログラムであるG-STARTUP(グロービス)およびD2Cビジネスグロースプログラム(西日本新聞・ADKグループ)に参加し支援を受けていることなど、今後Go-to-Marketを実現するために必要なのはあとは「採用」という状態です。
特に、事業グロースを牽引するCOO/CMO候補者や、BizDev・マーケティング職の採用に注力しており、ここから一気に「日本中の子どもたちへ、豊かな読書体験を届ける」というMissionの実現に向け、「読書を習うという新しい文化を創る」という大きな社会の変化を自分の手で作りたい方とぜひお話ししたいです。
この度Yondemyは、VC3社・エンジェル投資家11名より資金調達を行いました!
— 笹沼 颯太 | ヨンデミー (@souta_sasanuma) March 12, 2024
今年は大型の仕込みがいくつも花開き、一気に多くの子どもたちへ豊かな読書体験が届けられるはずです!!
ビジネスサイド・エンジニア・デザイナーなど採用強化中ですので、ぜひお話ししましょう! pic.twitter.com/c2w7ZYb6GN
プロフィール
東京大学経済学部在学中、2020年に株式会社Yondemyを設立。大学進学後、家庭教師として担当した多くの家庭から「うちの子は本が嫌いなんです。」と相談されたことから、「子どもの読書離れ」という課題の深刻さを痛感。
自身の英語多読講師としての読書指導ノウハウや、海外の読書教育の実践に関する知見を活かし、日本初のオンライン読書教育サービス「ヨンデミーオンライン」を立ち上げた。
調達の概要
プレスリリース |
---|
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000071742.html |
調達額 |
---|
1.3億円 |
ラウンド |
---|
プレシリーズA |
主な使途 |
---|
サービス・プロダクトの機能強化 |
サービス・プロダクトのプロモーション強化 |
採用強化 |
出版業界各社とのアライアンスの促進 |
投資家からの評価 |
---|
XTech Venturesが、前回に引き続きリード投資家として投資。日本のあらゆる産業の底上げに読書教育の啓蒙活動が貢献してくれると信じ、Yondemyチームに期待を寄せる。加えて本ラウンドでは、ネットマーケティング創業者 宮本 邦久氏やMIXI創業者 笠原 健治氏、ミダスキャピタル 代表パートナー 吉村 英毅氏ら多くの著名投資家からも出資。 宮本氏に「この人でダメならそれはもう仕方ない、諦める」と言わしめるほど、笹沼氏への人望は厚い。 |
関連ポスト
前回に引き続きリード投資させて頂きました!
— 安岡 浩太 | XTech Ventures (@KotaYasuoka) March 12, 2024
読書は、人生で必要な全てのコミュニケーショの根源となる大切なものです。そんな中、小学生の7割以上が週に1冊も本を読まないなど、状況は深刻です。
あらゆる産業を底上げして行くために、読書教育は大きく貢献してくれると、強く信じております!! https://t.co/f6h6XyztYr
ヨンデミーさん!読書習慣は一生物だと思います。教育と出版の両面で期待が高いです。旺文社ベンチャーズも出資(応援)しております。 https://t.co/eCNbXJlIid
— 粂川秀樹/旺文社ベンチャーズ (@kumehide1974) March 12, 2024
エンジェル投資、累計20案件目(今年1件目)「Yondemy」社に投資させて頂きました。
— 宮本邦久エンジェル投資家上場創業社長 (@an0gel0) March 12, 2024
社長の笹沼さんはほんとうにスマートで、25歳とは思えぬその人格にとにかく感銘を受けました。
コメント出させて頂きましたが、文章が、もう息子を見守るお父さんみたいな気持ちです笑。… https://t.co/32C2o5xxDS
主なサービス・プロダクト
オンライン読書教育の習い事「ヨンデミーオンライン」
子どもの読書体験全体をアップデートし、子どもの成長を支えていく読書教育を提供する、日本初の読書教育のオンライン習い事サービス。9割以上の家庭が読み聞かせを実施する一方で、小学生に進むとYouTube漬けとなり読書離れが進み、結果として「文字を読む」という学ぶ力の土台に課題を抱える子どもが急激に増えているという社会課題の解決を目指す。「AI先生」とWebアプリによってサービスが安価に提供され、広いユーザー層で利用ができるようになっている。
FastGrow編集部の注目ポイント
3ヶ月間継続してサービスを利用した子どもは平均週5. 3日読書をし、毎日読書をする子どもの割合は4割を超えるなど、子どもが楽しみながら読書を習慣化できるような緻密なUX設計が特徴。
今後は読書領域の習い事事業を土台に、作文領域への拡大や、多言語化によるグローバル化、子どもの感想データ蓄積を生かした出版事業への参入も見据えるなど、事業多角化のポテンシャルを持っている。
また、出版業界からも高い期待が寄せられており、書店・出版社・出版取次など各社からの引き合いも強く、アライアンスを通したグロースの機会も多そうだ。
採用関連情報
こちらの記事は2024年03月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
次の記事
おすすめの関連記事
「世界基準の評価」で9億円の資金調達、その理由は“万国共通の課題”と“高すぎるユーザー解像度”──クロスビットとEight Roadsが見据える、“働く”の未来
- 株式会社クロスビット 代表取締役
ベンチャーデット、日本上陸──低金利・株式希薄化なしで資金調達。5つの最新事例に見る、スタートアップ金融の新時代
Exitに向けて直面する「壁」の正体とは?急成長スタートアップ“だからこそ”陥るジレンマ。5名の経営者でその突破法を探求する
- 株式会社 UPSIDER 代表取締役
ファクタリングを用いて事業成長するスタートアップが増加?──多様化するスタートアップ資金調達手法のトレンドや活用を、マネーフォワードケッサイに訊く
- マネーフォワードケッサイ株式会社 ファイナンス審査本部 本部長
コンパウンド化への切り札が、デット・エクイティの両刀使いだ!三井物産グループを引き寄せたシリーズB15億円調達の裏側をhokanCFO大竹が語り尽くす
- 株式会社hokan 執行役員CFO
決め手は、経営陣全員の圧倒的エグゼキューション能力──MGPとUTECからシリーズBの評価・累計26.8億円調達した、X Mileのポテンシャルとは
- UTEC 取締役COO パートナー/マネージングディレクター
2023年、資金調達もキーワードは“多様性”だ──事業視点から、マクロ/ミクロに見る資本政策の移り変わり
「PMFまでの苦しい時に、資金と希望を与えてくれた」──ジェネシア・ベンチャーズ × KAMEREO、Tensor Energy、Malmeの3対談にみる、“シード期支援のリアル”
- 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ