戦略的“素人”のすすめ──Gakken LEAP戦略・アライアンス部に訊く、業界再編&大企業の変革に活きるマインドセット

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インタビュイー
濱野 充宏
  • 株式会社Gakken LEAP 戦略・アライアンス部 部長 

10年以上のコンサルタントとしてのキャリアの中で様々な業種、テーマで経験を積んだのちに事業会社の経営企画部に転じ、組織の外側 / 内部の両方の立場から企業の変革に携わった経験を持つ。学研グループでは複数の顔を使い分け、中期経営計画の策定、及びその実現のための事業バリューアップに向けてハンズオンでの関与に加え、アライアンスやスタートアップ出資なども手掛ける。

桐生 祥汰
  • 株式会社Gakken LEAP 戦略・アライアンス部 マネージャー 

政府系金融機関にて法人営業を担当したのちに教育系スタートアップへ転職。カスタマーサクセスとして学習塾向けのデジタル教材の導入および活用支援を手掛ける。複数のスタートアップを経たうえでGakken LEAPへ入社。現在は学研HD経営戦略室・デジタル戦略室・Gakken O18事業部を兼務し、中期経営計画の策定やモニタリング、グループ事業のDX支援を担当。

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本当にやりたいことは、スタートアップで働くことなのか。それとも、社会に変革のインパクトを及ぼし、その手応えを感じることなのか──。

後者を望む人にとって、必ずしもスタートアップが優位とは限らない。

例えば、教育業界は顧客のセグメントが細分化され、ニーズも多様化している。その中で、まずは限られた領域に向けてサービスを展開せざるを得ないスタートアップで業界全体を変えるインパクトをもたらすには、時間がかかり過ぎてしまうかもしれない。

一方で、長い歴史をサバイブしてきた大企業。その特徴を端的に表現すると、強固な顧客基盤と全国規模の従業員・組織網が挙げられる。これらを適切に活かすことができれば、大きなインパクトをスピーディに生み出すことができるだろう。一見するとスタートアップのほうがスピーディに感じるかもしれないが、必ずしもそうではない。

そんな大企業の1つである「学研」において、グループ全体の戦略策定やDXを、設立から2年のGakken LEAPという会社が主導しているのを知っているだろうか。マッキンゼーでパートナーに上り詰めた細谷氏が立ち上げたこの会社の中で、今回はその中核を担う戦略・アライアンス部の2人に話を聞いた。

彼らは言う。「会社という箱の大きさや、新しいかどうかではなく、『事業成長へのコミットメントの延長線上に、自らの成長と世の中に対するインパクト創出を楽しめる環境に身を置けるかどうか』で見定めるべきだ」と──。

  • TEXT BY YASUHIRO HATABE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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新参者として、伝統ある企業経営に新たな風を吹かせる

濱野Gakken LEAPで働くやりがい、ですか。このインタビューの前の会議がまさにその“やりがい”を感じるような場でした(笑)。

参加したのは全員、この教育業界や医療福祉業界で長年キャリアを積み重ねて来た学研グループ各社の経営陣です。そんな人たちに、他業種から転職してきて2年足らずの私が、「計画に対して実績が乖離した要因はどこにあったのでしょうか」と問うたり、「ということは、このタイミングで今後の是非を判断しなければならないですね」と次のアクションを促したりする。

誤解なきようにですが、そのこと自体を「面白い」とか「胸がすく」と思っているわけではありません。むしろ相当のプレッシャーがあるし、もし私が的外れなことを言ったら「あいつの言うことはもう聞かなくていい」と思われるリスクをはらんでいる。そんなスリリングな状況を、自分の責任とやりがいが交錯する環境の中で、緊張感をもって仕事を楽しめている自分がいます。

大企業とスタートアップの大きな違いの一つ、それは歴史だ。

大企業には、大小さまざまな成功と失敗を繰り返す中で積み上げてきた有形・無形の資産がある。前職でコンサルタントとして、さまざまな大企業と対峙してきた経験からその重みを知っている濱野氏だからこそ、そう感じるのかもしれない。

教育系スタートアップの勤務を経てGakken LEAPに転職してきた桐生氏も、その歴史の重みを感じている。

桐生学研グループには長い歴史の中で培われ、評価されてきた良質なコンテンツが山ほどありますし、今も新たに生まれ続けています。ただし、コンテンツを「つくる」ことは得意でも、それらを「届ける=売る」ことに関しては、時代の変化もあって壁にぶつかっている場面も少なくありません。

この「いかにして届けるか」の部分に、グループの新参者であるGakken LEAPが良い意味で“素人”として入ることで、業界を長く経験してきた人とは別角度からの視点で「こういうやり方もできるのでは?」といった提案ができることに面白味があると感じています。

歴史をつくってきた人たちがいて、その長い過程の中で蓄積してきたコンテンツや顧客チャネル、顧客基盤を備える大企業。その環境下では、それらのアセットを上手く活用しながらこれからの戦略・戦術を考えられる。そこに生まれるのは、多様な打ち手とスピードだ。

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学研ホールディングスとGakken LEAP、二つの「顔」を使い分ける特殊部隊

そんな歴史ある学研グループにおいて、Gakken LEAPはやや特殊な立ち位置の組織だ。代表取締役CEOである細谷 仁詩氏は学研ホールディングス取締役も兼務しているが、それと同様にGakken LEAPという組織自体も「自社」の仕事と「グループ」を対象とする仕事を兼務する格好をとる。

自社のデジタルプロダクト『Shikaku Pass』を開発するスタートアップである半面、学研グループの経営戦略策定に携わり、グループ会社が持つさまざまな事業のDXを推し進めるコンサルティング会社のような性格を帯びてもいる。

桐生現在のGakken LEAPの戦略・アライアンス部は、学研ホールディングスの経営戦略室と不可分な機能を担っていますよね。

濱野そうですね。場合によって意識的に「顔」を使い分けていますよね。例えば、ホールディングスの経営戦略室の「顔」をしていった方が物事が進むケースもあるし、逆に“警戒”されてしまうこともあるので。

桐生グループ全体の経営戦略という名目で「上から頭ごなしに指示されるのではないか」という“警戒”ですよね。

濱野はい。そういう風に受け止められそうな時は、Gakken LEAPの「顔」を使ったほうが上手くいくケースが多いです。これはグループ内でもそうですし、グループ外の企業とのアライアンスを進める際も同様です。

学研ホールディングスとして接すると構えられてしまうような相手でも、Gakken LEAPの「顔」をしていくと、従来の既存業務の延長線上にはない、何か別の話として関心を引くことができる。ですので、案件やカウンターの担当者を見ながら「顔」を使い分けるようにしているんです。これもGakken LEAPだからこそ味わえる、面白い働き方の一つだと感じています。

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学研グループの戦略支援から、M&AやCVCを駆使した社外連携まで幅広く推進

先の細谷CEOのインタビューで明かされたように、Gakken LEAPは学研グループ全体の新中期経営計画『Gakken2025』の策定にも深く関わった。その中心メンバーとなったのが、濱野氏、桐生氏の所属する戦略・アライアンス部だという。この部署はそもそもどのような役割を帯び、具体的に何を進めていくのだろうか。

濱野部署名にもなっている「戦略・アライアンス」のうち、まず「戦略」については、どこに向かって走って行くかを決める役割です。これは、Gakken LEAPの戦略と、学研グループ全体の戦略、2つの側面があります。

戦略が決まると、実現の方法は大きく2つあります。1つは、我々が「オーガニック」と呼んでいるもの。既存の事業に携わっている人たちが、自分の立ち位置を少し変えたり、これまでできなかったことにチャレンジしたりする中で、目的に到達する方法です。

そしてもう1つが、我々が「インオーガニック」と呼ぶ、外部との「アライアンス」です。教育、医療福祉という領域は、その他の領域と組み合わせうる「ソフト」としての性格が強いと考えています。例えば、メーカー企業にとっての「教育」と、金融機関にとっての「教育」は、全く違う色の出し方があることが想像できるのではないでしょうか。教育業界しか知らない人でもある程度の品質の「教育」をアウトプットできるかもしれませんが、教育業界の“外”にいる人だからこそ、従来は考えられなかった新しい価値、飛躍的に高い価値を提供できる可能性がある。

濱野「アライアンス」の仕事は、業界で当たり前のことをしていたら到達できない目標に対して、外からリソースや機会を調達し、グループ内の事業と掛け合わせることだと思っています。そのように、グループ会社の人たちが活躍できる舞台をお膳立てすることが、戦略・アライアンス部としての役割です。

同部署はこれまで新中期経営計画の策定に奔走していたため、「戦略」の方にウェイトを置いていた。新中期経営計画を2023年11月に発表した後は、その「実現」に向けたさまざまな動きをとり始めており、「アライアンス」の機会を増やしていく見通しもあるのだという。

桐生アライアンスという言葉から一般的に想像されるのは、社外の組織との提携だと思いますが、グループ内の連携強化という観点も重要になります。

学研グループは50社を超える会社から構成される企業グループであり、各社の事業内容や顧客基盤は多岐にわたります。したがって、同じグループ会社同士といっても連携はそう容易ではありません。もちろんこれまでも協業はありましたが、今後はより強く団結して推進していく必要がある。そんな時、僕たちは良い意味で外様の「顔」をして間に入り、スムーズな連携を支援します。

もちろんグループ外の企業との業務提携やM&A、CVCを通じた共創を目指す取り組みなど、いわゆるインオーガニックの案件を持ってくることもあります。

一方、「戦略」側の仕事においても、Gakken LEAPのスタンスの取り方は特徴的だ。

桐生グループ各社の経営陣やリーダー陣と連携のうえ、グループの中計経営計画策定を進めてきました。事業戦略の策定や追っていくべき主要なKPIの特定、その実現に向けた実行プランの壁打ちといった仕事もその中には含まれています。一般的には「戦略」というとこの辺りまでのイメージかもしれません。

Gakken LEAPの戦略・アライアンス部に特徴的なのは、実行する際にそれを見ているだけでなく、必要に応じてグループ会社の人たちと一緒に現場に入り、同じ立場で実行をサポートしていくところかもしれません。

前章では、Gakken LEAPの持つ二面性の片方を「コンサルティング会社のよう」と表現した。しかし、「戦略」と言いながらもここまでハンズオンしていく辺りは、コンサルティング会社のイメージとはやはり全く異なる。そこから一歩先・二歩先へとどんどん事業に踏み込んでいくスタンスが当たり前なのだ。そうしてこそ、大企業内に変革を生み、社会に変革を生み出せるというわけだ。

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「セグメントにとらわれず、教育業界全体を変えられる場所はないか」──。

戦略・アライアンス部の仕事をさらに深掘りする前に、2人の経歴と、何を求めて働く場にGakken LEAPを選んだのか、その想いの部分を確認しておきたい。

濱野新卒ではコンサルティングファームに就職し、丸10年コンサルタントとして経験を積みました。その後、事業会社も経験してみたいと思い、期間を決めて広告代理店へ転職しました。そこでは学ぶことも多かったし、今の学研グループ内での立ち回り方に生きていることも多々あります。

そして3年後、前とは異なるファームに転職しました。しかし半年ほど経った頃、プロジェクトのスコープを意識したファームならではの環境と、「事業」を自ら生み出しているがゆえの、雑多な、しかし何が来るかわからないという、事業会社の時のワクワクした体験を比べてしまっている自分に気づきました。

もともとはそういった環境の中でも成長し、キャリアを築いていくつもりと割りきっていたつもりです。しかし、改めて30代半ばのこのタイミングで、「自分はどんな事業を通して、志を持って仕事ができるのか」を考えてみると、「教育」というキーワードが浮かんできたという経緯です。

Gakken LEAPを知ったのはスカウトメールでした。「学研」と聞いても学研教室のイメージしかなく、「なんか違うな」と思ってスルーしようとしたんです。しかし、スカウト文面の後半に何か目に止まることが書いてあるなと思って読んでみたら、実は教室以外にも医療福祉領域をはじめ、いろいろな事業をやっていること、元マッキンゼーのパートナーまで務めた細谷が立ち上げた会社であることを知り、興味が湧いてきました。

濱野その細谷と一次面接で話したのですが、その時の印象は「この面接は何の時間だったんだろう?」という感じで、私の何を見定められたのかが分からなかった。ただ、彼も元マッキンゼーでコンサルタントであり、企業というものの見方や業界の体系的な捉え方を、理路整然と、かつ熱意を持って話してくれて、自然と一緒に働くイメージが湧いてきました。

そして2022年6月にGakken LEAPへジョインし、以降CEO直下のポジションで、細谷の構想を形にすることに奔走してきたという具合です。

他にも「個人的に大変お世話になった『地球の歩き方』が学研グループ入りしていたことも入社の理由として小さくない」と笑う濱野氏は、入社してから1年以上、この部署を1人で回してきた。そこへ新たに加入することになった待望のメンバーが、桐生氏だった。

桐生僕は2023年の8月にジョインしたので、まだGakken LEAPの仕事は半年ほどの経験です。新卒では銀行に就職し、法人営業からキャリアをスタートしました。その後、スタートアップでの経験を経て、Gakken LEAPは4社目です。

EdTech事業を手掛けるスタートアップで働く中で、教育業界はセグメントがかなり細分化されていることが分かってきました。そのため、シングルプロダクトのスタートアップでゼロから業界改革に挑むのは難しいと感じるようになったんです。解決できる課題の範囲が限定的で、セグメントの幅を広げるにも時間がかかるからです。

「教育をとりまく構造的課題に横断的にアプローチしうる場所はどこにあるのか」──。そうして転職を考え始めた頃に、転職エージェントからGakken LEAPを紹介してもらいました。

面接で細谷と話すうちに、教育業界という大きな全体像を俯瞰した際、細分化されたセグメントのどの部分に何が足りないのか、その課題に対するソリューションを社内外のリソースやサービスと連携して提供しうるのは、学研グループのような歴史ある企業であることを改めて認識しました。「教育業界のど真ん中で挑戦するのであれば、ここしかない」とピンと来たのです。

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批評家になるな。
現場へのリスペクトを持った“実行者”であれ

コンサルティングファームでの経験が長い濱野氏と、スタートアップから転職してきた桐生氏。一見、対照的にも見える2人だが、共通点もあるという。

桐生僕は新卒で金融機関に勤めていた経験もあり、濱野はコンサルタントでしたけれども、顧客の事業や経営を第三者の立場からフォローすることにはなじみがあるという点では共通しています。

それは、事業会社で1つのプロダクトをつくったり売ったりという環境では得づらい経験かもしれません。

ただ、俯瞰して見ることは必要ですが、“批評家”になってしまっては伝統的な業界やそこに属する主要なプレイヤーの変革は進まないと感じています。「こうすればいいのに」と考えたことを、自らが当事者になって実行することをいとわない、またそれを楽しめることが必要なのかなと思います。

濱野大企業を変革する上では、スキルよりもマインドセットが重要ですよね。

私は「戦略」の専門性を求められる立場だと自負していますが、今何をしているかというと、社内外のブランディング、広報活動にも携わっているんです。上流で「カルチャーをこう変えよう」「Gakkenのブランドをこう変えよう」という方向を決めたら、その後は具体的にどう変えるかの「How」の部分に入って行くことも、自分にとっては自然なことです。

そうなった時に、「自分はこういう仕事はしたくない」と線を引いてしまうようなマインドだと、戦略・アライアンス部での仕事は苦しいかもしれません。私は社内報や広告クリエイティブの経験など全くありませんが、それも含めて今の仕事を「面白い」と思えています。自分にとって、未知の環境や予測不能性を楽しめる素地があることが大事だと思っています。

そんな濱野氏を側で見てきた桐生氏は、こう付け加えた。

桐生濱野を見ていて思うのは、上流から下流まで仕事の線引きをせず、事業成長に必要とあらばどんなことでもチャレンジする。その姿勢がグループの人たちから信頼を得るに至っているのだろうなと。

冒頭に挙げた、グループ各社の経営層との会議で厳しい話をする時にも、根底には 現場へのリスペクトがあることが相手に伝わっているから、関係が悪くなるどころかむしろ頼りにされているのだと思います。戦略策定だけ、批評しているだけだったら、こうはなっていないはずです。

少子高齢化が進む中、日本の教育業界を取り巻く環境や求められる学びの在り方は、激甚と言ってよいレベルで変化しています。そのような時代において、これまで通りのやり方では切り抜けられないという危機感は、学研グループの中にももちろんあります。そこに対して自らが良いアイデアを提案できさえすれば、「グループ内の新しい会社だから」「他業界から来たから」ということは関係なく、すっと受け入れ検討してもらえる土壌が学研にはあると思っています。

ただ、現場には現場の、今まで“できてこなかった理由”が必ずあります。だからこそ、現場へのリスペクトは欠かさずに、制約の中で突破口を開くアイデアを現場と一緒に考えていけば少しずつ変わっていけるのではないか。そんな手応えを感じています。

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「学研といえば◯◯」。
新世代向けの象徴的なプロダクトを創りたい

彼らが中心となって策定した新中期経営計画は2025年がターゲットになっており、この先の約2年でGakken LEAPが一層躍動するフェーズに入ることが見てとれる。細谷CEOのインタビューでもリカレント・リスキリング領域への注力は強調されており、2023年6月にローンチした大人向けの資格学習アプリ『Shikaku Pass』をさらにグロースさせていくことは、事業会社としてのGakken LEAPにおける大きなミッションである。

一方、「『Shikaku Pass』に留まらず、グループ事業の中で分かりやすく“トレンドが好転した”と言えるものを、戦略・アライアンス部としてはこの先1〜2年でつくっていかなければならない」と桐生氏は話す。

桐生学研と聞くと、一定の年代以上の人たちには雑誌『学習』『科学』のイメージがあるが、それより下の若い世代にはそのイメージはありません。言わば、「学研」というブランドに色が付いていない状態ですね。

ですので、若い世代にとっても「学研といえばコレ」と思われるような象徴的なプロダクト/サービスを生み出していく必要があります。これは歴史ある大企業ならではの挑戦しがいのあるトピックだと感じています。

学研グループが「デジタル」に力を入れることは前の中期経営計画ですでに明言されており、だからこそ、グループ全体のDXを加速する会社としてGakken LEAPは誕生した。EdTechをはじめテクノロジーを持ち込むことで教育業界を変えていく「テックカンパニー」としての色をどのように考えているのだろうか。

濱野確かにその側面はあります。ただ、こういう会社に所属していながら、「サービスのデジタル化ってMUSTなのかな」とも思うんですよね。DXすることに意味がある場合と、そうじゃない場合がありますから。「とにかくDXをすればいい」というものではない。

桐生私も、「ビジネスを変革する」「組織を変革する」という目的がまずあって、DXは手段という認識です。Gakken LEAPは組織がコンパクトで小回りが利きますし、実行速度も速い。そして、デジタルだけでなく事業戦略や経営戦略までカバーしているのが特徴だと思います。

濱野DXというフィールドで戦う上で、人の絶対数が足りていないのは確かで、学研としてそこを強化していくことは間違いありません。ただ、常にDXするという前提があるわけではないので、必要な時に必要なところに適切な人材を張れるようにしながら、ビジネス自体のトランスフォーメーションをデジタル主軸で加速させていく、そういう視点でやっています。

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教育業界の再編をリードし得るチームが、僅か2名。
次なる挑戦者求む

「学研は、教育業界全体に対して大きな変革のインパクトを及ぼしたい人に向いている」と桐生氏が言うように、学研グループ全体で教育業界を幅広くカバーしている。それゆえに、これからGakken LEAPにジョインする人に対しては、「経験業種・職種にかかわらずマッチする仕事やフィールドをグループ内で見つけられるはず」と話す。

桐生先ほど、私と濱野との共通点として、「顧客の事業や経営を第三者の立場からフォローすることになじみがある」と話しましたが、金融機関やコンサルティング業界出身じゃなければ活躍できないと言いたいわけではありません。そのような視点は経験を通じて養われますし、ロジカルシンキングなどのスキルは訓練すれば誰でも身につけられます。

それに、教育というものは誰もが受けてきたものだから、自分事化しやすい。今まで従事してきた領域やスキルセットにとらわれ過ぎることなく、教育や社会に対して強い“想い”や課題意識がある人は、ご自身なりの経験やスキルをもって、飛び込んできていただけたらと思います。

濱野教育業界には数多の企業がありますが、全体を幅広くカバーしている企業は限られています。ただ、それができるほどの企業は一般的に事業のセグメントが明確で、例えば学校での成績アップや大学受験合格などをスコープに入れていて、組織体制も出来上がっています。

そこに対して学研は、教育に対して独自のコンセプトを持っています。人が子どもから大人になり、大人になってもさらに成長を続ける中で、成績だけではない「学ぶことそのものの楽しさ」を追求している会社です。さらに、Gakken LEAPは縦型の会社ではなく横型の会社なので、グループ内外の多様な領域を横断して幅広くタッチポイントを持って仕事ができます。

先日、あるプロジェクトの実証実験に立ち会いました。それは教育の未来の形を考えるプロジェクトで、技術を持つ会社や、教育の場を有効活用したい会社、学校など、複数の組織が参画しているものでした。実証実験では、東京にいる先生と地方の生徒がVRゴーグルを使い、バーチャル空間上であたかも同じ教室にいるような授業を体験するというもの。その現場に立ち会う中で、教育というコンテンツは社会課題としても注目されていますし、未来に向けて大きな可能性を持つジャンルなのだと実感しました。

グループの中でそれぞれの会社が課題を抱え、至る所にやるべきことがある中で、現状としては手が回らずできていないことの方が多いそうだ。濱野氏は「僕と桐生があと2〜3人は必要です(笑)」と言い、体制が整えばもっといろいろなことが実現できるという確信を覗かせた。

設立から2年が経過したばかりのGakken LEAPは、まだ「色」が付いていない組織。自分たちで舵を取り、進むべき方向や進み方を決めていくことができる。もちろん、明確な成果が求められるプロフェッショナルな環境ではあるが、自らコミットしてチャレンジしていける人材なら大歓迎だ。

大企業の中から組織を変革し、さまざまな領域の事業と連携しながら教育の未来をつくろうと挑むGakken LEAPで、自身の経験を生かせるフィールドを探してみてはどうだろうか。

こちらの記事は2024年01月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

畑邊 康浩

写真

藤田 慎一郎

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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